ブログ・コラム
2025.06.14
奈良で建てる“そとのま”のある和モダン住宅|土間でも庭でもない“中間領域”が叶える、子育て世代にもやさしい健康動線・収納計画と、自然素材と光が調和する心地よい住空間設計
- カテゴリ:
- 過ごし方、暮らし方、生活環境と間取り
家の中でありつつ、外でもある空間。
その“あわい”と「あいだ」と「ま」にこそ、
心地よさの本質があります。
※土間でありつつも庭でもない、“そとのま”という中間領域の魅力を活かした空間構成提案事例。
大理石のテーブルや木目天井の間接照明により、
ホテルライクで上質な雰囲気を演出しつつ
住まい手さんの暮らしの機能性も両立しています。
やまぐち建築設計室が提案する「そとのま」は、
和モダン住宅の中間領域として、
住まいに新しい価値を与える設計要素です。
玄関の土間から続くそとのまは、
断熱・調湿・視線の緩衝帯として機能しながら、
家族の動線や暮らしの質を整えます。
子育て世代にとっては
収納やベビーカー置き場として、
共働き夫婦には雨の日の洗濯干しや
外出準備の場としても活躍。
リビングからつづく「そのとま」は
光・風・素材の調和によって、
和のもてなしを住まいに取り込むような空間。
“そとのま”のある暮らしは、
そういう意味で健康と快適さ、
そして美しさを同時に叶える住環境です。
奈良の気候風土に寄り添いながら、
本質的な心地よさを設計する——。
そんな家づくりを、
今こそ考えてみませんか?。
住まいにおける「心地よさ」とは、
ただ高気密・高断熱であるとか、
機能的であるとか、
それだけでは測りきれない要素が存在します。
光の入り方、風の抜け方、
空間の“余白”——そういった
見えにくいけれど
確実に暮らしの質を支える要素を、
やまぐち建築設計室では
設計の主題として大切にしています。
やまぐち建築設計室が大切にしているのは、
「暮らしの風景をつくること」。
その中でも今回焦点を当てるのは、
“そとのま”という空間です。
“そとのま”とは、
建物の内と外をつなぐ中間領域のこと。
土間でありつつも、庭でもなく、
ただの通路でもない。
その曖昧さにこそ、
住まいのゆたかさが宿ると私たちは考えています。
奈良という風土の中で、
子育て世代が心地よく、
健やかに暮らせる住まいを
どのように設計するか——。
その一つの答えが、“そとのま”という考え方です。
1・そとのまとは何か?。
「内」と「外」の“あわい”を設計する
“そとのま”がもたらす多面的な価値については、
以前のコラム
「建築家が提案する外と内をつなぐ『そとのま』のある住まい提案」
でも詳しくご紹介しています。
合わせてご覧いただけると、
さらに理解が深まります。
〇建築家が提案する外と内をつなぐ『そとのま』のある住まい提案
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail537.html
建築において、
「中間領域(トランジションスペース)」は
古来より日本建築の重要な要素でした。
縁側、土庇、濡縁、土間玄関など、
屋内と屋外のあいだにある「曖昧な空間」が、
暮らしのリズムを整え、
自然とのつながりをもたらしてきました。
“そとのま”は、
現代の暮らしの中において、
この伝統的な価値を受け継ぎながら、
さらに多機能な役割を担います。
・雨の日に濡れずに外出準備ができる場所。
帰宅後、靴を脱がずにベビーカーや
・アウトドア用品を一時置きできるスペース。
室内の空気を直接外気に晒さず、
・断熱・気密性を補完する“バッファゾーン”。
外からの視線を遮りながら、
光や風は柔らかく取り込む空間。
“そとのま”は単なる動線の延長ではなく、
住まいの質を構成する一つの「間(ま)」なのです。
2・子育て世代にとっての“そとのま”の魅力
共働きが当たり前となった現代の家族構成において、
朝の支度や帰宅後の片付けは
一種の“ラッシュアワー”です。
その慌ただしい時間帯を支えてくれるのが、
実はこの“そとのま”という空間。
例えば:
・ベビーカーや三輪車を室内に入れずに済
む配置計画
・濡れたレインコートを一時的に干せる
換気性の良い空間
・おむつや日用品の一時ストックを置ける
「見せない収納」としての設え
収納設計と動線設計は、
本来一体的に考えるべきものです。
“そとのま”があることで、
「玄関」と「土間収納」「屋外収納」
「屋内収納」が緩やかにつながり、
使い勝手の良い生活動線が形成されます。
また、子どもが小さなうちは
「靴の脱ぎ履き」「手洗い・うがい」など、
生活のルールを自然に覚える動線を
育む場としても活躍します。
3・健康住宅としての視点──調湿・換気・バリアゾーン
住まいが人の健康に与える影響は、
医学的にも明らかになってきています。
気温・湿度・カビ・アレルゲンなど、
さまざまな環境要因が健康を左右します。
