ブログ・コラム
2025.12.16
和モダン住宅のリビング設計とは|数寄屋の思想から考える、心地よさが続く住まい。
- カテゴリ:
- 和モダン思想
和モダン住宅のリビング設計を
深く考える。
家族の時間・感情・距離感を整える
空間の本質提案。
和モダンの家を考えるとき、
多くの方が最初に思い浮かべるのが
「リビング」という空間では
ないでしょうか?。

※視線を落ち着かせる低めの家具配置と、
陰影を大切にした空間計画。
和モダン住宅のリビングとして
家族の時間を静かに整える
LDKの一部空間です。
家族が集まり、
来客を迎え、
一日の始まりと終わりを
受け止める場所。
リビングは、住まいの中で
最も多くの時間を過ごし、
最も多くの感情が
交差する場所となることが
考えられる場所。
やまぐち建築設計室では、
和モダン住宅のリビングを
「見せるための空間」ではなく、
「暮らしを整えるための空間」
として設計しています。
和モダンとは、
そもそも何なのか?。
和モダンという言葉は、
今や住宅雑誌やSNS、
住宅会社の広告でも
頻繁に使われています。
しかし、その実態は非常に曖昧です。
・木を使っていれば和モダン
・瓦屋根なら和モダン
・障子を使えば和モダン
こうした表層的な理解だけでは、
住み始めてからの
違和感が生まれることが
少なくありません。
やまぐち建築設計室が考える
和モダン・・・・・。
見た目のイメージも
大切なのですが
日本の住まいが長い時間をかけて
育んできた「暮らしの知恵」を、
現代の生活に合わせて
再構築することだと考えています。
様式だけではなく、
思考のあり方です。
日本の住まいが
本来持っていたリビングの役割
かつての日本家屋に、
今のような「リビング」
という言葉はありませんでした。
居間、茶の間、座敷。
用途は曖昧で、境界は柔らかく、
暮らしの中心は常に「人」でした。
・家族が集まる
・季節によって居場所を変える
・時間帯で使い方が変わる
これらは決して不便な暮らしではなく、
変化に柔軟に対応できる
豊かな住まいだったといえます。
和モダンのリビング設計は、
この「柔らかさ」を
現代に取り戻す試みでもあります。
なぜ広いという枠組みだけのリビングが
落ち着かないのか?
現代の住宅では、
LDKは広ければ広いほど良い、
という価値観が一般的です。
しかし実際に暮らしてみると、
・広すぎて持て余す
・家具の配置が難しい
・家族が分散してしまう
といった声もあるかと思います。
これは、
物理的な広さと、
心理的な心地よさが一致していない
ことが原因です。
やまぐち建築設計室では
和モダンのリビングに
限った話ではありませんが、
「どこに座り、どこを見るか」
という人の感覚を起点に
空間を組み立てます。
結果として、
数値以上に豊かで、
落ち着きのあるリビングが生まれます。
視線計画が、
空間の質を決めるということ。
人は無意識のうちに、
常に視線を動かしています。
テレビ、窓、家具、壁、庭。
視線が忙しい空間は、
それだけで疲れを生みます。
和モダンのリビング設計では、
・視線の先に「抜け」をつくる
・あえて何も置かない壁を用意する
・主役をひとつに絞る
といった設計を行います。
視線が整理されると、
心も自然と落ち着いていきます。
床に近い暮らしがもたらす安心感。
和の空間が
落ち着く理由の一つに、
「床に近い生活」という
考え方があります。
視線が低くなることで、
空間を広く感じ、
身体の緊張が緩みます。
和モダンのリビングでは、
・低めのソファ
・畳スペース
・床材の質感を活かした設計
を取り入れることで、
自然と身体が休まる環境をつくります。
これは流行ではなく、
人間の感覚に基づいた合理性です。
光を「量」ではなく「質」で考える
明るい家=良い家
という考え方は、
必ずしも正解ではありません。
強すぎる光は、
落ち着きを奪います。
和モダンのリビングでは、
・直射日光を和らげる
・時間帯で表情が変わる
・影を残す
といった光の設計を行います。
障子、深い軒、植栽、間接照明。
これらはすべて、
光を整えるための装置です。
家族の距離感をどう設計するか
リビングは、
常に会話が生まれる場所である
必要はありません。
同じ空間にいながら、
それぞれが違うことをしていても、
気配だけは感じられる。
和モダンのリビングは、
近すぎず、
遠すぎない距離感をつくります。
これは、
・天井の高さ
・家具の配置
・視線の重なり
といった細やかな設計の
積み重ねによって実現します。
和モダンとホテルライクの共通点
ホテルが心地よい理由は、
非日常だからではありません。
・情報が整理されている
・動線が分かりやすい
・音や光が抑えられている
これらはすべて、
人を休ませるための設計です。
和モダン住宅は、
この考え方と非常に相性が良い。
和モダン×ホテルライクのリビングは、
日常を疲れさせない空間になります。
奈良という土地が和モダンに向いている理由
奈良は、
・低層住宅が多い
・空が近い
・四季の変化がはっきりしている
という特徴があります。
これらは、
和モダンのリビング設計にとって
大きな強みです。
外との関係性を丁寧に設計することで、
リビングは
より豊かな場所になります。
和モダンのリビングに「正解」はない
和モダンのリビングに、
決まった形はありません。
ですが、最適解は存在しています。
大切なのは、
・どんな時間を過ごしたいか
・どんな距離感で暮らしたいか
・何を大切にしたいか
それを丁寧に言葉にし、
空間に翻訳することです。
和モダンのリビングは、
暮らしを映す鏡。
和モダン住宅のリビングは、
デザインのための
空間ではありません。
家族の時間と感情を、
静かに整える場所です。
何もしない時間。
言葉のない時間。
ただ一緒にいる時間。
そうした日常が、
住まいの価値をつくっていきます。
やまぐち建築設計室は、
和モダンという思想を通して、
暮らしの中心となる
リビングを通して
過ごし方の価値観を
住まい全体を通じて
丁寧に設計しています。
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○関連blog
和モダン住宅の真価とは|数寄屋の美意識と設計思想から考える、上質な和モダンの住まい。
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail670.html
やまぐち建築設計室|公式ホームページ
https://www.y-kenchiku.jp
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