ブログ・コラム
2026.08.14
奈良でキッチンの位置を変えるリフォームを考える方へ|キッチンは移動できる?建築家が提案する間取り変更の前に確認しておきたい7つのこと
奈良でキッチンの位置を変えるリフォームを考える方へ
間取り変更の前に確認しておくべきこと。
「キッチンを新しくするなら、今と同じ場所でなくてもいいのでは?」
リフォームを考え始めたとき、
そんなふうに思うことがあります。
今のキッチンは家の奥にあって暗い。
料理をしていると、
家族に背を向けることになる。
ダイニングまで料理を運びにくい。
冷蔵庫やパントリーとの位置関係が悪い。
家族がキッチンの後ろを何度も通り、
料理をしていると落ち着かない。

※キッチンの位置、雰囲気を変えると、家族の動きも気持ちも変化します。
設備だけでなく、暮らしから考える間取り変更。
せっかくリフォームするなら、
キッチンそのものを新しくするだけではなく、位置から変えて暮らしやすくしたい。
そう考えるのは自然なことです。
ただし、
キッチンは家具のように、
好きな場所へ置けばよいものではありません。
給水。
給湯。
排水。
換気。
電気。
ガス。
床下。
天井裏。
そして建物の構造。
さまざまな条件が関係しています。
だからこそ大切なのは、
「このキッチンをどこへ移動できるか」から考えるのではなく「なぜ今のキッチンを移動したいのか」から考えること。
今回は奈良で戸建て住宅のリフォーム・リノベーションを検討している方へ、
キッチンの位置を変える前に整理しておきたいことを、
間取りと暮らしの両面から考えてみたいと思います。
キッチンを移動したい。本当に移動できますか?
結論から言えば、
キッチンの位置を変更できる住宅は少なくありません。
ただし、
「どこへでも自由に動かせる」
という意味ではありません。
まず確認したいのが、
床下の状態です。
キッチンには水を流す排水管が必要です。
給水管や給湯管は比較的ルートを検討しやすくても、
排水は水が自然に流れるように計画する必要があります。
そのため、
現在の排水管の位置。
移動先までの距離。
床下の高さ。
基礎の位置。
床をどこまで触れるのか。
こうした条件によって、
実現できる間取りは変わります。
国土交通省のリフォーム制度でも、
調理室の位置変更や給排水管の更新などは具体的な改修項目として扱われています。
つまり、
キッチンの位置を考えることと、配管を考えることは別々でないということ。
間取りと設備を同時に考える必要があります。
排水だけではなくて、換気扇による換気の位置も確認する事が重要。
見落とされやすいのが、
レンジフードです。
料理をすると、
煙。
蒸気。
におい。
熱。
などが発生します。
それらを屋外へ排出するため、
換気ダクトのルートが必要になります。
例えば、
家の中央にアイランドキッチンを置きたい。
そう考えたとしても、
そこから外壁まで、
どのように換気ダクトを通すのか。
天井裏に十分なスペースがあるのか。
梁などと干渉しないか。
こうした検討が必要になります。
つまり、
施工事例の写真を見て、
「この場所にアイランドキッチンを置きたい」
と考えるだけでは、間取りを決める事は出来ません。
見えているキッチンの周囲には、写真には写らない設備計画が存在しています。
「対面キッチンにしたい」の本当の理由は何でしょうか?
ここからが、
やまぐち建築設計室がリフォーム・リノベーションで特に大切にしている部分です。
例えば、
「壁付けキッチンを対面キッチンにしたい」
というご希望があったとします。
そのまま受け取れば、
壁付けキッチンを撤去して、
対面型へ変更することになります。
その前に、
なぜ対面キッチンにしたいのですか?
というところを考えます。
家族と話しながら料理をしたい。
子どもの様子を見たい。
ダイニングとの行き来を楽にしたい。
料理中の孤立感をなくしたい。
来客時にも会話を楽しみたい。
庭を見ながら料理をしたい。
同じ「対面キッチンがほしい」という希望でも、
理由が違えば、適切な間取りも違います。
キッチンを動かさなくても、問題が解決することがあります
ここは、リフォームで意外と重要なところです。
今のキッチンが使いにくい。
だから、
「キッチンを移動するしかない」
と思っていた。
しかし暮らしを詳しく見てみると、
原因がキッチンの位置そのものではないことがあります。
例えば、
冷蔵庫が遠い。
食器収納が料理する人の後ろにある。
家族が冷蔵庫へ行くたび調理動線とぶつかる。
買い物した荷物をキッチンまで運びにくい。
ゴミを一時的に置く場所がない。
ダイニングテーブルへの配膳がしにくい。
こうした問題なら、
キッチン本体を大きく移動しなくても、
収納。
冷蔵庫。
パントリー。
出入口。
建具。
ダイニング。
それぞれの位置関係を変えるだけで、
暮らしやすくなる可能性があります。
ですから、
設備の位置を決める前に、毎日の行動を見直す。
これが大切です。
間取り図ではなく「料理をする一日」を考えてみる
リフォームを考えている方に、
一度試していただきたいことがあります。
間取りを見る前に、
普段キッチンで何をしているかを書き出してみてください。
朝起きる。
冷蔵庫を開ける。
朝食をつくる。
食器を出す。
家族が冷蔵庫へ飲み物を取りに来る。
食器を片付ける。
ゴミをまとめる。
買い物から帰る。
食品を冷蔵庫やパントリーへ収納する。
夕食をつくる。
配膳する。
食後に片付ける。
こうして見ると、
キッチンは「それ単独」の場所ではありません。
玄関。
パントリー。
冷蔵庫。
ダイニング。
洗面。
勝手口。
ゴミ置場。
収納。
さまざまな場所とつながっています。
キッチンだけをきれいにしても、
この関係が変わらなければ、
毎日の使いにくさが残る場合があります。
