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2026.09.06
建築家に設計を依頼する意味とは?|奈良で注文住宅を考える方へ、価格では測れない「家族のための家」と設計の価値
- カテゴリ:
- 住まいと暮らしの設計思想
建築家に設計を依頼する意味とは?
注文住宅を考える方へ
設計料という「価格」だけでは見えない、
家族のためのオーダーメイドな住まいの価値提案。

※家族の想いを紐解くたび、まだ見えていなかった「私たちらしい家」が少しずつカタチになっていく打ち合わせのプロセス。
家づくりを考え始めると、
どうしても気になるのが「いくらかかるのか」ということ。
土地の費用。
建物の工事費。
住宅設備。
家具や外構。
そして工務店やハウスメーカーでもそうですが、
建築家や設計事務所に依頼する場合には、
先のそれらとは少し意味が異なる「設計料」という費用もあります。
人生の中でも金と時間を費やす家づくりですから、
価格を確認し、比較することはとても大切です。
けれど私は、
「いくらかかるのか」と同じくらい、
「そのお金によって、家族の暮らしに何が生まれるのか」
を考えることも大切だと考えています。
なぜなら住まいは、
完成した瞬間だけを楽しむものではないからです。
朝起きてから眠るまで。
平日も休日も。
一人でいる時間も、
家族で過ごす時間も。
そして10年、20年、30年と、
暮らしの環境として家族の時間に関わり続けます。
だからこそ、
家の価値を「価格」だけで考えるのではなく、
その家によって、
どのような暮らしの質が生まれるのか?
そこまで考えてみることが大切です。
「誰にでも合う家」と「私たち家族のための家」
住宅には、ある程度の「汎用性」が必要です。
一般的に使いやすい間取り。
一般的に必要とされる収納。
一般的な家事動線。
一般的な部屋の広さ。
こうした考え方には合理性がありますし、
決して悪いものではありません。
多くの人が使いやすいように考えることは、
住宅をつくるうえで一つの大切な考え方です。
ただ、ここで一度考えてみてください。
「多くの人にとって暮らしやすい家」と、
「自分たち家族にとって心地よい家」は、
本当に同じでしょうか?
例えば、毎日料理を楽しむご夫婦と、
外食の多いご夫婦。
家族がいつもLDKに集まる家庭と、
それぞれが一人で過ごす時間も大切にする家庭。
休日に人を招く家庭と、
家族だけで静かに過ごしたい家庭。
庭仕事を楽しみたい人と、
室内から庭を眺めることを楽しみたい人。
車を単なる移動手段と考える人と、
愛車を眺めながら過ごすことに喜びを感じる人。
同じ家族構成だったとしても、
必要な住まいの在り方は同じではありません。
ですから私は、
住まいには「一般的な正解」はあっても、
そのまま一つの家族の正解になるとは限らないと考えています。
オーダーメイドとは、形を自由にすることだけではありません。
「注文住宅」や「オーダーメイド住宅」というと、
間取りを自由に決められる。
好きなキッチンを選べる。
床や壁の素材を選べる。
外観を好みのデザインにできる。
そういうイメージがあるかもしれません。
もちろん、それもオーダーメイドの一部です。
しかし、やまぐち建築設計室が考える
住まいのオーダーメイドは、もう少し奥にあります。
その家族が大切にしている時間や価値観そのものから、
住まいを組み立てていくこと。
そこに、本当の意味があると考えています。
服に例えるなら、
既製服のサイズや色を変更するだけではなく、
その人の体格だけでなく、
どこへ着ていくのか、
誰と会うのか、
どんな振る舞いをするのか、
どのような着心地を好むのかまで考えて仕立てる。
住宅も似ています。
「4LDKが欲しい」という条件だけでは、
まだ、その家族の暮らしは見えてきません。
その4LDKで、
どんな一日を過ごしたいのか。
そこから考えるのが設計です。
建築家の設計料は、図面を描くためだけの費用なのでしょうか?