“そとのま”は、
こうした健康リスクに対しても
建築的なアプローチが可能な空間です。
・外気と室内の温度差を緩やかに緩和し、
結露やカビを防止
・高湿度の季節には除湿ゾーンとして機能
・花粉や埃の侵入を物理的に
遮断できる前室としての役割
特に奈良のように夏は蒸し暑く、
冬は底冷えする気候では、
この“そとのま”の断熱バリアゾーンとしての
役割が大きな意味を持ちます。
4・和モダン住宅における“そとのま”のデザイン美学
やまぐち建築設計室では、
“そとのま”を単なる機能空間とは
捉えません。
そこにこそ「設計の詩情」が
必要であると考えます。
・軒を深く張り出させ、光と影を演出する
・植栽や石畳を設えることで、
四季の変化を感じる演出
・床や天井に用いる
自然素材(杉板・左官・鉄平石など)による
質感の統一
・格子や壁による“抜け”と“囲い”のバランス
こうした細やかな設計配慮が、
“そとのま”を単なる「通路」ではなく、
「もてなし」と「余白」の空間として
昇華させる要素となります。
5・動線・収納・外構を一体で設計するということ
“そとのま”の魅力を最大限に活かすには、
家全体の動線や収納計画、
さらには外構計画とも
密接に結びつける必要があります。
・玄関アプローチと連続性を持たせ、
駐車場からの導線をスムーズに
・家族玄関(内玄関)との
使い分けで来客動線と生活動線を分離
・見せる外構と見せない収納空間の
設計バランス
“そとのま”と土間をどう組み合わせ、
暮らしに余白と利便性を生み出すかについては、
詳しくご紹介しています。
〇暮らしの余白を紡ぐ『土間』という存在、
現代の住まいに心地よき奥行きをもたらす
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail548.html
このように、
住まい全体を「ひとつの風景」として捉えること。
それがやまぐち建築設計室が
大切にしている“設計の思想”です。
6・奈良の気候と“そとのま”の相性
奈良という地は、
夏と冬の寒暖差が大きく、
また梅雨時や台風期など
湿度にも対応が求められる地域です。
このような気候風土の中で、
そとのまは以下のような
有効性を発揮します。
・床を一段下げた通気性の高い
土間による排湿構造
・軒先の調整で夏の日差しを遮り、
冬の陽光を取り込む設計
・吹き抜けや天窓との連携による
空気の上下循環
つまり、“そとのま”は奈良の自然条件に
最適化された建築装置でもあるのです。
7・実例から見る「そとのまのある家」
やまぐち建築設計室が手がけた
奈良県内に建つある住宅では、
玄関から続く“そとのま”が
家族に大きな変化をもたらしました。
・外構と一体化した“土間テラス”が
子どもの遊び場に
・家族玄関の横に設けた
屋根付き“そとのま”が、
雨の日の洗濯干し場に
・夕暮れ時にはライトアップされ、
庭との一体感を演出する“もてなしの間”に
住まい手の暮らしに溶け込み、
生活を支え、
そして少しだけ日常を豊かに彩る——。
“そとのま”のある住まいの醍醐味です。
“そとのま”がつくる、
住まいの「余白」と「もてなし」空間の存在。
建築とは、
面積や坪数をどう割り振るかの
話ではありません。
むしろ、「使わない空間」にこそ
豊かさの余地があると
やまぐち建築設計室では考えています。
“そとのま”は、その最たる象徴です。
住まいに余白を設けることで、
住まい手が想像し、
暮らしの風景を育てていく
余地が生まれるように・・・・・。
生活やライフスタイルの変化も
そういった余白が生み出す「範囲」が
有効に働きます。
やまぐち建築設計室では、
このような“そとのま”を中心とした
設計提案を通じて、
機能性と美しさ、
合理性と情緒が共存する
住まいをご提案する事もあります。
「住まいを丁寧に考えたい」
「子育てしやすい家を建てたい」
「奈良の気候に合った家に住みたい」
——そう願う方にこそ、
ぜひこの「余白を生み出す空間」である
「そとのま」のある暮らしの設計を
ご体感いただきたいと思います。
やまぐち建築設計室が考える「暮らしやすさの本質」については、
コラムでもより広くお伝えしています。
設計思想にご興味のある方はぜひご一読ください。
〇暮らしやすさの本質とは何か、
奈良で叶える快適な家づくり・・・・・。
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail556.html
やまぐち建築設計室は
その家に暮らす家族の過ごし方を
デザインする設計事務所です。
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
住まいの設計、デザインのご相談は
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