ブログ・コラム
2026.03.11
なぜ多くの飲食店は続かないのか|専門店化と店舗デザインから考える飲食店開業成功の条件
- カテゴリ:
- 体験を設計する店舗・空間デザイン
飲食店の開業準備で
本当に大切なこと。
店舗デザインと「働き方のデザイン」
そして専門店化の視点・・・。

※まだコンセプト・ビジョンがぼやけている状態
約13席のコンパクトな客席構成と
カウンターを中心にした店舗デザイン。
飲食店の開業を考えるとき、
多くの人はまず
次のようなことを考えます。
・どんな料理を出すのか
・どんな店名にするのか
・どんなデザインの店にするのか
・どんな厨房設備を入れるのか
・どれくらいの資金が必要なのか
もちろん、
これらはすべて大切な要素です。
しかし、店舗設計の相談や
開業相談を数多く受けていると、
ひとつの共通点が見えてきます。
それは、
「お店の空間デザイン」と同じくらい、
「働き方のデザイン」が重要である
ということです。
建築家として店舗設計に関わるとき、
私は単に
・外観
・内装
・照明
・家具
だけを考えている訳ではありません。
それ以上に重要なのは、
そのお店がどんな思想を持ち、
どんな価値を提供する場所なのか?
ということです。
つまり飲食店とは、
料理 × 空間 × 人の関係性
で成立するビジネスなのです。
そしてその設計には、
建築空間の視点と経営の視点の
両方が必要になります。
店舗デザインとは「空間」だけではない
一般的に店舗デザインというと、
・内装デザイン
・家具レイアウト
・照明計画
・看板デザイン
などの見た目の話になりがちです。
しかし実際の店舗設計では、
それ以上に重要なことがあります。
それは
働き方の設計
です。
例えば、
・厨房から客席への動線
・料理提供までの流れ
・スタッフの移動距離
・片付けの効率
・オーナーの働き方
これらはすべて
建築設計と密接に関係しています。
私は店舗設計のプロジェクトに関わるとき、
既存店舗がある場合は、
制服を着て実際に店舗に立ち、
・厨房の動き
・ホールスタッフの動線
・サービスの流れ
を体験することがあります。
勿論「自分自身」だけの感覚ではなくて
そこで働く人に「思考」と「感覚」を
年齢層や体感を切り替えつつ。
商品開発の際に行う
「ペルソナ設定」と同じことです。
なぜかというと、
図面の上では完璧でも
現場では機能しない店舗があるからです。
つまり店舗とは、
その商売に関して
人が動くことで完成する空間
なのです。
飲食店の廃業率という厳しい現実
飲食店は魅力的な仕事です。
料理を通して人を幸せにできる
とても素晴らしい仕事です。
しかし同時に、
非常に厳しい業界
でもあります。
あるデータでは、
▼1年未満で廃業
34.5%
▼1〜2年で廃業
15.2%
▼3〜5年で廃業
21.0%
という数字があります。
つまり、
多くの飲食店が数年以内に閉店してしまう
という現実があります。
これは、私の行きつけの
「贔屓の店」の
オーナーシェフも話していました。
さらに言われているのが、
10年以上続く飲食店は約1割
という数字です。
では、なぜこのような
結果になるのでしょうか?
原因はいくつかありますが、
その中でも特に多いのが
コンセプトの弱さです。
今の時代は「専門店」
でなければ生き残れない。
現代は情報が溢れています。
お客様はスマートフォンで
・Google検索
・食べログ
・SNS
などを使い、
簡単に店を探します。
そのとき、
最も重要になるのが
専門性です。
例えば、
・ラーメン専門店
・カヌレ専門店
・クラフトコーヒー専門店
・薪窯ピザ専門店
このように、
何の店なのか一瞬で分かる店
は強いのです。
逆に、
・カフェ
・ダイニング
・レストラン
という曖昧な表現だけでは、
お客様の検索にも掛かりませんし
記憶にも残りません。
つまり、専門店化。
これからの飲食店において
非常に重要な戦略と考えられるわけです。
でもこれがこの先ずっと
そうなのかというと
何年先までの事かは不明です。
タピオカ専門店もそうですよね?
