ブログ・コラム
2026.09.23
なぜか落ち着く、上品な家には理由がある|奈良で叶えるホテルライク・和モダンな注文住宅と「居心地のいい暮らし」を生み出す設計の感度と工夫。
- カテゴリ:
- 住まいと暮らしの設計思想
住まい手さんにとって「なぜか落ち着く」という空間を設計するように。
居心地のいい家が、
暮らしと人生の質を変えていく理由。

※なぜか落ち着く家。その理由は、広さだけではなく、光や陰影、視線、素材、人との距離を整える設計にあります。
人それぞれの感度にとって良い空間に訪れたとき、
「なんだか、この場所は落ち着く」そう感じることがあると思います。
ものすごく広いわけでもない。
目を奪われるような
豪華な素材ばかりが使われているわけでもない。
けれど、ソファに腰掛けると自然と肩の力が抜けて、
もう少しここにいたいと思う。
反対に、広くて新しく、設備も整っているのに、
なぜか長くいると疲れてしまう空間もあります。
この違いは、どこから生まれるのでしょうか?
私は、この言葉にしにくい「なぜか」の中に、
住宅設計で大切にしたいことが隠れていると考えています。
そして、その小さな違いは毎日の暮らしの中で積み重なり、
やがて家族の時間や心の余裕、
さらには人生の過ごし方にまで影響しいくものだと。
「広い家」と「心地よい家」は、同じではありません。
家づくりを始めると、
たくさんの数字に出会うかと思います。
敷地面積、延床面積、LDKの帖数、天井高、収納量、断熱性能、室温、湿度、照度。
どれも住まいを考えるうえで大切な数字です。
しかし、数字を整えれば、
そのまま居心地のよさに繋がる訳ではありません。
40帖のLDKより34帖のLDKのほうが広く感じることもありますし、
大きな窓がある部屋より、
少し抑えた開口から庭が見える部屋のほうが落ち着くこともあります。
なぜなら、
人は空間を「面積」だけで感じているわけではないからです。
光の入り方。
天井との距離。
窓の向こうに見える景色。
家具と身体との距離。
素材に触れたときの感覚。
外から届く音。
家族の気配。
そして、自分の背後が守られているという安心感。
私たちは、そうした無数の情報を頭で意識するより先に、
五感であり本能で受け取っています。
ですから居心地とは、
一つの設備や一つの寸法、数字だけによって
生まれるものではありません。
いくつもの小さな関係が、
ちょうどよく整った結果として生まれるもの。
私はそう考えています。
「全部を広く、明るく、開放的に」が正解とは限らない。
住宅の要望をお聞きしていると、
「明るいLDKにしたい」
「できるだけ広くしたい」
「開放感が欲しい」
という言葉をよく耳にします。
もちろん、それ自体が間違っているわけではありません。
大切なのは、その先です。
なぜ、明るくしたいのか。
なぜ、広さを求めているのか。
その場所で、どんな気持ちになりたいのか。
そこまで考えていくと、必要な設計は少しずつ変わってきます。
例えば、すべてを高い天井にするのではなく、
少し低く抑えた場所から吹抜けへ移動する。
閉じた場所を通ってから、中庭へ視線が抜ける。
明るい場所の隣に、静かな陰影を残す。
家族が集まる場所の近くに、一人で過ごせる小さな居場所をつくる。
「開く」と「閉じる」。
「高い」と「低い」。
「明るい」と「暗い」。
「賑わい」と「静寂」。
どちらか一方に揃えるのではなく、
異なる感覚を丁寧につなぐことで、
建築空間には奥行きが生まれます。
そして人は、その日の気分や時間に合わせて、
自分にちょうどいい居場所を自然と選べるようになります。
人は「部屋」ではなく「居場所」を好きになるということ。
家には、たくさんの名前が付けられています。
リビング。
ダイニング。
寝室。
書斎。
子ども室。
けれど、実際に暮らし始めてから好きになる場所は、
必ずしも図面に大きく名前を書いた場所とは限りません。
例えば、
庭が少しだけ見える廊下の端。