設計料という言葉から、
間取りをつくったり、
図面を描いたりするための費用、
という印象を持つ方もいらっしゃると思います。
もちろん図面を描くことは、
建築家の重要な仕事です。
しかし、図面は「設計そのもの」というより、
考え抜いた結果を伝えるための一つの手段であり
共通のツール。
図面を描く前に、
私たちは多くのことを話しますし考えます。
価値観にも様々な意味を持たせています。
朝、家族はどのように動いているのか。
帰宅したとき、
鞄や上着はどこへ置くのか。
料理をしているとき、
家族とはどのくらいの距離にいたいのか。
洗濯はいつ、誰がするのか。
休日には、どこで過ごしたいのか。
一人になる時間は必要なのか。
人を招くことは多いのか。
庭を眺めたいのか、
庭へ出て楽しみたいのか。
10年後、20年後には
家族の暮らしはどう変わっているのか。
そうした、まだ図面になっていない暮らしを読み解くところから、
設計は始まります。
家族自身も、まだ気づいていない希望もあります。
打ち合わせの最初から、
「自分たちはこういう家で暮らしたい」と
全てを明確に説明できる方ばかりではありません。
また、その内容が「事実」なのか「感想」なのかによっても
結果に大きな差が生まれます。
むしろ、
「何となく今の家が暮らしにくい」
「ホテルライクな家が好き」
「和モダンに憧れている」
「広いLDKが欲しい」
というところから始まることもあります。
そこから、
なぜ広いLDKが欲しいのか。
なぜホテルのような空間に惹かれるのか。
なぜ和の空間に落ち着きを感じるのか。
というところまで考えていきます。
例えば、
「大きなLDKが欲しい」という希望の奥にあるものが、
面積そのものではなく、
家族が自然に集まれる場所が欲しいという気持ちかもしれません。
「ホテルライクな家にしたい」という希望の奥には、
豪華な素材を使いたいのではなく、
生活感に追われず、家に帰ったときに心を整えたい
という思いがあるかもしれません。
設計では、言葉として表れている希望だけではなく、
その奥にある「なぜ」を考えることが重要になります。
同じ30帖のLDKでも、暮らしの質は同じではありません。
例えば、
30帖のLDKが二つあったとします。
数字だけなら、どちらも同じ30帖です。
しかし、窓の位置、家具の配置、天井の高さ、
家電の位置関係、視線の抜け方、庭との関係、
キッチンから見える風景、家族が通る場所、
照明、収納との距離、素材、光と陰影。
そうした要素の関係によって、
感じる広さも、居心地も、暮らしやすさも変わります。
そして、それぞれの価値観の差も含めて。
つまり、建築空間の価値は「何帖あるか」という
数字だけでは決まる訳ではないという事。
その空間で、
朝をどう迎えるのか。
家族がどこに座るのか。
どんな風景を見るのか。
どのような距離で家族の気配を感じるのか。
そこまで考えて初めて、
その家族だけのLDKになっていきます。
「欲しいものを全部入れる」ことが、オーダーメイドではありません。
SNSや住宅雑誌を見ていると、
家づくりで欲しいものは、どんどん増えていきます。
大きなLDK。
アイランドキッチン。
ファミリークローゼット。
ランドリールーム。
中庭。
ホテルライクな洗面室。
大きな窓。
間接照明。
和室。
書斎。
ビルトインガレージ。
どれも魅力的です。
しかし、一つひとつが魅力的だからといって、
すべてを足せば
その家族にとって良い家になるとは限りません。
オーダーメイドとは、希望を全部入れることではなく、
その家族に本当に必要なものを見極めること。
何をつくるのか。
何を大きくするのか。
何を小さくするのか。
そして、何をつくらないのか。
その選択そのものが設計です。
建築家は「正解を押しつける人」ではありません。
ここは、建築家へ設計を依頼する意味を考えるうえで
大切にしていただきたいところです。
建築家が、住まい手以上に
その家族のことを知っているわけではありません。
「こう暮らすべきです」と
一般的な正解を押しつけることが設計という事でもありません。
住まい手にしか分からない日常があります。
一方で建築家には、
敷地を読み、空間を考え、
