お問合せフォーム

ブログ・コラム

2025.11.11

吹き抜けのある暮らしが育む光と陰影の心地よさ・和モダンとホテルライクが融け合う上質な住まい設計と、間取りの工夫と暮らしやすいデザインの融合

カテゴリ:
家 住まい 間取り プラン

 

それぞれのご家族にとって

「住まい」は、

単純な建物ではありません。

 

吹き抜けのあるリビングとキッチンが一体になったホテルライクな和モダン空間。ウォールナットの床と石貼りのアクセントウォールが調和し、間接照明が上質な陰影を演出。大開口の窓から自然光が差し込み、木の温もりとモダンデザインが融合するジャパンディスタイルの高級住宅。奈良県でやまぐち建築設計室が設計した、暮らしやすさと美しさを両立した注文住宅の吹抜けリビング。

※吹き抜けと和モダンが調和するホテルライクなLDK、

奈良で叶える上質な高級注文住宅デザイン提案事例。


日々の暮らしの中で、

自然に家族がつながり、

豊かな時間を育む場所でありたい。

 

そんな思いを抱えて、

奈良県で家づくりを考え始めた皆さんに向けて。

「心地よさ」「開放感」

「暮らしの質」を求めて

選択肢を探し始めるとき、

ひとつのキーワードとして

浮かび上がるのが「吹き抜け」です。

 

平屋建てだったとしても

屋根の勾配(傾斜)を活用した天井や

一部スキップフロアのような空間を

考えた際には

「吹抜け」に近い空間も生まれます。

 

高天井に広がる空間、

上部から差し込む光、

家族の気配を感じる上階空間や

2階とのつながり。

 

それらは確かに「開放感」という

魅力を生み出してくれます。

 

しかし、ただ空間を生み出すだけで

本当に心地よく

暮らすことが出来るのか?

 

吹き抜けを通じて

一階に落とし込まれる光は

明るければそれで本当に良いのか?


そしてその裏側にも

「冷暖房効率」「音・匂いの伝わり」

「掃除・メンテナンス」のような

注意点も隠れています。

 

今回のblogでは、

吹き抜けを設計に取り入れる

メリットを整理するとともに、

そのデメリットを知ったうえで、

やまぐち建築設計室ならではの

設計の工夫やデメリットの解消策について

少し書いてみたいと思います。

 

住まいの計画を検討中のあなたへ。

 

吹き抜けを設けたら、

こんな暮らしが叶います・・・・・。

 

でも、

こういう点は設計段階で

押さえておかないと後悔します。

 

この両面をしっかり持って、

安心して「開放感ある住まい」を

進めていただければと思います。

 

吹き抜けがもたらす「暮らしの質」・メリット

経過うの方法次第で

圧倒的な開放感と豊かな空間体験。

 

1階の天井をなくし、

2階の空間と連続させる「吹き抜け」。

 

天井高が上がることで

視線が放たれ、

空間に「奥行き」「高さ」「広がり」を

もたらします。

 

同じ床面積であっても、

天井高が高い、

壁との一体感がある

あるいは天井を構えず

2階まで貫通している空間では、

心理的な「ゆとり」を感じやすいのです。

 

建築設計の世界では

「広さ=面積」だけでなく

「体積」「高さ」「空の抜け」が

非常に重要な要素。

 

吹き抜けはまさにこの体積を

活かした設計手法です。

 

建築家としての視点から申せば、

LDKやリビング階段周辺に

吹き抜けを設けて

外部環境の心地良さを

内側へ取り入れる事で、

「家族が集まる場所」が

開放感と外部環境を

より多く取り入れた

暮らしの環境をよりよくする場へと

格上げされます。

 

自然光をたっぷり取り込む設計。

吹き抜けの魅力のもうひとつは、

天井が高く

窓位置を高められる点です。

 

特に奈良県の住宅地などでは、

敷地まわりに建物が密集していたり、

南面条件が

必ずしも理想的でなかったりする

という場合があります。

 

土地探しからの場合は

その内容も価格には反映されています。

 

そようなとき、

吹き抜けを使って

高窓(ハイサイドライト)

天窓(トップライト)を設けることで、

低い位置にある冬の太陽光を

階上まで引き込み、

明るく居心地の良い

室内環境を実現しやすくなります。

 

さらに、

日中の照明負荷を軽くできるため、

電気代・環境負荷の点でもメリットです。

 

設計段階で、

採光シュミレーションや

窓の配置・庇(ひさし)

遮熱対策と併せて考えることで、

吹き抜け+自然光を

活かした住まいが叶います。

 

通風・空気の流れをつくる設計的意図

暖かい空気は自然と上に上がり、

冷たい空気は下にたまる。

 

このような空気の流れを

意識して設計するのが、

建築家の腕の見せどころです。

 

