ブログ・コラム
2026.07.06
家づくりで夫婦の意見が合わないときに考えたいこと|奈良の住宅設計建築家が解説する価値観の整理と間取りの決め方
- カテゴリ:
- 住まいと暮らしの設計思想
家づくりで夫婦や家族の意見が
合わないときに考えたいこと。
奈良で住まい造りを行う建築家が解説する
価値観の整理と
間取りの考え方について。

※夫婦の意見が違うときこそ「何が欲しいか」
だけではなく「なぜその暮らしを望むのか」
言葉にすることが大切です。
プランの方向性や模型を使いながら、
家族の価値観を暮らしやすい環境へ
整えていきます。
家づくりを始めた途端に、
夫婦の意見が合わなくなった。
一人は開放的なリビングを望み、
もう一人は
落ち着いて過ごせる個室が欲しい。
一人は収納をできるだけ増やしたいと考え
もう一人は収納よりも
居住空間の広さを優先したい。
デザイン、間取り、家事動線、
キッチン、収納、予算、
住宅性能、土地の場所。
決めることが増えるほど、
話し合いがまとまらなくなり、
このまま家づくりを
進めて大丈夫なのだろうか?
そもそも私たちは、
暮らしに求めているものが
違うのではないか?
と不安になる
ご夫婦もいらっしゃると思います。
しかし、
家づくりで意見が合わないことは、
必ずしも夫婦関係に
問題があるという意味ではありません。
むしろ家づくりは、
普段の生活では言葉にしてこなかった
価値観が、
初めて具体的な形となって
表面に現れる機会です。
〇関連blog
なぜ夫婦や家族はすれ違うのか?暮らしの前提条件と心地よい距離感から建築家が考える後悔しない家づくり
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail865.html
予算をどのように使いたいのか。
家族とどの程度一緒に過ごしたいのか。
一人の時間をどれほど大切にしたいのか。
家事を誰が、いつ、
どのように担っているのか。
物を持つことに安心を感じるのか、
物が少ないことに心地よさを感じるのか。
家づくりで生まれる意見の違いは、
そのような暮らしの奥にある
考え方の違いです。
大切なのは、
どちらの意見が正しいかを
決めることではありません。
それぞれの要望の奥にある理由を知り、
夫婦にとっての
暮らしの共通言語をつくること。
それが、後悔しない
間取りを考えるための第一歩です。
家づくりで
夫婦の意見が合わないときの結論
家づくりで意見が合わないときは、
間取りを決める前に、
「何が欲しいか」ではなく、
「なぜ、それが必要なのか」を
夫婦で整理することが大切です。
例えば、
「広いリビングが欲しい」
という希望があったとしても、
その理由は家庭によって違います。
家族全員で過ごす時間を
増やしたいのかもしれません。
友人や親族を
招きたいのかもしれません。
今の住まいが狭く、
いつも圧迫感を
覚えているのかもしれません。
同じ「広いリビング」という言葉でも、
その背景が違えば、
最適な設計も変わります。
床面積を広げなくても、
窓の配置、天井の高さ、庭への視線、
隣接する空間とのつながりによって、
開放感をつくれることがあります。
反対に、面積を広げても、
家具配置や動線が
整理されていなければ、
落ち着かないリビングに
なることもあります。
要望をそのまま
図面に置き換えるのではなく、
要望の背景にある暮らしを読み解くこと。
それが、
建築設計の重要な役割です。
夫婦の意見が合わなくなるのは、
なぜなのか?
