ブログ・コラム
2026.02.13
住まいを、住む人の人生経験からデザインを起こす|暮らしの質を決める本当の理由
- カテゴリ:
- 住まいと暮らしの考え方
住まい手さんの人生や生活の経験は、
図面には描けないものです。
でも、空間として
デザインすることはできます。

※段差や中間領域は単なるデザインではありません
住まい手さんの時間の使い方や、
これまでの経験を受け止めるための
空間としての工夫です。

※中間領域として設計した外側の「濡れ縁」は
縁側のように使い方を決めない場所です。
住まい手さんのその時々の気持ちに合わせて、
程よい居場所へと変わっていきます。
経験は、暮らしの質をつくる。
「人生経験は大事ですか?」
家づくりのご相談の中で、
ときどき、
こうした問いがあります。
その答えは、とてもシンプルで、
人生経験はとても大事です。
ただし、それは
年数や肩書きを誇るための
経験ではありません。
どう生き、どう暮らし、
何を感じてきたか?
その積み重ねこそが、
住まいの質を左右するからです。
車の運転でもそうですよね?
ご自身の仕事でも、
そういった場面はありませんか?
経験が生み出す
応用力や視野の広さと深さ。
ただし、
経験だけの話ではありませんが。
経験を知識と知恵に・・・・・。
人生経験は、
住まいの感覚に表現されます。
年齢を重ねるにつれて、
人は少しずつ
「心地よさの基準」が変わっていきます。
忙しさを知った人は、
静けさの価値を知っています。
暗い空気を知っている人は
明るい空気との差を理解できます。
人との距離感に悩んだ人は、
居場所の大切さを知っています。
こうした人生経験は、
必ず住まいの感覚に生まれます。
「広ければいい」
「新しければいい」
そんな単純な物差しでは
測れなくなるのです。
数値の物差しは特にそうです。
住まいとは、
人生を映す「感覚の空間」のようなものだと、
私は考えています。
住まい手さんの生活経験は、
設計判断の精度を上げる
毎日の暮らしの中には、
小さな気づきが無数にあります。
朝の光が、
どこから入ると気持ちがいいのか?
家事動線の、
どこで無意識に
立ち止まっているのか?
気づけば、いつも腰を下ろしている
そんな場所はどんなところなのか?
これらは、
実際に暮らしの経験として
蓄積されていくものです。
その「内容」や「感覚」を
どのように
設計に盛り込むべきなのか?
設計の質を大きく分けます。
家での過ごし方は、
その人の価値観そのもの。
家は、
ただ寝るための箱ではありません。
・一人になれる時間
・家族と自然につながる距離
・何もしないことを許してくれる余白
これらはすべて、
その人がどんな経験をしてきたかによって、
求め方も存在の意味も変わります。
だからこそ、
私は「こうあるべき住まい」を
提示しません。
まず、その人の経験に耳を傾ける。
家族の関係性に耳を傾ける。
そこから設計が始まります。
よくあるご質問から見える「経験」の本質
家づくりにおいて、
経験は本当に大事ですか?
とても大事です。
家づくりは性能やデザインだけで
決まるものではなく、
人生や生活の経験が、
住まいの正解を形づくるからです。
人生経験は、
間取りにどう影響しますか?
距離感、余白、居場所のつくり方など、
数値化しにくい部分に
強く影響します。
忙しさを知った人ほど、
何もしない時間を受け止める空間を
求める傾向があります。
生活経験が少なくても、
良い家は建てられますか?
建てることはできます。
ただし、後から「違和感」に
気づくことも少なくありません。
だからこそ私は、
住まい手さんのこれまでの暮らしを
丁寧に伺い、
経験を配置する形で
間取りの構成設計を進めています。
「暮らしの経験が足りない」と
感じる場合は、
どう考えればいいですか?
経験は、年齢や立場で
決まるものではありません。
日々の暮らしの中で、
「なぜここは落ち着くのか」
「なぜここは使いにくいのか」
そうした問いを持つこと自体が、
立派な経験です。
住まい手さんの経験は、
設計を深くする・・・・・。
設計とは、
正解を早く出すことではありません。
・なぜこの距離感なのか
・なぜこの余白が必要なのか
・なぜこの配置が落ち着くのか
これらに、経験を通した言葉で
答えられるかどうか?
そこに、設計の深みが生まれます。
やまぐち建築設計室が
「経験」を大切にする理由。
私は、住まいを
「人生経験を受け止める場」だと
考えています。
住まい手さんの経験。
設計者としての経験。
暮らし手としての経験。
それらを丁寧に重ね合わせながら、
無理なく、長く、
心地よく暮らせる住まいを
形にしていくように。
今回の投稿内容が、
少し立ち止まって
あなた自身の暮らしを見つめ直す
キッカケになれば幸いです。
○関連blog
暮らしの質は、思考の積み重ねで決まっていく ― 建築家が住まいづくりの現場で大切にしていること ―
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail746.html
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https://www.y-kenchiku.jp/
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