ブログ・コラム
2026.01.31
家族は近くにいなくていい。 距離感から整える、上質な住まいの設計思想
- カテゴリ:
- 過ごし方、暮らし方、生活環境と間取り
家族の距離感は、
間取りと構成要素で整えるように。
静かな関係性を育てる
住まいの設計思想を丁寧に空間へ。
家族仲は悪くない。
会話もある。
日常は穏やかに流れている。

※家族の気配をやさしくつなぐ
ホテルライクなLDK空間設計提案。
それでも、ときどき
「なぜか落ち着かない」
「家にいるのに、深く休めていない」
そんな感覚を覚えることはないでしょうか?
大きな不満があるわけではない。
誰かと衝突しているわけでもない。
けれど、心のどこかで
少し、距離が近すぎる
そんな違和感が残っている。
私は、住まいの相談を重ねる中で、
こうした言葉にならない感覚に、
何度も出会ってきました。
そして、ある共通点に気づきます。
それは・・・・・。
家族関係の違和感は、関係性そのものよりも、
空間のつくり方から
生まれていることが多いという事実です。
家族は「近ければ良い」
という存在ではないということ。
家族は、最も身近で、
最も長く関わり続ける存在です。
だからこそ、
距離の取り方がとても重要になります。
かつての住まいは、
「家族は一緒に過ごすもの」
「同じ空間で同じ時間を共有することが大切」
そんな価値観を前提に
設計されてきました。
しかし、
暮らし方は大きく変わりました。
生活リズムがそれぞれ違う
家で過ごす時間の意味が人によって異なる
集中したい時間、
静かに整えたい時間が増えている
にもかかわらず、
住まいだけが「常につながること」を
強要している。
このズレが、
無意識の疲労や、
言葉にならないストレスを生み出します。
「心地よい距離」の存在
人が安心して過ごすために必要な
心理的な距離があるとされています。
孤立でも密着でもありません。
必要なときには、
自然につながれるように、
そうでないときは、
静かに離れていられるように。
この行き来できる余白こそが、
人の心を安定させます。
家族関係においても同じです。
無理に分かり合おうとしない。
常に同じ場所にいなくていい。
「一緒にいること」を選ぶことが出来る関係。
それが、長く続く穏やかな
家族関係の本質となる部分です。
間取りは、関係性を「誘導」してしまう
住まいの設計には、
住む人の行動や感情を、
知らず知らずのうちに誘導する力があります。
たとえば、
・必ず顔を合わせる動線
・視線が常に交差する配置
・逃げ場のないワンルーム的LDK
これらは一見、
開放的で美しくて理想的に映ります。
しかし、日々を重ねるほどに、
・無意識に気を遣い続ける
・一人になるタイミングを失う
・心を切り替える余白がなくなる
こうした状態が積み重なっていきます。
間取りが、家族関係の「在り方」を
決めてしまっている状態です。
日々の喜怒哀楽を
思い出してみてください。
仕事で疲れている時、
悲しい気持ちの時、
心に余裕の無い時、
楽しい気持ちの時、
いつも「同じ状態」ですか?
静かな関係性を求める人が選ぶ住まい
人生経験を重ね、
自分の時間や感覚を
大切にするようになると、
人は次第に「刺激の少ない環境」を
求めるようになります。
派手さや賑やかさよりも、
・落ち着き
・深呼吸できる余白
・自分を取り戻せる静けさ
それは、
家族との関係においても同じです。
愛情があるからこそ、
近づきすぎない距離を保ちたい。
干渉ではなく、
信頼でつながる関係。
その関係性は、
言葉よりも、
空間によって育てられます。
やまぐち建築設計室が考える
「距離を設計する住まい」
私は、間取りを考える際、
「広さ」や「機能」よりも先に、
次の問いを立てます。
・どんなときに一人でいたくなるか?
・どんな瞬間に自然と人と交わりたくなるか?
・気配はどこまで感じたいか
その趣をを、
空間に落とし込んでいきます。
気配は残し、視線は外す
完全に遮断するのではなく、
光・音・空気でつながる設計。
孤独ではないが、干渉もされない
この状態が、
心を最も安定させます。
居場所を一つにしない
リビングだけに集約しない。
静かな居場所、
半公共の居場所、
完全に一人になれる場所。
選択肢があることで、
人は距離を調整できるようになります。
動線で「会う・会わない」を選べる
必ず交わる動線と、
そっとすれ違える動線。
どちらも用意することで、
関係は自然に、
しなやかになります。
家族関係は、
努力で整えるものではない
関係を良くしようとして、
・話し合いを増やす
・我慢を重ねる
・気を遣い続ける
それらは、短期的には機能しても、
長期的には心を消耗させます。
本当に必要なのは、
頑張らなくても
整うことができる環境です。
住まいが変わると、
・言葉が少なくても安心できる
・一人の時間が増えても関係が深まる
・無理をしなくても穏やかでいられる
そんな変化が、
自然に起こります。
成熟した家族とは、
「理解」より「尊重」でつながる関係
人生哲学的に言えば、
成熟とは「同じになること」
ではありません。
違いを前提に、共に在ること。
分かり合えなくても、信頼できること。
その土台を支えるのが、
住まいです。
住まいは、
家族をまとめるための装置ではなく、
それぞれの人生を尊重するための
場であるべきだと、
考えています。
住まいは、人生観を映し出す
どんな家に身を置くかは、
どんな人生を選ぶかと重なります。
・管理する家なのか?
・委ねられる家なのか?
やまぐち建築設計室は、
暮らしを縛らない住まい、
心が自然に整う住まいを
設計しています。
もし今、
家族関係に小さな違和感がある
日常は満たされているはずなのに、
心が休まらない・・・・・。
これからの時間を、
より静かに丁寧に過ごしたい
そう感じておられるなら、
それは「暮らしを見直す合図」
かもしれません。
家族の距離感は、
話し合いよりも、
設計で変えられます。
今回のブログが、
何かひとつ、
暮らしを見つめ直す
きっかけになれば嬉しいです。
○関連blog
家族の距離を整える新築住宅の間取り設計|建築家が考える「関係性から始める住まい」
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail721.html
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奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
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