ブログ・コラム
2026.09.14
奈良でビルトインガレージのある家を建てる前に|後悔しない間取りは「車の置き場」ではなく、暮らしから考えるように。車を停めてから、家族がくつろぐまで。ビルトインガレージのある家は「帰宅後10分」の設計で暮らしやすさが変わるということ。
- カテゴリ:
- ビルトインガレージのある暮らしと間取り
奈良でビルトインガレージのある家を建てる前に
後悔しない間取りは「車の置き場」ではなく帰宅後の暮らしから考えるように。
ビルトインガレージのある家に、
憧れを持たれる方は少なくありません。

※一日の終わり、愛車とともに帰りたくなる場所へ。灯りと陰影のある空間に迎えられる上質なガレージのある暮らし。
愛車を雨や風から守ることができる。
雨の日でも濡れずに家へ入ることができる。
防犯面でも安心感がある。
そして何よりも、
建物と車が一体になった佇まいには、
一般的な住宅とは少し違った美しさが存在します。
特に地理的にも、交通機関と地域性の事情などにより
車で移動することの多い奈良では、
ビルトインガレージやインナーガレージは
デザインだけではなく、
暮らしそのものを変える可能性を持つ場所です。
ただ私は、
ビルトインガレージのある家を考えるとき、
最初から「ガレージの広さをどうするのか」
「何台停めるか」だけを考えることはありません。
ビルトインガレージの事だけではなくて、
車を降りてから、家族はどのように家の中へ入るのか。
その逆の時間も、どのように車の場所へたどり着くのか。
そして、帰宅してから10分ほどの間に、
家族は何をしているのかということ。
ガレージは、駐車場ではなく「暮らしの入口」。
例えば、
共働きのご夫婦が
仕事を終えて帰宅する場面を考えてみます。
車をガレージに停める。
バッグを持つ。
買い物をした日なら、
食品や日用品もあります。
小さなお子さんがいれば、
保育園や学校の荷物もあるかと思います。
コートを脱ぐ。
靴を脱ぐ。
手を洗う。
買ってきたものを冷蔵庫やパントリーへ片付ける。
着替える。
そしてようやく、リビングやダイニングへ。
一つひとつを見ると、ほんの小さな行動です。
しかし、
これを365日の暮らしとして考えると、
間取りによる小さな違いは、
数年、十数年という時間の中で
大きな違いになっていきます。
だからこそ私は、
ビルトインガレージを「車を収納する場所」だけではなく、
外の時間から、家族の時間へ切り替わる場所として考えます。
「ガレージから玄関が近い」だけでは、
暮らしやすいとは限らない。
ビルトインガレージを希望される方から、
よく聞くご要望があります。
「ガレージから直接玄関へ入りたい」
もちろん、とても合理的です。
けれども、大切なのはその先・・・・・。
玄関へ入ったあと、
買い物袋を持って家の反対側にあるキッチンまで歩くのであれば、
本当に便利でしょうか?
コートを脱ぐために
2階のクローゼットまで行き、
その後また1階へ戻るのであればどうでしょう。
子どもの鞄や上着が
いつもLDKへ持ち込まれる間取りなら、
せっかく美しく整えたリビングにも
少しずつ物が集まります。
間取りは、
部屋と部屋を線でつなげば完成するものではありません。
人の行動が自然につながって初めて、
暮らしやすい動線になります。
帰宅動線は「短いほど良い」とも限らないということ。
家づくりでは「最短動線」「回遊動線」「家事ラク動線」
という言葉をよく目にします。
もちろん、
移動距離が短いことにはメリットがあります。
ただし、
短ければ短いほど良いわけでもありません。
例えば、ガレージからシューズクローク、
ファミリークローゼット、パントリー、
キッチンまですべてを一直線につなげる。
図面だけを見ると、
とても合理的に見えます。
ところが、
家族数人が同じ時間に帰宅したらどうでしょう。
収納の扉を開ける人。
食品を片付ける人。
冷蔵庫を開ける人。
着替える人。
その動線が一か所に集中すれば、
逆に使いにくくなることがあります。
以前このコラム・ブログでも、
玄関からパントリーへつながる間取りについて
書きましたが、
回遊できることと、
暮らしやすいことは必ずしも同じではありません。
大切なのは、
家族が「同時に動く」ことまで考えること。
私は間取りを考えるとき、
人を一人だけ図面の中で動かすのではなく、
朝、昼、夕方、夜と
時間を進めながら考えるようにしています。
雨の日を想像すると、良い間取りが見えてくる
奈良では、
日常生活に車を使われるご家庭も多くあります。
そこで一度、
雨の日を想像してみてください。
仕事帰りにスーパーへ立ち寄り、
両手に買い物袋を持って帰宅する。
子どもも一緒。
外は雨。
一般的な屋外駐車場であれば、
傘を差し、
荷物を降ろし、
玄関まで運びます。
しかし、ビルトインガレージであれば、
雨に濡れることなく
家の中へ移動できます。
ここまでは、
多くの方が想像されることだと思います。
問題は、そのあとです。
ガレージから入った場所の近くに
パントリーがあれば、
食品をすぐに収納できます。
玄関付近に
コートやバッグを置く場所があれば、
LDKへ物を持ち込まずに済みます。
手洗いが自然な位置にあれば、
帰宅後の行動もスムーズです。
つまり、ビルトインガレージ単体ではなく、
