住まいの設計は、

「色眼鏡」を

外すところから始まる。

 

住まいの設計とは、

住まい手さんが

無意識にかけている

「色眼鏡」を外すことから

始まります。

 

 ※静けさを取り込んだ和モダンの住まい。
視線と気持ちが自然と整う、

暮らす環境を表現した設計の提案です。

 

その人に本当に合う、

新しい暮らしとの

向き合い方を一緒に考える。

 

家は、

日々の気持ちや振る舞いまで

包み込む「暮らす環境」という空間。

 

だからこそ、

設計はまず「向き合い方」から

考えたいのです。

 

家づくりは、

とくにこの出発点が効いてきます。

 

なぜなら、

家造りには唯一の正解が

ないからです。

 

特に和風建築は

日本の気候風土や美意識、

生活様式に寄り添いながら

変化してきたこと、

そして和モダンは

伝統的な様式や意匠に

現代の感性を持ち込み

伝統に基づきながら

新しさと変化を志向した

建築であること、

さらに明確な定義はないと

されています。

 

つまり和モダンは型ではなく

姿勢なのだと考えています。

 

ありがちな「色眼鏡」ほど、

暮らしを曇らせるということ。

 

和モダンの相談で多いのは、

こんな思い込みです。

・和モダン＝旅館っぽくしないといけない

・和＝暗い、古い、冬は寒い

・木を見せれば和モダンになる

・中庭や庭は贅沢品

けれど、

住まい手さんが求めているのは、

意匠としての和だけではなく、
心が落ち着く

気持ちが整う

家族の温度が穏やかになる

といった「環境の質」

だったりします。

 

環境心理学の視点で言えば、

人は「目に入る情報量」と

「予測できる安心感」の

バランスで疲れます。

 

現代社会もそうですが

情報量が多すぎると

脳は休めず、

少なすぎると退屈で落ち着かない。

 

和モダンの良さは、

このバランスを

静かに整えるところにあります。

 

和モダンが整えるのは

「景色」より先に、日々の呼吸

 

和モダンの設計で

大切にしたいのは、

見た目の統一よりも、

・視線がどこで止まるか

・どこで呼吸が深くなるか

・どこで家族の気配が

心地よく途切れるか

こうした「暮らしの反応」です。

 

たとえば、

露地のようなアプローチ、

飛び石、つくばい、雪見障子、

長い庇や縁側といった要素。

 

これらは装飾ではなく、

気持ちの切り替えポイント

として働きます。

 

玄関から室内へ入るだけで、

外の緊張がほどけていく。

 

和モダンが効くのは、

こういう「切り替えの設計」です。

 

間取りは便利さだけではなく

「心の摩擦」を減らすためにある。

間取りを考えるとき、

動線の短さや

収納量の話になりがちです。

 

もちろん大切です。

 

けれど、

和モダンの思考は

もう一歩深いところで効きます。

・すれ違いが多い場所ほど、

家族の小さな摩擦が増える

・見られたくないものが

視界に入るほど、

落ち着きは削れる

・片付けの難易度が上がるほど、

自己肯定感は下がりやすい

 

だから、

やまぐち建築設計室では、

家事効率だけでなく、

心の摩擦が起きにくい

配置と間取りを考えます。

 

和モダンは、

余白・間・陰影が馴染む故、

ここが上手く機能すると

「穏やかな家」になります。

 

光は明るければ良いではない。

影を設計すると、

心が落ち着く

和モダンの肝は、

光の量ではなく「光の扱い方」を

大切にしているところ。

 

光の入り方をコントロールして

影を創り、

陰陽五行の考え方を反映する。

 

ここが、和モダンの本質。

・どこを明るくして、

どこを少し落とすか

・夕方に美しくなる場所を

どこに用意するか

・家族の顔がやさしく見える

光をどこに置くか

 

陰影の設計は、

気分を整える環境づくり

そのものです。

 

ですから和モダンは、

写真映えのためではなく、

暮らしの時間を

整えるために光を使います。

 

「和」と「洋」を

混ぜるのではなく、主語を決める。

和モダンで失敗しやすいのは、

要素を混ぜすぎて

主語が消えることです。

ポイントは、

和を足す／洋を足すではなく、
この家の主語は何かを決めること。

軸をきちんと

設計することが大事

だということ。

・「静けさ」が主語の家

・「迎え入れる所作」が主語の家

・「家族が整うリズム」が主語の家

 

主語が決まると、

素材・家具・照明・庭

窓のつくりも含めて

暮らしの意識が繋がっていきます。

 

その家が「あなたに合う」ことが、

いちばん大切

 

和モダンは、

正解をなぞる家ではありません。

 

住まい手さんの価値観を

整え直し、

暮らしの景色だけでなく、

気持ちの流れまで

整えるということ。

 

だからこそ、

設計はまず「向き合い方」から

考えることが重要。

 

何を大切にしたいのか。
どんな時間が

増えたら嬉しいのか。
どんな場面で、

心が乱れやすいのか。

 

その答えを丁寧に言葉にし、

間取りと環境として

設計するように。

もし今、住まいに対して、

なんとなくの違和感や

言葉にできない疲れがあるなら、
それは「色眼鏡」の

サインかもしれません。

 

暮らしの見え方を

整理してみませんか。

 

このブログが、
家づくりや模様替えを考える方の
小さなヒントになれば幸いです。

 

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　　建築家　山口哲央
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