ブログ・コラム
2026.09.21
「外から丸見え」は嫌。でも閉じた家にもしたくない。|注文住宅を計画する前に考えておくべき、視線と開放感を整える外観・間取り・外構を融合した設計の工夫と提案の付加価値のある暮らし。
- カテゴリ:
- 家づくりと間取りの考え方
「外から丸見え」は嫌・・・でも、閉じた家にもしたくない。
奈良で注文住宅を建てる前に考えたい、
プライバシーと開放感を両立する外観・間取りのつくり方。

※外には静かに閉じ、暮らしには心地よく開く。視線を整え、帰るたびに心ほどける住まいを建築と庭から考える。
家を建てるなら、明るくて、
開放感のあるLDKにしたい。
大きな窓から庭を眺めながら、
家族でゆっくり過ごしたい。
天気のいい日はカーテンを開けて、
光や風を感じながら暮らしたい。
そう考えている方は
多いのではないでしょうか?
ところが、実際の土地を見てみると、
目の前には道路。
隣には住宅。
向かいの家には窓。
人や車も通ります。
そこで、ふと気づきます。
大きな窓をつくったら、外から家の中が丸見えになるのでは?
そして完成後、
せっかく大きな窓をつくったのに
一日中カーテンを閉めて暮らしている。
そんな家になってしまうことがあるかも知れません。
これは、窓だけの問題ではありません。
私は、外に開きたい。でも、外からは見られたくない。という、
一見矛盾する二つの希望を、どのように両立させるのかも、
建築設計・住宅設計の大切な仕事だと考えています。
大きな窓=開放的な家とは限りません。
住宅雑誌やSNSを見ると、
庭へ大きく開いたLDKや
全面ガラスの美しい住宅に
目を惹かれることがあるかと思います。
確かに素敵です。
けれど、その窓が道路からどう見えるのか。
隣家の窓はどこにあるのか。
人がどちらから歩いてくるのか。
道路との高低差はどうなっているのか。
夜、室内の照明をつけたときにはどこまで見えるのか。
そこまで考えなければ、
「見るためにつくった窓」が「見られることを気にする窓」になってしまいます。
ですから私は、窓の大きさだけで
開放感を考えることはしません。
夜になると、家の見え方は逆転する
ここは意外と見落とされます。
昼間は、外が明るく、室内が暗い。
そのため、ガラス面によっては
外から室内が見えにくいことがあります。
ところが夜になると、
外が暗く、室内が明るくなります。
すると、昼間とは反対に、
室内が外から見えやすくなる。
ですから住宅は、
昼の外観だけを見て設計するわけにはいきません。
私は外観や庭、窓、照明を考えるとき、
「夜、この家はどう見えるのか」までをキチンと検討します。
今回の写真のような夕景・夜景には、
その家の設計思想が意外なほど現実的に出現します。
プライバシーは「壁を高くする」だけでは守れないということ。
外から見られたくない。
そう考えると、高い塀をつくる。
窓を小さくする。
道路側を閉じる。
という方法を思い浮かべるかもしれません。
もちろん、それが適切な場合もあります。
ただ、すべてを閉じてしまえばいいという訳ではありません。
光が入りにくくなる。
風が抜けにくくなる。
庭とのつながりがなくなる。
閉塞感が生まれる。
防犯上、かえって死角をつくる場合もあります。
ですから大切なのは「閉じるか、開くか」ではなく、
「どこを閉じて、どこを開くのか?」・・・・・。
ここに設計の妙が存在します。
道路から玄関までの「数メートル」が、暮らしを変えるということ。
今回の外観画像をご覧ください。
道路があり、
駐車スペースがあり、
カーポートがあり、
植栽があり、
格子があり、
アプローチがあり、
その奥に玄関があります。
私はこの道路と家との間にある空間をとても大切にしています。
道路からいきなり玄関ではなく、
外から内へ向かうにつれて少しずつプライベートになる。
建築、外構、植栽、照明、格子、軒。
それぞれが重なりながら、
「外」と「家族の暮らし」の間に柔らかな境界をつくっていく。
それによって、
閉ざされた家ではないのに、
落ち着いて暮らせる住まいが生まれます。
カーポートも「車を置く屋根」だけではないということ。
カーポートというと、
雨に濡れずに車へ乗れる。
車を日差しから守る。
そんな機能が最初に思い浮かびます。
でも住宅全体として考えると、それだけではありません。
深い水平ラインをつくることで
建物の重心を低く見せたり、
道路と住宅との間にワンクッションをつくったり、
玄関までの動線を雨から守ったり。
夜には軒下の照明によって、
道路から玄関までを柔らかく導くこともできます。
つまり、車のための場所でありながら、
住まいの表情をつくる場所でもある。
車が好きな方であれば、さらに意味は変わります。
愛車をただ駐車するのではなく、
帰宅した瞬間から「自分の家に帰ってきた」と感じられる。
そんな場所にもできます。
「見えないようにする」と「見せない」は少し違う。
プライバシーというと、
完全に隠すことを想像するかもしれません。
でも私は、視線を消すのではなく、
視線をずらすという考え方をよく使います。
例えば、
窓の正面に壁をつくらず
少し位置をずらして植栽を置く。
格子越しに庭を見せる。
軒を深くする。
床の高さを調整する。
窓の高さを変える。
道路から直接LDKが見えないよう、
玄関や庭の位置を組み替える。
すると、
閉じ切らなくても
人の視線は自然に外れていきます。
プライバシーとは、
壁の高さだけでつくるものではないということ。
建物・窓・庭・外構・照明までを
