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ブログ・コラム

2025.12.27

片付けが苦手でも整う家へ|暮らしの動線から考える建築家の整理収納設計

カテゴリ:
物入・クローゼット・収納・納戸・整理整頓

ライフスタイルにあわせた

整理収納サポートと設計

そして空間構成の工夫。

 

暮らしを整えることは、

人生の「輪郭」を整えること。

 

和モダン×ホテルライクなLDK。木目天井とグレーのアイランドキッチン、壁掛けテレビと造作の木製テレビボードを一体化し、生活感を抑えた収納設計で暮らしやすさを高めた注文住宅のインテリア。

※常時整う状態を設計でつくる。
キッチン横の柱形状も実は家電収納で、

その他の造作収納・壁掛けテレビ周辺も、
物の定位置と動線を整理することで、

日常のストレスを減らしたLDK空間。

 

やまぐち建築設計室では、

住まいの新築

リノベーションに限らず、

整理収納に関する

ご相談も

大切な仕事のひとつとして

受け止めています。

 

近年は特に

ホームページから

「収納だけ相談できますか?」

というお問い合わせを

いただく機会が増えました。

 

それはきっと、

暮らしの情報が増えた一方で、
・何が正解か分からない
・片付けたつもりでも、

すぐに戻ってしまう・・・・・。
・家族の価値観が噛み合わない
といった

実感としての行き詰まりが、

静かに広がっている

からだと思います。

 

そして、

ここがとても大切な

点なのですが
収納が苦手な人は、

能力が足りないだけ

ではありません。

 

多くの場合、

住まいの中にある

収納の配置や量、動線、

そして生活習慣が、

本人や家族の

ライフスタイルと合っていない。

 

つまり、

人の問題だけではなく、

環境設計の問題で

あることも多いのです。

 

だからこそ、

やまぐち建築設計室では

「収納」をモノをしまう技術

としてだけでなく、

暮らしの質を底上げするための

環境づくりとして

丁寧に扱います。

 

今回は、

整理収納と暮らし、

そして設計の関係性を、

より深く掘り下げて

書いてみたいと思います。

 

整理収納が整うと、

なぜまで変わるのか。

 

住まいが整うと心境が変化する。

 

これは感覚的な話ではなく、

日常の中で

誰もが体験している現象です。

 

たとえば、

こんな小さな出来事が

積み重なります。

・朝、探し物がなくなる

・キッチンで動きが止まらない

・洗濯物が「溜まる」ではなく

「流れる」ようになる

・片付けの途中で疲弊しない

・「散らかってる」という

無言のストレスが減る

 

これらはすべて、

暮らしの摩擦(ストレス)を

減らしている状態です。

 

整理収納の本質は、

単に見た目を整えること

ではありません。

 

暮らしの摩擦を減らし、

生活の速度と

気持ちの安定を

整えることにあります。

 

つまり整理収納は

インテリアだけではなく、

暮らしの基盤。

 

住まいの心地よさをつくる、

見えない骨格となる部分です。

 

やまぐち建築設計室が

住まいの設計の際に

最初に行うのは

「間取り作り」ではありません。

 

一般的な設計の流れでは、

ヒアリングシートを基に

必要室や要望を整理し、

そこからプランニングへ

進むことが多いと思います。

 

しかし、

やまぐち建築設計室が

最初に行うのは、

もう一段深いところ・・・・・。

 

暮らしの背景を読み取るための

ヒアリングです。

 

ここで聞きたいのは、

こういう内容です。

 

・どんな一日を過ごしているか?

朝・昼・夜の流れ

・家事の負担がどこに

集中しているか?

・家族の中で「片付け」を

担っているのは誰か?

・何が散らかるのか?

物なのか、書類なのか、

衣類なのか・・・。

・片付けを阻害する要因は、

量なのか、動線なのか、

心理なのか・・・。

・そもそも整っている状態の

定義が家族で一致しているか?

 

暮らしは、

文字で書ける情報だけでは

語れません。

 

だから、やまぐち建築設計室は、

要望を聞くだけでなく、

価値観や困りごと、

日々の行動の癖まで

丁寧に伺います。

 

整理収納のみのご相談を

お受けする場合でも

同じです。

 

可能であれば

現状のお住まいを拝見し、

実際の収納、動線、

使い方を確認します。

 

「何を持っているか」よりも、

「どう使っているか」を見る?

収納計画で

失敗が起きる典型は、

収納量だけを増やすことです。

 

収納を増やせば片付く

それは半分正しく、

半分間違っています。

 

収納量が増えるほど、

持つことが出来るからです。

 

結果として、

モノが増え、

管理が難しくなることもあります。

 

やまぐち建築設計室が

確認するのは、

量だけではありません。

・使う頻度

毎日/週1/季節ごと

・使う場所

キッチンで使う/ダイニングで使う

/玄関で使う

・使う人

誰が使うか、子どもか大人か

・使うタイミング

朝の10分の中で使うのか、

休日に使うのか

・仮置きが発生する場所

帰宅動線/脱衣室/リビング

 

これらの情報が揃って

初めて本来の意味での

収納の位置と形、

収納の「流れ」を

設計することができます。

 

建築家だからこそできる

「整理収納」には理由がある。

 

