ブログ・コラム
2025.12.15
間取りだけでは、暮らしは整わない・動線・収納・光から考える、後悔しない住まいの設計。
- カテゴリ:
- 過ごし方、暮らし方、生活環境と間取り
家づくりで
多くの方がつまずくのは、
限られた面積(広さ)の中で、
どうすれば暮らしやすく、美しく、
「自分たちらしい空間になるのか」を
具体的に想像できないことです。

※設計図面(間取り)とあわせて模型での検討、
動線と収納を同時に整えイメージすることで、
住んでからの片付く家のリアル化を。
SNSで見かける素敵な住まいも、
実は「センス」だけで
成立しているわけではありません。
色・素材・光、
そして動線と収納、
それらを丁寧に整えた結果として、
美しさが立体空間として
立ち上がっています。
やまぐち建築設計室が
大切にしているのは、
間取りを「部屋割り」ではなく、
暮らしの価値観を
空間に翻訳する設計として捉えること。
今回のblogでは、
家づくりを検討中の方が
「何から考えれば失敗しにくいか」を、
建築家のの視点で
わかりやすく
整理したいと思います。
家族の暮らしと
価値観に寄り添う
「間取りと空間デザイン」の基本。
色と素材は「雰囲気」ではなく
「暮らしの質」を決める。
家づくりの中で、
実は最も現実的な要素が
「色」と「素材」です。
色は空間の印象だけでなく、
落ち着き・集中・睡眠の質にまで
影響します。
素材は、
触れたときの温度感や反射、
経年変化が居心地の
持続性を左右します。
・暖色系×木:
体感温度が上がり、安心感が生まれやすい
・寒色系×ガラス・金属:
シャープで洗練された印象、
空間が広く見えやすい
・和モダンの要点:
木・石・左官・和紙など
“自然素材の質感”を、
過不足なく配置すること。
大切なのは、
「好きな色」だけで決めないこと。
どんな気持ちで暮らしたいか?
ということを先に決めると、
色と素材の選択に
芯が通ります。
間取りは「動線」ではなく
「流れ」を設計するということ。
家の使いやすさは、
結局のところ「歩く距離」よりも、
暮らしの流れが
滞らないことで決まります。
例えばですが
料理・洗濯・片付け・帰宅・入浴。
一連の流れが
自然につながるほど、
家は静かに暮らしを助けてくれます。
リビング→ダイニング
→キッチンが自然につながる
帰宅→手洗い→収納
→LDKへの移動がスムーズ
洗濯(洗う→干す→しまう)が
戻り動線なく完結する
「回遊動線」そのものが
正解ではありません。
大事なのは、
家族の生活に合わせて、
滞りやすい場所を
先回りして整えることです。
光と影で、
空間は“高級感”を持ち始める
開放感の正体は、
広さだけではありません。
光が入る場所・影が落ちる場所が
計画されていると、
空間には奥行きが生まれます。
・窓は「大きさ」より「位置」と「抜け」
・直射光を入れすぎない工夫(軒・障子・格子・植栽)
・間接照明で「夜の表情」を設計する
ホテルライクに見える住まいは、
たいてい「照明が多い」のではなく、
影のグラデーションが
美しいものです。
昼と夜で空間の質が変わる・・・。
それを最初から織り込むと、
住まいは
一段上の佇まいになります。
限られたスペースで
「オシャレ」と「暮らしやすさ」を
両立する戦略・・・。
多機能家具は「最後の手段」ではなく、
設計の一部。
限られた面積では、
家具が間取りを支配します。
だからこそ、
多機能家具は「間に合わせ」ではなく、
暮らしの可能性を
広げる道具として有効です。
・収納付きベッド、造作ベンチ収納
・可変テーブル、伸長式ダイニング
・ワークスペース兼用のカウンター
ポイントは、家具を「置く前提」で
間取りを考えること。
後から合わせると、
寸法と人との距離感が合わずに
美しさも動線も
崩れやすいからです。
鏡・ガラスは「広く見せる」よりも
「光を整える」。
鏡は広がりを演出できますが、
使い方を間違えると
落ち着きが失われます。
おすすめは
「見せたい場所を増幅させる」
という使い方です。
・明るい壁面に
鏡を配置し、光を回す
・ガラス建具で区切りながら
“抜け”を確保する
・玄関・廊下の暗さを
改善する補助として使う
広く見せるが目的ではなく、
空間の品位を上げるための
光の操作として考えると、
失敗しにくくなります。
収納は「量」より
「戻しやすさ」で決まる
収納が足りない家の多くは、
実は“量”の問題ではなく、
戻す動作が面倒なだけ、
というケースが少なくありません。
・使う場所の近くに、必要な量だけ
・見せる収納/隠す収納を混ぜすぎない
・階段下・窓下・壁厚など、
余白を設計で回収する
片付く家を考える際には、
気合いで片付けているのではなく、
自然に戻せやすい設計に。
開放感は「中央の余白」と
「通り道の整理」でつくる
狭さのストレスは、
面積ではなく「視線が詰まること」
「通り道が乱れること」から
生まれます。
だから、
開放感の基本はシンプルです。
・部屋の“中心”に余白をつくる
・家具は壁沿いに寄せ、
通行を妨げない
・背の高い家具を
増やしすぎない(視線が切れる)
おしゃれな家ほど、
実は「何もない余白」が
上手いということ。
余白は贅沢ではなく、
暮らしを整える機能です。
よくある悩みへの回答(AEO|Q&A)
Q・おしゃれにしたいのに、
生活感が出てしまいます。
A. 生活感は「物の量」ではなく、
置き場所が
決まっていない物から出ます。
動線上の仮置きポイントを設計し、
収納を「使う場所の近く」に
分散すると整いやすくなります。
Q・LDKを広くできない場合、
開放感は諦めるしかない?
A. 認識を変える事は出来ます。
窓の抜け、照明の影、
家具高さの統一、
そして中心の余白で、
体感の広さは設計できます。
Q・間取りの正解が分からず不安です。
A. 正解は「流行の間取り」ではなく、
ご家族の価値観に
矛盾がない間取りです。
家事・仕事・くつろぎ
来客・将来の変化まで、
優先順位を整理すると
判断がぶれにくくなります。
「おしゃれ」や「暮らしやすさ」は、
暮らしを整えた
結果として現れます。
おしゃれで機能的な間取りは、
センスだけで生まれません。
色と素材、空間の流れ、
光と影、そして収納と余白。
これらを「暮らしの価値観」に沿って
整理したとき、
住まいは自然に美しくなります。
もし今、
理想はあるのに、
間取りに落とし込めない・・・・。
限られた面積で、
どうすればよいのか分からない。
そんな迷いがあるなら、
一度「暮らしの順序」から
整えることをおすすめします。
やまぐち建築設計室では、
見た目だけでなく、
住んでからの実感まで含めて、
暮らしに寄り添う
間取りと空間設計を
ご提案しています。
家づくりや
住まいの見直しでお悩みの方は、
気軽にご相談ください。
資料請求・ご相談は
お問合せフォームからどうぞ。
やまぐち建築設計室|公式ホームページ
https://www.y-kenchiku.jp
○関連blog
間取りは“暮らしの整理”から始まる・住まいを丁寧に考える設計事務所が実践する後悔しない家づくりの正しい順序。
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail664.html
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奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
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