ブログ・コラム
2026.02.10
暮らしの質は、思考の積み重ねで決まっていく ― 建築家が住まいづくりの現場で大切にしていること ―
- カテゴリ:
- 住まいと暮らしの考え方
暮らしの質は、
日々の思考の積み重ねによって
形づくられていくという事。
設計という仕事が大切にしている視点
家づくりを考え始めたとき、
「何から考えればいいのかわからない」
「判断に自信が持てない」
そう感じる方は少なくありません。
間取りや性能、予算の前に、
暮らしそのものを
どう考えているかが整理されていないことが、
迷いの正体になっている場合も
多く見受けられます。

※内と外の境界を曖昧にすることで、
暮らしの思考に自然な余白が生まれます。
住まいづくり、家造りは、
人生の中でも大きな選択のひとつです。
だからこそ、
形を考える前に、
思考の姿勢を整えることが
大切なのではないでしょうか?。
今回のblog内容は、
私自身が
実際の設計・打ち合わせ
完成後の住まい手との対話を通じて
得てきた経験と知見をもとに
構成しています。
理論だけでなく、
住まいが完成した後の
暮らしの変化を見続けてきた立場からの
実感です。
建築家として数多くの住まいづくりに
携わってきた経験から、
暮らしの思考と住まいの質が、
どのようにつながっているのかを
紐解いてみたいと思います。
人生を分けているのは、
劇的な出来事だけではないという事。
建築家として
長く設計の仕事を続けてきて、
感じていることがあります。
それは、
後になって「この暮らしでよかった」
と語られる住まいほど、
特別な出来事だけに
恵まれてきた訳ではない、
ということです。
むしろ、
日々の出来事をどう受け止めているか?
判断を急ぎすぎていないか?
自分自身に向ける言葉が、
必要以上に厳しくなっていないか?
そうしたごく小さな
思考の積み重ねが、
暮らしの質を形づくっているという事です。
大きな決断よりも、
日常の小さな判断が
どのように重なっているか?
設計の現場に立ち続けていると、
その差が、
年月を経てあらわれてくることを
何度も目にします。
住まいは、
思考を整えるための「場」になる。
私は、住まいを
単なる機能の集合体だとは
考えていません。
住まいとは、
そこに身を置く人の思考や感情が、
無意識のうちに
整えられていく場だと捉えています。
ふと立ち止まれる場所があるか?
気持ちを切り替える
余白が残されているか?
外の刺激と、
ほどよい距離を保てているか?
こうした要素が整っていると、
人は必要以上に自分を追い込まず、
落ち着いて考える
余裕を取り戻しやすくなります。
皆さんも経験があるのでは
ないでしょうか?
仕事中の状態や人間関係、
気持ちの状態・・・・・。
住まいが整うことで、
人生が目に見えるように
劇的に変わるわけではありません。
けれど、
誤った判断を重ねにくくなる。
その積み重ねが、
後から振り返ったときの
納得感につながっていきます。
家づくりは、
未来の「考え方」を形にする行為
でもあるという事。
家づくりは、
正解を当てる作業ではありません。
どんな速さで
日々を過ごしたいのか?
どんな距離感で大切な人、
家族や物事と向き合いたいのか?
どんな自分で在りたいのか?
そうした問いに、
時間をかけて
向き合うプロセスそのものが、
暮らしの思考を整えていきます。
設計とは間取り・図面を
描くことではありません。
暮らしそのものをデザインする事です。
その過程を経て
完成した住まいには、
数字では測れない
その家族にとっての「落ち着き」が宿ります。
静かに整っている暮らしの共通点。
これまで多くの
住まい手さんと向き合ってきて、
心穏やかに
暮らされている方の住まいには、
いくつかの共通点があります。
無理に気持ちを
切り替えなくていい居場所がある
物や情報を詰め込みすぎていない
日常の動きに、余計な緊張がない
自分の感覚を
信じられる時間が確保されている
それは華美な空間設計という事ではなく、
住まい手さん自身を
丁寧に扱うための空間です。
暮らしを整えることは、
自分との向き合い方を整えること。
日々の暮らしに違和感を覚えるとき、
人はつい、
自分の判断や努力が
足りなかったのではと考えてしまいます。
けれど実際には、
思考を休ませる余白がなかっただけ、
一度立ち止まって
考える場所がなかっただけ、
ということも少なくありません。
住まいを整えるという行為は、
何かを得るための手段ではなく、
本来の感覚を取り戻すための行為だと、
私は考えています。
設計という仕事について、
これまでご相談・面談前にいただいた
お問合せの一部を
要約で公開させていたきます。
よくあるご質問(家づくり・暮らしの考え方)
Q1・家づくりを考えるとき、
最初に大切にすべきことは?
間取りや設備の前に、
どんな暮らし方をしたいのか、
どんな判断軸で日々を過ごしたいのかを
言葉にすることが大切だと考えています。
Q2・住まいを整えると、
何が変わるのでしょうか?
大きな変化というより、
日々の判断や気持ちの切り替えが、
少しずつ穏やかになっていきます。
Q3・建築家・設計事務所への相談は、
どの段階が適切ですか?
具体的な間取りが決まっていなくても
問題ありません。
迷いや違和感を感じている段階こそ、
ご相談いただく意味があると考えています。
Q4・家づくりで後悔しないために大切な事は?
正解を探すよりも、
自分たちにとっての納得を積み重ねることです。
やまぐち建築設計室が大切にしていること。
流行や数字だけに頼らず、
長く納得して
暮らすことが出来る住まいを丁寧に。
住まいは、
人生を変えるための
装置ではありません。
けれど、
人生を丁寧に考え直すための
環境にはなり得ます。
その土台を丁寧に整えることが
重要だと考えています。
・家づくりに迷いを感じている方
・判断に疲れを感じている方
・暮らしの質を根本から見直したい方
・数字や流行より、納得感を大切にしたい方
住まい造りの際には、
間取りの前に、
暮らしの考え方を見直すことが重要です。
静かに、丁寧に、そして誠実に。
今回の投稿が、
ご自身の暮らしを
少し立ち止まって考える
キッカケになれば幸いです。
○関連blog
住まいが整うと、日々の暮らしの選択が上質に変化する理由 ― 思考と感情に作用する、インテリアと設計の見えない力 ―
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail738.html
○関連blog
住まいは人の振る舞いを育てる|何も語らず、暮らしの質を整える和モダン住宅の設計哲学
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail735.html
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
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