吹き抜けを通じて

1階から2階へとつながる空間を設け、

低めの窓(1階)+高めの窓(2階)を

組み合わせることで、

自然換気を促す

煙突効果が期待できます。

 

これは、

特に夏場・春秋の中間期において、

窓を開けておくだけで

爽やかな風が通る家を

実現する鍵となります。

 

設計段階で

通風の動線(風の通り道)を

意識した吹き抜けの配置は、

住まい手さんやご家族にとって

「風を感じる日々の暮らし」を

もたらします。

 

家族のつながりを可視化する設計効果

吹き抜けは、

階を超えてつながる

気配の場をつくります。

 

たとえば、

1階リビングに吹き抜けを設け、

2階のホールや子ども室

ワークスペースが見える位置に

配置すれば、

天井で遮られない分、

声・表情・気配が柔らかく伝わります。

 

これは、子育て世代、

又は夫婦2人だけの住まいの場合

家族とのコミュニケーション

程よい関係性を重要視する際、

大きな価値となります。

 

キッチンで家事をしていても、

2階ワークスペースで

子どもが宿題をしていても、

「おかえり」「ちょっと手伝って」

といった伝えやすさ

存在感が生まれやすくなります。

 

暮らしにも人の気持ちにも

空間や環境の影響は

存在します。

 

やまぐち建築設計室では、

このような「視線のつながり」

「気配の流れ」を

吹き抜けも活用しつつ

空間設計に取り込んでいます。

 

将来対応の余白(フレキシブル性)を

内包する可能性。

 

吹き抜けを設けると、

一見「床面積を失う」という

デメリットがあるようにも思えますが、

設計の工夫によって

将来に向けた余白として

活用ができます。

 

例えば、

2階吹き抜け部分に

後から床を張れる構造

梁補強・点検口・配線・仕上げ検討を

設えておけば、

将来子供成長して

「もう一部屋ほしい」

「テレワークスペースが欲しい」という

段階になったときに、

フレキシブルに床化できる

可能性を備えることができます。

 

※内容によって許認可申請・手続きは必要です。

 

これは初期設計で

将来の可変性(ライフステージの変化)を

検討しておく「賢い家づくり」の

ひとつの手法です。

 

吹き抜けならではの注意点・デメリット

 

吹き抜けの魅力は多くありますが、

設計段階で

「知っておくべき」

デメリットもあります。

 

知っていれば、

間取り計画の段階で

自分たちの暮らしに応じた

対策を講じることが可能になります。

 

冷暖房効率の低下・温度ムラの発生

天井が高く空間が大きいと、

暖房時には暖めた空気が

上部に上がり、

1階の居場所がなかなか

暖まらなかったり、

夏場には2階が冷えにくかったりと

温度ムラが生じやすくなります。

 

この点は、

注意すべきポイントであり、

家づくりにおいて

光熱費・快適性を損なわないためには

断熱・気密・空気循環を

同時に検討することが必須です。

 

せっかく開放的な

吹き抜けを設けても、

住まい手さんにとっての

本来の価値は損なわれてしまいます。

 

音・匂いの伝わりやすさ。

吹き抜けによって

階がつながるということは、

音や気配だけでなく、

匂いや煙・声が階上・階下に

伝わりやすくなります。

 

例えば、

1階のキッチンで料理をしているとき、

2階のホール・子ども室に

匂いや煙、音(換気扇・調理器具・会話)が

届いてしまうことがあります。

 

また、

逆に2階でテレビを見ている

Web会議をしているときに、

1階のリビングで

別の家族が過ごしている様子が

気になる、

というケースも考えられます。

 

設計段階で

静かに過ごしたい空間

別の雰囲気が欲しい空間を

吹き抜けの近くに

配置しない配慮が必要です。

 

掃除・メンテナンスの手間。

吹き抜けの高い天井、

2階まで届く窓、

シーリングファンなど、

手が届きにくい部分が増えます。

 

照明器具交換・窓清掃・ファン

照明器具のメンテナンスが

通常より手間となることがあります。

 

設計・仕様検討の段階から

「メンテナンス性」を意識しておくことで、

住み始めてからの「負担」を

軽減する事が可能です。

 

基本的には2階床面積(部屋数)が

減る可能性。

吹き抜けを設けるということは、

その位置に

2階床を張らない=2階の部屋数

床面積が減るということです。

 

特に敷地面積が小さい

部屋数を多く確保したい

将来子ども室を増やしたいという

検討をしている場合は、

吹き抜け設置による

床面積減を見越して

計画を立てる必要があります。

 

将来のライフステージ変化

子どもが増えた/テレワークスペースが

必要になったという事を考えると、

この点を「選択肢を潰さない設計」として

捉えることが大切です。

 

