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2026.08.10
奈良で新築・リフォームを考える方へ|同じ25帖でも「広く感じるLDK」と「狭く感じるLDK」がある理由
- カテゴリ:
- 住まいと暮らしの設計思想
25帖のLDKなのになぜ狭く感じる?
奈良で新築・リフォームを考える前に
知っておきたい「広さの感じ方」と間取りの考え方
「LDKは、できれば25帖以上ほしい」

奈良で新築の家づくりやリフォームを考え始めた方の中にも、
そのように思っている方は多いのではないでしょうか。
家族が集まる場所だから、できるだけ広くしたい。
大きなソファを置いても窮屈にならないようにしたい。
キッチンからリビングまで見渡せる、開放感のある空間にしたい。
友人や親族が集まったときにも、ゆったり過ごせる場所にしたい。
そう考えると「18帖より20帖」、「20帖より22帖」と、
少しでも数字を大きくしたくなるものです。
ところが、住宅を設計していると、
とても興味深いことがあります。
同じ20畳でも「広い」と感じるLDKと、
「思っていたより狭い」と感じるLDKがあるのです。
反対に、床面積だけを見ればそれほど大きくなくても、
実際にその場所に立つと、想像していた以上にゆったりと感じる家もあります。
なぜ、このような違いが生まれるのでしょうか?
そこには、単純な「帖数」だけでは説明できない、
人が空間をどのように見て、どのように感じているのか?
という問題があります。
新築でもリフォームでも、
完成してから「もっと広くすればよかった」
と考える前に、ぜひ知っておいていただきたいことです。
まず知っておきたいこと。
「広さ」と「広く感じること」は同じではありません・・・・・。
少し住宅から離れた話をします。
心理学や視覚研究の世界には「錯視」と呼ばれる現象があります。
例えば、SNSなどで、静止している画像なのに、
模様が回転したり、
ゆっくり動いたりしているように見える画像をご覧になったことはないでしょうか。
実際には何も動いていません。
それなのに、私たちには動いているように感じられる。
代表的なものの一つに「周辺ドリフト錯視」と呼ばれる錯視があります。
ここで興味深いのは、
目の前に存在している物理的な状態と、私たちが知覚している状態は、
必ずしも一致しないということです。
建築空間も、これとまったく同じ現象が起きているという意味ではありません。
ただ、人が空間を感じる仕組みを考えるうえで、大切なヒントがあります。
私たちは住宅の中に入ったとき、床面積を計算して、
「ここは25帖だから広い」
と感じているわけではありません。
視線の先に何が見えるのか。
窓の向こうに何があるのか。
天井がどこまで続いているのか。
光がどこから入るのか。
家具によって視界が遮られていないか。
壁や建具によって空間が細かく分断されていないか。
外部へ視線が抜けているか。
こうした情報を無意識のうちに受け取りながら、
「広い」「狭い」「明るい」「落ち着く」「開放的」「なんとなく窮屈」と感じています。
つまり、
図面(間取り)に描かれている広さと、暮らしたときに感じる広さは、必ずしも同じではないのです。
25帖あるのに「思ったより狭い」と感じるのはなぜ?
例えば25帖のLDKを考えてみます。
間取り図を見ると、十分な広さに見えます。
住宅会社の打ち合わせでも「25帖あれば十分広いですよ」と言われるかもしれません。
ところが家具を置いて生活を始めると、
「あれ?思っていたより広くない」と感じることがあります。
原因は一つとは限りません。
例えば、
・大きなソファを置いた
・6人掛けのダイニングテーブルを置いた
・キッチンとダイニングの間が狭い
・椅子を引くと通路が塞がる
・収納が足りず、物がLDKに出ている
・テレビを見るために家具配置が固定される
・扉を開閉するスペースが必要になる
・家族が通る場所と家具を置く場所が重なっている
こうした小さな条件が積み重なっていきます。
すると、図面上では25帖が確保されていても、
「自由に使える25帖」ではなくなります。
ここが、間取り図だけでは分かりにくいところ、
実は「広さ」より「視線」が重要になることがあります。
例えばソファに座った状態を想像してみてください。
目の前3メートルのところに壁がある場合。
もう一つは、同じ位置に窓があり、その向こうに庭があり、さらに空まで見える場合。
床面積・部屋の広さはまったく同じです。
しかし、感じ方まで同じでしょうか?