朝の光が差し込むダイニングの一角。
階段の途中につくった小さなスペース。
深い軒の下。
家族のいるLDKから少しだけ離れた椅子。
そこには「何をする場所なのか」という明確な目的がないこともあります。
それでも、なぜかそこに座りたくなる。
なぜか本を読みたくなる。
なぜか珈琲を飲みたくなる。
そんな場所です。
私は、こういう「用途では説明しきれない居場所」がある家は、
暮らしに豊かさが生まれやすいと考えています。
建築家が暮らし方をすべて決めてしまうのではなく、
住まい手が暮らしながら、
「ここ、好きだな」と自分の場所を発見していく余白を設計するということ。
詰め込み過ぎずに、
そのための余地を残しておくことも、設計の一つの工夫。
心地よい家は「何かをする時間」だけを
変えるのではありません。
住宅設計というと、
家事がしやすくなる。
収納しやすくなる。
移動しやすくなる。
暖かくなる。
涼しくなる。
といった、分かりやすい効果が注目されます。
もちろん、それらも大切です。
けれど私は、それだけではないと思っています。
例えば、朝起きたときに庭へ目を向ける。
休日に窓辺で少し長く珈琲を飲む。
家族が同じLDKにいながら、それぞれ好きなことをして過ごす。
仕事から帰ってきたとき、玄関に入った瞬間に気持ちが切り替わる。
夜、照明を少し落としたリビングで静かに過ごす。
一つひとつは、とても小さな出来事。
でも、家は旅行先のホテルとは違います。
そこに帰り、何年も、何十年も暮らすことになります。
だからこそ、一日では気づかないような小さな心地よさが、
長い時間の中では大きな違いになっていきます。
「丁寧に暮らそう」と頑張らなくても、丁寧に暮らす事の出来る家。
私は、丁寧な暮らしとは、
住まい手が頑張ってつくるものだけではないと思っています。
片付けなければ。
料理をきちんとしなければ。
休日を有意義に過ごさなければ。
そう考え続ける暮らしは、少し疲れてしまいます。
むしろ住まいそのものが、
自然とそういう時間へ導いてくれる。
窓辺が心地よければ、そこに座りたくなる。
庭が見えれば、季節の変化に気づく。
キッチンとダイニングの関係が整っていれば、
料理や食事の時間が少し楽しくなる。
片付けやすい場所に収納があれば、
無理をしなくても部屋が整いやすくなる。
照明が落ち着いていれば、
夜には自然と気持ちも静かになっていく。
暮らし方を変えようと努力するのではなく、
暮らし方が自然と変わっていく。
住宅設計の工夫には、そんな力もあると思います。
住まいが変わると、人生の「余白」が変わる。
少し大げさに聞こえるかもしれません。
けれど、住まいを考えることは、
人生の時間を考えることでもあります。
一日の中で、家で過ごす時間。
家族と過ごす時間。
一人になる時間。
眠る時間。
食事をする時間。
何もしない時間。
その一つひとつの質がほんの少し良くなれば、
毎日は少しずつ変わります。
家事の負担が減れば、
家族と話す時間が増えるかもしれない。
落ち着ける場所があれば、
仕事の緊張を家まで引きずりにくくなるかもしれない。
一人になれる居場所があれば、
家族との距離もむしろ心地よくなるかもしれない。
庭や空を眺める時間が増えれば、
今まで気づかなかった季節に気づくかもしれない。
人生を大きく変える出来事だけが、人生の質をつくっているわけではありません。
むしろ、毎日繰り返される、小さな時間の質。
そこに住まいは深く関わっています。
ですから、やまぐち建築設計室では、
間取りだけを考えているわけではありません。
その間取りの先にある、これからの時間を考えています。
「なぜか落ち着く」には理由があります。
設計するときの、一本の線にも理由があります。
窓をあと20センチ上げるのか、下げるのか。
天井を高くするのか、あえて抑えるのか。
壁を残すのか、取り払うのか。
庭をどこから見せるのか。
照明をどこに置き、どこを少し暗く残すのか。
家具をどこに置けば、人と人との距離が心地よくなるのか。