収納の技術や仕組みを整える

専門性は

よくあるかと思います・・・・。


建築家が整理収納に関して

提供できる価値は、

もう一段根本にあります。

 

それは、

収納の問題を「片付け」ではなく、

空間・動線・環境設計の

課題として扱えることです。

 

建築家だからこそ

深掘りできるポイントは、

たとえば以下です。

 

収納のより先に、

動線の摩擦を見る・・・。

散らかる原因は、

しまう場所がないのではなく、
しまうまでの動線が遠い

/面倒/手順が多いことが多いです。

・玄関

上着の一時置きがない

・洗濯

干すしまうが一直線でない

・キッチン

パントリーゴミ箱の位置関係が悪い

・書類の仮置きがリビングに溜まる

こうした摩擦を減らすことで、

片付けの努力が少なくなります。

 

「扉」と「視線」を設計して、

散らからない心理をつくる

 

収納の工夫は、

箱を作ることだけではありません。

 

視界に入る情報量を

減らすことが、

暮らしの落ち着きを生みます。

 

・見せる収納と隠す収納の

境界を設計する

・扉の有無、ガラスの透け感、

ラインの揃え方

・生活感が出る家電は

視線から外す

・余白の見せ方を意図して

空間を整える

 

「片付け」は「間取り」と一緒で

心理的負担と隣り合わせです。

 

建築家は、

空間の印象や視線設計を通じて、

片付けたくなる

空気感をつくることができます。

 

収納計画を、

将来の変化と一緒に

組み立てられる。

 

子どもの成長、習い事、

ペット、在宅ワーク、介護。
暮らしは変化します。

 

建築家は、

間取りと構造の制約を

踏まえながら、
将来の変化に耐える

「可変性」や「余白」を

計画することもできます。

・成長でモノが増える子ども室

・部活用品・通学用品が増える玄関

・家族の生活時間が変わるキッチン

・収納が仮置きに変わる将来

 

今の最適だけではなく、

これからの最適も目指すのが

住まい造りにおける設計です。

 

キッチン収納は

「暮らしの性格」を映し出す鏡。

キッチンは、

住まいの中で最も

「暮らし方」が出る場所です。

・食器量(普段使いと来客用)

・ストック量(まとめ買い派か、こまめ派か)

・調理頻度(毎日作るか、週末集中か)

・家電の見せ方(隠す/見せる)

・ゴミの量(分別、回収頻度)

・調理器具(吊るす/引き出し)

・食器棚の継続利用の有無

 

これらを整理せずに

キッチンを組むと、
完成後に「使いにくい」

「散らかる」「家事が疲れる」

という不満に直結します。

 

やまぐち建築設計室では、

キッチンを単体で考えず、
パントリー、家事室、

ダイニング、ゴミ動線、

冷蔵庫の開閉、

買い物導線まで含めて、

暮らしの流れとして設計します。

 

整理収納の知恵と、

設計の知恵を統合する。

 

整理収納は、
分類・定位置・ルール作り、

そして生活習慣への落とし込みです。

 

一方、建築家が得意なのは、
動線の設計、寸法、

収納の納まり、

造作、視線計画、

空間の印象づくりです。

 

この2つが統合されると、

何が起きるか?。

・片付けのルールが、

空間そのものに組み込まれる

・無理なく自然に戻せる

仕組みができる

・散らかりにくい間取りと、

増やしにくい収納設計になる

・見た目の美しさと、

生活のリアルが両立する

 

つまり「頑張らなくても整う」

暮らしが現実になります。

 

収納は「押し付け」ではなく

「その家族の最適解」

整理収納に正解はありません。
あるのは、

住まい手さんと家族毎の

「ちょうどいい環境」です。

 

・きっちり揃えると心地いい人

・ざっくりがラクな人

・見えると安心な人

・隠すと落ち着く人

 

暮らしの感覚は、

人それぞれ。
やまぐち建築設計室では、

収納を「型」ではなく

「対話」と「実践」から計画ります。

 

暮らしの質は、

収納からも確実に変わります。

 

収納が整うと、
時間が整い、家事が整い

気持ちが整い、
住まいが「休める場所」へと繋がります。

 

もし今、

収納に悩んでいるなら、

それはあなたの努力不足ではなく、
暮らしに合った環境が

まだ見つかっていない

だけかもしれません。

 

整理収納のご相談も、

新築・リノベーションのご相談も、
暮らしの段階を丁寧に考える事。

 

住まいと暮らしの両面から、

あなたの「整え方」を

整理整頓することが重要です。

 

このブログが、
家づくりや模様替えを考える方の
小さなヒントになれば幸いです。

○関連blog

収納スペースが暮らしに連動するように、自由度の高い過ごし方を意識したクローゼットやウォークインクローゼットを間取りと共に考えるように。

https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail363.html

○関連blog

住まいは「しまう場所」を意識することから始まる“収納設計”を核に据えた間取り、暮らしを整え心を満たす。奈良で注文住宅をご検討の方へ、やまぐち建築設計室が提案する“生活動線”と“美意識”が融合する家づくりの本質提案。片付けやすさと品格を両立する設計思想の真価を実例とともに紐解きます。

https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail569.html

○関連blog

片付く家の間取り設計・動線と収納で「自然に整う暮らし」を叶える奈良のホテルライクをイメージする和モダン住宅の提案

https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail637.html

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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
  建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/

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