ブログ・コラム
2026.02.12
冷暖自知という考え方から見つめ直す、五感が整える上質な住まいの設計思想
- カテゴリ:
- 住まいと暮らしの考え方
建築空間が持つ意味は
体験と感覚から生まれるという事。

※光の入り方、素材の触感、空気の静けさ
住まいの心地よさは体験してはじめて分かります
人は、
冷たい水を口に含んで、
はじめて「冷たい」と知ります。
暖かな日差しに身を委ねて、
はじめて意味を持った「心地よさ」と理解します。
それが、冷暖自知という考え方です。
どれほど言葉を尽くしても、
どれほど美しい写真や映像を見ても、
本当の意味での理解は、
自分自身の
体験を通してしか得られないという事。
この考え方は、人生だけでなく、
住まいづくりや空間設計にも、
そのまま当てはまると、
私は考えています。
「分かったつもり」の住まいが
増えている時代に・・・・・。
現代は、情報に溢れた時代です。
SNSを開けば、美しい家、
洗練されたインテリア、
完成度の高い空間が次々と流れてきます。
けれど、
そこで得ているのは多くの場合、
「体験」ではなく「イメージ」です。
・明るそう
・広そう
・おしゃれそう
・暮らしやすそう
そう感じていても、
実際に住んでみると、どこか落ち着かない。
なぜか疲れる。
理由は分からないけれど
しっくりこない。
それは、その住まいが
五感や感情を通して
設計されていない可能性があるからです。
建築は「体験」を設計する仕事
やまぐち建築設計室では、
建築を「形をつくる仕事」だとは
考えていません。
向き合っているのは、
そこで過ごす時間の質
日常の中で生まれる感情
何気ない瞬間の心の動きです。
・朝の光が、どこからどの角度で差し込むか
・帰宅したとき、最初に視界に入る景色
・床の温度を足裏でどう感じるか
・風が抜ける音、庭の気配
・夜、照明を落としたときの静けさ
それらは、
図面や言葉だけでは伝えきれません。
体験があり、
はじめて意味を持つものです。
まさに、
住まいにおける「冷暖自知」だと
感じています。
五感が整うと、暮らしも整う
人は、五感を通して
情報の世界を受け取っています。
視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚
これらが穏やかに
満たされている空間では、
人の心も自然と落ち着いていきます。
逆に、
・音が反響しすぎる
・光が強すぎる
・素材が冷たすぎる
・視線が常に落ち着かない
そうした小さな違和感が積み重なると、
理由の分からない
ストレスとして現れてきます。
暮らしやすさとは、
設備の多さや
数値だけで
決まるものではありません。
感覚として「楽である」「安心できる」こと。
それを丁寧に積み重ねていくことが、
建築設計だと考えています。
苦しみや不便さも、
住まいの一部になるということ。
冷暖自知という言葉は、
「苦しみ」や「不便さ」についても
示唆を与えてくれます。
すべてが便利で、
すべてが自動で、
すべてが均一な空間は、
一見すると快適かも知れません。
しかし、その場所で
暮らすことが出来るのか?
人生の喜怒哀楽を、
許容して、
包み込むことが出来るのか?
けれど、
少し暗い場所
少し寒い場所
少し静かすぎる時間
そうした余白や揺らぎがあるからこそ、
人は「心地よさ」を
強く感じることもあります。
人生の喜怒哀楽の時間にも
程よい距離が
人にもカタチにも・・・・。
完全に排除するのではなく、
どう受け止め、どう付き合うか。
それもまた、
暮らしを設計するということだと
考えています。
暮らしは、
頭で考えるものではないという事。
住まいの良し悪しは、
数値や流行だけでは決まりません。
・なぜか、この場所に長く居てしまう
・気づくと、家族が集まっている
・何もしていないのに、気持ちが整う
そうした感覚は、
住まい手自身の体験としてしか
分からないものです。
だからこそ、
ヒアリングに質と時間をかけ、
暮らし方、価値観、
人生の在り方を丁寧に伺います。
設計とは、
「正解を提示すること」ではなく、
その人にとっての実感を、
デザインしていく行為だと
考えています。
住まいは、
人生の感覚を育てる場。
冷暖自知。
それは、知識ではなく、
体験によってしか
分からないということ。
住まいも同じです。
これまでの人生は
そうでなかったですか?
暑さ、寒さ、苦しさ、楽しさ、
人間関係・・・・etc。
頭だけで考えてきましたか?
接して、触れて、味わって、
体感ではありませんでしたか?
暮らしの中で、
感じ、考え、時には立ち止まりながら、
その人なりの
暮らしの質をデザインするように。
やまぐち建築設計室は、
そんな「感覚が育む住まい」を
設計という手段で生み出しています。
流行でも、見栄えでもなく、
その人の人生に静かに寄り添う空間を。
在り方の意味を丁寧に。
今回の投稿が、
ブログを読んでくださっている
あたなの暮らしを
少し立ち止まって考える
キッカケとヒントになれば幸いです。
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
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