ブログ・コラム
2025.12.17
吹き抜け照明の最適解とは?空間構成を紐解き、後悔しない配置計画で「心地よさ」を設計する家づくり
- カテゴリ:
- 吹き抜けのある家・照明計画・インテリア
吹き抜け照明の計画について。
配置方法の意味を考えて、
照明が彩りを生むことで
後悔しない住まいをつくる。

※吹き抜け空間のスケールに合わせて
照明を多灯配置。

※吹き抜け空間のスケールに合わせて
照明を多灯配置。
光の重なりが開放感と
落ち着きを同時に生み出します。
吹き抜けのある住まいに、
憧れを抱く方は
とても多いものです。
縦方向に
視線が抜けることで
生まれる開放感。
自然光が上下階をやさしくつなぎ、
家全体に一体感をもたらす
空間構成。
しかし一方で、
家づくりの現場では
色々な考え方も浮かびます。
- 「思ったより暗くないだろうか」
- 「夜になると落ち着かない」
- 「照明の交換や掃除が大変そう」
- 「眩しさが気になるかも」
これらの多くは、
吹き抜けそのものの問題ではなく、
照明計画の
不十分さが原因です。
吹き抜けは、
通常の部屋とは
まったく異なるスケールと
性質を持つ空間。
だからこそ、
照明計画も
「自分が持っている当たり前」
だけで考えてしまうと、
完成後に後悔が残ってしまいます。
今回のblogでは、
やまぐち建築設計室が
実際の設計経験をもとに、
・吹き抜け照明で失敗しやすいポイント
・計画段階で必ず押さえるべき考え方
・照明器具の選び方と配置の基本
建築家がどのように
光を設計しているのかを、
家づくりを
検討し始めたばかりの方にも
役立つように、
書いてみたいと思います。
吹き抜け照明は
「明るさ」ではなく
「設計」で決まるということ。
まず最初にお伝えしたいのは、
吹き抜けに限った
話ではありませんが
照明は「ワット数」や
「明るさ」だけで
解決できるものでは
ないということです。
一般的な部屋であれば、
・畳数に対して
・シーリングライト(天井付け)を1台
という考え方でも、
ある程度は成立します。
しかし吹き抜け空間では、
- 天井が高い
- 空間が上下階にまたがる
- 視線の方向が多い
- 昼と夜で印象が大きく変わる
といった特徴があるため、
光をどう配置し、
どう重ねて、
どう制御するかという
空間の設計思考が欠かせません。
吹き抜け照明計画の第一歩。
空間を正しく把握する
大きさ・高さ・形状を正確に読む
吹き抜け照明計画の
出発点は、
とてもシンプルです。
・吹き抜けの平面寸法
・天井までの高さ
・吹き抜けの形状(正方形/長方形/階段一体型など)
これらを感覚ではなく、
数値として把握すること。
段差をずらして重ねて
感覚的な広さを生み出す
スキップフロアのある家も
同様です・・・・・。
例えば、
- 天井高5mの吹き抜け
- 天井高7mの吹き抜け
このような場合では、
必要な照明器具も、
光の届き方もまったく変わります。
ここを曖昧にしたまま
照明を選ぶと、
「明るさが足りない」
「逆に眩しすぎる」といった
問題が起こりやすくなります。
照明の「目的」を
言葉にすることが、
成功への近道です。
次に重要なのが、
その吹き抜け照明で
何をしたいのかを
明確にすることです。
吹き抜け照明の主な役割
吹き抜け照明には、
主に以下の役割があります。
・空間全体のベース照明
・夜の安全性を確保するための明るさ
・デザインとしての象徴性
・壁や天井、素材感を美しく見せる演出
・上下階のつながりを感じさせる光
とにかく明るければいいのか、
夜は落ち着いた雰囲気を
大切にしたいのか?。
ここが曖昧なまま進むと、
器具選びも配置も、
ちぐはぐになってしまいます。
建築家が重視する
「光の層」という考え方。
やまぐち建築設計室では、
吹き抜け照明を
考える際に必ず
「光の層」を意識します。
光は一方向からでは、
美しくならないということ。
吹き抜け空間を、
1灯の照明だけで
照らそうとすると、
・影が強く出る
・眩しさを感じやすい
・表情のない空間になる
といった問題が起こります。
そこで重要になるのが、
- 上層(天井付近)
- 中層(壁・階段・吹き抜け周囲)
- 下層(床・人の視線高さ)
という高さごとの
光の重なりです。
上層の光|空間の輪郭をつくる
上層の光は、
吹き抜け全体の「スケール感」を
決めます。
- ペンダントライト
- 吹き抜け対応のダウンライト
- シャンデリア
などを用い、
空間の中心や
軸をつくる役割を担います。
中層の光|陰影と奥行きを生む
中層には、
