ブログ・コラム
2026.07.08
奈良で住みながらリフォームはできるのか?|設計案を考えながら、仮住まいが必要な工事と後悔しない判断基準
奈良で暮らしを受け継ぐリフォーム計画
住みながら工事はできるのか?
仮住まいが必要なケースと
家族が後悔しない判断基準について。

※リフォーム工事を行う前の建物と庭の雰囲気

※リフォーム工事を行った後の建物と庭の雰囲気
工事中も家に住めば、
仮住まいの家賃や引っ越し費用を抑えられる
そう考えるのは、とても自然なことです。
けれど、実際のリフォーム工事では、
朝から職人さんや専門業者さんが出入りし、
床には養生が敷かれ、解体音が響きます。

※和室2間続きと暗くて狭い印象の在ったDKを解体中
キッチンが使えない。
お風呂に入れない。
洗濯物を干す場所がない。
工事場所を通らなければトイレへ行けない。
在宅勤務中も音や振動が続く。
その状態が数日で終わるのか、
数週間続くのかによって、
ご家族の負担は大きく変わります。
大切なのは、
住みながら工事が「できるか」ではなく、
ご家族が無理なく暮らしを「続けられるか」
という視点。
今回のコラムでは、
奈良県で自宅、実家、
築年数の経過した木造住宅のリフォームや
リノベーションを検討している方に向けて、
住みながら工事をする場合と、
仮住まいを選ぶ場合の判断基準を、
建築家の視点から整理します。
結論|部分リフォームは住みながらでも可能。
ただし、大規模工事は
仮住まいの方が合理的なことがあります。
壁紙の張り替え、設備機器の交換、
一室だけの内装工事など、
工事範囲が限定され、
生活する場所と工事場所を
明確に分けられる場合は、
住みながら進められる可能性があります。
一方で、次のような工事は
仮住まいを検討した方がよいケースです。
- キッチン、浴室、洗面、トイレを
同時に改修する
- 1階全体や家全体の間取りを変更する
- 床、壁、天井を広範囲に解体する
- 給排水管や電気配線を家全体で更新する
- 耐震補強と断熱改修を同時に行う
- 柱や梁、床、屋根など家の骨組み
主要構造部に関わる
- 工事区画を通らなければ生活できない
- 高齢者、乳幼児、ペットが暮らしている
ただし、
「全面リフォームだから必ず仮住まい」
「部分リフォームだから必ず住みながら」
という単純な答えではありません。
同じ工事でも、間取り、家族構成、
工事時期、生活時間、敷地条件、
工事関係者の出入り口、
仮設設備の置き場所によって
答えは変わります。
「工事の大きさ」だけで決めると、
判断を誤ることがあります。
仮住まいが必要かどうかを考えるとき、
多くの方は工事面積や
工事金額を基準にします。
しかし、本当に確認すべきなのは、
工事中に何の生活機能が、
何日止まるのかということ。
例えば、小さな工事でも、
家にトイレが一つしかなく、
使用できない時間が長ければ、
生活への影響は大きくなります。
反対に工事範囲が比較的広くても、
二世帯住宅で水回りが二か所あり、
工事階と生活階を完全に分けられるなら、
住みながら進められる可能性があります。
つまり、判断の中心は
工事面積ではないということ。
- 食事がつくれるか
- トイレが使えるか
- 入浴できるか
- 洗濯できるか
- 安全に眠れるか
- 仕事や勉強を続けられるか
- 工事場所を通らず外出できるか
基本的にはこの7つを確認する必要があります。
住みながらリフォームできるかを
判断する「暮らし継続度」
やまぐち建築設計室では、
工事内容だけでなく、
工事中の暮らしを
次の四段階で整理して考えます。
レベル1|住みながら進めやすい
- 工事場所が一室または一部分に限定される
- 生活空間と工事区画を扉などで分けられる
- トイレ、調理、入浴、就寝に大きな影響がない
- 工事場所を通らず玄関や水回りへ移動できる
- 騒音や粉じんが発生する期間が短い
壁紙、建具、一室の床、
設備機器の交換などが該当しやすい工事です。