同じ言葉でも、
思い描いている暮らしが違うから・・・。
家づくりでは、
次のような言葉がよく使われます。
「家事がしやすい家」
「片付く家」
「家族が集まるリビング」
「開放的な間取り」
「ホテルライクな空間」
「落ち着く和モダンの家」
「和モダンの家・ジャパンディな家」
ところが、
これらの言葉が意味する暮らしは、
人によって違います。
「家事がしやすい家」と聞いて、
一人はキッチンと洗面室が近い
間取りを思い浮かべるかもしれません。
もう一人は、
家族全員が家事に参加できる
住まいを
思い浮かべているかもしれません。
「家族が集まるリビング」についても、
常に同じ場所で過ごすことを
望む人もいれば、
別々のことをしながら
互いの気配を感じられる空間を
望む人もいます。
言葉が同じだからといって、
目指している暮らしまで
同じとは限りません。
家づくりでは、
言葉の表面ではなく、
その言葉が生まれた背景まで
共有する必要があります。
〇関連blog
共働き夫婦が後悔しない間取りとは?家事動線だけでは解決できない、夫婦の価値観から考える家づくり
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail866.html
部屋の数から
話し始めてしまうから・・・・・。
家づくりの話し合いでは、
つい、
「LDKは何畳必要か」
「子ども部屋は何部屋か」
「収納は何か所つくるか」
という話から始めてしまいます。
しかし部屋は暮らしの
目的ではありません。
そこで、誰が、いつ、
何をして過ごすのか。
その行動を支えるために、
部屋や収納、動線があります。
部屋の数や広さから話し始めると、
夫婦それぞれが
自分の希望を守ろうとするため、
話が対立しやすくなります。
一方で、
平日の朝を、どのように過ごしたいか
帰宅してから就寝するまで、
どのように動いているか・・・。
休日は家族で何をしているか
一人になりたいのは、どのようなときか
という生活場面から話し始めると、
共通する目的が
見つかりやすくなります。
家事や片付けの負担が、
同じようには見えていないから。
家事は、料理や洗濯
だけではありません。
献立を考える。
日用品の残量を確認する。
学校のプリントを整理する。
洗濯物を仕分ける。
家族の予定を把握する。
散らかった物を元の場所へ戻す。
こうした細かな行動も、
毎日の家事を構成しています。
総務省の2021年社会生活基本調査では、
6歳未満の子どもがいる夫婦と
子どもの世帯で、
1日当たりの家事関連時間は
夫が1時間54分、
妻が7時間28分でした。
前回調査から差は縮小したものの、
依然として一定の差があります。
これはすべての家庭に
当てはまる数字ではありませんが、
家事負担の感じ方が
夫婦で異なる背景の一つとして
考える必要があります。
〇関連blog
片付かない家の本当の理由|収納を増やす前に整えるべき「動線」と「暮らしの設計」―建築家が提案する質の良い生活環境―
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail803.html
毎日片付けている人と、
片付いた状態だけを見ている人では、
収納に対する切実さが違います。
洗濯物を洗う人と、
干して畳んで収納するところまで
担う人でも、
理想の洗濯動線は違います。
家事の意見が合わないときは、
間取りの問題だけでなく、
現在の負担が夫婦の間で十分に
共有されていないことがあります。
住まいは夫婦関係を解決するのか?
ここは、慎重に
考えなければなりません。
家を建てたり、
リフォームを行ったりするだけで、
夫婦関係や家庭内の問題が
すべて解決するわけではありません。
人間関係の問題には、
コミュニケーション、仕事、子育て、
健康、経済状況など、
さまざまな要因があります。
建築だけで、
そのすべてを解決できるとは言えません。
〇関連blog
LDKとキッチンだけにとどまらず、 暮らしの心理を設計するということ・環境心理学から読み解く、心が静かに整う住まいの本質
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail702.html
一方で、住まいは
毎日の行動が繰り返される環境。
使う場所に収納がない。
朝の支度をする場所が重なる。
家族の生活音が常に聞こえる。
一人で落ち着ける場所がない。
洗濯物を何度も持って
移動しなければならない。
このような小さな不便が
毎日繰り返されれば、
知らないうちに疲労や苛立ちが
蓄積することがあります。
住まいが人間関係を
直接変えるのではありません。
しかし、
感情の衝突が起こりやすい状況を減らし、
家族が無理なく行動できる環境を
整えることはできます。
海外の家族を対象とした研究でも、
住宅の実際の広さだけでなく、
「窮屈に感じる」