玄関・収納・水回り・キッチン・LDKまでを一緒に考えることで、
ビルトインガレージの価値が生まれます。
車好きのためだけの空間ではないということ。
ビルトインガレージというと、
「車好きの人のための家」という印象を持たれるかもしれません。
もちろん、
お気に入りの車を眺めたり、
休日にメンテナンスしたりする時間も、
とても豊かなものだと思います。
しかし、ビルトンガレージ空間の使い方は
それだけではありません。
ゴルフ用品。
キャンプ用品。
自転車。
ベビーカー。
子どもの外遊び用品。
季節用品。
防災用品。
庭で使う道具。
車と一緒に使うものは、
暮らしてみると意外に多いものです。
だからこそ「車1台分の寸法」だけで
ガレージを考えてしまうと、
完成後に使いにくくなることがあります。
何を置き、何を持って出掛け、何を持って帰ってくるのか。
そこまで考えることが、
暮らしを設計するということだと思います。
美しい外観と、暮らしやすいガレージは両立できる。
今回掲載しているイメージでは、
ビルトインガレージを
住宅全体のデザインの一部として考えています。
大きなガレージ開口は、
便利である一方、外観の印象を大きく左右します。
そこで、屋根、軒、外壁、シャッター、植栽、アプローチ、玄関、照明。
それぞれを別々に考えるのではなく、
建築と外構を一体として整える。
そうすることで、
ガレージが目立ち過ぎるのではなく、
住まい全体の佇まいの中へ
自然に溶け込ませることができます。
昼間に美しいことも大切ですが、
仕事から帰ってくる時間帯の夕景や夜景も重要です。
車で家の前まで帰ってきたとき、
植栽の陰影や
軒下から漏れる光が見える。
シャッターが開き、車を停め、玄関へ向かう。
その短い時間に、
仕事の時間から自宅で過ごす時間へ
気持ちが少しずつ切り替わっていく。
私は、そうした感覚を生み出す事も
住宅設計の一部だと考えています。
「高級住宅」の素材とは豪華な材料を使うことだけではない。
高級な素材、大きなLDK、輸入家具。
高級車が収まるガレージ。
それらも、住まいを豊かにする要素です。
けれども、
本当の意味で上質な住まいとは、
それだけではないと思います。
雨の日に濡れない。
荷物を置く場所に困らない。
家に帰れば自然と片付く。
家族の動線がぶつからない。
生活感を無理に隠さなくても室内が整う。
そして、
一日の最後に自宅へ帰ることが少し楽しみになる。
そうした毎日の小さな心地よさの積み重ねこそが、
住まいの上質さにつながる。
私はそう考えています。
ビルトインガレージをつくるかどうかより大切なこと。
すべての家に、
ビルトインガレージが必要だとは考えていません。
敷地によっては、
屋外駐車場と深い軒を組み合わせた方が
暮らしやすい場合もあります。
車寄せと玄関の位置を工夫する方が
合理的なこともあります。
逆に、生活スタイルによっては、
ビルトインガレージが
毎日の暮らしを大きく変えてくれることもあります。
だからこそ「ビルトインガレージが欲しい」
というご要望をいただいたとき、
私はそのまま図面に描くのではなく、
その理由を伺います。
なぜ欲しいのか。
車は何台あるのか。
何時ごろ出掛けるのか。
誰が運転するのか。
週末はどのように過ごすのか。
買い物はまとめ買いなのか。
アウトドアを楽しむのか。
10年後、20年後は
どんな暮らしになっているのか。
そこから、
そのご家族にとって
本当に必要なガレージの姿を考えます。
家を考えることは、暮らし方を考えること
ビルトインガレージのある家を
考えている方に、
想像していただきたいことがあります。
「どんなガレージが欲しいのか」ではなく、
「車で家に帰ってきたあと、どんな時間を過ごしたいか」ということです。
車を停める。
家へ入る。
荷物を片付ける。
着替える。
キッチンへ向かう。
家族と話す。
庭を眺める。
ソファに腰掛ける。
その一連の時間が無理なくつながっている家は、
数字では測りにくい心地よさが生まれます。
間取りを考えるということは、
部屋をぱずるのように配置することではありません。
これから家族が繰り返していく
毎日の時間を整えること。
やまぐち建築設計室では、
ビルトインガレージも、
玄関も、キッチンも、収納も、庭も、
それぞれを単独で考えるのではなく、
家族の暮らしと人生の流れの中で
一つの住環境として考えています。
奈良でビルトインガレージのある注文住宅や、
車と暮らしを楽しめる住まいを検討されていて、
「自分たちの場合は、どんな間取りが暮らしやすいのだろう」
と感じているのであれば、
まずは間取りを決める前に、
これからの暮らしについて
じっくり考えてみてはいかがでしょうか?
〇関連blog・コラム
奈良でガレージハウスを建てたい人へ。ビルトインガレージのある家は本当に暮らしやすいのか?建築家が設計目線で考える問い。
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail687.html
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建築家 山口哲央
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