レベル2|住みながら可能だが、数日間の不便が生じる
- キッチンや浴室など一つの生活機能が停止する
- 外食、簡易調理、銭湯、コインランドリーなどで代替できる
- 工事時間中に外出できる
- 荷物を別室へ移動できる
- 家族全員が不便を理解している
「できる」ことと「快適に暮らせる」ことは別です。
仕事、学校、介護などへの影響も含めて判断します。
レベル3|短期外泊または部分的な仮住まいを検討する
- 複数の水回りが同時に使えない
- 工事区画と生活動線が交差する
- 解体音や振動が長く続く
- 床の段差、工具、資材など安全上のリスクがある
- 高齢者、乳幼児、療養中の方、音に敏感なペットがいる
この場合、工事期間すべてではなく、
解体期間や水回り停止期間だけ
ホテルや親族宅、マンスリーマンションに
移る方法もあります。

※吹抜けを設けて、間接的に風と光を呼び込み
LDKとリビングアクセス階段を設ける工事中
レベル4|仮住まいを基本に考える
- 家全体を解体・改修する
- 耐震補強、断熱改修、配管更新を同時に行う
- 主要な生活機能を長期間確保できない
- 工事区画を完全に分離できない
- 粉じん、臭い、騒音、安全性への影響が大きい
- 工程を分割すると工期や費用が大きく増える
仮住まいには費用がかかります。
しかし、生活しながら何度も荷物を移動し、
養生と清掃を繰り返し、
工事を細かく分割するより、
結果的に工期と総費用を
抑えられる場合があります。
工事内容別|住みながらできる可能性の目安
工期は建物の状態、製品納期、配管位置、
下地の劣化、工事範囲によって変わります。
以下は一般的な考え方です。
| 工事内容 | 住みながらの可能性 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 壁紙・一室の内装 | 比較的高い | 家具移動、臭い、粉じん |
| トイレ交換 | 比較的高い | 家に一か所しかない場合の使用停止時間 |
| 洗面台交換 | 比較的高い | 洗濯機や脱衣室との動線 |
| キッチン交換 | 条件による | 調理、食器、冷蔵庫、給排水の停止 |
| 浴室交換 | 条件による | 数日間の入浴場所、洗面脱衣室の使用 |
| LDK全体 | 慎重な判断が必要 | 食事、家族の居場所、冷暖房 |
| 1階全面改修 | 仮住まいを検討 | 玄関、水回り、生活動線が集中しやすい |
| 耐震・断熱改修 | 仮住まいを検討 | 壁・床・天井の解体、騒音、粉じん |
| 全面リノベーション | 仮住まいが基本 | 生活機能と安全な居場所を確保しにくい |
設備交換だけに見えても、
床下の配管、壁の下地、土台の腐朽、
白蟻被害などが見つかると工期が変わります。
そのため、リフォーム専門会社さんの
広告等に掲載された「最短○日」という数字だけで、
生活計画を決めないことが大切です。
住みながらの工事で、
想像以上に負担になりやすいこと。
1.音よりも、粉じんと細かな汚れが気になる
解体工事では、養生をしていても
細かな粉じんが発生します。
衣類、寝具、書類、家電製品などは、
工事区画から離すか、
密閉できる状態で保管する必要があります。
「別室に置けば大丈夫」と思っていても、
人が移動するたびに
粉じんが運ばれることがあります。
2.職人さん、工事関係者の出入りで、
家にいても落ち着かない
工事中は、職人さん、現場監督、設備業者、
材料の搬入業者などが出入りします。
毎日、人の気配と工事音がある生活は、
想像している以上に
気疲れすることがあります。
在宅勤務、夜勤、受験勉強、
介護、療養があるご家庭では、
特に慎重な判断が必要です。
3.荷物を一度動かせば終わりではない
工事を部屋ごとに分ける場合、
荷物を何度も移動することがあります。
家具の移動、保管、養生、
復旧にも手間と費用がかかります。
住みながら工事を選んだことで、
仮住まい費用は減っても、
工期が延び、