吹き抜けのデメリットを

設計力で解消する方法。

ここでは、

やまぐち建築設計室が考える

具体的な設計アプローチと工夫を、

吹き抜けを安心して

暮らせる空間に変えるために。

 

高性能断熱・気密設計をベースに。

冷暖房効率の低下を防ぐためには、

まず「断熱性」「気密性」の

確保が不可欠です。

 

例えば、

外壁・屋根・床の熱損失を

低くする断熱材・仕様、

窓には断熱サッシ・Low-Eガラス

アルゴンガス注入ペアガラス

遮熱フィルム、

場合によってはトリプルガラス等を

採用することで、

吹き抜け空間においても

熱が逃げにくく外部から

暑さ・寒さが入りにくい住まいを

実現できます。

 

また、

吹き抜け部分の窓は

高所ゆえに熱変動を受けやすいため、

庇の設置や

外付ブラインド/シャッター等の

遮蔽システムも検討します。

 

床暖房の導入や

局所暖房の検討も効果的です。

 

設計段階から

性能値(Q値・UA値・C値)を明確にし、

実測・シミュレーションに基づいた

仕様選定を行うことも、

住まいの快適性と

光熱費抑制を両立させる鍵です。

 

※数値は参考値ですので人の感覚と

普段過ごし方も計画には考慮が必要です。

どんな服装で過ごしますか?

暑がりですか?

寒がりですか?

 

空気の流れを設計に取り込む。

吹き抜けを設けただけで

「空気の流れ」が

自然に完成するわけではありません。

 

設計段階で風の道(通風動線)を

意図的にデザインすることが

重要です。

 

例えば、

1階に大開口・低めの窓/扉を設け、

2階吹き抜け上部に

高位窓・天窓・換気開口を設ける。

 

さらに、

吹き抜けにシーリングファンや

ロングブレードのファンを配置して、

上がりがちな暖気を

下げる循環を促す。

 

これにより、

夏場の滞留した熱や、

冬場の上部に溜まった暖気を

軽減することができます。

 

また、

季節ごとに「風の抜ける向き」

開ける窓の組み合わせを

設計段階から

住まい手と共有しておくことで、

暮らしながら

「ここを開ければ風が通る」という

暮らしの知恵が生まれます。

 

窓・庇・遮蔽・採光のバランスを考える。

吹き抜けの醍醐味は

「上部から差し込む光」ですが、

そこに熱(夏の日射)や

冷気(冬の放射冷却)が

付随することもあります。

 

計画としては、

以下のような工夫が効果的です。

 

吹き抜け上部窓に、

長めの庇を設けて夏場の直射を遮り、

冬場の低い太陽光を取り込む。

 

外付けブラインド・ルーバー

シャッターなどを採用し、

日中の遮蔽も視野に入れる。

 

窓ガラスに遮熱フィルムを貼る、

またはLow-E複層ガラスを用いて

熱負荷を軽減する。

 

吹き抜け空間にグレア(眩しさ)や

反射が出ないよう、

天井・壁・開口部の素材・色を計画し、

明るさと快適性のバランスを整える。

 

採光シミュレーションを行い、

「午前・午後・冬至・夏至」の

光の入り具合を確認しながら、

窓位置・大きさ・向きを検討する。

 

これらを設計段階から

丁寧に検討することで、

明るく開放的だけれど、

暑くて暮らしにくい

という失敗を避けられます。

 

※明るさだけで暮らしやすく

なるわけでなくて温熱環境と共に

程よい明るさと程よい暗さ

陰翳礼讃のような影の効能も

取り入れるケースがあります。

 

音・匂い・視線のコントロール設計。

吹き抜けによる「つながり」は、

コミュニケーションを促す一方で、

プライバシー・静けさ

臭気コントロールには注意が必要です。

 

以下のような設計アプローチが有効です。

 

音・匂いが伝わりやすい間取りでは、

静に過ごしたい場所(寝室・ワークスペース)を

吹き抜けから距離を置いて配置する。

 

吹き抜けから直接見えないような

壁・手すりのデザインを検討し、

視線の抜けを

程よくコントロールする。

 

キッチンから吹き抜け直上に上がる

煙・匂い対策として、

換気扇・ダクト・天井ファンを

設けるとともに、

吹き抜け上部の窓を

換気開口として活用する。

 

吹き抜けに隣接する部屋の

扉・壁・床材の遮音性能を

一定水準確保しておく。

 

吹き抜けの床・手すり

2階ホールを設計する際、

「音の反響」

「吹き抜けによる音の上昇・下降」を意識し、

適切な仕上げ・吸音材

手すりデザインを採用する。

 

こうした配慮によって、

吹き抜けの開放感じる暮らしと

暮らしやすさ・静けさ・快適性を

両立することに繋がります。

 

