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2026.09.08
相続した実家をどうするべきななのか?|奈良で空き家をリフォーム・建て替え・売却する前に考えておくべき建築家が提案する「今はどうするべきなのか」という選択。
- カテゴリ:
- 古民家再生・空き家問題
相続した実家、今すぐリフォームしなくてもいい
奈良で空き家を「残す・直す・建て替える・売る」と決める前に考えておくべきこと。

※古い家に残っているのは、建物だけではありません。家族の記憶や庭との関係、時間を重ねた素材の表情も含めて、残すものと変えるものを考えることから始まります。
親から実家を受け継いだ。
けれど、自分たちにはすでに住まいがある。
子どもが将来住むかどうかも分からない。
売却した方がよいのか。
リフォームして残した方がよいのか。
思い切って建て替えるのか。
それとも、しばらく空き家として管理するのか。
実家について考え始めると、
「何か決めなければ」
という気持ちになる方も多いのではないでしょうか?
けれど建築家として私は、
「今すぐリフォームしない」という選択があってもよいと考えています。
同じように、今すぐ売却しない。
今すぐ建て替えない。
という選択もあります。
ただし「今は決めない」ことと「何もしないまま放置する」ことは違います。
大切なのは、
工事や売却という答えを急ぐ前に、
建物と土地の現状、
必要な手続き、
家族の考え、
そしてこれからの暮らしを整理しておくことです。
そこから始めることで、
見えてくる答えがあります。
なぜ実家のことは、なかなか決められないのでしょうか?
自分で購入した土地や建物であれば、
利便性や資産性、維持管理などを比較しながら、
比較的合理的に考えられることがあります。
しかし、
実家は少し違います。
玄関を開けたときの空気。
家族で食事をした場所。
親がいつも座っていた場所。
庭の木。
自分が育った部屋。
そこには、
不動産としての価値とは別の、
家族の時間が残っています。
ですから、
「古いから壊せばいい」
「誰も住まないから売ればいい」
と簡単には割り切れない。
それは、判断できないからではありません。
実家には「不動産としての価値」と「家族にとっての価値」が重なっているからです。
だからこそ、
感情だけでも、
損得だけでも決めないことが大切です。
「せっかくだからリフォームしておこう」が正解とは限りません。
実家を残そうと思ったとき、
まずリフォームを考える方もいらっしゃいます。
キッチンを新しくする。
浴室や洗面室を交換する。
内装をきれいにする。
屋根や外壁を修繕する。
もちろん、
リフォームによって
新しい価値を生み出せる住宅はたくさんあります。
しかし、
工事内容を考える前に確認しておきたいことがあります。
その家を、誰が、何のために、
これからどのように使うのでしょうか?
例えば、
きれいにリフォームしても、
実際には年に数回しか使わないのであれば、
その工事が家族にとって最もよい選択だったのかは分かりません。
反対に、
将来、子ども世帯が住む可能性がある。
夫婦二人で実家へ戻る可能性がある。
二世帯住宅として受け継ぎたい。
ということであれば、
設備交換だけではなく、
耐震性や断熱性、
間取りや生活動線、
採光や収納、
将来の暮らし方まで含めて検討する意味が生まれます。
重要なのは、
「リフォームできるか」ではなく、「リフォームによってどんな暮らしを実現したいのか?」
ということです。
「古いから売る」と決める前にも、建築の視点から見てみる。
誰も住まなくなった実家を前にすると、
「持ち続けても仕方がないから売ろう」
と考えることもあると思います。
もちろん、
売却が家族にとってよい選択になる場合もあります。
しかし、
建物と敷地を建築の視点から見直すと、
今まで気づかなかった可能性が見つかることがあります。
例えば、
現在の住宅は古くても、
庭との関係が美しい。
今では得にくい広さの敷地がある。
道路から少し距離があり、
静かな住環境が残っている。
南側に豊かな庭をつくれる。
周辺の山並みや田園風景を住まいに取り込める。
そうした土地であれば、
既存住宅をリノベーションするだけではなく、
夫婦二人の平屋へ建て替えたり、
子世帯と程よい距離で暮らす住まいを考えたり、
趣味や仕事を楽しむ第二の居場所として活かしたりする可能性もあります。
現在の建物の状態だけで、その土地の未来まで決めないこと。
これは、
実家を受け継いだときに考えておきたい視点の一つです。
「今は決めない」という選択肢もあります
実家について調べ始めると、
リフォーム。
リノベーション。
建て替え。
売却。
賃貸。
解体。
空き家管理。
様々な選択肢が出てきます。
選択肢が多いほど、
人は必ずしも決めやすくなるわけではありません。
「もう少し考えてから」
と答えを保留したくなることもあります。
それ自体が悪いわけではありません。
ただ、
ここで大切なのが、
「決めない」と「放置する」を分けることです。
今は結論を出さない。
けれど、
建物の状態を確認しておく。
雨漏りや外壁、屋根などの劣化を確認する。
庭木や敷地の状態を把握する。
定期的に換気や通水など必要な管理を行う。
所有関係や登記を確認する。
家族の考えを整理しておく。
土地や建物にどのような可能性があるのか調べておく。
