ブログ・コラム
2025.11.28
和をモダンに趣を楽しむホテルライクな空間と中庭が育む静けさと上質の住まい。光・風・プライバシーを設計する邸宅の心地良さを保つ計画性。
- カテゴリ:
- 庭・中庭・外構と暮らす設計
中庭のある暮らしがもたらす
上質な「余白」と、
快適に暮らすための設計のカタチ。
家の中心に、
静かにひらけた「余白」がある暮らし。

※吹き抜けの開放感と中庭の静けさが溶け合う、
和モダンの上質なリビング。
大開口から差し込む光が
木質の陰影をやわらかく照らし、
ホテルライクな心地をつくり出す過去設計提案事例。
外からの喧騒を
ほどよく遠ざけながら、
光と風が心地よく巡る空間。
中庭は、ただ「おしゃれ」なだけの
存在ではありません。
住まいの質を深く支え、
家族の過ごし方そのものを
豊かに整えるための
大切な間取りの設計要素にもなります。
奈良県内でも建築予定地の状態等によって
中庭のある家を
希望される方は年々増えていますが、
一方で「メンテナンスが大変では?」
「居住スペースが減る?」
と不安を感じる方も多いかと思います。
今回のblogでは、
やまぐち建築設計室が考える
中庭の魅力と注意点、
そして
後悔しない中庭計画を叶えるための
設計ポイントを、
建築家の視点から書いてみたいと思います。
中庭のある暮らしを検討する
すべての方の参考になれば幸いです。
1|中庭とは ― 家の中心にある、
もうひとつの外部空間。
中庭とは建物内部に設けられた
屋根のない庭のことを指します。
代表的な形は、
- ロの字型(完全中庭)
- コの字型(片側が開いた中庭)
- L字型(部分的な囲い)
- 町屋型(細長い内庭)
などがあり、
敷地条件や暮らし方に合わせて
柔軟に設計の検討が出来ます。
奈良でも駅などに近い市街地や
道路幅の狭い込み入った場所のように
隣家との距離が近い地域では、
外部からの視線を気にせず、
自分たちだけの外空間を
確保できる「中庭」の計画は
非常に大きな魅力となります。
2|中庭がもたらすメリット
光・広がり・安心を生む住まいの核。
(1)家の中心から光が入る、
安定した採光性
中庭は頭上が空に抜けているため、
たとえ周囲を建物に囲まれた敷地でも
計画内容によって
自然光をしっかり取り込むことができます。
- 中心部まで明るくなる
- 午前・午後問わず光が入りやすい
- 隣家が建て替えても日当たりが極端に悪くなりにくい
など、住宅密集地でも
安定した採光が叶う点は
大きなメリットです。
(2)視線が外へ抜け、
空間に開放感が生まれる
壁に囲まれた土地では、
窓の外に「隣家の壁」しか
見えない場合も少なくありません。
中庭があるだけで、
家のどこにいても視線が緑に向かい、
圧迫感が解消されます。
とくに、
- リビングと中庭をフラットにつなぐ
- ウッドデッキを設えて一体感を生む
といった計画をすることで、
実際以上の広さと
開放感を得ることが
出来るようになります。
(3)外からの視線を遮りながら、
のびやかに暮らせる。
住宅街では通行人や
隣家の窓が気になることがありますが、
中庭であれば
その心配はほとんどありません。
- カーテンを閉めなくても良い
- 洗濯物を干しても見られない
- 子どもが安心して遊べる
など、
完全なプライベート空間として
機能してくれます。
(4)子どもの遊び場としても
安心できる空間に。
車の心配も、不審者の心配も不要。
家事をしながらでも
子供の様子が見える「安全な外部空間」
として、
中庭は非常に好相性です。
(5)暮らしの豊かさを広げる趣味スペースに
- ガーデニング
- アウトドアリビング
- コーヒータイム
- ウッドデッキでのBBQ
- 夜空を楽しむ時間
中庭は、遠くへ行かなくても
アウトドアを楽しめる余白として、
暮らしの豊かさを
静かに育てる存在です。
3|中庭のデメリット
設計の工夫で「解消できる部分」も多い。
もちろん、
中庭には注意すべき点もあります。
(1)建築費が高くなる場合がある