「家族との距離が遠すぎると感じる」
といった空間への主観的な受け止め方が、
家族の感情表現や
意思決定などと関連していました。
これは日本の全家庭に
そのまま当てはめられる研究
ではありませんが、
広さの数字だけでなく、
距離の感じ方を設計する重要性を
示唆しています。
住まいは、
家族関係の答えのカタチ
そのものではありません。
けれど、
良い関係を育てやすくするための、
土台にはなり得ます。
まず夫婦で整理したい「暮らしの共通言語」
深い対話には、
共通の言葉が必要です。
家づくりも同じです。
夫婦が最初から同じ価値観を
持っている必要はありません。
大切なのは、
相手が何を大切にし、
なぜその希望を持っているのかを
知ることです。
私は、家づくりの話を始める際に、
完成した間取りの希望だけでなく、
現在の生活について
考えることが重要だと思っています。
平日の朝を思い出す
誰が最初に起きるのか。
朝食をつくる人は誰か。
洗面室を使う時間は重なっていないか。
子どもの準備は、どこで行っているか。
着替え、鞄、学校用品、
仕事道具は、
どこに置かれているか。
朝の苛立ちは、性格の問題ではなく、
限られた場所に
家族の行動が集中していることから
起きている場合があります。
洗面台を二つ設置することだけが
解決策ではありません。
鏡を使う場所、身支度をする場所、
着替える場所、
荷物を準備する場所を
分散させることで、
混雑を軽減できることもあります。
帰宅後の流れをたどる
玄関を入ったあと、
何を持って、どこへ向かうでしょうか。
上着を脱ぐ。
鞄を置く。
手を洗う。
郵便物を確認する。
子どもが学校用品を置く。
買い物した物をキッチンへ運ぶ。
この一連の行動に合った収納や
通り道がなければ、
物はリビングやダイニングに集まります。
片付けが苦手なのではなく、
現在の間取りが家族の行動を
受け止められていないのかもしれません。
夜の過ごし方を比べる
食事のあと、
家族全員が同じことを
しているとは限りません。
テレビを見たい人。
本を読みたい人。
仕事を続けたい人。
音楽を聴きたい人。
静かに一人で過ごしたい人。
一つの大きなLDKに
家族全員を集めることが、
必ずしも家族の心地よさにつながるとは
限りません。
同じ空間にいながら少し離れられる場所。
家族の気配を感じながら集中できる場所。
必要なときには扉を閉じられる場所。
そのような距離の選択肢が、
暮らしに余白を生みます。
意見が合わないときに行うべき
情報の整理方法
1.夫婦それぞれが、別々に希望を書く
最初から二人で話し合うと、
声の大きい方や
説明の得意な方の意見に
偏ることがあります。
まずは別々に、
「今の暮らしで困っていること」
「新しい住まいで大切にしたい時間」
「なくしたい家事や負担」
「これだけは譲れないこと」を
書き出します。
希望する設備や部屋ではなく、
生活場面を書くことがポイントです。
2.要望を「絶対必要」「できれば欲しい」
「なくてもよい」に分ける
すべての要望を同じ重さで扱うと、
予算も面積も膨らみます。
そのため、
絶対に必要なもの。
実現できれば嬉しいもの。
他の方法で解決できるもの。
に分けて考えます。
優先順位をつけることは、
どちらかが我慢することではありません。
二人にとって本当に大切なものを
守るための作業です。
3.要望に対して「なぜ」を重ねる
「大きなファミリークローゼットが欲しい」
なぜでしょうか。
洗濯物を各部屋へ運びたくないから。
なぜ運びたくないのでしょうか。
現在、洗濯に時間がかかり、
夜の家族時間が減っているから。
ここまで整理できれば、
本当の目的は、
大きな収納をつくることではなく、
洗濯に使う時間と移動を減らすこと
だと分かります。
その目的は、
ファミリークローゼット以外の方法で
解決できるかもしれません。
4.人ではなく、状況を問題にする
「あなたが片付けないから散らかる」
と言われれば、
責められた側は身を守ろうとします。
一方で、
「帰宅後に鞄を置く場所が決まっていない」
「学校の書類を一時的に置く場所がない」
「洗濯物を戻すための移動が多い」
と状況を整理すれば、
夫婦で一緒に解決策を考えられます。
誰が悪いかではなく、
なぜその行動が起こるのか。
建築設計では、
人の性格を変えようとするのではなく、
無理なく続けられる環境を考えます。
5.現在の暮らしと将来の暮らしを分けて考える
子どもが小さい時期と、
独立した後では、
必要な間取りが違います。
在宅勤務を続けるのか。
親との同居や介護の可能性があるのか。
将来、寝室を1階へ移す可能性があるのか。
今すぐ必要なものと、
将来変化できるように
備えるものを分けることで、
過剰な面積や設備を抑えられます。
6.図面の上ではなく、一日の行動で検証する
間取りを見るときは、
部屋の形だけで判断しないことが大切です。
朝起きてから外出するまで。
