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ブログ・コラム

2026.02.20

家づくりの本質とは何か|価値観を整え、人生を見直す設計という付加価値

カテゴリ:
住まいと暮らしの考え方

家族だからこそ

暮らしの思いを考えながら

今までの暮らしを見直して

価値観をすり合わせるということ。

 

住宅模型と詳細な間取り図、スケールや筆記具が並ぶ設計デスクの風景。夫婦の価値観を整理し、予算と生活動線を丁寧に検討する家づくりのプロセスを示すイメージ。奈良で和モダン住宅を手がける建築家による設計検討の様子。

※価値観を整え、その先のプランをカタチに。

 

 

夫婦・家族で価値観と意見を

整理整頓する事、

その先にある「家づくり」。

 

家づくりは、

図面を描く前から始まっています。

 

間取りを考えるより前に、

設備を選ぶより前に、

本来もっとも

丁寧に扱うべきものがあります。

 

それは「価値観」です。

 

夫婦や家族で揉める原因は、

価値観の違いそのものではありません。

 

違いは、あって当然です。

むしろ違いがあるからこそ、

人としても、家族としても

豊かに成熟していきます。

 

本当の問題は、

価値観が整理されないまま

打ち合わせが進み、

判断の軸がない状態で

「どちらが正しいか」という議論に

入ってしまうこと。

 

家づくりが「対話」ではなく

「勝敗」になってしまうと、

家族の関係性も

住まいという空間も冷たくなります。

 

私はこれまで、

奈良という土地で、

数多くのご家族と住まいという

暮らしの空間をつくってきました。

 

その中で確信していることがあります。

 

家づくりの質は、

間取りの巧みさや素材の選定力

だけでは決まりません。

 

夫婦が・・・家族がどれだけ丁寧に

暮しにつて価値観を見直したか。

その「見えない設計」が、

住まいの質を変化させます。

 

価値観を整理し、

納得へと導く方法について、

暮らしの心境を生み出す設計

という考え方から

ブログを書いてみたいと思います。

 

家づくりで直面するズレ・・・・・。

 

家は「生活の器」です。

だからこそ、

人生観そのものがカタチになり得ます。

 

価値観が合わないこと自体は、

決して悪いことではありません。

むしろ、真剣に考えている証です。

 

問題は、

ズレの構造が見えていないこと。

 

1.土地・エリアという人生選択

通勤、実家との距離、子どもの環境、

街の雰囲気。

 

土地選びは、

家の話でありながら「人生の選択」

一方は利便性を重視し、

一方は静かな環境を求める。

 

どちらも正しいと思います。

 

けれど、

見ている未来の時間軸が違うのです。

設計の現場では、

そういった場合には

引き算や適量ではなくて

いつもとは真逆の内容で

先ずは「何を増やしたいのか」を確認します。

 

通勤時間の短縮によって得られる余白か。

子どもが安心して育つ環境か。

親との距離感か。

 

条件を足し算していくと、

土地は決まりません。

 

最初からではなくて

違いと差を「見える状態」にしてから、

いろいろと出し尽くしたところで

整理整頓と引き算をする。

 

優先順位を絞る。

条件を見直す。

 

この整理だけで、

家族での対話は変わります。

 

2.予算という安心の設計

住宅ローンを利用するのか、

キャッシュで計画するのかによって

方向性は変わりますが、

払える額は色々と異なります。

 

ここでズレる背景には、

未来への不安があります。

 

心理学では、

人は「損失」を強く恐れると言われます。

同じ金額でも、

得る喜びよりも

失う不安の方が大きく感じられる。

 

そういった場合は、

予算の話に

感情が動きやすいのです。

 

私は、予算を「制限」ではなく

「安心の設計」と捉えています。

 

教育費、老後、働き方の変化。

人生全体を俯瞰して、

家計の余白から考える。

 

数値化されると、

感情は落ち着きます。

 

不安が言語化されると、

夫婦間や家族間でのズレは減ります。

 

3.間取りと時間の使い方

間取りは、

単なる部屋の配置ではありません。

過ごし方や時間の流れの設計に

繋がるものです。

 

今の暮らしを基準に考える人と、

将来を見据える人。

どちらも暮らしに対して

誠実だと思います。

 

ここで有効なのは、

一日の動きを書き出すこと。

 

朝の支度。

帰宅後の流れ。

家事の動線。

 

環境心理学では、

動線のストレスや

考える事が増えてしまう環境は

心理的疲労を増幅させるとされています。

 

