ブログ・コラム
2025.05.13
「狭い土地でも広く暮らす」建築設計の工夫|斜めの効能で空間を豊かに魅せる家づくり
- カテゴリ:
- 設計の事・デザインの事
敷地条件を超える
広さと豊かさを生む空間設計。
「狭さ」を「広さ」に変える
設計思考。
※限られた敷地でも広がりを感じさせる空間デザイン模型
限られた土地でも、
広く快適に暮らしたい。
奈良県には意外と
奈良市・橿原市・香芝市などにも
住宅密集地や狭小地は多く
住宅密集地に
お住まいの方なら、
一度は抱くこの想い。
しかし、
現実には土地の広さ
建ぺい率・容積率、
隣家との距離など、
様々な制約があります。
それでも、
限られた空間の中に
「広がり」や「心地よさ」を
創り出すことは可能です。
その鍵となるのが、
設計の工夫と空間の捉え方。
「斜めの効能」を用いた
設計手法は、
この課題を解決する
有効なアプローチとして考えられます。
限られた空間を
活かして
広がりを演出する
設計の工夫を
少し書いてみたいと思います。
斜めの効能とは?。
視線と広がりの関係・・・・。
〇参考blog〇
狭い土地も広く快適に暮らす事の出来る間取り提案、スキップフロアで視線と段差を活かす空間活用設計。
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail521.html
斜めが生む「広がり」の心理的効果
敷地が限られていると、
つい「部屋を四角く区切る」
プランを想定しがちです。
ですが、
四角形で区切った空間は、
境界がはっきりすることで
狭さを強調してしまう
場合があります。
ここで登場するのが
斜めの効能です。
斜めのスロープや床
のレベル差、
壁の配置について
「少しだけ角度を変える」ことで、
視線が自然に奥へ流れ、
空間が広がって
感じられる錯覚が生まれます。
これは、
建築心理学でも知られる
パースペクティブ効果(遠近感効果)の応用。
こうした心理的視覚効果を
建築空間に落とし込むことで、
面積に依存しない
「広さ」の演出を
実現しています。
この小さな一工夫により、
室内から庭への
奥行き感が生まれ、
視線が自然に抜けていくことで、
体感的な「広さ」が
劇的に向上します。
限られた空間に
「余白」を生み出すデザイン術。
「多機能スペース」としての
余白設計を考える。
限られた敷地内では、
一つの空間を
多用途に使う発想が重要です。
たとえば、
先の写真のような斜めデッキは、
ただの通路ではありません。
- ベンチとして腰掛ける
- 子どもの遊び場として使う
- グリーンを飾るステージにする
- 読書やティータイムの特等席にする
このように、
ほんの小さなスペースでも、
多様な使い方を想定することで、
「暮らしにゆとり」を
感じさせる工夫ができます。
空間の「あいまいさ」が
心地よさを生む・・・・。
設計の際に
大切にしているのは、
「曖昧さのデザイン」。
リビング、ダイニング、
庭、どこからが“部屋”で、
どこからが“屋外”か、
あえて明確に線引きしないことで、
空間全体が緩やかにつながり、
広がりを感じさせます。
これは、
日本家屋における
「縁側」や「土間」の
文化にも通じるもの。
現代の暮らしに合わせて
進化させた「現代の縁側」として
提案しています。
奈良の風土に合わせた
「閉じながら開く」設計。
プライバシーを守りつつ
開放感を確保する。
奈良県の住宅地では、
隣家との距離が近いエリアも多く、
開けたくても開けられない
という悩みも
少なくありません。
ここで効果的なのが、
格子やルーバーを使った
「閉じながら開く」設計手法です。
視線を遮りつつ、
風や光を通す素材や
デザインを用いることで、
閉塞感を感じさせず、
開放的な空間を実現できます。
格子越しの風景が「奥行き感」を演出
冒頭の写真にある
格子デザイン模型もその一例。
室内から見ると、
格子の向こうに
木々の葉や空が透けて見え、
空間に奥行きと抜け感が生まれます。
このような細やかな設計が、
視覚的な「広がり」と「癒し」を
もたらすのです。
本当の“豊かさ”は、
面積ではなく設計でつくる。
限られた敷地条件でも、
設計の工夫次第で
広さもゆとりも
手に入れることができます。
「斜めの効能」や「余白の設計」、
「閉じながら開くデザイン」は、
暮らしを豊かにする知恵
そのものです。
「広い家に住む」ではなく、
「広く感じる家で豊かに暮らす」。
この視点こそが、
住まいづくりを成功させる
鍵となります。
ぜひ、皆さまの住まいにも、
こうした広がりを生む設計を
取り入れてみませんか?
やまぐち建築設計室は
その家に暮らす家族の過ごし方を
デザインする設計事務所です。
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
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