買い物から帰宅して食品を収納するまで。
洗濯物を洗い、干し、畳み、戻すまで。
来客を迎え、くつろぎ、見送るまで。
体調を崩した日に、
家族とどのように距離を取るか。
実際の行動を図面上で追うと、
間取りの問題が見つかりやすくなります。
7.採用しないものも、二人で決める
良い家づくりとは、
要望をすべて詰め込むことではありません。
何を大切にするかを決めることは、
何を優先しないかを
決めることでもあります。
使う場面が少ない部屋。
流行しているけれど、
自分たちの生活には合わない設備。
維持管理の負担が大きい素材。
それらを採用しないことも、
住まいを整えるための大切な判断です。
よくある夫婦の意見の違いと、
間取りによる解決の考え方
開放的なLDKと、落ち着ける場所の両方が欲しい
一人は大きく開放的なLDKを望み、
もう一人は、
常に家族と同じ空間にいることに
疲れを感じる。
このような場合、
広いLDKか個室かという
二者択一にする必要はありません。
LDKの一角に、
小さな書斎コーナーや畳の間を設ける。
天井の高さや床の段差を変え、
心理的な領域をつくる。
格子や家具、
建具によって視線を緩やかに調整する。
中庭や窓辺に、
一人で過ごせる居場所を設ける。
つながっているけれど、
同じ過ごし方を強制されない。
そのような空間構成が、
家族それぞれの時間を支えます。
対面キッチンと、
生活感を隠せるキッチンで迷う
家族と会話しながら料理をしたい人もいれば、
調理中の物や家電を
見せたくない人もいます。
この場合も、
完全なオープンかクローズかだけで
考える必要はありません。
手元だけを隠す腰壁。
冷蔵庫や家電を隠せる背面収納。
引戸で閉じられるパントリー。
来客時だけ生活感を抑えられる建具。
見せる場所と隠す場所を整理することで、
開放感と整った印象を両立できます。
ファミリークローゼットをつくるか、
個室収納にするか
家族の衣類を一か所にまとめると、
洗濯動線を短くできる場合があります。
しかし、生活時間が大きく異なる家庭や
自室で着替えたい家族には、
個別収納の方が
使いやすいこともあります。
〇関連blog
ファミリークローゼットは本当に必要なのか。家事動線だけでは見えてこない、後悔しない住まいと収納計画の考え方
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail875.html
ファミリークローゼットが
流行しているから採用するのではなく、
どこで着替えるのか。
誰が洗濯物を戻すのか。
家族それぞれの起床時間はどう違うのか。
将来、子どもが自分で衣類を管理できるか。
まで考えて決める必要があります。
収納を増やしたい人と、部屋を広くしたい人
国土交通省の令和5年住生活総合調査では、
住宅の個別要素に対する不満率として、
「収納の多さ・使い勝手」が33.1%、
「水回りの広さ・使い勝手」が25.6%、
「広さや間取り」が21.4%となっています。
また、今後のリフォームで重視する点では、
長子17歳以下の親子世帯の31.8%が
「広さや間取り」を挙げ、
収納も上位項目に入っています。
収納も居住空間も、
限られた床面積を使います。
だからこそ、
収納面積の多さではなく
適切な位置と奥行きが大切です。
奥行きが深すぎて奥の物が見えない収納。
使う場所から遠い収納。
何を入れるか決まっていない収納。
このような収納は、
面積があっても暮らしを助けません。
収納は物を隠す場所ではなく、
家族の行動を整える場所です。
片付かない家は、
性格ではなく仕組みから考える
片付けに関する夫婦の衝突は、
珍しいことではありません。
一人は「使ったら元へ戻してほしい」と思い、
もう一人は「どこへ戻せばよいか分からない」
と感じている。
一人にとって分かりやすい収納が、
家族全員にとって
分かりやすいとは限りません。
片付く住まいを考えるときは、
次の順序が重要です。
何を持っているか。
誰が使うか。
どこで使うか。
どの頻度で使うか。
どのような動作で戻すか。
例えば、郵便物や学校の書類が
ダイニングテーブルに集まるなら、
家族が一番長く過ごす場所の近くに
書類の一時置き場が必要です。
鞄や上着がリビングに集まるなら、
玄関からリビングまでの途中に
戻しやすい場所が必要です。
洗濯物がソファの上に置かれるなら、
洗う、干す、畳む、
収納する流れのどこかに
無理があるのかもしれません。
アメリカの共働き家庭30組を対象とした
小規模研究では、
自宅を「散らかっている」「未完成である」など、
負担を感じる言葉で表現した女性に、
日中の気分やストレス関連指標との
関連が見られました。
対象数が小さく、
因果関係を証明するものではありませんが、
住環境をどのように感じているかが、
心の状態と無関係ではないことを示す
一つの知見です。
片付けは、
きれいに見せるためだけのものでは
