お問合せフォーム

ブログ・コラム

2025.11.14

見えない快適性も各家庭のライフスタイルと価値観にあわせて大切に考えて設計する家、 音・臭い・温度差を整え一体化しつつ区分する「暮らしの穏やかさ」を建築学的に紐解く間取りの考え方。

カテゴリ:
家 住まい 間取り プラン

 

間取りと見えない快適性。

音・臭い・温度差を丁寧に整えると、

暮らしは静かに豊かになる

ということ。

 

「広さ」「収納」「生活動線」「デザイン」。

 

和モダン×ジャパンディの家。奈良の建築家が設計したホテルライクなLDK空間。モンキーポット一枚板のダイニングテーブルとグレー系大判タイル床が上質に調和し、キッチン・中庭・リビングがシームレスにつながる開放的な間取り。大開口窓から自然光が差し込み、落ち着いた木質インテリアと中庭の緑が暮らしに奥行きを生む。

※中庭とひと続きの空間設計が暮らしに豊かな広がりを添える住まい。

吹き抜けの優位性と中庭の優位性を保ちつつ、

空間を廊下などと一体化し断熱や遮熱を活用して

温熱環境と家族それぞれのエリアを整えた間取り提案事例。

 

家づくりではどうしても

目に見える部分に

意識が向きがちです。

 

しかし、

本当に暮らしやすい住まいとは、

「見えない快適性」まで

丁寧に設計された家のこと。

 

その代表が・・・・・。
音・臭い・温度差のコントロールです。

図面では分かりにくいのに、

完成後の満足度を

大きく左右する要素。

 

やまぐち建築設計室では、

こうした、

プランや設計図には現れにくい豊かさも

住まいの大切な要素だと考えています。

 

今回のblogでは、

実際の家づくりと

住まい手さんとの交流を通じて

得た視点から、

暮らしの穏やかさを守る

設計の工夫として

書いてみたいと思います。

 

「リビング近くのトイレ」

利便性の裏にある繊細な課題

 

最近は、

温度差の少なさや動線効率を考え、
リビング近くに

トイレを配置する間取りの考え方も

存在します。

  • メリット

空調が届きやすく、

冬の寒さ・夏の暑さが軽減される

 

移動距離が短く、

子供や高齢者に優しい

 

夜間のトイレも

身体への負担が少ない

 

一方で、

次のような課題も生まれます。

  • デメリット
  •  

音がリビングに伝わりやすい

 

臭いが広がりやすい

 

来客時に気を遣う

 

利便性を取るか、静けさを取るか。

 

この「揺らぎ」こそ、

間取り計画の難しさであり、

暮らしに関しての

ターニングポイントとなります。

 

設計で「音と臭い」は、

ここまで変割るという事。

 

「間取りのせいだから仕方ない」
そう思われがちな音と臭いの問題は、

実は設計のアイデアと

小さな工夫で大きく改善できる部分です。

  • ① 開き戸か、引き戸か

遮音性でいえば
開き戸 > 引き戸

理由は気密性の差。

ただし開き戸には安全上の注意点があります。

  • 内開き:内部で倒れると救出が難しい
  • 外開き:開けた瞬間に内部が見えやすい

やまぐち建築設計室では
「横方向へ開放できる余白」や

「視線をそらす壁配置」などを組み合わせ、
安全性とプライバシー性

の両立を図っています。

 

  • ② 扉の性能選定こそ本当の快適性

建具の種類を変えるだけで、

生活音のストレスは大きく減ります。

  • 高気密ドア
  • 防音ドア
  • ソフトクローズ
  • パッキン付き建具
  • 床レールの工夫

こうした仕様の組み合わせで、
体感音が1/3程度に

軽減されるケースもあります。

 

  • ③ 階段位置で音の伝わり方を変える

階段は音の

抜け道になりやすい場所。

 

逆に言えば「音を逃がす装置」として

設計することもできます。

 

やまぐち建築設計室では
LDK
と個室の「中間地点」に

階段を置く間取り

又はリビングアクセス階段や

吹き抜けの併用の際、

どこまでを暮らしの価値観として

許容する事が可能なのか?