荷物移動や清掃費用が増えることがあります。
4.家族の誰か一人だけが我慢を抱えやすい
ご夫婦のどちらかが
「多少不便でも大丈夫」と考えていても、
食事、洗濯、片付けを担う人に
負担が集中することがあります。
工事方法を決める前に、
家族全員が平日の生活を
具体的に想像することが大切です。
仮住まいは「余分な費用」ではなく、
工事を安全に早く終えるための
計画費になることがあります
仮住まいには、
家賃だけでなく次の費用が考えられます。
- 二回分の引っ越し費用
- 敷金、礼金、仲介手数料
- 家具や家財の保管費用
- 駐車場代
- インターネットの手配
- 通勤・通学距離の変化
- 外食や生活用品の追加費用
- ペットと暮らせる物件の確保
確かに負担は小さくありません。
しかし、工事区画を空にできれば、
職人さんや工事関係者が
連続して作業しやすくなり、
資材を効率よく搬入でき、
毎日の養生撤去や生活への復旧を減らせます。
仮住まい費用だけを見て
「もったいない」と判断するのではなく、
住みながら進めた場合の工期、
養生、荷物移動、清掃、
家族の負担まで含めた総額で
比較することが重要です。
「住みながら」か「完全な仮住まい」かの
二択ではありません。
実際には、次のような中間案もあります。
解体期間だけ外泊する
最も大きな音、粉じん、
振動が発生する期間だけ
ホテルや親族宅へ移ります。
水回り停止期間だけ仮住まいする
キッチン、浴室、
トイレが同時に使えない期間だけ、
短期賃貸などを利用します。
1階と2階を分けて工事する
二階に水回りや安全な生活空間を
確保できる場合は、
階ごとに工事を進めます。
敷地内の離れや別棟を活用する
離れ、二世帯住宅の別世帯、
敷地内の既存建物を
一時的な生活場所として
使える場合があります。
大切なのは、
最初から二択にしないことです。
ご家族にとって負担の少ない
「第三の方法」がないかを、
設計と工程の両面から検討します。
奈良で築年数の経過した住宅を
改修するときに確認したいこと
奈良県内では、
実家を受け継いだ住宅、
築年数の経過した木造住宅、
増改築を重ねた住まいについて
相談する場面が数多くあります。
そのような住宅では、
内装や設備だけでなく次の確認が必要です。
- 耐震性
- 基礎、柱、梁、土台の状態
- 雨漏り、白蟻、腐朽
- 断熱材の有無と状態
- 給排水管、電気配線
- 過去の増築履歴
- 確認済証、検査済証、図面の有無
- アスベスト含有建材の可能性
建築物の解体・改修工事では、
石綿(アスベスト)含有建材の有無について
事前調査が必要です。
2023年10月以降は、
一定の資格を持つ調査者による
事前調査が義務付けられています。
また、奈良県内の市町村では、
要件を満たす木造住宅の
耐震診断や耐震改修に助成制度が
設けられている場合があります。
制度は市町村、年度、年収、
着工時期によって異なるため、
契約や着工の前に確認が必要です。
見た目をきれいにする前に、
壁や床を開けたときに
何が起こり得るかを考えることが、
安全なリフォームの第一歩です。
工事を進める前に確認したい10の質問
リフォーム会社、工務店、
設計事務所へ相談するときは、
次の内容を確認してください。
工事区画と生活区画を完全に分けられるか
キッチン、浴室、トイレは何日使えないか
給水、排水、電気を止める日時はいつか
工事関係者の出入り口と家族の玄関を分けられるか
家具や家財は誰が、どこへ移動するか
粉じん、臭い、騒音への対策は何か
子ども、高齢者、ペットの安全をどう確保するか
住みながらの場合と仮住まいの場合で、
工期と総費用はどう変わるか
解体後に追加工事が
必要になった場合の判断方法は何か
工事中の変更や確認事項を誰が整理するか
「住みながらできます」と言われたら、
そこで安心するのではなく、
どのように生活を成立させるのかまで
説明してもらうことが大切です。
なぜ、工事会社を決める前に
建築家へ相談する意味があるのか?