多くの場合、後者の方が開放的に感じるかと思います。
これは、建築設計を行うとき、
やまぐち建築設計室が大切にしていることの一つです。
「何帖あるか」だけではなく「どこまで視線が届くか」を考える。
例えば奈良の住宅地では、隣家との距離が近い敷地もあります。
そのような土地で、単純に大きな窓を設けても、
窓の向こうに隣家の壁や窓が見えるだけになってしまうことがあります。
そうすると、せっかく大きな窓をつくったのに、
「外から見えそうで、結局カーテンを閉めたまま」ということも起こります。
大切なのは窓の大きさではありません。
その窓から何が見えるのか?
庭なのか。
空なのか。
植栽なのか。
中庭なのか。
あるいは、視線をあえて遮った方が落ち着く場所なのか。
そこまで考えて初めて、窓が暮らしの中で意味を持ちます。
「大きな窓=開放的」とは限りません。
これは、新築を考える方にぜひ知っておいていただきたいことです。
開放的なLDKをつくりたいと考えると、
「大きな窓をつけよう」と思いがちです。
しかし、大きな窓をつくれば必ず開放的になるわけではありません。
隣家や道路から室内が見えれば、カーテンを閉めたくなります。
西日が強すぎれば、ブラインドを下ろしたくなります。
家具を置く場所がなくなれば、暮らしにくくなることもあります。
つまり、
窓は「大きさ」ではなく、光・視線・プライバシー・景色・家具との関係で考える必要があるということ。
これはリフォームやリノベーションでも同じです。
既存の窓を大きくすることが答えになる場合もあれば、
窓の位置を変えたり、庭を整えたり、視線をコントロールする方が効果的な場合もあります。
天井は、高くすれば広く感じるのでしょうか?
「開放的な家にしたいので、天井を高くしたい」
というご希望もよくあります。
もちろん、天井高さは空間の感じ方に影響します。
しかし、
天井は高ければ高いほどよい、という単純な話でもありません。
例えば、玄関や廊下などの天井を少し抑え、その先にあるLDKを高くする。
すると、低い場所から高い場所へ移動することで、LDKの開放感をより感じやすくなることがあります。
逆に、家全体を同じ高さにすると、その変化を感じにくくなることもあります。
建築の空間設計では、このような「差」も大切です。
明るい場所を感じるために、少し暗い場所をつくる。
広い場所を感じるために、少し絞った場所をつくる。
開放的な場所と、包まれるような場所をつくる。
すべてを広く、高く、明るくするのではなく、
変化をつくることで、それぞれの場所の魅力を引き出す。
これも空間を考える方法の一つです。
リフォームやリノベーションで「壁を取ってLDKを広くしたい」と思ったら。
リフォーム等では、
「リビング横の和室をなくしてLDKを広くしたい」
「キッチンの壁を取って開放的にしたい」
というご相談があります。
確かに壁を撤去すれば、床面積としては広くなるかもしれません。
ただし、その前に考えてほしいことがあります。
なぜ、今のLDKを狭いと感じているのでしょうか?
例えば、
収納が足りず物が出ている。
家具配置が暮らしに合っていない。
キッチン周辺で家族の動線が重なる。
庭があるのに室内から見えない。
光が入りにくい。
部屋が細かく分断されている。
こうしたことが原因なら、
単純に床面積を増やすだけでは問題が解決しないことがあります。
場合によっては、
収納位置を変える。
キッチンの向きを変える。
建具を変更する。
家具配置を見直す。
庭との関係を変える。
視線の抜けをつくる。
人の移動空間を考える。
こうした設計によって、面積を大きく増やさなくても暮らしやすくなることがあります。
〇関連blog
間取り図では広く見えたのに、暮らすと狭い理由|「生活の渋滞」を建てる前に整える建築家の住まいづくり
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail946.html
ただし、リフォームやリノベーションでも新築同様に構造計画を忘れてはいけません。
ここは、とても重要です。
「この壁をなくしたら広くなりそう」と思っても、その壁が建物を支える役割を持っている場合があります。
〇関連blog
奈良で壁を抜いてLDKを広げたい方へ|壊せる壁・残す柱・耐震性をCGと模型で確認する間取り変更リフォーム
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail934.html
柱や耐力壁を安易に撤去すれば、建物の耐震性に影響する可能性があります。
特に築年数の経過した住宅では、
現在の構造。
基礎。
柱や梁。
耐力壁。
劣化状況。
過去の増改築。
などを確認したうえで、間取り変更を考える必要があります。
リフォームやリノベーションでは、
