ブログ・コラム
2026.01.06
上質な家は「音」で決まる・ 静けさを設計する、和モダン住宅という選択
- カテゴリ:
- 過ごし方、暮らし方、生活環境と間取り
上質な家は
「音」で決まるということ。
静けさを設計する
和モダン住宅という選択・・・。
なぜか疲れが取れない家、
ありませんか?

※木天井と間接照明、中庭がつくる静けさの提案。
音まで整えた和モダン住宅のLDK空間。
家に帰った瞬間、
「やっと落ち着ける」と
感じる家もあれば、
なぜか気持ちが緩まらず、
テレビを消しても、
照明を落としても、
どこか神経が
張ったままの家もあります。
間取りは悪くない。
設備も整っている。
断熱性能も、数値上は十分。
それなのに、
なぜか落ち着かない。
この違和感の正体は、
多くの場合「音」にあります。
私たちは、
基本的には音を
「うるさい」・「静か」という
分かりやすい尺度でしか
捉えていません。
けれど実際には、
音は無意識の疲労として、
日々、
確実に蓄積されています。
・反響する足音
・甲高く跳ね返る会話
・テレビの音量が自然と上がる空間
・外から入り込む微かな生活音
これらはすべて、
暮らしの質を、
静かに削っていきます。
上質な住まいとは、
豪華であること
ではありません。
静かに、整っていること。
その鍵を握るのが、
「音をどう設計するか」なのです。
高級住宅ほど「音」が
整っている理由・・・。
高級ホテルや、
本当に上質な邸宅を訪れたとき、
多くの方が
口にする言葉があります。
「静かですね」
この「静かさ」は、
単に音が小さいという
意味ではありません。
・会話が柔らかく聞こえる
・余計な反響がない
・耳が疲れない
・自然と声を張らなくていい
つまり、
音の居場所が整っている状態です。
逆に言えば、
どれだけ意匠が美しくても、
音が暴れている空間は、
どこか落ち着きません。
写真では分からないのに、
住むと違和感が出る家。
その多くが、
「音」が設計されていない
家です。
和モダン住宅と「静けさ」は、
なぜ相性がいいのか・・・。
和モダン住宅というのは、
単なるデザインスタイル
ではありません。
暮らしを穏やかに
整えるための思想です。
日本の住まいには、
もともと音と共に生きる
知恵がありました。
・障子が光と音をやわらかく通す
・土間や縁側が、内外の音を受け止める
・天井が低く、音が拡散しにくい
・余白が、音の逃げ場になる
和モダンとは、
これらの知恵を
現代的に再解釈したもの。
だからこそ、
「静けさ」をつくる設計と、
とても相性がいいのです。
静けさは「防音」ではなく
「設計」でつくる
よくある誤解があります。
「静かな家=防音室のような家」
これは、まったく違います。
やまぐち建築設計室が
目指すのは、
音を閉じ込めることでは
ありません。
音を、整えること。
そのために、
設計では次の3つを意識します。
静けさを設計する3つの要素
1|遮音 ― 余計な音を入れない
遮音とは、
外からの音を
完全に消すことでは
ありません。
・道路音
・隣家の生活音
・風や雨の音
これらを、
暮らしの背景音にまで
落とすこと。
具体的には、
・窓の配置とサイズ
・サッシの性能だけに頼らない計画
・玄関・土間の緩衝領域
・中庭による音の分散
奈良の住宅地では、
都市部ほどの
騒音はなくても、
「静けさの質」が問われます。
夜、ふと聞こえる車の音。
朝の通学路の声。
それらを
「気にならない音」に
変えるのが、
遮音設計です。
2|吸音 ― 音を暴れさせない
室内で問題になるのは、
外音よりも反響音です。
・石・タイル・大開口ガラス
・吹き抜け
・フラットで硬い空間構成
これらは、
見た目は美しくても、
音を跳ね返しやすい。
そこで重要になるのが、
吸音です。
・木質天井
・左官壁
・カーテンや造作家具
・天井高さの抑制
「素材を足す」のではなく、
素材の役割を理解して使う。
和モダン住宅では、
意匠と吸音が、
自然に両立しやすいのです。
3|間(ま)― 音の逃げ道をつくる
最も重要なのが、
この「間(ま)」です。
音は、
閉じ込めると苦しくなります。
だからこそ、
・廊下
・中庭
・建具
・天井高さの変化
といった
中間領域が必要になります。
音が一気に広がらず、
少しずつほどけていく。
この設計こそが、
日本的な静けさです。
空間別|静けさをつくる具体設計
LDK|にぎやかさと落ち着きを両立する
LDKは家の中で
最も音が発生する場所。
だからこそ、
・天井を必要以上に高くしない
・硬質素材を一点集中させない
・家具配置で音を分散させる
「広さ」よりも、
音の密度を整えることが
重要です。
寝室|睡眠の質は「音」で決まる
寝室で大切なのは、
静寂ではありません。
・音が立ち上がらない
・小さな物音が増幅しない
この状態が、
深い眠りを支えます。
間接照明と同じくらい、
音の設計は重要です。
玄関|家の第一防波堤
玄関は、
単なる出入り口ではありません。
・外音を受け止める
・室内に持ち込まない
そのための
音のフィルターです。
土間・建具・壁厚。
ここを丁寧に設計することで、
家全体の静けさが変わります。
よくある質問
Q 吹き抜けは音が響きますか?
A 設計次第です。
吸音素材と高さのコントロールで、
静かな吹き抜けは可能です。
Q タイル床は音がうるさい?
A 単体では反響しやすいですが、
天井・壁・家具との
組み合わせで解消できます。
Q 防音室をつくらないと
静かにならない?
A いいえ。
日常の静けさは、
防音より設計で決まります。
Q 間接照明と音は関係ありますか?
A あります。
照明計画は、天井・壁構成と
連動するため、
音環境にも影響します。
静けさは「後から買えない」
家づくりで、
後から変えられるものは
多くあります。
家具、家電、カーテン。
けれど、
音の設計は
後から変えるのは
本格的なリノベーションとなります。
間取りを考える前に、
性能を比較する前に、
一度、考えてみてください。
自分たちは、
どんな静けさの中で
暮らしたいのか?
ということを・・・・。
やまぐち建築設計室では、
図面の前に、
そういった暮らしの問いから
設計を始めています。
奈良で、
静かに豊かに暮らすという選択。
奈良という土地は、
もともと静けさを
大切にしてきた場所です。
風、時間の流れ、
人の距離感。
それらと調和する住まいこそ、
和モダン住宅の
本質だと考えています。
派手ではない。
けれど、確かに上質。
その違いは、
「音」にも表れます。
相談は「間取り」の前に、
「暮らし」から・・・・・。
もし今、
・写真では分からない違和感がある
・住んだ後の満足度を重視したい
・本当に落ち着く家をつくりたい
そう感じているなら、
一度・・・静けさの話を
しませんか?。
やまぐち建築設計室は、
暮らしの質から
逆算する設計を行っています。
このブログが、
皆さんの
住まいと暮らしを見直す
小さなきっかけになれば
幸いです。
○関連blog
家づくりは、「色眼鏡」を外すことから。 和モダンの設計思想で考える、間取りと環境が心を整える住まい
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail693.html
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