構造や性能、光、風、視線、動線、収納、家具などを
一つの住まいとして組み立てていく役割があります。
住まい手が持っている「暮らしの経験」と、
建築家が持っている「設計の経験」と「人生の周辺と暮らしの経験値」。
それらを重ねながら、
まだ見えていなかった可能性を探していく。
ですから私は「LDKは何帖必要ですか?」
だけではなく、
「そこで、どんな時間を過ごしたいですか?」
というところから考えています。
和モダンもホテルライクも、その家族の暮らしを考える。
やまぐち建築設計室では、
和モダン、数寄屋の趣、ホテルライク、
平屋、中庭のある家などについて
ご相談をいただ傾向が多いかと思います。
しかし、
格子や障子を取り付ければ
和モダンになるわけではありません。
石調の素材や間接照明を使えば
ホテルライクになるわけでもありません。
例えば和の空間なら、
軒の深さ。
庭との距離。
光と陰影。
視線。
余白。
素材。
天井の高さ。
内と外のつながり。
そうした要素を丁寧に整えることで、
静けさや落ち着きが生まれます。
ホテルライクな住まいもそれに近い部分があります。
大切なのは、
ホテルのように見えることだけではなく、
日常の中で余計なものが視界に入りにくく、
動きやすく、自然に整い、
家に帰ったときに気持ちまで切り替わるような環境をつくることです。
ですから同じ「和モダン」でも、
同じ「ホテルライク」でも、
完成する家が同じではないということ。
住む家族が違うからです。
汎用性を捨てるのではなく「変わる暮らし」まで設計する。
オーダーメイドというと、
その時点の家族だけに合わせすぎると、
将来使いにくくなるのではないか?
という疑問もあると思います。
これは大切な視点だと思います。
ですから設計では、
「今の家族に合わせること」と、
「これから変化していく家族を受け止められること」の両方を考えます。
子どもは成長します。
やがて独立するかもしれません。
働き方も変わります。
家族の過ごし方も変わります。
年齢を重ねれば、
身体との付き合い方も変わっていきます。
つまり、オーダーメイドとは、
今だけに完全固定された家をつくることではありません。
家族らしさを大切にしながら、
将来の変化を受け止められる余白を残すこと。
私は、このバランスも
住宅設計の大切な仕事だと考えています。
同じ建築費でも「どこに価値を置くか」で家は変わります。
家全体を均等に豪華にすることが、
すべての家族にとって最良とは限りません。
料理が好きなら、
キッチンやダイニングに価値を置く。
庭を眺めながら静かに過ごすことが好きなら、
LDKをただ大きくするより、
窓、軒、庭、家具の位置関係を大切にする。
車が好きなら、
ガレージを単なる駐車スペースではなく、
愛車と過ごせる場所として考える。
人を招くことが多いなら、
家族だけで暮らすときと、
大勢が集まったときの両方が心地よくなるように考える。
つまり重要なのは、
「いくら使ったか」だけではなく、
「自分たち家族は、何に価値を置いたのか」。
その優先順位を一緒に見つけ、空間として整えていくことにも、
建築家へ設計を依頼する意味があります。
価格では比較しにくいものがあります。
もちろん、
家づくりでは価格を比較することも必要です。
建築費、性能、設備、保証、設計料等どれも大切です。
しかし、
価格表だけでは比較できないものがあります。
自分たちの話を、
どこまで丁寧に読み解いてくれるのか。
まだ言葉になっていない希望まで
一緒に考えてくれるのか。
敷地の個性をどう住まいへ生かしてくれるのか。
デザインと暮らしやすさをどう両立するのか。
何を足し、何を減らすのか。
そして、今だけではなく、10年後、20年後の家族まで
どのように考えるのか。
建築家を選ぶということは、
図面を描く人を選ぶだけではなく、
自分たちの暮らしを誰と一緒に考えるのかを選ぶことでもあります。
家の価値は、完成写真だけでは分かりません。
新しい家が完成した日は、
もちろん特別です。
けれど、住まいの本当の価値が少しずつ見えてくるのは、
暮らし始めてからだと思います。
朝起きて、
庭に光が差し込んでいるとき。
キッチンに立ったとき。
仕事から帰ってきたとき。
一人で静かに庭を眺めているとき。
