ブログ・コラム
2025.11.16
内と外がやわらかく溶け合う、中庭と暮らす和モダン住宅。日々の行為と感性を整える、豊かな間取りと空間デザイン。
- カテゴリ:
- 過ごし方、暮らし方、生活環境と間取り
中庭のある家を
失敗しないための計画と設計ポイント。
奈良で叶える、
光と風と四季が満ちる
和モダン住宅の提案。

※大開口と吹き抜けが光と風を中庭から
住まいへと導く和モダンのLDK。
木の温もりとモノトーンの調和は、
今回の住まい手さんの価値観に融合した
ホテルライクな暮らしを叶える設計です。
中庭のある家は、
ただ「家の内側に庭がある」という
概念にとどまりません。
光の質、風の流れ、
家族の時間、四季のうつろい、
プライバシーの安心、
そして暮らしそのものの思想までを
そっと整えてくれる、
建築的な「内なる外」です。
やまぐち建築設計室が
奈良県で手がける住まいでは、
和モダン、ジャパンディ、
ホテルライク、
数寄屋の要素を織り交ぜ、
中庭を美しいだけではなく、
暮らしの質感と
体温を上げるものとして計画します。
今回のblogでは、
中庭のある家を
検討される方が後悔しないよう、
設計、住み心地、プライバシー、
予算、メンテナンス、暮らしの活かし方
といった重要な観点を、
建築家の視点から
書いてみたいと思います。
中庭のある家が暮らしにもたらす価値
中庭は、
住まいに「自然」と「視線の抜け」を
持ち込む装置です。
外に開くのではなく、
内に開く庭だからこそ
得られる価値が存在します。
・自然光が一日を通して家の奥にまで届き、
明るさの質が向上する。
・風が抜け、
空気が淀まない住環境が生まれる。
・四季の変化が暮らしのリズムを
整えてくれる。
・外部視線が入りにくく、
開放感とプライバシーが両立する。
・内外が連続し、
空間体験に奥行きが生まれる。
中庭は贅沢な装飾ではなく、
暮らしの質を整える
建築的な機能と言えるのです。
失敗しないための
中庭設計における基本視点。
レイアウトの計画性を甘く見ないこと。
中庭は、
家のどこに配置するかによって
効果が大きく変わります。
リビングやダイニングと
自然につながる位置関係に置くと、
室内が視覚的に広がり、
ホテルのラウンジのような
開放感が生まれます。
浴室や脱衣室に隣接して
和の趣を向上させれば、
日常が「私的な温泉宿」のような
趣に変化します。
書斎(ワークスペース)に結び付けると、
気持の回復力を支えてくれます。
どの部屋とつなぐと
最も暮らしが豊かになるのか。
暮らしを検討せずに
単純にLDKに設けるなど
丁寧に検討せずに
中庭を設けると、
ただの「使われない空白」に
なってしまいます。
採光の「量」ではなく「質」を
設計すること。
光は多いほど良いとは限りません。
眩しさによるストレスや、
家具・床材の日焼けに
つながることもあります。
光の反射や角度、
陰影の出方を読むことで、
しっとりとやわらかい光に
満たされた中庭が生まれます。
風通しは「入れる」だけではなく
「抜ける」方向をつくること。
風は入口と出口の双方が
存在してはじめて流れます。
隣家の状況や地形、
季節風の方向を読み解きながら、
中庭が空気の
循環機能を担えるように
設計することが重要です。
プライバシーは
外構と建築で一体で守ること。
中庭は開放感が魅力ですが、
同時に視線対策が欠かせません。
塀や袖壁、格子、雑木、
デッキの高さなどを
組み合わせることで、
視線を遮りつつ、
開放性と心理的な安心感が両立します。
予算計画は
「初期費用+維持費」で考えること。
外構やデッキ、排水計画、
照明、植栽のメンテナンスなど、
中庭には長期的な
維持コストがつきまといます。
しかし、
地元樹種の雑木を用いたり、
耐久性の高いタイルデッキにしたり、
ローメンテナンス植栽を
選ぶことでコストを抑えながら、
美しさを保つことが可能です。
中庭のある家で深まる「住み心地」。
中庭のある暮らしが、
なぜ心を満たすのか。
その理由は、
四季が日常の中に
そっと入り込むからです。
春には芽吹きと花の色が、
夏には木陰の涼しさが、
秋には葉が地面を染める音が、
冬には凛とした静けさが、
それぞれの季節を連れてきます。
家族での食事、
子どもの遊び場、読書、昼寝、
焚き火、朝の珈琲。
中庭は「家族が同じ方向を向く場所」
になり得ます。
ペットとの暮らしにおいても、
安全な囲いと自然素材の床が、
安心感をもたらしてくれます。
メンテナンスについての大切な視点
植栽は、
環境に合った種類を
選定することが重要です。
日向に強いもの、
半日陰に合うもの、
湿度を好むもの、
乾燥に耐えるもの。
それぞれの性格を理解することで、
余計な手間が減り、
環境も安定します。
水はけをよくするためには、
地面にわずかな勾配をつけ、
砂利や透水性舗装を
採用すると効果的です。
これにより、
雨水が溜まりにくくなり、
植物の根腐れも防げます。
中庭をより豊かに使うための
暮らしの発想・・・・・。
中庭は「眺める庭」から
「使う庭」へ進化します。
たとえば次のような使い方があります。
・リビングの延長としてアウトドアリビングにする
・季節の食事を楽しむダイニングテラスにする
・夜のライトアップで“静かな庭の劇場”をつくる
・読書や創作活動のための屋外ワークエリアにする
・水盤や火の揺らぎで心を整える庭にする
中庭は、
暮らしの感性を取り戻すための
小さな聖域となり得ます。
中庭は贅沢ではありません。
暮らしの思想であり、
感情を整える空間装置です。
自然光、風、視線、
メンテナンス、
予算、動線のすべてが丁寧に整うと、
中庭のある家は、
家族の時間を深め、
人生の密度を静かに高めてくれます。
奈良で中庭のある和モダン住宅をご検討の方へ。
やまぐち建築設計室は、
光と影、
静けさと賑わいを
設計する建築事務所です。
ご相談はどうぞ気軽にお寄せください。
〇関連blog
家族が心地よく暮らせる家、奈良で建築家と叶える光と緑に包まれた和モダンの住まいの設計、陰影を楽しみつつも光と緑が調和する中庭のある暮らし提案も暮らしの工夫に。
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail629.html
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
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