「壁を取れるか」だけではなく「どのように安全性を確保しながら暮らしを変えるか?」を
考えることが重要。
耐震性。
断熱性。
採光。
収納。
家事動線。
家具配置。
そして空間の感じ方。
それぞれを別々に考えるのではなく、一つの暮らしとして整理していく。
そこにリフォームやリノベーションでの設計の難しさがあります。
「広い家」と「暮らしやすい家」は違います。
ここまで読んでいただくと、
「では、LDKは何畳あればいいの?」と思われるかもしれません。
しかし、実はこれに万人共通の正解はありません。
家族4人でも、
休日は全員LDKで過ごす家庭。
それぞれ自分の部屋で過ごす家庭。
友人をよく招く家庭。
外食が多い家庭。
料理を家族で楽しむ家庭。
在宅勤務をする家庭。
暮らし方が違えば、必要な空間も変わります。
ですから「4人家族なら○○帖」という数字だけで決めてしまうことには注意が必要です。
考えるべきはは、
何帖必要なのかではなく、その場所で何をしたいのか、
ということです。
家具を置いて初めて「間取り」は暮らしが見えてきます。
間取りを考えるとき、意外と後回しになりやすいのが家具です。
しかし、実際の家には暮らし方によって違いはあってもある程度の家具や家電等が必要になります。
ソファ。
ダイニングテーブル。
椅子。
テレビ。
収納。
冷蔵庫。
食器棚。
観葉植物。
そして、その間を人が歩きます。
例えばダイニングテーブルは、置ければよいわけではありません。
椅子を引く。
座る。
その後ろを家族が通る。
料理を運ぶ。
片付ける。
こうした動作があります。
つまり、家具の寸法ではなく、家具を使っているときの寸法まで考える必要があるということ。
これは図面の「LDK〇〇帖」という数字だけでは判断できません。
「広くしたい」の奥にある、本当の希望は?
ここでもう一度「LDKを広くしたい」という言葉について考えてみます。
なぜ広くしたいのでしょうか?
家族ともっと一緒に過ごしたい。
子どもの様子を見ながら料理したい。
友人を招いて食事を楽しみたい。
物が散らからない家にしたい。
庭を眺めながらゆっくり過ごしたい。
仕事から帰ったとき、ほっとできる場所がほしい。
もしかすると、
本当に欲しかったものは「広いLDK」ではなく、その場所で過ごす時間の質なのかもしれません。
私は住宅設計をするとき、この「なぜ」を大切にしています。
ご要望をそのまま図面に置き換えるだけなら、
例えば「LDK25帖」と描けば済みます。
しかし、なぜ25帖ほしいのか。
そこで誰と何をしたいのか。
今の暮らしの何が不便なのか。
5年後、10年後にはどのように暮らしていたいのか。
そこまで考えることで、初めてそのご家族に必要な住まいが見えてくることがあります。
新築なら「土地」と一緒に広さを考える
奈良で新築を考える場合、土地の条件も空間の感じ方に大きく関係します。
例えば、
南側に大きな庭を取れる土地。
高台で遠くまで景色が見える土地。
住宅が密集している土地。
道路からの視線が入りやすい土地。
山や田畑が見える土地。
同じ延床面積の家を建てても、感じ方は変わります。
特に奈良には、市街地の住宅地だけでなく、少し郊外へ行けば景色や庭との関係を活かせる土地もあります。
土地を単純に、
駅から何分。
何坪。
南向き。
という条件だけで見るのではなく、
「この土地なら、どんな暮らしをつくれるだろう」と考えてみる。
そこから家づくりを始める方法もあります。
リフォームなら「今あるもの」を読み直す・・・・・。
一方、リフォームやリノベーションには新築とは違う魅力があります。
既存住宅には、
昔からある庭。
深い軒。
立派な柱や梁。
家族が過ごしてきた場所。
周辺環境との関係。
など、新築にはないものが残っていることがあります。
それらをすべて壊して新しくすることだけが、リフォーム・リノベーションではありません。
今あるものの中から、
残すもの。
変えるもの。
活かすもの。
それらを整理する。
すると、それまで気づかなかった住まいの価値が見えてくることがあります。
リフォームやリノベーションは「古い家を新しくすること」ではなく「これからの暮らしに合わせて家の意味を組み直すこと」でもあります。
家づくりで迷ったときは「間取り」から少し離れてみる
家づくりを始めると、たくさんの情報が入ってきます。
Instagram。
YouTube。
住宅雑誌。
モデルハウス。
住宅会社の施工事例。
素敵な家を見るほど「これも欲しい」「あれもいい」となります。
これは決して悪いことではありません。
ただ、情報が増えすぎると、
自分たちが最初に何を大切にしていたのかが見えにくくなることがあります。
そんなときは、一度間取りから離れてみてください。
「どんな家が欲しい?」ではなく「どんな毎日を過ごしたい?」と考えてみる。
朝、どこで朝食を食べたいのか。
休日、どこで過ごしたいのか。