一緒に考えることで、
もっと自然にプライバシーをつくることができます。
中庭が心地よい理由も、ここにあります。
中庭のある家を希望される方も増えています。
その理由は「おしゃれだから」だけではありません。
道路側には適度に閉じ、家の内側には大きく開く。
すると、外からの視線を気にしにくい場所に
大きな窓を設けることができます。
カーテンを開ける。
庭を見る。
空を見る。
光が入る。
家族が庭へ出る。
室内と屋外がつながる。
つまり、外には閉じながら暮らしには開く。
中庭は、その矛盾を解決する一つの方法でもあります。
ただし、すべての土地に
中庭が必要なわけではありません。
借景を生かした方がいい土地もあれば、
道路とは反対側へ開けば十分な場合もあります。
ここでも「中庭のある家が人気だから」ではなく、
その土地と、その家族に必要なのかというところから考えることが大切です。
外構は、家が完成してから考えるものではありません。
これは、家づくりを始める方に
ぜひ知っておいていただきたいことです。
建物を設計して、最後に余った予算で外構を考える。
そうすると、
建物と庭が別々に見えたり、
欲しい場所に植栽が入らなかったり、
目隠しフェンスばかりが必要になったり、
照明計画が後付けになったりすることがあります。
私は、建築と外構をできるだけ早い段階から
一つの住まいとして考えることが大切だと思っています。
※実際には、前提条件を整えたうえで、建物との関係性をリアルに感じ始めてから詳細を整えます。
窓から何が見えるのか。
道路から何が見えるのか。
車を降りて玄関までどんな景色を歩くのか。
リビングから庭がどう見えるのか。
夜、照明をつけると植栽の影がどう映るのか。
こうしたものは、
間取りと切り離して考えにくいからです。
「帰りたくなる家」は、玄関の中から始まるわけではない。
仕事を終えて、車で自宅へ向かう。
自分の家が見えてくる。
車を入れる。
灯りのついたアプローチを歩く。
植栽が風に揺れている。
軒の下を通り、玄関の扉を開ける。
家に帰るという行為は、
玄関を開けた瞬間から始まるわけではありません。
家が見えた瞬間から、
気持ちは少しずつ「家」に戻っていく。
ですから私は、
外観も、駐車スペースも、庭も、アプローチも、照明も、
暮らしをつくる設計の一部だと考えています。
今回の設計提案事例の画像で私が伝えたいのも、
単なる「高級感」ではありません。
家へ帰ってくる時間まで、心地よく設計すること。
そこにあります。
注文住宅を考えるとき、土地だけを見ないということ。
奈良市、橿原市、生駒市、大和郡山市、
香芝市、葛城市、桜井市、北葛城郡、
生駒郡、田原本町、明日香村、
高取町、吉野郡などでも、
住宅地の条件は一つとして同じではありません。
道路の方向。
隣家との距離。
高低差。
周囲の窓。
日当たり。
風。
景色。
人通り。
そして家族の暮らし方。
ですから、土地を見たときに、
「南向きだからいい」「広いからいい」だけでは判断できません。
その土地で、どこを閉じ、どこを開けば、
カーテンに頼りすぎず心地よく暮らせるのか?
そこまで考えてみると、
土地の見え方も変わってきます。
家づくりを始める前に、一度想像してみてください。
新しい家で迎える、
ある日の夜のご自身の場面を。
仕事から帰ってくる。
家の灯りが見える。
車を停める。
玄関へ向かう。
扉を開ける。
リビングでは家族が過ごしている。
カーテンを閉め切らなくても、外からの視線は気にならない。
庭には柔らかな灯り。
家の中からは植栽の影が静かに見える。
そんな毎日を想像したとき、
必要なのは、大きな窓でしょうか?
高い塀でしょうか?
中庭でしょうか?
格子でしょうか?
それとも、まったく別の方法でしょうか?
最適解(答え)は、土地によっても、
家族によっても暮らしの価値観によっても違います。
ですから私は、間取りを決める前に、
「どんなふうに暮らしたいのか」を住まい手の立場で考えることを大切にしています。
誰かの正解ではなく、その土地と家族に合った最適解(答え)を。
開放感が欲しい。
でも、外から見られたくない。
庭を楽しみたい。
でも、プライバシーも守りたい。
車を大切にしたい。
でも、駐車場だけが目立つ家にはしたくない。
そうした一見矛盾する希望こそ、
設計によって解いていく価値のあるものだと思います。
やまぐち建築設計室では、
間取りだけではなく、
建物の配置、窓、庭、植栽、外構、照明、駐車スペース、
そして家族の日々の動きまで含めて、
住まい全体を考えています。
まだ間取りが決まっていなくても構いません。
土地を購入するか迷っている段階でも、
「この土地なら、どんな暮らしができるだろう?」
そんなところから考えることができます。
家を建てるための相談ではなく、
自分たちに合った暮らしを見つけるための相談から。
そこから始まる家づくりがあってもいいと、
私は考えています。
人生の未来を暮らしの本質から意識してみませんか?
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注文住宅における窓の在り方 ― 光・風・視線を設計し、暮らしの質を整える建築家の環境設計論
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail770.html
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