つまり、
将来の選択肢を失わないために、今できることをしておく。
これも一つの住まいに対する判断だと思います。
ただし、相続した実家には「期限のあること」があります。
ここは、
「ゆっくり考えてよいこと」と分けて考える必要があります。
2024年4月1日から、
不動産の相続登記は義務化されています。
原則として、
相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に、
相続登記を申請する必要があります。
また、
2024年4月1日より前に発生した相続で、
現在も相続登記をしていない不動産についても制度の対象になります。
つまり、
「家をどう使うか」は時間をかけて考えることができても、
「必要な手続き」までそのままにしてよいわけではありません。
相続や登記について分からない場合には、
法務局や司法書士など、
専門家へ確認しておくことが大切です。
空き家は、誰も住まなくても同じ状態のままではありません
誰も住まなくなった住宅は、
時間が止まるわけではありません。
小さな雨漏り。
外壁や屋根の傷み。
設備や配管。
湿気。
庭木の成長。
害虫や小動物。
防犯。
こうした問題は、
人が暮らしていれば気づくことができます。
しかし、
空き家では発見が遅れることがあります。
その小さな変化が積み重なれば、
将来「直して住もう」と思ったときに、
残せたはずの部分まで失ってしまう可能性があります。
ですから、
まだ答えが出ていない住宅ほど、
適切に管理しておく意味があります。
「空き家にすると固定資産税が上がる」というのも正確ではありません。
空き家について調べていると、
「空き家になると固定資産税が上がる」
という情報を見かけることがあります。
しかし、
単に空き家になったという理由だけで、
直ちに住宅用地の特例がなくなるわけではありません。
現在の空家法では、
適切な管理が行われず、
そのまま放置すれば「特定空家」になるおそれのある住宅について、
市区町村が「管理不全空家」として指導・勧告を行う仕組みがあります。
そして、
管理不全空家や特定空家として市区町村から
勧告を受けた敷地については、
固定資産税等の住宅用地特例の対象から外れる場合があります。
大切なのは、
税金への不安だけから急いで処分することではありません。
空き家を放置せずに、
適切な状態に保ちながら将来を考えることです。
売却を考える場合にも、先に確認しておくべき制度があります。
「誰も住まないので売却しよう」という答えになった場合にも、
すぐ不動産会社へ売却を依頼するだけではなく、
税務について確認しておきたいことがあります。
一定の要件を満たした被相続人の居住用家屋やその敷地を売却した場合、
譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。
相続人が3人以上の場合には、
一定の場合、控除額の上限は一人あたり2,000万円です。
もちろん、
すべての相続した住宅に適用される制度ではありません。
建築時期や利用状況、
売却時期など細かな要件があります。
税務については、
税務署や税理士などへ個別に確認することが必要です。
ここでお伝えしたいのは、
「売却した方が得」ということではありません。
売る・残す・直すという判断の前に、
知らないことで選択肢を失わないようにすること。
そのために、
建築・法律・税務・不動産を必要に応じて分けて整理することが大切なのです。
良い判断とは、一番早く決めることではありません
住まいの相談を受けていると、
「結局、どれが正解ですか?」と聞かれることがあります。
けれど、実家や空き家については、
築年数だけを見て答えを決めることはできません。
建物の状態。
構造と耐震性。
断熱性能。
雨漏りや劣化。
現在の間取り。
敷地条件。
道路との関係。
法的な条件。
そして、
家族がこれからどのように暮らしたいのか?
それらを重ねて考える必要があります。
同じ築40年の住宅でも、
丁寧に手を入れて住み継ぐ価値のある家もあります。
大規模なリノベーションによって、
暮らしを再構築できる家もあります。
反対に、
既存住宅に大きく手を加えるより、
建て替える方がこれからの暮らしに合う場合もあります。
そして、
誰も使わないのであれば、
売却することが家族にとって穏やかな選択になる場合もあります。
ですから私は、
最初から「リフォームしましょう」「建て替えましょう」
という答えを決める必要はないと考えています。
資産として考えるからこそ、選択肢を残しておく
土地や建物は、
家族が暮らしてきた場所であると同時に、
大切な資産でもあります。
だからこそ「一番安い方法は何か」
だけではなく、
「どの選択が、これからの可能性を残してくれるのか」
という視点も大切です。
今は夫婦二人で別の場所に住んでいる。
けれど10年後、
自分たちが実家の土地へ戻るかもしれない。
今は誰も住まない。
けれど将来、
子どもが奈良へ戻ってくるかもしれない。
反対に、
家族の誰も住まないことが明確になり、
その段階で手放すことを選ぶかもしれない。
未来を完全に予測することはできません。
だからこそ、
まだ見えていない未来に対して、
選べる状態をできるだけ残しておく。
これも、
土地や住宅という資産を受け継ぐ際の考え方ではないでしょうか?