帰宅したとき、どんな景色が見えたら嬉しいのか。
家族が集まる時間と、一人になりたい時間をどう考えるのか。
そうした暮らしの風景から考えていくと、
本当に必要なものと、そうでないものが少しずつ整理されていきます。
家の価値は「何帖あるか」だけでは決まりません。
住宅には、数字で比較しやすいものがたくさんあります。
延床面積。
LDKの帖数。
天井高さ。
収納率。
断熱性能。
耐震性能。
もちろん、数字は重要です。
しかし、数字だけでは表せないものもあります。
窓から庭が見える心地よさ。
朝の光が入るダイニング。
家族の気配を感じながら過ごせる距離。
一人になりたいときに落ち着ける場所。
仕事から帰ったときに、ほっとする空間。
住宅は、数字の中で暮らすものではありません。
そこで過ごす時間の中で暮らすものです。
だからこそ私は「何帖の家をつくるか」だけではなく、
「そこで、どんな時間が生まれるのか」まで考えることが建築設計だと考えています。
奈良で新築・リフォームを考えている方へ
もし今「LDKは何帖必要なのだろう」
「今考えている間取りで本当にいいのだろうか」
「中古住宅を購入してリフォームできるだろうか」
「壁をなくしてLDKを広くしたい」
「収納を増やしたいけれど、どこにつくればよいか分からない」
「耐震性も心配だけれど、間取りも変えたい」
そういった内容で迷っているのであれば、
すぐに答えを決める必要はありません。
むしろ、その迷いの中に、
これからの住まいを考えるための大切な手掛かりが隠れていることがあります。
やまぐち建築設計室では、奈良県で新築、注文住宅、建て替え、リフォーム、リノベーション、古民家再生などをご検討の方と、間取りを決める前に、
現在どのように暮らしているのか。
何に困っているのか。
これからどのような時間を過ごしたいのか。
というところから一緒に情報と想いを整理していきます。
ご要望をそのまま間取りに置き換えるのではなく、そのご要望が生まれた理由まで考える。
そのうえで、
間取り。
構造。
耐震。
断熱。
収納。
家事動線。
採光。
窓。
庭。
家具。
照明。
素材。
そして、人がその空間をどう感じるのか。
それらを一つの「暮らし」として考えていきます。
「まだ何も決まっていない」段階だからこそ、できる相談があります。
設計事務所への相談というと、
「土地が決まってから」
「リフォームすることが決まってから」
「予算や間取りをある程度決めてから」
と思われる方もいらっしゃいます。
しかし実際には、決める前だからこそ相談できることがあります。
候補の土地で、希望する暮らしが実現できそうなのか。
中古住宅を購入して希望するリフォームができるのか。
今の家を建て替える方がよいのか、リフォームで活かせるのか。
考えている間取りに無理がないのか。
LDKを広げることが、本当に今の困りごとの解決になるのか。
こうしたことを整理してから進めることで、
後から大きく方向を変えなくても済む可能性があります。
家づくりは「正解を知ってから相談するもの」ではありません。
自分たちにとって何が大切なのかを整理するために、専門家と話してみる。
そんな始め方があってもよいと思います。
奈良で新築やリフォームを考え始め、
「このまま進めてよいのだろうか」と感じている方は、一度、現在の暮らしについてお聞かせください。
間取りを描くことより先に、
これからどんな暮らしをつくりたいのか。
そこから一緒に考えることが、後悔の少ない住まいづくりの第一歩になると考えています。
〇〇帖という数字より「どう感じ、どう暮らすか」
最後に、今回の内容を一つにまとめます。
「広い家」と「広く感じる家」は、必ずしも同じではありません。
人は床面積だけで空間を感じているわけではないからです。
視線。
光。
窓。
天井。
家具。
収納。
動線。
庭。
周辺環境。
そして、その場所で何をして過ごすのか。
それらが重なって、私たちはその空間を、
「広い」
「落ち着く」
「心地よい」
と感じます。
ですから、新築でもリフォームでも、
「〇〇帖あれば十分ですか?」と考える前に、
一度「その○○帖で、どんな時間を過ごしたいのだろう?」と考えてみてください。
その答えの中に、
あなたの家に本当に必要な「広さ」が見つかるかもしれません。
LDKを何畳にするか、壁を取るか、どんな間取りにするか。
その答えを決める前に「なぜそうしたいのか」を一緒に整理することから始めます。
奈良で新築・リフォームをご検討中の方へ、これからの暮らしを考える予約制個別相談をご用意しています。
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建築家 山口哲央
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