ブログ・コラム
2023.07.08
暮らしの環境とキッチンの融合を丁寧につなぐ間取りと環境の提案、キッチンの選定の差で変化する暮らしの趣と過ごし方。
- カテゴリ:
- キッチン 収納
よく考えた住まいは暮しが楽しくなる・・・・・。
※MOLTENI&C OSAKA 家具ショールームLDK空間展示
キッチンプランは何を優先して
決めていくのがよいのか?。
キッチンを新たに導入する際には
雑誌やショールームで
見たことのあるスタイルを参考にするなど、
長年憧れていたキッチンスタイルを
イメージすることから
始まることも多いかと思います。
※MOLTENI&C OSAKA 家具ショールームLDK空間展示
そのうえで海外製のものを含めた
様々な設備や機器の
デザインなどもそこに組み込むべく、
具体的な検討になるのかと思います・・・・・。
※MOLTENI&C OSAKA 家具ショールームLDK空間展示
※ダイニングキッチンスペースのコーディネートプラン(ダイニングセット・キッチンセット価格)
自身のお気に入りのキッチンを
実現するために
時間をかけて情報を
集めているというケースもあるかと思います。
最近ではリビング、
ダイニングに対する考え方も
そこに住まう人や家族が
より寛ぐことが出来る環境となることが
今まで以上に求められており、
キッチンにもその影響は及んでいます。
キッチンをひとつの家事空間、
クローズドな空間として考えるだけでなく、
暮らしの空間の一部として考えたり
リビングダイニングと合わせた
一つの空間・LDKとして計画を進めていくことも重要です。
キッチンはもはや単なる設備ではなく、
暮らしの空間・リビングやダイニングに繋がる
核となる要素です。
リビングダイニングと合わせて、
全体の空間づくりの中で
家具を選ぶ視点で
同時に計画していくことが求められています。
キッチンは何を優先して
決定を進めていくべきなのか?。
そこで突き当たる問題が「何を優先すべきか」という点です。
家具のようにキッチンを選ぶ、
という観点ではやはり見た目は重要視されます。
一方でキッチンは料理や食器の洗浄を行うほか、
食材や調理道具を含め、
多様な収納性を求められる場所です。
そこに機能性は欠かせません。
いずれかを優先させることで
片方が著しく欠落してしまうことは
避けたいものです。
見た目を優先しつつ、
機能性も損なわない。
そこにはコストの問題もあります。
キッチンは何を優先して
決定を進めていくべきなのでしょうか?。
対面式キッチンを
前提に考えてみる・・・・・。
キッチンのレイアウト、
つまり、住空間のどこに
どのようなものが配置されるかは
間取り次第です。
まずはそこを一番の優先順位として考えていきます。
ここでは「対面式」を検討することで
「見た目を重視」する際の
拠り所が生まれやすくなります。
リビングダイニングとの調和を
前提とすることができるので
ご相談者さんにも
デザインや素材、スタイルの決定において
より分かりやすく意識できるようになります。
実際、言うまでも無く
対面式キッチンは非常に意識しやすいものです。
無駄のない間取りが生まれるだけでなく、
家事動線の簡易化や
家族とのコミュニケーションが
図り易い代表的なスタイルとなっています。
対面式キッチンの代表的なスタイルは
「アイランド」「ペニンシュラ」の2つですが、
いずれの場合も「リビングダイニングに面している」という
前提であれば、
空間との共通性は欠かせません。
※インテリアキッチンメーカー・kitchenhouse大阪ショールーム 空間展示
あるいはキッチンを軸に
リビングダイニングの雰囲気を
構築していくのもひとつです。
※インテリアキッチンメーカー・kitchenhouse大阪ショールーム 空間展示
そのうえでキッチンが
どこにあると使い易いのか、
という配置の話から「サイズ」が決まり、
カウンターの素材や色合い、
パネルの素材やカラーも決定していきます。
そこから派生して
シンクの素材や水栓金具、
浄水器、食洗器の仕様、
クックトップの仕様、
レンジフードの仕様、
吊戸棚の有無なども決まっていくはずです。
キッチンパネル、
タイル等、壁の内装材も
空間との親和性をもとに融合させて
決めていくと統一感のあるスペースが出来上がります。
性能とコストという問題何よりも先にまずコスト、
という考え方もあるかもしれません。
新築・リフォーム
リノベーションなどは
やはり多大な金額を要するので、
キッチンばかりに
コストを割いてはいられないということは
ありえるでしょうね。
その場合、
システムキッチンは強い味方です。
※建材設備商品メーカー・Panasonic大阪ショールーム・Lクラスキッチン空間展示
価格帯こそ上下の幅はありますが、
仮に低コストのものでも
長い歴史で築いた
多様なデータを生かした商品群は
どれをとっても極端に使いづらいことはないかと思います。
※建材設備商品メーカー・Panasonic大阪ショールーム・Lクラスキッチン空間展示
だけど個人差はありますから
そのあたりを十分に精査しながら
調整する事で整合性は取れるかと思います。
性能=使い勝手という点を
クリアしながらコストも抑えることができ、
リビングダイニングとの
統一感は造作などで賄うこともできます。
※建材設備商品メーカー・Panasonic大阪ショールーム・Lクラスキッチン空間展示
こだわりのオリジナル化という
キッチンを考える一方で、
全体のコストも考えて
各種設備メーカーのシステムキッチンは
選択肢には入れておくことを
お勧めします。
長く使用できるものを
選ぶという基準。
キッチンの家具化が進むなかで
長期間使用できるものを選ぶことに
プライオリティ・・・・・つまり「優先順位」をとる
という考え方も重要です。
例えば本物の木の家具が
長く使用しても
それが古さになるのではなく「味」になります。
キッチンも同じように
使うことができるようになればどうでしょうか?。
時間が経つごとに
味わいが増す家具と同様のキッチンがあることは、
同じような家具選びを行っているならば
ある意味必然かもしれません。
もちろん機器(ガス、IH、フード等)は
ある程度の寿命があるので
故障や安全性から交換は必要となります。
しかしベースとなるキッチンに
使い込んで増していくような
「普遍的な美しさ」があることは
道具として手に馴染んでいく良さがあります。
「気取らず、丈夫で、しかし端正で美しい」・・・・・。
そのようなキッチンがあることは
暮らしの基本である「台所」を
整えることにも繋がります。
丁寧に暮らす気持ち良さには、
昔から大切にしてきた
本当に必要な物事に対する
精神があります。
長く住む家の中心として
キッチンの在り方と存在価値を
検討したいところです。
最新という価値だけではなくて
暮らしに豊かな感情を生み出す空間の成り立ちとして。
やまぐち建築設計室 建築家 山口哲央