ブログ・コラム
2025.12.27
光の入り方で変わる暮らしの質──建築家が考える“採光デザイン”という住まいの本質
- カテゴリ:
- 設計の事・デザインの事
光の入り方で家の印象は変わる
建築家が考える、
“採光デザイン”という
見えない設計の力
家づくりを
検討されているあなたへ。

※採光設計によって生まれる
心地よく広がる光のグラデーション。
和モダンの空間に自然光が
優しく満ちる暮らしに寄り添った
設計のカタチをご提案。
暮らしの快適さは、
間取りや設備だけで
決まるものではありません。
〝光の入り方〟
これは住まいの居心地や
毎日の生活リズムに深く関わる、
見えないけれど
とても大切な要素です。
やまぐち建築設計室では、
設計の初期段階から
「採光デザイン」を
重視しています。
なぜなら、
自然光は家の印象だけでなく、
暮らしの質そのものを
左右するからです。
光の種類がつくりだす
暮らしの表情
人が空間に入り、
「居心地が良い」
「気持ちいい」と感じる時、
その背景には
多くの場合
“光の質”があります。
同じ広さ・同じ間取りでも、
光の方向や量、
時間帯によって
空間の印象は
大きく変わるのです。
勿論、敷地・土地の周辺環境や
建物の位置関係でも
その内容は異なりますが
基本的な要素という事で、
今回のblogでは、
方位ごとの光が
暮らしに与える影響を、
設計視点で
少し整理して書いています。
■ 朝日(東向きの光)
一日のスタートを整える光
東向きの光は、
柔らかくて清々しい朝の光。
生体リズムを整え、
体と心をすっきりと
目覚めさせてくれます。
東向きの光の特徴
・朝の光が穏やかに
室内に広がる
・影がやわらかく
素材の色が美しく見える
・午前中に高い明るさを
確保できる
こんな暮らしに向いています
・朝の時間が大切な方
・在宅ワークを
午前中に集中したい方
・朝のコーヒーや
ヨガを楽しみたい方
朝の穏やかな陽射しは、
心地よい一日の
始まりを創ります。
■ 西日(西向きの光)
強さとドラマを生む光
西日には、
夕暮れの豊かな色彩と
ドラマがあります。
熱や眩しさの課題はありますが、
使い方次第で
室内を“美しい時間”で
満たすことができます。
西向きの光の特徴
・夕方にドラマティックな
光が差し込む
・素材の色が濃く、
陰影に表情が出る
・エアコン負荷はやや高め
こんな暮らしに向いています
・夕方以降に家で過ごす時間が長い方
・夕陽の色を存分に楽しみたい方
・光を活かした
インテリアデザインを好む方
設計次第で、
西日は“魔法の時間”を
つくる光になります。
■ 南面の光
万能で安定した採光の王道
南向きの採光は、
最も光を確保できる方向です。
設計の基本として
最初に検討されることの
多い方位ですが、
単に“南向きだから良い”
ではありません。
南向きの光の特徴
・一日を通して安定した明るさ
・植物がよく育つ光量
・洗濯物が乾きやすい
注意したい点
・窓が大きすぎると
眩しさや暑さが強くなる
・コントロール
できる仕組み
軒の出や庇、
ブラインドなどがあると
光のコントロールが
効きやくす理想的
こんな暮らしに向いています
・家で過ごす時間が多い方
・子育て世帯
・室内を明るく広く見せたい方
南面の光は
比較的万能ですが、
「量をコントロールする設計」が
本当の良さを引き出します。
■ 北面の光
最も誤解されている
やさしい光
「北向き=暗い」
というイメージは
実は誤解です。
北向きの光は均質で
柔らかく、
影が出にくいため
美術アトリエなどでも
好まれます。
北向きの光の特徴
・均一で落ち着いた光
・色の見え方が安定
・夏は涼しく、
冬はやや冷えやすい
こんな暮らしに向いています
・在宅ワークや読書が好きな方
・静かで余白のある空間を好む方
・光の眩しさが苦手な方
北向きの光は“マットな光”。
主張しすぎないやさしさが、
静謐な暮らしを生みます。
設計者が本当に
見ていること・・・・・。
“光 × 暮らしの時間”
採光デザインで大切なのは、
単に“どの方位か”
ではありません。
その家でどんな時間帯に、
どんな暮らしをするのか?。
それを読み解きながら
設計することが、
本当の採光設計です。
・朝型の暮らしに
東の光は力になる
・夕方の彩りを
大切にするなら西の光を活かす
・家で過ごす時間が
長い方には南の光
・静かな時間を
求める方には北の光
同じ方位でも、
暮らしの時間帯や
過ごし方で
“最適な光”は変わります。
光は“家の雰囲気”ではなく
“暮らしの質”をつくる
光は、
どんな高価な照明でも
再現できない
「空気の質」をつくります。
・朝の集中
・昼の快適性
・夕方の余韻
・夜のゆったり感
これらすべてが、
自然光と暮らしの関係性で
生まれます。
だからこそ、
土地や家の間取りを
検討する際には
「窓から入る光の方向と
その光があなたの暮らしと
合っているのか?
をぜひ意識してください。
光の環境が暮らしと合う家は、
面積以上に広く、
設備以上に快適で、
スペック以上に
豊かな暮らしを生みます。
今回のブログが、
家づくりや模様替えを考える方の
小さなヒントになれば幸いです。
○関連blog
吹抜けとオープン階段のある暮らし・光と風、そして家族の気配を感じる心地よい設計で陰翳礼讃の空間に影と光と風がほどよくめぐる家。吹抜けとオープン階段がつくる暮らしの余白提案。
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail624.html
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奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
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