壁や角が増えるため、
一般的な住宅と比べて
コストが上がる場合があります。
ただし、
- ロの字型 → 最も高い
- コの字型 → コストとプライバシーのバランスが良い
- L字型 → 比較的抑えられる
というように、
形状によって調整が可能です。
(2)メンテナンスの手間がかかる
植栽の管理、窓掃除、
デッキのメンテナンスなど、
一定の手間が必要です。
維持管理が負担になる方には、
- 人工木デッキ
- メンテナンス性の高い植栽
- 水はけをよくする配置計画
といった設計で対応できます。
(3)湿気がこもりやすい
排水計画が重要・・・・・。
中庭は計画の内容によっては
湿気がたまりやすいため、
- 風の通り道の確保
- 適切な排水勾配
- 日照計画
などを建築段階から
しっかり整える必要があります。
(4)居住スペースが減る可能性
敷地が限られる場合、
中庭によって
部屋の広さが取れなくなる
というケースもあります。
広さと中庭の心地よさの
優先順位を明確にしたうえで
設計することが大切です。
(5)冷暖房効率が下がることもある
大開口の窓は室温に影響を与えますが、
- 高断熱サッシ
- Low-Eガラス
- 庇や深い軒
- 気密性の高い施工
でほとんどの
デメリットは解消できます。
4|中庭がある家で
快適に暮らすための設計ポイント。
(1)生活動線の最適化は絶対条件
ロの字型にすると
回遊動線が長くなりがちです。
- 洗濯動線
- キッチンと玄関の距離
- トイレ・洗面の配置
- リビングと子供部屋のつながり
毎日の動きを丁寧に想定しながら
計画することで、
中庭を「負担のない余白」に
変えることができます。
(2)中庭の使い方は「可変性」を
持たせておく
- ガーデニング
- 芝生
- タイルテラス
- 家庭菜園
- セカンドリビング
ライフステージに合わせて
変化できるような中庭にすることで、
長く価値を保ち続けます。
(3)湿気・風・日照のコントロールを丁寧に行う
これは建築家が最も重要視する部分です。
- 風が抜ける位置
- 午前と午後の光の入り方
- 建物の高さ関係
- 排水能力
これらを一体的に整えることで、
住まいの中心にある外部空間が
快適さを支える核となります。
中庭は、
暮らしを静かに豊かにする
家族のための余白。
中庭のある住まいは、
光・風・緑の気配を身近に感じながら、
外からの視線を遮り、
家族の心をゆっくりと
整えてくれる特別な空間です。
もちろん、
建築費や維持管理などの
課題もありますが、
丁寧な設計によってデメリットは小さく、
メリットは最大化できます。
中庭は「つくる」だけではなく、
どのように暮らすのか?
を設計する空間です。
やまぐち建築設計室では、
敷地環境・家族構成・暮らし方
将来のライフステージまで踏まえた
中庭計画をご提案しています。
奈良で中庭のある住まいをご検討の方は、
ぜひお気軽にご相談ください。
建築家として、
暮らしの美しさと心地よさを
大切にした
あなたらしい中庭のある家を。
〇関連blog
家族が心地よく暮らせる家、奈良で建築家と叶える光と緑に包まれた和モダンの住まいの設計、陰影を楽しみつつも光と緑が調和する中庭のある暮らし提案も暮らしの工夫に。
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail629.html
〇関連blog
ウッドデッキがもたらす暮らしの余白|開放感と上品な時間を育む住まいの提案、資産価値を高めるウッドデッキと間取りの設計で暮らしを豊かにする外と内のつながりのある暮らし。
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail606.html
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
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