話を元に戻して、
専門店の強みは次の通りです。
・コンセプトが明確
・SNSで拡散されやすい
・リピーターが生まれやすい
・ブランディングがしやすい
建築家の視点で言えば、
コンセプトが強く
専門店ともなれば
空間デザインも明確になります。
例えば
コーヒー専門店なら
・カウンター中心
・焙煎機の見える設計
・香りを楽しむ空間
など、
空間とサービスが一致します。
これが強い店づくりに
つながるのです。
開業前から集客を始める重要性
多くの飲食店は、
開業してから集客を始めます。
しかしこれは、
実は大きな間違いです。
開業直後の店は
オープン効果
で一時的に賑わいます。
しかしその期間は
1〜2ヶ月
と言われています。
その後は
・リピーター
・常連客
・コミュニティ
がなければ売上は急激に落ちます。
だからこそ大切なのが、
開業前の集客準備です。
開業前に行うべき
集客準備として、
私がおすすめしているのは
次の5つです。
■名刺を作る
まず最初にやるべきことは、
名刺を作ることです。
・名前
・開業予定の店
・夢やコンセプト
・連絡先
これだけでも十分です。
名刺は、あなたの夢の入り口
になります。
■SNSを始める
現代ではSNSは必須の集客ツール
です。
このブログをご覧になられている
あなたもそうではありませんか?
お店を探すとき、
商品を買うとき、検討する時に・・・・。
ですので
Instagram
X
Threads
などを活用し、
開業までのストーリーを
発信していきます。
人は
夢を追う人を応援したくなる
ものです。
■交流会に参加する
商工会議所や異業種交流会に参加すると、
・人脈
・情報
・応援者
が必ずあるという訳ではありませんが
何かしらのキッカケが生まれます。
しかしこれには
「あなた」の行動が重要です。
この時期の出会いが、
将来の常連客、
または支援者になることもあります。
■開業ストーリーを発信する
SNSで
・自己紹介
・開業準備
・メニュー開発
などを発信します。
これは単なる宣伝ではなく
共感の設計アプロ―チです。
■小さなイベントを開催する
応援してくれる人が増えたら
・試食会
・料理イベント
・交流会
などを開催します。
これがファンづくりにつながります。
お店のビジョンがすべてを決める
店舗設計を依頼されるとき、
私は必ず次の質問をします。
このお店で、
どんな未来をつくりたいですか?
・どんなお客様に来てほしいのか
・どんな時間を提供したいのか
・どんな店主でありたいのか
この中身の深掘りが、
店舗デザインを決めます。
空間デザインとは理念を形にする作業
だからです。
飲食店は「コミュニティ」をつくる場所
長く続く店には必ず
ファンがいます。
その店を応援する人たちです。
この関係性は、
開業後に突然生まれるものではありません。
開業前から育てるもの
なのです。
建築家からの提案として
飲食店の開業を考えている方へ。
ぜひ次の4つを意識してください。
① 店舗デザイン
② 働き方のデザイン
③ 専門店化
④ ファンづくり
この4つが整ったとき、
お店はどこにでもある店舗ではなく
人が集まる場所
になります。
もちろんこれには商品サービスと
人による
価値あるサービスが大事という事も
付け加えておきます。
建築とは、
単に建物をつくる事ではありません。
人の関係性を設計すること
でもあります。
住まいの設計でもよく話していますし
このblogにも書いていますが
飲食店も同じです。
料理
空間
働き方
そして人のつながり。
それらが調和したとき、
お店は長く愛される場所になります。
これから飲食店を開業される方は、
ぜひ、開業前から
店づくりを始めてください。
店づくりは、
図面を描く前から始まる
人生のデザイン
でもある訳ですから。
○関連blog
奈良で飲食店開業を成功へ導く「印象設計」― 建築家が提案する店舗デザインと売上・集客の関係
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail764.html
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
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