- 壁面を照らすブラケット
- 階段照明
- スポットライト
などを配置します。
ここが充実すると、
夜の吹き抜けは一気に
「居心地の良い空間」に変わります。
下層の光
人の暮らしに寄り添う・・・・・。
床や生活空間に近い光は、
- 足元の安心感
- 眩しさの軽減
- くつろぎ感
を生み出します。
吹き抜け照明は、
下から見上げたときの
眩しさ対策も非常に重要です。
吹き抜けに適した照明器具の
選び方・・・・・。
ペンダントライト|象徴的な存在に
吹き抜けと相性の良い
代表格がペンダントライトです。
- 空間の中心に配置しやすい
- デザイン性が高い
- 縦方向の広がりを強調できる
ただし注意点もあります。
- 取り付け高さ
- 清掃・交換の方法
- 光の広がり方
これらを事前に
設計に組み込むことが大切です。
スポットライト|光を操るための道具
スポットライトは、
- 壁
- 天井
- 階段
- アート
などを照らすために非常に有効です。
「照らす」のではなく、
「見せたい場所をつくる」ための
照明として活用します。
ダウンライト|控えめで万能
吹き抜け用の
高天井対応ダウンライトは、
- 空間を邪魔しない
- ベース照明として使いやすい
というメリットがあります。
ただし、
多用しすぎると
「均一で味気ない空間」に
なりやすいため、
他の照明とのバランスが
重要です。
照明配置で失敗しないための
実践ポイント。
直接光源を見せすぎない
吹き抜けでは、
- 下階
- 上階
- 階段
など、さまざまな角度から
照明が見えます。
そのため、
光源が直接目に入らない配置が
とても重要です。
明るさは「数値+感覚」で考える
ルーメン数や
照度計算は大切ですが、
それだけでは不十分です。
- 壁の色
- 床材
- 天井仕上げ
によって、
光の感じ方は大きく変わります。
ここは、インテリアの構成や
設計段階での経験値が
大きく影響する部分です。
吹き抜け照明こそ、
建築家に相談してほしい理由
吹き抜け照明は、
- 後から直しにくい
- 失敗するとストレスが大きい
- 暮らしの質に直結する
という特徴があります。
やまぐち建築設計室では、
- 間取り
- 窓計画
- 素材
- 家具配置
と照明計画を
同時に設計します。
だからこそ、
- 明るいのに落ち着く
- 開放的なのに眩しくない
- 夜が楽しみになる
そんな吹き抜け空間が
生まれます。
吹き抜け照明は
「暮らしを設計する光」である
ということ。
吹き抜け照明は、
単なる設備計画ではありません。
- 家族の時間を包み
- 一日の終わりに心を整え
- 住まいの記憶をつくる
暮らしそのものを
設計する光です。
正しい計画、
明確な目的設定、
光の層を意識した配置。
そして、
住まい全体を見渡す設計視点。
これらを大切にすることで、
吹き抜けは「不安な存在」から
「誇れる空間」へと変わります。
本当に心地よい
吹き抜けのある住まいを
考えたい方は、
そういう視点も含めて
吹き抜けの
存在意義を考えてみてください。
住まいの可能性を、
光から紐解いてみることも
暮しを良い意味で変化させる
ヒントになります。
やまぐち建築設計室は、
設計を通して、
暮らしの本質に寄り添う
住まいづくりを丁寧にご提案しています。
資料請求・ご相談は
お問合せフォームから。
やまぐち建築設計室|公式ホームページ
https://www.y-kenchiku.jp
○関連blog
吹き抜けのある暮らしが育む光と陰影の心地よさ・和モダンとホテルライクが融け合う上質な住まい設計と、間取りの工夫と暮らしやすいデザインの融合
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail638.html
○関連blog
吹き抜けという空間の余白が育む、ナチュラルでホテルライクな住まいの豊かさ・子育て世代の暮らしに寄り添い、未来のライフスタイルの変化にもしなやかに応えるリビング空間の設計。
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail562.html
‐‐----------------------------------------
■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
住まいの設計、デザインのご相談は
ホームページのお問合わせから
気軽にご連絡ください
------------‐-----------------------------