メンテナンス・将来対応を

設計に織り込む。

 

吹き抜けのデメリットとして

「高所手入れ」「床面積の減少」が

ありましたが、

設計時にメンテナンス性

将来可変性を盛り込むことで

さほど負担にせず済みます。

 

照明器具はLEDを基本とするので、

寿命を長くする。

高所手の届きにくい位置にある

照明やファンには

メンテナンス用点検口・昇降装置

リモート制御、その場所まで移動可能な

仕組みを検討する。

 

吹き抜け上部窓・天窓には掃除

開閉点検のための足場

アクセスルート・モップ取付用フックなどを

設計段階で用意しておく。

 

吹き抜け部分の構造を

将来「床を張る」ために対応できるよう、

構造である梁・柱・配線・断熱を

予め検討・確保しておく。

これにより、

将来家族構成が変わったときに

もう1部屋増やしたい

という希望にも応えやすくなります。

 

掃除・換気・空気循環の容易さを考慮し、

シーリングファンや

サーキュレーター導入

脚立を要さずに効果的な動線を作る。

 

吹き抜け周辺の仕上げ素材は、

埃・油煙などが付きにくい材や

メンテナンス性の高い

仕上げを選定する。

 

計画時における吹き抜けを

検討する際の確認事項。

 

仕上げ前に以下の確認ポイントを。

 

吹き抜けを設ける目的

場所を明確にしていますか?

(開放感/採光/家族の気配)

 

吹き抜けによる失われる床面積

将来の利用可能性を検討しましたか?

 

断熱・気密・窓仕様

(サッシ・ガラス・庇・外付遮蔽など)は十分か?

 

通風動線(1階窓/2階高窓/ファン)を

確認しましたか?

 

高所窓・天窓・手入れのしやすさ

掃除アクセスは設計されていますか?

 

音・匂い・視線の設計配慮

(静かな部屋の配置・家事空間との距離)

しましたか?

 

将来の間取り変更・可変性

(床張り可能性・配線・構造補強)を

検討しましたか?

 

照明・ファン・メンテナンスルート

LED化・昇降器具・脚立不要設計)を

考慮しましたか?

 

吹き抜け空間の仕上げ素材

掃除性・耐汚染性を

選定しましたか?

 

家族構成・ライフステージ変化

(子どもが成長/テレワーク増)を

前提とした計画になっていますか?

または、リスクを確認しましたか?

 

以上の確認を行うだけでも

吹き抜けを採用して後悔した

ということをなるべく回避し、

開放的でありながら

暮らしやすい住まいを

実現することが

それぞれの家族や暮らしにとって

最適解に近づきます。

 

吹き抜けは、

単なる「天井を抜いた空間」では

ありません。

 

そこには「光」「風」「家族の気配」

「空間デザインの奥行き」が

詰まっています。

 

吹き抜けはオシャレでありながら、

心地よく、

暮らしに豊かさをもたらす住まいの

象徴となり得ます。

 

一方で、

吹き抜けを設けるという選択は、

冷暖房効率・音・匂い・手入れ

将来の間取り変更といった

暮らしの課題を伴います。

 

ですが、

計画や設計段階で

しっかりと意識して

断熱・通風・窓・可変性・メンテナンス性を

検討すれば、

これらのデメリットは

意味が変化します。


やまぐち建築設計室では、

吹き抜けをただ形として

採用するのではなく、

住まい手さんのライフスタイル

家族構成・将来変化の予測までを

視野に入れて、

開放感と暮らしやすさのバランス

としてのデザインを施しています。


もし、

吹き抜けのある家づくりを

ご検討であれば、

どのような暮らしを

その空間で叶えたいのか、

どんな時間をその家族で重ねたいのか、

ぜひ意識しながら考えてみてください。

 

今回のblogが、

吹き抜けを住まいの設計に

取り入れる皆さんにとっての

「気づき」と「安心」に

つながれば幸いです。

 

程よい開放感のある吹き抜けが、

家族の声と気配をつなぎ、
暮らしに豊かさをもたらす

「光と風の舞う空間」となりますように。

 

ご相談や計画についての

希望があれば、

ぜひ気軽にお問い合わせください。

 

やまぐち建築設計室は
その家に暮らす家族の過ごし方を
デザインする設計事務所です。

 

〇関連blog

吹き抜けという空間の余白が育む、ナチュラルでホテルライクな住まいの豊かさ・子育て世代の暮らしに寄り添い、未来のライフスタイルの変化にもしなやかに応えるリビング空間の設計。

https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail562.html


‐‐----------------------------------------
■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
  建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/

住まいの設計、デザインのご相談は
ホームページのお問合わせから
気軽にご連絡ください
------------‐-----------------------------

 

BACK

ブログトップへもどる