ブログ・コラム
2026.01.09
和モダン×ホテルライクの前に考えてほしいこと、 暮らしを「人生を整える器」として設計する家づくり
- カテゴリ:
- 和モダン思想
ホテルライク×和モダンを
「暮らしの言葉」に翻訳する方法。
雰囲気ではなく、
日常として成立させるために・・・。

※和モダンとホテルライクを雰囲気で終わらせず、
光・素材・家具配置によって、
日常の過ごし方そのものを
整えたLDK空間。
建築家が考える「心地よさ」を
かたちにしています。
・ホテルライクな家にしたいです。
・和モダンの落ち着いた空間が好きです。
設計相談の場で、
この言葉を聞かない日は
ありません。
けれど、
ここで建築家として
必ず立ち止まるポイントがあります。
それは、
この言葉が「イメージ」なのか、
「暮らしの要望」なのか
という点です。
もしこの違いを
曖昧なまま設計を進めると、
完成後に、
こんな感想が生まれやすくなります。
・写真では素敵だけれど、落ち着かない
・ホテルっぽいけれど、くつろげない
・和モダンのはずなのに、緊張する
これはデザインの失敗ではありません。
言葉の翻訳が
足りなかったということです。
「ホテルライク」「和モダン」は、
暮らしの要求ではない
まず大切な前提として、
ホテルライクも和モダンも、
暮らしの要望ではありません。
どちらも、
結果として見える
空間の雰囲気・・・・・。
にもかかわらず、
・色味は?
・素材は?
・どの施工事例に近づける?
いきなり形から入ってしまうと、
本来の目的を見失います。
やまぐち建築設計室では、
ここで必ず
問いを置き直します。
翻訳の第一段階
なぜ、
ホテルライクに惹かれるのか?
ホテルライクという
言葉の裏には、
必ず暮らしの感情が
隠れています。
たとえば・・・・・。
・家に帰った瞬間、気持ちを切り替えたい
・生活感から一度、距離を置きたい
・仕事モードから、静かに解放されたい
・余計な情報が目に入らない空間で休みたい
つまり、
ホテルライクとは
自分を休ませる環境がほしい
という要望の
言い換えという
ケースがあるという事です。
ここを言語化せずに
大理石調・間接照明
グレートーンだけを
取り入れてしまうと、
「見た目はホテル」
「気持ちは落ち着かない家」
が出来上がります。
翻訳の第二段階
なぜ、
和モダンが心地よく感じるのか?
和モダンも同様です。
和モダンに惹かれる理由を
深掘りすると、
次のような言葉に
置き換えられることが多い。
・静かに時間が流れてほしい
・光や影を感じながら過ごしたい
・家の中でも季節を感じたい
・気持ちがざわつかない空間がいい
これはデザインの話ではなく、
感情が穏やかでいられる暮らし
を求めている状態です。
だから、
和モダン=木・格子・和紙
という短絡的な
変換をしてしまうと、
暮らしとは
噛み合わなくなります。
翻訳の核心
雰囲気を「行動」に落とす
ここからが、
建築家として
重要な仕事です。
ホテルライク×和モダンを、
暮らしの言葉に翻訳するとは、
次の問いに答えることです。
朝、どう目覚めたいか
・いきなり明るい空間より、
ゆっくり光が入ってきてほしい
・視界に情報が多くない方がいい
・音や動線が、穏やかであってほしい
→
直射日光を避けた開口計画
朝の視線を整理する家具配置
素材の反射率を抑えた仕上げ
帰宅した瞬間、
どう切り替えたいか?
・玄関で一度、
外と気持ちを切り離したい
・家の中に入るにつれて、
静かになりたい
→
玄関からLDKまでの
音と光のグラデーション
段差・天井高さ・照度での切り替え
夜、どんな状態で過ごしたいか
・家族の気配は感じたいが、
干渉はされたくない
・テレビや照明が
主張しすぎないでほしい
→
低めの家具計画
間接照明を主役にした夜の設計
視線が交錯しない配置
ホテルライク×和モダンが
成立する家の共通点
数多くの設計経験から見えてくる、
本当に成立している家の
共通点があります。
それは、
・色数が少ない
・素材が主張しすぎない
・余白が意図的につくられている
・家具・照明・建築が
一体で考えられている
そして何より、
暮らし方が先に決まり、
デザインは後から決まる
という点です。
ホテルライク×和モダンが
重くなる理由・・・・
検索やSNSを見ていると、
惜しい事例も
多く見かけます。
・石・木・間接照明を
盛り込みすぎる
・高級感を出そうとして
情報量が増える
・掃除やメンテナンスの
現実を無視する
結果として、
緊張感が抜けない家
になってしまう。
ホテルは「一時滞在」だから
成立します。
住宅は「日常」だからこそ、
引き算と翻訳が
不可欠ということです。
そこで建築家が行うべきことは、
「好み」を「設計条件」に
変換すること。
「ホテルライクが好き」
「和モダンが落ち着く」
これらは、
とても大切なヒントです。
ただしそのままでは、
設計条件としては粗すぎます。
やまぐち建築設計室では、
この言葉を必ず
次の形に変換します。
・どんなときに、
落ち着きたいのか
・どんな時間帯を、
一番大切にしたいのか
・何が視界から消えると、
気持ちが楽になるのか
この翻訳作業こそが、
「似ている家」ではなく
「合っている家」をつくる
分かれ道です。
Q&A|
ホテルライク×和モダンに関する誤解
Q・ホテルライクにすると、
住みにくくなりませんか?
A. 雰囲気だけを真似すると
住みにくくなりますが、
暮らし方から翻訳すれば、
むしろストレスは減ります。
重要なのは素材や色ではなく、
情報量と切り替えの設計です。
Q・和モダンは古くなりませんか?
A. 流行の意匠に寄せると
古くなりますが、
光・陰影・余白といった
原理に基づけば、
時間とともに深まります。
Q・共働きでも成立しますか?
A. むしろ相性が良いです。
仕事と生活を切り替える場として、
ホテルライク×和モダンは
非常に合理的です。
ホテルライク×和モダンとは、
暮らしを整えるための
翻訳結果です。
ホテルライクも、和モダンも、
ゴールではありません。
・暮らしをどう整えたいか
・どんな感情で日常を過ごしたいか
という問いに対する、
ひとつの
翻訳結果にすぎません。
カタチから入らず、
言葉を翻訳し、
暮らしに落とし込む。
そのプロセスごとに
暮らしを設計することが、
やまぐち建築設計室が考える
ホテルライク×和モダンの
住まいです。
このブログが、
皆さんの
住まいと暮らしを見直す
小さなきっかけになれば幸いです。
○関連blog
品の良さは設計で整えられる、心と身体が自然に落ち着く住まいの環境設計
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail695.html
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