ブログ・コラム
2026.06.17
家づくりで迷ったら、暮らしを見直すことから|後悔しない住まいは間取りではなく「暮らしの時間」を整えることから始まる
- カテゴリ:
- 住まいと暮らしの設計思想
間取りの前に考えておくべきこと。
家づくりは「暮らしの時間」を
設計することから始まる。
家づくりのご相談を受けていると、
多くの方が最初に
間取りや広さの話をされます。

※間取りは暮らしの結果として生まれるもの。
プランを描く前に、
ご家族がどのような時間を過ごすのかを
丁寧に紐解くことから設計は始まります。
「何LDKが良いでしょうか」
「収納はどれくらい必要でしょうか」
「平屋と二階建てならどちらが
暮らしやすいでしょうか」
「子ども部屋は何畳あれば足りますか」
「老後のことまで考えるべきでしょうか」
もちろん、
それらはとても大切なことです。
しかし私は、
設計の前に必ず
お聞きすることがあります。
どのような暮らしを守りたいですか?
ということを。
なぜなら、
家づくりとは
建物をつくることだけではなく、
これからの人生の時間を
つくることだと考えているからです。
間取りだけを先に決めると、
暮らしが置き去りになることがある
家づくりでは、
どうしても部屋数や広さ、
設備やデザインに意識が向きがちです。
しかし、本当に大切なのは、
その空間で
どのような毎日を送り、
どのように過ごすのかということ。
朝、家族はどのように
身支度をするのか?
仕事や学校から帰ってきたとき、
どこで気持ちを切り替えるのか?
休日は家族で過ごしたいのか、
それぞれが静かに過ごせる場所も
必要なのか?
家事をできるだけ楽にしたいのか、
家族が自然と手伝いやすい
動線にしたいのか。
子どもが成長した後、
夫婦でどんな時間を
重ねていきたいのか。
安全で安心して暮らすために
必要な要素な何なのか?
こうした暮らし方が見えてくると、
必要な間取りや動線、
収納計画も自然と見えてきます。
反対に、
暮らしを考えずに
間取りだけを決めてしまうと、
住み始めてから
違和感や後悔に
つながることがあります。
収納は多いはずなのに片づかない
リビングが広いのに、
なぜか落ち着かない
家事動線を考えたつもりなのに、
毎日小さなストレスがある
子どもが成長したら、
部屋の使い方に困ってきた
こうした後悔は、
間取りの良し悪しだけではなく、
暮らし方とのずれから
生まれることが多いのです。
私は家づくりの本質は、
間取りを考えることではなく、
暮らしを考えることだと
思っています。
家は、家族の変化を受け止める場所
住まいは完成した瞬間が
ゴールではありません。
そこから何十年という時間を、
家族とともに
重ねていく場所ですから。
子どもが小さい頃は、
家族が自然と集まるリビングが
暮らしの中心になります。
成長とともに、
それぞれが自分の時間を
持つようになります。
やがて子どもが巣立ち、
夫婦二人の時間が
増えるかもしれません。
親の介護や、
自分たちの老後を意識する時期も
訪れるかもしれません。
人生は常に変化します。
だからこそ住まいには、
その変化を受け止められる
余白が必要です。
今の暮らしに
ぴったり合わせることも
大切ですが、
今だけに合わせすぎると、
将来の変化に
対応しにくくなることがあります。
例えば、
子ども部屋を最初から
完全に固定してしまうのではなく、
将来は書斎や趣味室、
収納、夫婦それぞれの
居場所として
使えるように考えておく。
リビングも、
ただ広くするのではなく、
家族が集まる場所と
一人で落ち着ける場所の
両方を意識する。
収納も、量だけでなく、
暮らしの流れに沿って
必要な場所に配置する。
こうした小さな設計の積み重ねが、
10年後、20年後の
暮らしやすさにつながります。
家は、今の希望を
叶えるだけのものでは
ありません。
これから変わっていく
家族の時間を、
受け止め続ける
場所でもあるのです。
光や風がつくる「時間の質」
私が住まいを設計する際に
大切にしていることのひとつが、
「時間の流れを感じられる空間」を
つくることです。
朝のやわらかな光。
窓から通り抜ける風。
庭木が映し出す影の揺らぎ。
季節によって変化する景色。
夕暮れとともに少しずつ
落ち着いていく室内の空気感。
こうした自然の変化は、
私たちの感覚を整え、
日々の暮らしを
豊かにしてくれます。
住まいは単なる
機能や性能だけではなく、
人の心や感情にも
大きな影響を与える存在です。
たとえば、
朝の光が入る場所に
ダイニングがあるだけで、
一日の始まりが
少し前向きになることがあります。
外からの視線を
気にせずに過ごせるリビングがあるだけで、
家で過ごす時間が
安心に変わることがあります。
風が抜ける窓の位置を
丁寧に考えることで、
季節の気配を感じながら
暮らすことができます。
こうしたことは、
図面の数字だけでは
伝わりにくい部分です。
けれど、
実際の暮らしの満足度には
深く関係しています。
だから私は、
性能や機能と同じくらい、
数字では表現できない
居心地や空気感を大切にしています。
小さな習慣が、