をお話させていただきながら、
音の拡散とプライバシー性、

動線の快適さをカタチに昇華しています。

 

■温度差の少ない家=身体がラクになる家

音・臭いと並んで

見落とされがちなのが温度差です。

 

玄関廊下トイレ洗面浴室

 

この移動の中に、

温度の「段差」があると

身体は強く反応します。

  • 温度差がもたらすストレス
  • 冬のヒートショック
  • 夏の熱こもりによる不快臭
  • 夜間移動の負担
  • 体感的なストレスの蓄積

見えない部分ほど、

実は暮らしの快適性に直結します。

 

やまぐち建築設計室では

  • 空間ごとの温熱区画の最適化
  • 断熱ラインの整理
  • 陽射しのコントロール
  • 空調が回る「風の通り道」
  • 換気経路

といった視点から、

生活空間とバックヤードの

温度差を最小化しています。

 

暮らし方×価値観×間取りの意味を紐解く設計

家づくりのなかで

大切にしているのは
その家族の価値観と暮らしのリズムを

丁寧に読み解くこと。

 

ひとそれぞれ

価値観も意識も異なります。

 

トイレひとつでも、

次の要素が設計に直結します。

  • 音に敏感かどうか
  • 来客頻度
  • 家族構成
  • 朝型か夜型か
  • 温度差の苦手度
  • 将来の年齢変化
  • 動線の距離感

間取りとは、

単なる配置の話ではなく

その家族にとっての

幸福のかたちを考える計画なんです。

 

家づくりには、

必ずメリットとデメリットが共存する

 

設計には「絶対の正解」はありません。

ですが、最適解は存在します。

  • 近いトイレは便利。
     だけど、音が気になる。
  • 遠いトイレは静か。
     だけど、移動時の温度差が大きい。
  • 開き戸は気密が良い。
     だけど、安全性に注意が必要。
  • 引き戸は安全。
     だけど、音への弱さがある。

だからこそ、

想像域の段階でも

建築家と一緒に価値観を考える、

そして暮らしの価値観を

見直す時間を過ごすことに

意味があるという事。

 

これが注文住宅の大きな価値であり、

設計事務所や建築家が担う役割です。

 

住まいの設計とは「穏やかさをつくる技術」

やまぐち建築設計室が

大切にしているのは、
見えない不快要素を意識したうえで

建てる前に「そっと消していく」こと。

  • 音の配慮
  • 臭いの流れ
  • 温度差の緩和
  • 視線と動線の整理
  • 建具性能の選定
  • バックヤード空間の快適化
  • 将来の変化を見据えた余白の設計

これらを統合し、

暮らしの穏やかさを

丁寧に組み立てること。

 

その積み重ねによって、
家は「ただ住む場所」から

人生を整える器」へと変わっていきます。

 

間取りとは「未来の時間を整える設計」

 

間取りを考えるというのは、
単なる「部屋の配置」ではありません。

 

見えない快適性まで設計することで、
家族の暮らしは

確実に最適解に近づき穏やかに整う。

 

家づくりの打ち合わせでは、
ぜひ「音・臭い・温度差」のような

見えない快適性も

一緒に話してください。

 

それが、
これから先の毎日を支える

大きな価値になります。

 

〇関連blog

吹き抜けのある暮らしが育む光と陰影の心地よさ・和モダンとホテルライクが融け合う上質な住まい設計と、間取りの工夫と暮らしやすいデザインの融合

https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail638.html

 

‐‐----------------------------------------
■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
  建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/

住まいの設計、デザインのご相談は
ホームページのお問合わせから
気軽にご連絡ください
------------‐-----------------------------

 

BACK

ブログトップへもどる