夫婦で穏やかに過ごしているとき。
家族がLDKに集まったとき。
大きなダイニングを囲み、
親しい人たちと賑やかに過ごしているとき。
静寂と賑わい。
一人と家族。
日常と特別な日。
そのどちらかを選ぶのではなく、
その家族の人生に必要な時間を、
住まいが心地よく受け止めてくれること。
そこに、完成写真や坪数だけでは測れない
暮らしの質が存在します。
「誰にでも合う家」ではなく「私たちに合う家」を考える
家を建てるとき、一般的な間取りを知ることも、
住宅性能を比較することも、
価格を確認することも大切です。
しかし、最後に住むのは「一般的な誰か」ではありません。
そこに暮らすのは、
あなたと、あなたの大切な家族です。
ですから「一般的にはどうなのか?」
だけではなく、
一度、「私たちは、どう暮らしたいのだろう?」と考えてみてください。
何を大切にしたいのか。
どんな時間を増やしたいのか。
どんな不便を減らしたいのか。
家族とはどのような距離でいたいのか。
一人の時間をどう過ごしたいのか。
どんな景色を毎日眺めたいのか。
そこから住まいを考えると、
必要な広さも、間取りも、庭も、窓も、
素材も、費用をかける場所も、少しずつ変わってきます。
建築家に設計を依頼する意味とは?
建築家に設計を依頼する価値は、
単に「格好いい家をつくること」でも、
「特別な形の家をつくること」でもありません。
私は、その家族にとって大切な暮らしを読み解き、
敷地・予算・性能・デザイン・将来というさまざまな条件を整理しながら、
その家族だけの暮らしの質を空間として形にしていくことにあると考えています。
それは、誰にでも合うようにつくられた
「平均的な正解」を否定することではありません。
一般的な合理性も取り入れながら、
そこからもう一歩「私たち家族の人生はどうあるべきなのか」まで考えることです。
建築家に支払う設計料も、
図面の枚数だけで価値を測ることは難しいのだと思います。
その家族の暮らしについて考える時間。
選択肢をつくること。
比較し、整理すること。
不要なものを削ること。
まだ見えていない可能性を探すこと。
そして、それらを一つの住まいとして
成立させていくこと。
そこにも、設計という仕事の価値があります。
〇関連blog・コラム
家づくりで夫婦の意見が合わないときに考えたいこと|奈良の住宅設計建築家が解説する価値観の整理と間取りの決め方
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail921.html
自分たちの暮らしから住まいを考えたいと思ったら・・・・・。
やまぐち建築設計室では、
奈良県を中心に、
新築、建て替え、リフォーム、リノベーションなどの
住まいづくりをお手伝いしています。
まだ土地が決まっていない。
新築かリフォームか迷っている。
平屋か二階建てか決められない。
和モダンに憧れているけれど、
昔ながらの和風住宅にはしたくない。
ホテルライクな住まいが好きだけれど、
毎日の暮らしやすさも大切にしたい。
そうした段階で、
最初から「答え」が決まっている必要はありません。
完全予約制の住まいの相談では、
いきなり間取りを決めるのではなく、
現在感じている不便や迷い、
これから大切にしたい時間、
土地や建物の条件、予算、
そして将来の暮らしについて整理しながら、
「自分たちにとって、どんな住まいが心地よいのか」を一緒に考えていきます。
家づくりは、
家という「物」を手に入れるためだけのものではありません。
その先にある、家族との時間。
一人で過ごす静かな時間。
人を招く賑やかな時間。
毎日の何気ない時間。
それらを、どのような環境で過ごしたいのか?
家族のためだけの大切な「暮らしの質」を考え、
それを住まいとして丁寧に仕立てる。
そこに、価格だけでは比較することのできない、
オーダーメイドの住まいと、
建築家に設計を依頼する意味があると、
私は考えています。
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
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