施工会社は、
工事を安全に完成させる専門家です。
一方、建築家、設計事務所は
完成後の間取りやデザインだけでなく、
既存建物の状態、法規、構造、
設備、工事範囲などを含めて、
工事中の暮らしを整理します。
住みながら工事を進めるには、
- どこを先に工事するか
- どの部屋を一時的な生活場所にするか
- 仮設の調理・洗面機能をどこに置くか
- 家族動線と工事動線をどう分けるか
- どこまで一度に解体するか
- 何を残し、何を更新するか
という設計が必要です。
工事費だけを安くするために
工程を分けるのではなく、
家族の生活、安全性、完成後の品質、
工期、総予算が整う方法を考える。
それが、設計事務所に
早い段階で相談する意味だと考えています。
〇関連blog
奈良で建て替えかリフォームか迷ったら|平屋・二階建て・三階建て・リノベーションまで、後悔しない住まいと暮らしの選び方
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail893.html
まずは、ご自宅の状況を整理してください
まだリフォームをすると決めていなくても、
次の内容が分かれば、
住みながら進められる可能性を
整理しやすくなります。
- 建物の築年数
- 現在の間取り図の有無
- 改修したい場所
- ご家族構成と日中の在宅状況
- 希望する工事時期
特に、次のいずれかに当てはまる方は、
工事会社を決める前の相談が重要です。
- 築30年、40年以上の住まいを直したい
- 実家を受け継いで住み続けたい
- 水回りだけでなく、耐震・断熱も気になる
- 高齢の親と暮らしながら工事したい
- ペットへの負担を減らしたい
- 建て替えか全面リフォームか迷っている
- 仮住まい費用を含めた総予算が分からない
よくある質問
Q住みながらリフォームすると、
費用は必ず安くなりますか?
A必ず安くなるとは限りません。
仮住まい費用は抑えられますが、
工事を分割するための養生、
荷物移動、清掃、職人さんの再手配などにより、
工期や工事費が増える場合があります。
二つの方法を総額で比較する必要があります。
Qキッチンやお風呂だけなら、
住みながら工事できますか?
A可能なケースは多くあります。
ただし、給排水を止める時間、
調理や入浴の代替方法、
家にトイレが何か所あるかによって
判断は変わります。
Q全面リフォームでも住みながら
工事できますか?
A建物が広く、
工事区画と生活区画を
完全に分けられる場合は可能性があります。
しかし、耐震補強、断熱改修、配管更新、
間取り変更を伴う場合は、
仮住まいの方が安全に
工事を進めやすいことがあります。
Q仮住まいはいつから探せばよいですか?
A工事請負契約の直前ではなく、
設計と工程の相談を始める見通しが
立った段階から探し始める方が安心です。
短期賃貸、通勤・通学、駐車場、
ペット可などの条件があると、
候補が限られるためです。
※マンスリーマンションも候補に
Q奈良県内での各市町村で
耐震改修補助は使えますか?
A奈良県内の市町村には、
場合によって木造住宅の耐震診断や
耐震改修への助成制度があります。
ただし対象となる築年、構造、年収
申請時期などの条件があり、
工事着手後では
申請できない場合があります。
所在地の市町村へ事前確認が必要です。
住みながら工事をするか迷っている方へ
仮住まいを避けることが、
必ずしもご家族にとって
良い選択とは限りません。
反対に、
工夫次第で住みながら進められる
工事なのに、
最初から長期間の仮住まいを
選ぶ必要もありません。
必要なのは、工事会社を決める前に、
建物の状態、工事範囲、生活機能、
家族構成、工事中の動線、
総予算を一度整理することです。

※間接的に風と光を取り入れて、
心地よい暮らしの空間をカタチにした古民家
〇関連blog
奈良で実家を受け継ぐなら|建て替えかリフォームか?リノベーション・二世帯住宅で後悔しない住まいの判断基準
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail896.html
やまぐち建築設計室では、
建て替えや全面リフォームを前提にせず、
現在の住まいをどこまで活かせるのか、
住みながら工事が可能なのか、
仮住まいが必要なのかを、
暮らしと建築の両面から検討します。
ご相談の際は、
「住みながらリフォームの記事を見た」
とお書き添えいただき、
築年数、改修したい場所、
ご家族構成、希望時期をお知らせください。
工事の方法を決める前に、
これからの暮らしに
無理のない進め方を一緒に整理します。
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
住まいの設計、デザインのご相談は
ホームページのお問合わせから
ご連絡ください
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