「どちらが正しいか」

という正解を探すのではなくて、

「どうすれば負担を軽減することが出来るのか」。

 

共通化した内容での物差しを持つと、

意見は整理されます。

 

4.デザインという感情の領域

デザインは正解がありません。

だからこそ、

感覚の違いが強く表れます。

落ち着き。

明るさ。

静けさ。

それぞれが持つ意味と役割の感度。

私はまず、

空間の方向性を共有します。

 

「どんな感情で過ごしたいか」。

 

そこが一致すると、

素材や色味の選択は自然と整います。

 

住まいは、

感情を整える器。

 

だからデザインは、

見た目ではなく、感情の設計が重要です。

 

すり合わせの前にやること

 

多くのご家庭で見られるのは、

結論を急ぐことです。

 

けれど本来、

家づくりは人生観の対話です。

 

まずやるべきは、

「自分の理想」を言語化すること。

 

理想と同時に、

不安も書き出す。

 

広いリビングが欲しい。

その理由は何か。

 

家族で過ごす時間を大切にしたいのか。

開放感が欲しいのか。

 

理由が明確になると、

何が目的なのか?

という着地点が見つかります。

 

価値観を引き出す問い

 

私が打ち合わせで

大切にしている問いがあります。

 

・新しい住まいで増やしたい時間は何か

・減らしたいストレスは何か

・平日と休日の過ごし方

・家事の負担をどう減らしたいか

・子どもとの距離感

・来客との関係性

・在宅ワークの時間

・収納で困っていること

・将来への備え

・安心できるライン引き

 

この問いは、

正解を出すためではなく、

理由を知るためのものです。

 

理由がわかれば、

妥協ではなく

調整が可能になります。

 

設計者は、

家族の関係性を整理して

価値観を見直す為の検討時間をつくる

役割があります。

 

暮らしのプランを提示し、

感情を一度図面に落とし込む。

 

カタチが見え始めると、

判断がしやすくなります。

 

未来をカタチとして

見えるようになる事で、

感情は落ち着きます。

 

100%を目指さないという成熟

 

家づくりで苦しくなるのは、

全員が完全に

満足しようとするときだと思います。

 

大切なのは、

納得の理由があること。

 

選ばなかった理由も、

言葉にして残す。

判断の軸がまっすぐに通っていれば、

物事が見えやすくなると

最適解に近づきます。

 

やまぐち建築設計室では、

間取りの前に対話と価値観を設計します。

 

暮らしの趣を共有し、

価値観を整理し、

感情の流れを設計で整える。

 

住まいは、

人生の軸を整える場です。

 

光と影、距離感、余白と

暮らす人にとって程よさのあるバランス。

 

車のハンドルと同じで、

「遊び」と呼ばれる「余白」が無いと

車は「直進」出来ません。

 

車を運転する人には「ハンドルの遊び」の意味が

分かるかと思います。

 

そして「住まい」に置き換えると

それらはすべて、

心理と行動に影響します。

 

環境心理学は、

空間が感情を変えることを示しています。

 

だからこそ、

住まいは問いを育てる場でありたい

と考えています。

 

価値観の違いは問題ではありません。

整理されないこと、

違いを理解されていない事が

問題なんです。

 

土地。

予算。

間取り。

デザイン。

 

それぞれの背景にある理由を知り、

優先順位を決め、

判断の軸を持つ。

 

そのプロセス自体が、

家づくりの本質であり

暮らしを整える過程です。

 

住まいとは、

人生を丁寧に扱うための場。

 

家族や夫婦の中で

価値観の差を理解することは、

より深く暮らしを理解するための

入り口です。

 

もし今、

話し合いが停滞しているなら、

図面の前に対話を整え

家族だから「同じ」ではなくて

それぞれに違いがあるという事を

認識してみてください。

 

良い部分も悪い部分も含めて

一人の人間としての「幅のある事」を。

やまぐち建築設計室では、

その「見えない範囲」から、

暮らしの在り方を考えています。

 

家づくりは、

空間をつくることではなく、

暮らしを整える事であり

未来を整えること。

 

その一歩を、

静かに、確実に、

丁寧に考えてみませんか?

 

家づくり、

少し立ち止まって考えてみたい

そんな方の目に、

今回のblogの本質が届けば幸いです。

 

○関連blog

設計者は、感情を設計している。 ── 暮らしの心地よさから考える、建築家による住まいづくり

https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail747.html

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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
  建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/

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