キッチンとダイニングを近づければ、必ず家事が楽になるわけでもありません
最近は、
キッチンとダイニングテーブルを横並びにする間取りもよく検討します。
配膳や片付けがしやすいというメリットがあります。
一方で、
横に長い空間が必要になる。
通路との関係が難しくなる。
冷蔵庫へ行く人と料理する人の動きが重なる。
椅子を引いたときのスペースが必要になる。
といったことも考えなければなりません。
つまり、
人気の間取りだから暮らしやすいということではありません。
その家族の生活と、
住宅の条件に合っているから暮らしやすくなる。
ここを間違えないことが大切です。
アイランドキッチンも「見た目」だけで決めない
アイランドキッチンには、
左右から回れる。
家族が料理に参加しやすい。
LDKとの一体感をつくりやすい。
といった魅力があります。
でも、
通路幅。
冷蔵庫との距離。
収納量。
レンジフード。
コンセント。
ダイニングとの関係。
リビングからの見え方。
来客時の生活感。
こうした部分まで考えて初めて、
暮らしに合うかどうかが分かります。
アイランド型。
ペニンシュラ型。
対面型。
壁付け型。
その名称から先に決める必要はないと思っています。
まず考えるのは、
料理をする人と家族が、どのような関係で過ごしたいのか。
そこからです。
壁を取ってキッチンを移動するときは、構造も確認します
例えば、
昔ながらの住宅で、
台所。
食堂。
居間。
和室。
が細かく分かれている場合、
壁を取り払い、
広いLDKへ変えたいという希望があります。
ただし、
すべての壁を自由に撤去できるわけではありません。
柱や梁。
耐力壁。
上階の壁や柱。
屋根。
基礎。
既存建物全体の状態を見ながら判断します。
やまぐち建築設計室でも、
既存住宅でLDKを広げる際には、
壊せる壁と残すべき柱、耐震性を一緒に検討しています。
キッチンだけを見て間取りを考えるのではなく、
建物全体の構造の中で、どこまで変えられるのかを考えることが必要です。
新しいキッチンを選ぶ前に、確認しておくべき7つのこと
水回り設備機器ショールームへ行く前に、
一度次の7項目を整理してみてください。
1.今のキッチンで一番困っていることは何か
古いことと、
使いにくいことを分けて考えます。
2.キッチンを移動することで、何を変えたいのか
対面型にすることそのものではなく、
その先の暮らしを考えます。
3.料理中、家族はどこを通るのか
家族の動線と調理動線が交差していないか確認します。
4.冷蔵庫・食品・食器はどこに置くのか
キッチン本体だけではなく、
収納まで含めて考えます。
5.買い物から帰った後、荷物をどう運ぶのか
玄関からキッチンまでの流れも、
日々の負担に関係します。
6.食事の後、どう片付けるのか
料理するときだけでなく、
食後まで考えることが大切です。
7.10年後も同じ使い方をしているか
家族構成や仕事、
暮らし方は変化します。
今だけに合わせすぎないことも、
長く暮らす住まいには必要です。
キッチンのリフォームは「設備交換」ではなく、暮らしを組み直す機会
キッチンが古くなった。
それがリフォームを考える
最初のきっかけでも構いません。
しかし、
せっかく住まいに手を入れるのであれば、
新しい設備を入れることだけを
目的にしなくてもいいと思います。
朝の動き。
料理。
配膳。
片付け。
洗濯。
収納。
家族との会話。
庭の見え方。
一日の流れを見直してみる。
すると、
「キッチンを交換したい」
と思っていたリフォームが、
これからの暮らしそのものを整える計画
へ変わっていきます。
奈良でキッチン・LDKの間取り変更を考えている方へ
キッチンを移動したい。
壁付けキッチンを対面型へ変えたい。
LDKを広くしたい。
和室をLDKへ取り込みたい。
アイランドキッチンにできるか知りたい。
水回りも含めて間取りを見直したい。
そう考えていても、
まだ具体的な間取りまで決める必要はありません。
むしろ、
「今、何が使いにくいのか」から整理してみてください。
奈良県内の既存住宅でも、
建てられた時代や構造、増改築の履歴、敷地条件によって、できる間取り変更は一軒ごとに違います。
ですから、設備を決めてから間取りを合わせるのではなく、
建物の状態。
構造。
配管。
光。
風。
家具。
収納。
家族の動き。
これからの暮らし。
そうした条件を一緒に整理しながら、
適切な答えを探すことが大切です。
〇関連blog
暮らしにくい・家事がしにくい・不便だな・片付かないと感じたら|設備交換の前に見直したい間取り・家事動線・収納・生活環境のリフォーム
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail927.html
やまぐち建築設計室では、
奈良市・橿原市・生駒市・大和郡山市・香芝市・葛城市・桜井市・北葛城郡・生駒郡・明日香村・高取町・吉野郡など奈良県内を中心に、
住宅のリフォーム・リノベーション、
間取り変更についてのご相談をお受けしています。
まだ「キッチンを移動した方がいいのか」
「今の位置を生かした方がいいのか」
その答えが決まっていなくても構いません。
設計相談は、
出来上がった希望を伝えるだけの場所ではありません。
今の暮らしの何を変えたいのかを整理し、
そのためにどんな間取りが必要なのかを一緒に考える場所でもあります。
キッチンを新しくする前に、
これからどんな時間を過ごしたいのか。
そこから、
住まいを考えてみてはいかがでしょうか。
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
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