設計では、そうした小さな判断を何度も繰り返します。
ただし、住まい手さんがその理由を
すべて判断する必要はありません。
「この窓がこの高さだから落ち着く」
「この壁がここにあるから安心する」
そんなことを毎日考えながら暮らす必要はないのです。
ただ「なんとなく、この家の空間が落ち着く」。
そう感じる。
設計者が考え抜いたことが「説明」として前に出るのではなく、
住まい手の「感覚」として残っている。
私は、そんな建築が良い建築なのだと思っています。
家づくりを始める前だからこそ、考えてほしいこと。
家づくりを考え始めると、
土地。予算。住宅会社。間取り。住宅性能。設備。キッチン。
SNSで見つけた好きな写真。
決めなければならないことが、一気に増えていきます。
けれど、その前に一度考えてみてください。
「自分たちは、どんなときに心地よいと感じるのだろうか?」
静かな場所が好きなのか。
家族の気配を感じていたいのか。
庭を眺めたいのか。
人を招くことが好きなのか。
休日は家でゆっくりしたいのか。
外へ出掛けることが多いのか。
実は、こうした答えの中に、
間取りや広さを決めるより先に考えるべき「暮らしの基準」が存在しています。
住宅価格や建築費、土地価格、設備価格など、
家づくりを取り巻く条件はこれからも変化していきます。
だからこそ、
情報を集め続けるだけで時間が過ぎてしまうより、
自分たちにとって何が本当に必要なのかを早い段階で整理することが大切です。
家を建てると決めてから考えるのではなく、
「そろそろ住まいについて考えたほうがいいのかな」という段階だからこそ、
見えてくることもあります。
「なぜか」のために、考える質を。
居心地のよい家に、ひとつの正解はありません。
ある家族にとって心地よい間取りが、
別の家族にも心地よいとは限らないからです。
それは家族間でも同じです。
ですから、敷地を読み、暮らしを聞き、家族の距離を考え、
光を考え、風景を考え、寸法を整え、素材を選び、
設計の工夫をエッセンスに空間を創出します。
一つひとつは、小さな判断の積み重ねです。
けれど、その積み重ねが、
やがて言葉だけでは説明できない「空気」をつくっていきます。
「なぜか落ち着く」には理由があるということ。
その理由を丁寧に考えながら、
完成したときには、
そんな理由さえ意識せず自然に暮らせること。
そして10年、20年と時間を重ねた先に、
「この家で暮らしてきてよかった」と思えること。
そんな住まいを、設計の工夫で「カタチ」に出来ればと考えています。
これからの暮らしを、
家を方向性を決める前に考えてみませんか?
やまぐち建築設計室では奈良県を中心に、
新築注文住宅、平屋、和モダン住宅、二世帯住宅、
リフォーム・リノベーション、
古民家再生などの住まいづくりをお手伝いしています。
まだ土地が決まっていない。
新築とリフォームで迷っている。
マンションと戸建てのどちらが自分たちに合うのか分からない。
具体的な間取りを考える前に、これからの暮らしそのものを整理したい。
そんな段階でも構いません。
答えを急いで決めるのではなく、
「自分たちは、これからどんな時間を大切にして暮らしたいのか?」
そこから一緒に暮らしの情報を整理していくことも、
建築家との住まいづくりの一つだと考えています。
家を建てるためだけではなく、
これからの暮らしを考えるために。
今感じている違和感や迷いも含めて、
一度言葉や文字にしてみることで、見えてくる選択肢があります。
質の良い設計とデザインで、
人生の潤いを生み出す為の空間を丁寧に。
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奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
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