ブログ・コラム
2025.12.16
奈良で失敗しない土地探しと家づくり・移住も含めて、地域の価値観を読む建築家の視点。
- カテゴリ:
- 家造りの最初の段階での選択肢
地域の価値観を読み解く住宅設計。
奈良県で家づくり
土地探し・移住を考える方へ。

家づくりを考え始めると、
多くの方が
「どんな間取りがいいのか」
「土地はどこが良いのか」
といった具体的な
検討から入られると思います。
しかし、
住宅設計の現場に長く携わっていると、
それ以前に必ず立ち止まって
考えてほしい視点があると感じます。
それは、
その土地では、
どんな価値観が大切にされてきたのか?
ということです。
住宅は単なる建物ではありません。
その土地の文化、人のつながり、
暮らし方を包み込む
「暮らしの器」だと、
やまぐち建築設計室では考えています。
家族や地域が違えば、
家づくりの前提はまったく変わる。
住宅設計をしていると、
この地域では昔からこうしてきた、
それを崩すと、
暮らしにくくなる。
という言葉を耳にすることがあります。
たとえば奈良県の旧地域では、
母屋より新しい建物を
高くしてはいけない。
という考え方が、
今も自然な前提として
残っている地域があります。
これは法律ではありません。
しかし、
集落全体の秩序や
人間関係を穏やかに保つために、
長い時間をかけて
育まれてきた暮らしの知恵です。
土地条件や数字だけを見て
家づくりを進めてしまうと、
完成後に
「なぜか落ち着かない」
「周囲と距離を感じる」
といった違和感に
つながることも少なくありません。
奈良という土地が
大切にしてきた“関係性”。
奈良での家づくりでは、
建物の性能やデザイン以上に、
周囲との関係性が
重視される場面が多くあります。
・氏神様やお寺との位置関係
・お墓や仏間の考え方
・本家・分家、親世帯との距離感
・集落の中での建物の佇まい
これらは図面には
表れにくい要素ですが、
実際の暮らしやすさに大きく影響します。
特に、奈良への移住や
Uターン・Iターンを
検討されている方にとっては、
この「見えない前提」を知らずに
土地を購入してしまうことが、
後悔の原因になるケースも
少なくありません。
同じ奈良でも変わる、
設計と土地探しの視点・・・・・。
奈良県内でも、
・市街地
・郊外
・旧村部・山間部
では、
設計の前提条件は大きく異なります。
市街地では、
敷地条件や隣地との距離、
視線や音への配慮が重要になります。
一方、郊外や旧村部では、
地域の慣習や自治会との関係、
農地や山林との境界といった、
住み始めてから
影響する要素が特に重要になります。
だからこそ、
土地探しと家づくりは切り離さず、
設計の視点を持って
土地を見ることが欠かせません。
移住を伴う家づくりを
考えている方へ。
建築家として
設計の視点で見るチェックリスト
奈良への移住や
郊外での家づくりでは、
土地の価格や景色の良さだけで
判断してしまうと、
住み始めてからの「想定外」に
直面することがあります。
以下は、
設計相談を検討する際、
特に重要になる視点を整理した
チェックリストです。
□ 土地・建築条件
- 建て替え・新築が確実に可能か
- 市街化区域/市街化調整区域の確認
- 接道条件・地目・将来の増改築の可否
□ 地域性・暮らしの前提
- 自治会や地域行事への関わり方
- 近隣との距離感
- 本家・分家など、地域特有の考え方
□ 日常生活・利便性
- 通勤・通学・買い物の現実的な距離
- 車が必須の生活かどうか
- 夜間の暗さや坂道、冬場の環境
□ 将来の変化
- 10年後・20年後の暮らし
- 親世帯との関係
- 子どもの成長後の住まい方
「建てられる土地」ではなく、
「暮らし続けられる土地かどうか」
この視点がとても重要です。
土地同行・移住についても
よくお問合せをいただきます。
土地を見る前に、設計の視点を。
やまぐち建築設計室では、
土地探しや移住を伴う
家づくりに向けて、
建築家が土地選びの段階から関わる事で
避ける事が可能なモノゴトを見てきたので
「土地同行・移住相談」も行っています。
単に敷地条件を見るだけではなく、
・その土地で、どんな暮らしができるのか
・無理なく、長く住み続けられるか
・地域との距離感は自分たちに合っているか
といった内容を、
設計の視点で一緒に整理していきます。
なぜ、土地探しから設計の視点で
建築家が関わるのか?
土地を購入してから
私が土地を調査すると
不動産業者から
聞いていた内容での家が建てられなかった。
土地を活用する為の段階までに
整理する内容が多すぎて
引っ越しの予定が建てられないかも知れない。
という内容は、
決して珍しくありません。
建築家の立場で
土地探しの段階から関わることで、
その土地で実現できる
住まいの方向性や、
将来を見据えた暮らしの余白まで含めて、
購入前に判断材料を
持つことができます。
これは、
後悔しない家づくりのための
大切なプロセスです。
地域と人、
土地と暮らしをつなぐ
住まいを目指して
家は暮らしを包む器であると同時に、
地域社会の一部でもあります。
「この土地を選んでよかった」
「この家で、長く安心して暮らせる」
そう感じていただける
住まいづくりとなるように、
やまぐち建築設計室は、
土地・地域・人に寄り添う
住宅設計を丁寧にご提案しています。
この記事を読んでくださった方へ。
まずは内容を整理するところから
始めませんか?。
家づくりや土地探し、
移住について考えていると、
情報が多すぎて、
「何から決めればいいのか分からない」
と感じる瞬間があるかもしれません。
○土地探しについての関連blog
数字では見えない土地の価値・建築家が読み解く“暮らしを育てる土地選び”の提案。
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail658.html
今回のblog記事を読んで、
・地域の価値観
・土地と暮らしの相性
・移住に伴う注意点
について、少しでも
「自分たちの場合はどうだろう?」
と感じられたなら、
それは家づくりを考える上で、
とても大切な気づきだと思います。
やまぐち建築設計室|公式ホームページ
https://www.y-kenchiku.jp
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
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