暮らしの豊かさをつくるということ。
私は少しの空き時間に
キャンドルを灯したり、
お香を焚いたりすることがあります。
ほんの15分から20分程度の
短い時間ですが・・・・・。
炎の揺らぎを眺めながら過ごしたり、
やさしく広がる香りを
感じたりするだけで、
不思議と気持ちが整い、
一日の始まりや終り、
そのあいだの時間にも
ゆとりが生まれる事があります。
忙しい毎日のなかでは、
時間を効率よく使うことばかりを
考えてしまいます。
けれど、
本当に豊かな暮らしとは、
効率だけでは
測れないものではないでしょうか。
少し立ち止まり、
自分自身や家族と向き合う
時間を持つこと。
何もしないようでいて、
心を整える時間を持つこと。
その積み重ねが、
暮らしの質に
つながるように思います。
住まいも同じです。
広さや豪華さだけが
暮らしの価値を
決めるわけではありません。
お気に入りの椅子に
腰掛ける場所があること。
朝の光を感じられる窓があること。
季節の風を感じられること。
少しだけ気持ちを
切り替えられる場所があること。
キャンドルやお香を楽しみながら、
静かに自分を
整える時間を持てること。
そんな何気ない日常の積み重ねが、
暮らしの質を
大きく変えていくのだと思います。
私が設計の際に光や風、
視線の抜け方、
居場所づくりを大切にするのも、
こうした「心を整える時間」が
自然に生まれる環境を
住まい手さんの価値観の中で
生み出そうとするからです。
家づくりで迷っている人に伝えたいこと
家づくりは、
決めることがとても
多いものです。
土地、予算、間取り、性能、
素材、収納、設備、デザイン、
将来の暮らし。
考えれば考えるほど、
何が正解なのかが
わからなくなることも
あると思います。
その迷いは、
決して悪いことではありません。
むしろ、
家族のこれからを
真剣に考えているからこそ
生まれる迷いです。
だからこそ私は、
最初から正解を
急がなくてもよいと思っています。
大切なのは、
表面的な要望を並べることではなく、
その奥にある暮らしの願いを
丁寧に見つけていくことです。
「広いリビングが欲しい」
という希望の奥には、
家族が自然と集まれる場所が
欲しいという
想いがあるかもしれません。
「収納を増やしたい」という
希望の奥には、
毎日をすっきり気持ちよく
過ごしたいという
願いがあるかもしれません。
「和モダンの家にしたい」
という希望の奥には、
落ち着きや品のある暮らしを
大切にしたいという
価値観があるかもしれません。
建築家の役割は、
そうした言葉になりきっていない
想いを受け止め、
暮らしの形として
整えて提案を施していくことだと
考えています。
家づくりで迷ったら、
暮らしを見直すことから。
家づくりには正解がありません。
だからこそ、
多くの方が悩み、迷います。
しかし迷ったときこそ、
間取りや設備ではなく、
暮らしそのものに
目を向けてみてください。
どんな朝を迎えたいのか。
どんな休日を過ごしたいのか。
どんな家族の時間を育みたいのか。
どのような人生を送りたいのか。
その問いの中に、
そのご家族らしい住まいの
ヒントが隠れています。
私は住まいを単なる建物ではなく、
「人生の時間を育てる環境」
だと考えています。
だからこそ、
家づくりは間取りの前に
暮らしを考えることから
丁寧に始めるように・・・・・。
それが、何年経っても
帰りたくなる住まいに
つながるのだと思います。
もし今、
奈良県や近隣地域で
家づくりを考えながら、
「何から始めればよいかわからない」
「間取りで後悔したくない」
「家族にとって本当に
心地よい住まいを考えたい」
「自分たちらしい
暮らしの答えを見つけたい」
と感じているなら、
まずは一度、
暮らしの時間について
考えてみてください。
あなたにとって家とは、
どのような時間を
育む場所でしょうか?
その答えが見つかったとき、
本当に自分たちらしい
住まいの姿が
見えてくるかもしれません。
やまぐち建築設計室では、
間取りやデザインだけではなく、
ご家族の暮らし方、
価値観、
これからの人生の時間まで
丁寧にお聞きしながら
住まいを考えています。
家づくりで悩んだら、
暮らしを見直すことから。
そこから、
後悔しない住まいづくりは
始まります。
〇関連blog
間取りの前に“暮らしの軸”を整える。情報に振り回されない家づくりと、心地よい住環境をつくるための建築家の視点。住まいの設計と間取り計画段階で情報過多時代に見失いやすい「家づくりの本質」
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail860.html
‐----------------------------------------
■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
住まいの設計、デザインのご相談は
ホームページのお問合わせから
ご連絡ください
------------‐-----------------------------