ありません。
探し物を減らす。
判断する回数を減らす。
家事の中断を減らす。
家族同士が注意し合う回数を減らす。
その結果として、
暮らしに少し余裕が生まれます。
家事動線は「家事をする人」ではなく
「家族の行動」から設計する
家事動線という言葉を聞くと、
キッチン、洗面室、
ランドリールームを近くに配置することを
思い浮かべるかもしれません。
もちろん、
移動距離を短くすることは大切です。
しかし、本当に考えたいのは、
家事を一人だけが抱え込まなくても済む
環境です。
食器がどこにあるのか、家族全員が分かる。
洗濯物を自分で戻せる。
掃除用品を必要な場所で取り出せる。
子どもが学校用品を自分で準備できる。
日用品の在庫が見える。
家族が自然に参加できる仕組みがあれば、
家事は「誰かを手伝うこと」から
「それぞれが自分で行うこと」へ
変わりやすくなります。
住まいは家族を動かす装置ではありません。
けれど、行動の選択肢を分かりやすくし、
無理の少ない習慣を
支えることはできます。
家族が一緒に過ごす場所と、
一人になれる場所
家族は、いつも近くにいれば
幸せになるとは限りません。
疲れている日。
仕事に集中したい時間。
誰とも話さず、静かに気持ちを整えたいとき。
人には、それぞれ一人で過ごしたい時間があります。
大切なのは、孤立させることではなく、
距離を選べることです。
LDKから少し離れた窓辺。
階段の途中に設けた小さな居場所。
中庭を挟んで気配がつながる部屋。
建具を開ければ一体となり、
閉じれば落ち着ける和室。
深い軒の下や、屋根のあるベランダ。
住まいの中に複数の居場所があると、
その日の気分や行動に合わせて
過ごす場所を選べます。
感情には波があります。
喜びのある日も、苛立つ日も、
悲しい日も、
静かに考えたい日もあります。
住まいは、
そのすべての感情を無理に
一つの空間へ押し込めるのではなく、
受け止める場所であってほしいと
思います。
家族と話したいときに
自然と集まれる。
一人になりたいときには、
静かに離れられる。
再び話したくなったときには、
無理なく戻ってこられる。
その距離の調整が、
暮らしの中の小さな衝突を
和らげてくれます。
新築だけでなく、
リフォームや模様替えでも
暮らしは整えられる
現在の暮らしに違和感があっても、
必ずしも建て替えや
大規模リフォームが必要とは
限りません。
家具の配置を変える。
収納する物と場所を見直す。
建具を追加して、視線や音を調整する。
照明を分け、
一つの部屋に複数の居場所をつくる。
使われていない和室を
書斎や家事室へ変える。
キッチン周辺に家族共有収納を設ける。
廊下や階段の一角を
小さな居場所として活用する。
暮らしの問題を丁寧に整理すると、
部分的な改修やインテリアの見直しで
改善できる場合もあります。
大切なのは、
最初から工事の規模を
決めることではありません。
今の不便が、
間取りから生じているのか。
収納方法から生じているのか。
家族のルールから生じているのか。
家具や照明によって改善できるのか。
それを見極めてから、
必要な方法を選ぶことです。
夫婦だけで答えが出ないとき、
第三者に相談する意味
夫婦の話し合いが進まないときは、
どちらかが間違っているとは
限りません。
二人とも、
自分たちの生活を良くしたいと
思っている。
ただ、見ている課題や優先順位が
違うのです。
そのようなときに建築家が担うのは、
どちらか一方の
味方になることではありません。
〇関連blog
奈良で注文住宅を建てるなら最初に建築家へ相談を|設計相談で見えてくる、本当に後悔しない家づくりと、暮らしを設計するということ
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail916.html
それぞれの希望を聞き、
その背景を整理し、
設計条件として翻訳することです。
例えば、
「生活感を見せたくない」
という希望は、
単に物を隠したいという話ではなく、
家に帰ったときに
気持ちを切り替えたいという
願いかもしれません。
「いつも家族の顔が見えるようにしたい」
という希望は、
監視したいのではなく、
忙しい毎日の中でも
家族との接点を失いたくないという
思いかもしれません。
「一人になれる部屋が欲しい」
という希望も、
家族を避けたいのではなく、
心を整えたあとに
穏やかに家族と向き合いたいという
願いかもしれません。
言葉の奥にある思いまで理解できると、
対立していた希望の間に、
別の解決策が見えてきます。
やまぐち建築設計室では、
間取りを描く前に、
ご家族の日々の働き方、
休日の過ごし方、
得意なことや苦手なこと、
将来の変化まで
丁寧に整理することを
大切にしています。
暮らし方そのものが、
最良の設計条件になると
考えているからです。
このような状態なら、
間取りを決める前にご相談ください。
