ブログ・コラム
2026.04.01
片付かない家の本当の理由|収納を増やす前に整えるべき「動線」と「暮らしの設計」―建築家が提案する質の良い生活環境―
- カテゴリ:
- 収納・片付け・暮らし・インテリア
片付かない家の本当の理由とは?
収納ではなく「動線」と「思考」を整える住まい設計
建築家が考える、
散らからない暮らしのつくり方。

※動線、収納が連続するように整えたLDK空間。
暮らしの流れに寄り添う設計として、
収納を細かく分散して自然と片付く状態に。
「収納が足りないから、片付かない」
そう感じている方は、
とても多いように思います。
ですが、
これまで数多くの住まいづくりに関わってきた中で、
お伝えできることがあります。
それは・・・・・。
片付かない家の原因は、収納量だけではない
ということです。
散らかる家に共通する「見えない問題」
片付けがうまくいかない住まいには、
ある共通点があります。
それが、
動線が暮らしに合っていない
物の「居場所」が曖昧
行動と空間の関係が設計されていない
という状態だということです。
つまり、
「暮らしの流れ」と「空間の状態」が
一致していないということ。
例えば、
玄関で使うものが、リビング収納にしかない
洗濯動線が分断されていて、物が途中で滞留する
使う場所と収納場所が離れている
こうした状況では、
どれだけ収納を増やしても、
戻すのが面倒な家になってしまいます。
リビングは特に、
多くのモノが集まる場所にもなります。
そして結果として、
「置きっぱなし」が日常になっていくのです。
整理収納とは
「空間の問題」ではなく「思考と行動の問題」
整理収納というと、
「収納術」や「テクニック」として
語られることが多いですが、
本質はもっと根深いところにあります。
それは、
「どう暮らしたいのか」という
思考の整理がなされていないということです。
どこで何をするのか
どのタイミングで使うのか
使った後、どこに戻るのか
生活の行動に紐づけして
この一連の流れを明確にすること。
これが、
散らからない仕組みをつくる
最初のキッカケとなります。
環境心理学から考える「片付く家」
人は環境によって行動が変わります。
これは環境心理学の基本的な考え方です。
つまり、
片付けやすい環境では、自然と片付く
片付けにくい環境では、無意識に散らかる
ということ。
たとえば、
視線の中に「戻す場所」がある
ワンアクションで収納できる
行動の流れの中に収納がある
こうした設計がされていると、
人は「頑張らなくても」片付けるようになります。
これは、
習慣が入り口ではなく、
環境で入り口をつくる設計、
そしてその行動が習慣化するという流れです。
動線設計が、暮らしを整えるということ。
やまぐち建築設計室では、
収納を「使わないものを入れる箱」として
考えるのではなく、
使う物を一時的に隠す場所として
動線の中に組み込み設計します。
勿論「シーズンもの」や「使う頻度の低いもの」
これらに関しては、少し考え方と提案は
異なりますが・・・・・。
普段からの頻度にあわせて
例えばですが、
玄関からの動線では
帰宅
→ 上着を掛ける
→ 鞄を置く
→ 手を洗う
この一連の流れの中に、
それぞれの収納場所が
自然に配置されるかどうか。
キッチンからの動線
買い物から帰る
→ 食材を収納
→ 調理
→ 配膳
→ 片付け
この流れがスムーズに
つながるかどうか。
洗濯動線
洗う
→ 干す
→ 取り込む
→ 畳む
→ 収納する
この一連の行為が、
無理なく連続しているかどうか。
こうした動線設計が整っていると、
収納は「意識して使うもの」ではなく、
自然と使われるものへと変わります。
「余白」がある家は、整いやすい
もうひとつ大切な要素があります。
それが、余白の設計です。
このブログでも度々でてくる「余白」。
収納を詰め込みすぎると、
取り出しにくい
戻しにくい
管理しにくい
という状態になります。
一方で、
適度な余白があると、
行動にゆとりが生まれ
気持ちにも余白ができ
整えることが環境から習慣化されるのです。
これはまさに、
「空間」と「行動」と「心」が
連動している状態になります。
収納を増やす前に考えるべきこと。
もし今、
家づくりの検討を始めている中で
「収納を増やそう」と
考えているのであれば、
その前に、一度立ち止まってみてください。
本当に必要なのは、収納量ではなく、
暮らしの流れの整理
行動と空間の一致
思考の明確化
なのかも知れません。
建築家としての提案
やまぐち建築設計室では、
間取りの前に、
まずこうした生活や暮らしに密着した
「問い」を大切にしています。
どんな暮らしをしたいのか
朝の時間をどう過ごしたいのか
家事をどのように軽やかにしたいのか
家族との距離感をどう保ちたいのか
これらを丁寧に言語化、見える化かすることで、
初めて、家族での考え方や
生活の行動パターンの違いに気づき、
整う住まいのをご家族の中でも
意識する事が可能になります。
暮らしは「意識する濃度」で質が変化するという事。
片付けや整理収納とは、
単なる家事の一コマではありません。
家全体と家事における行動を通じて
暮らしの質を整える行為です。
そしてその質は、
空間によって大きく左右されます。
だからこそ、
収納を増やす事だけを考えるのではなく、
収納計画と同時に質を考えた
暮らしそのものを設計する。
それが、
散らからない家をつくるための、
もっとも本質的なアプローチです。
家が整うと、時間の使い方が変わります。
気持ちの余裕が生まれます。
そして、
暮らしの質そのものが変わっていきます。
片付けに悩んでいるのであれば、
それは「能力」の問題だけではなく、
生活が整っていない状態である
「環境」の問題かもしれません。
間取りの前に、
人生と暮らしについて考える。
その一歩から、
本当に整う住まいづくりが始まります。
収納や間取りの前に、
「どんな暮らしをしたいのか」を
整理する時間を大切に。
今回のblog投稿記事の内容が、
ご自身の住まい造り、
暮らしと人生を見つめ直す
キッカケになれば幸いです。
○関連blog
片付けやすい家づくりで暮らしが整うという事、家族みんなが自然と片付けたくなる収納動線と間取り設計の工夫・掃除がラクになる家事ラク動線、心にゆとりを生む整理収納アイデアとストレスの少なくなる住まいのつくり方
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail550.html
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