「この家をどうする?」の前に、「これからどう暮らしたい?」を考える
建築家として実家や空き家について考えるとき、
私が大切にしているのは、
建物だけを見ることではありません。
これから夫婦で、
どんな時間を過ごしたいのか。
子どもたちとの距離を、
どう考えているのか。
庭のある暮らしを楽しみたいのか。
趣味や仕事の場所が欲しいのか。
老後はどこで暮らしたいのか。
家族が集まれる場所を残したいのか。
そうした話をしていくと、
「空き家をどうするか」という問題が、
少し違って見えてくることがあります。
古い住宅の処分方法を決めることではなく、
これからの人生の中で、
その場所をどう位置づけるのかを考えることになるからです。
実家を残すことも、手放すことも正解になり得ます。
親から受け継いだ家だから、
必ず残さなければならないわけではありません。
反対に、
古いからという理由だけで、
必ず手放さなければならないわけでもありません。
リフォームする。
リノベーションする。
建て替える。
売却する。
適切に管理しながら、
しばらく家族で考える。
どの選択にも、
その家族なりの理由があればよいと思います。
大切なのは、
自分たちが納得できる理由を持って選ぶこと。
そのためには、
工事を決める前にも、
売却を決める前にも、
一度、建物と土地の状態、家族の気持ち、必要な手続き、
そしてこれからの暮らしを、
同じテーブルの上に並べてみることです。
やまぐち建築設計室が、実家や空き家の相談で大切にしていること。
やまぐち建築設計室では、
奈良県を中心に、
新築・建て替え、
リフォーム・リノベーション、
古民家再生など、
様々な住まいについて考えています。
実家や空き家についても、
最初から工事ありきで考えるのではなく、
まず「この家と土地をこれからどうすることが、ご家族にとってよいのか」
というところから整理することを大切にしています。
リフォームを考えていたけれど、
建物を調べると建て替えも比較した方がよい。
建て替えを考えていたけれど、
既存住宅の良さを残したリノベーションに可能性がある。
あるいは、
今すぐ答えを出さず、
適切に管理しながら家族で考える。
そうした選択もあります。
建築家の役割は、
建物をデザインすることだけではありません。
まだ言葉になっていない暮らしの希望や迷いを整理し、
建築という視点から選択肢を見えるようにすること。
それも設計の大切な役割だと考えています。
まだ答えが決まっていない段階だからこそ、
相談できることがあります。
「リフォームすると決めてから相談しよう」
「建て替えることになったら設計事務所へ行こう」
そう考える方も多いと思います。
けれど実際には、
「何を選べばよいのか分からない」という段階だからこそ、
整理できることがあります。
現在の建物に、
どの程度の可能性が残っているのか。
リフォームやリノベーションによって、
どんな暮らしに変えられるのか。
建て替えれば、
その土地をどのように活かせるのか。
あるいは、
今は適切に管理しておく方がよいのか。
やまぐち建築設計室では、
完全予約制で住まいについての個別相談を行っています。
実家や空き家について、
まだ「残す」「直す」「建て替える」「手放す」という答えが決まっていない段階でも、
現在の状況と、
これからどのように暮らしたいのかを整理するところから、
一緒に考えることができます。
なお、相続登記など法律に関する判断は司法書士・法務局、
税金については税務署・税理士、
売却や賃貸については宅地建物取引業者など、
内容に応じてそれぞれの専門分野があります。
建築家がすべての答えを出すのではなく、
建築の専門家として建物と暮らしの可能性を整理し、
必要に応じて適切な専門分野へつないで考える。
その方が、
大切な実家について納得できる答えに近づきやすいと考えています。
やまぐち建築設計室は、そのようなご相談にも親身にお答えできるように、
土地家屋調査士・弁護士・税理士・司法書士・宅建士等と
業務提携を行っています。
答えを急ぐためだけではなく、
数年後に振り返ったとき、
「あのとき、一度きちんと考えてよかった」
と思える選択をするために。
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実家を相続したら何から始めるべきか?そのままにする・建替え・リフォーム・売却で後悔しないための考え方
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実家のこれからを考えることは、
これからの自分たちの暮らしを考えることでもあります。
直すことからでもなく。
壊すことからでもなく。
売ることからでもなく。
まずは「この場所と、これからどう関わっていきたいのか。」
そこから考えることが、
実家や空き家の未来を考える最初の一歩になると思います。
※本記事は2026年9月時点の公的機関の公開情報をもとに、
住まい・建築の観点から一般的な考え方をまとめたものです。
相続、登記、税務、不動産取引等については個別の状況によって取り扱いが異なるため、
それぞれの専門家・関係機関へご確認することが重要です。
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
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