家づくりについて話すと、
いつも夫婦喧嘩になってしまう。
住宅会社から
間取りを提案されたものの、
どこか腑に落ちない。
収納を増やせば片付くのか、
判断できない。
家事動線をどう考えればよいか
分からない。
新築、建て替え、
リフォームのどれが適しているか
迷っている。
今の住まいにいると、
なぜか落ち着かない。
家族の時間と一人の時間を、
どのように両立すればよいか分からない。
このような段階では、
完成した要望書や間取り図を
用意する必要はありません。
むしろ、何に困っているか分からない
夫婦の話がまとまらない
現在の暮らしを、
どこから見直せばよいか分からない
という状態から
相談することに意味があります。
設計相談は、
決まった要望を伝えるだけの
場所ではありません。
まだ言葉になっていない違和感を整理し、
ご家族にとって
本当に必要な住まいを
見つけていく時間でもあります。
よくあるご質問
Q・家づくりに、
夫婦のどちらかが積極的ではありません
家づくりに消極的に見えても、
関心がないとは限りません。
予算への不安、失敗への恐れ、
決断する負担などが
背景にある場合があります。
設備やデザインを選ぶ前に、
現在の暮らしで
困っていることから話すと、
参加しやすくなることがあります。
Q・夫婦の要望が正反対の場合、
どちらを優先すべきですか?
人ではなく暮らしへの影響で判断します。
使用頻度、家事負担、安全性、
将来の変化、予算などを比較し、
二人にとって重要な目的を
満たす方法を探します。
二者択一ではなく、
空間のつなぎ方や建具、家具、
照明などによって
両立できる場合もあります。
Q・間取りで夫婦関係は良くなりますか?
間取りだけで
人間関係の問題を
解決できるとは言えません。
ただし、行動の重なり、
片付けにくさ、音、視線、
家事負担など、
毎日繰り返される環境上の
摩擦を減らすことはできます。
Q・リフォームでも、
家事動線や収納は改善できますか?
建物の構造や
設備配管などの条件によりますが、
部分的な間取り変更、
収納配置、建具、家具、
照明の見直しによって
改善できることがあります。
大規模工事を決める前に、
現在の行動と問題の原因を
整理することが重要です。
Q・相談時には、何を用意すればよいですか?
新築の場合でも
リフォーム・リノベーションの場合でも
現在の間取り図があれば役立ちますが、
必須ではありません。
困っている場所の写真、
一日の生活の流れ、休日の過ごし方
片付かない物、
夫婦それぞれが大切にしたいことなどを
お聞かせください。
家づくりとは、
夫婦の正解を一つにすることではありません
家づくりで夫婦の意見が合わないのは、
決して悪いことではありません。
それぞれが、
これからの暮らしを
真剣に考えているからこそ、
違いが見えてきます。
大切なのは、
相手を自分の意見に合わせることではなく、
なぜ、その空間が欲しいのか。
なぜ、その暮らしを大切にしたいのか。
何に疲れ、何に安心し、
どのような時間に幸せを感じるのか。
その背景を知ることです。
夫婦の価値観が
すべて同じである必要はありません。
違う価値観を持つ二人が、
互いの暮らしを理解し、
二人の間に共通の言葉を育てていく。
結婚された際も
そういうことを
いろいろと考えたのでは?
家づくりは、
過ごし方を見直す
貴重な機会でもあります。
住まいは、家族を一つの形に
閉じ込めるものではありません。
近くにいたい日も、
一人でいたい日も。
笑い合える日も、
気持ちがすれ違う日も。
さまざまな感情や時間を、
受け止める場所です。
間取りとは、
部屋を並べることではなく、
そこで過ごす人の
心と行動の居場所をつくること。
やまぐち建築設計室では、
奈良県での注文住宅、新築、
建て替え、リフォーム、リノベーション、
整理収納、
インテリアのご相談を通じて、
ご家族それぞれの暮らしの背景を
丁寧に読み解いています。
夫婦の意見がまとまってから
相談する必要はありません。
まとまっていないからこそ、
見えてくる設計の可能性があります。
現在の暮らしに感じている違和感や、
ご家族の間で
決められずにいることから、
お聞かせください。
住まいを整えることは、
これからの人生で大切にしたい時間を、
あらためて見つめ直すことでも
あると考えています。
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奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
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住まいの設計、デザインのご相談は
ホームページのお問合わせから
ご連絡ください
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