ブログ・コラム
2026.06.10
なぜその間取りなのか?後悔しない家づくりのために考えたい暮らし・動線・家族の未来設計|家族の価値観から考える住まいのつくり方
- カテゴリ:
- 家づくりと間取りの考え方
なぜその間取りなのか。
図面の前に考えたい
暮らしの設計と後悔しない家づくり。
家づくりを考え始めたとき、
多くの方はまず間取りを見ます。

※間取りは部屋を並べる作業ではありません。
家族の暮らし方や未来の変化を
設計することから
本当の家づくりは始まります。
「4LDKがいいかな」
「平屋が暮らしやすそう」
「ランドリールームは広めに欲しい」
「回遊動線に憧れる」
もちろん、それらは大切な要素です。
ですが、
設計の仕事を20年以上続けてきた中で
感じることがあります。
それは、
後悔する人ほど間取りを考えていて、
満足している人ほど
暮らしを考えているということ。
実際に住み始めてから感じる満足感は、
部屋数や帖数だけでは決まりません。
毎日の朝がどのように始まり、
夜がどのように終わるのか。
家族がどのような距離感で過ごし、
どのような時間を共有するのか。
住まいは、
そうした日常の積み重ねを
受け止める場所です。
だからこそ私は、
間取りを描く前に必ず様々な
暮しに関する「問い」をお伝えします。
家づくりを通して、
何を大切にしたいですか?
なぜ同じ間取りでも、
満足する人と
後悔する人がいるのかということ。
SNSを見ると、
素敵な住宅が数多く並んでいます。
吹抜けのあるリビング。
ホテルライクな洗面室。
大きなアイランドキッチン。
中庭のある平屋。
どれも魅力的です。
しかし、その間取りが
あなたの暮らしに合うとは限りません。
例えば、
料理が好きなご夫婦と、
外食が多いご夫婦では、
理想のキッチンは変わります。
家で過ごす時間を大切にする人と、
休日は外出することが多い人では、
リビングの役割も変わります。
つまり、
間取りに正解があるのではなく、
その家族に合った答えがある。
ということです。
家づくりで本当に大切なのは、
「人気の間取り」ではなく、
「自分たちの暮らしに合った間取り」を
見つけることです。
間取りは図面ではなく、
未来の暮らしの設計図だということ。
間取りは単なる
部屋の配置図ではありません。
未来の暮らしの設計図です。
例えば朝。
誰が最初に起きるのか。
どこで身支度をするのか。
洗濯機はいつ回すのか。
子どもはどこで宿題をするのか。
仕事から帰った後、
どこで気持ちを切り替えるのか。
実はこうした何気ない日常こそが、
住まいの使い心地を決めています。
住宅展示場で見る家は
数時間しか体験しません。
最近は、宿泊体験を行っている
モデルハウスもありますが、
日常の暮らしに
結びつくかどうかは別物です。
しかし実際の住まいは、
10年、20年、30年と使い続けます。
だからこそ、
見た目の印象よりも、
毎日の行動や習慣を
丁寧に読み解くことが大切なのです。
環境心理学が教えてくれる「住まいの力」
環境心理学という学問があります。
人は周囲の環境から
大きな影響を受けながら
生活しているという考え方です。
例えば、
自然光が入る場所では
気持ちが前向きになりやすい。
緑が見える環境では
ストレスが軽減されやすい。
適度に家族の気配を
感じられる住まいは安心感を生みやすい。
これは特別なことではありません。
私たちは毎日、
空間から影響を受けながら
暮らしています。
だから住まいは、
雨風をしのぐ箱ではなく、
心を整える環境でもあります。
帰宅したときにほっとする玄関。
窓辺で季節を感じる居場所。
一人になりたい時に
静かに過ごせる小さな空間。
そうした場所があるだけで、
暮らしの質は大きく変わります。
子ども中心の家づくりだけでは
足りない理由。
家づくりのタイミングは、
子育て世代というのが
最も多い時期となります。
そのため、
どうしても今の暮らしだけを
基準に考えがちです。
しかし住まいは、
子どもが小さい数年間だけのために
建てるものではありません。
小学生だった子どもは高校生になり、
やがて進学や就職で
家を離れるかもしれません。
その後の住まいは、
再び夫婦中心の暮らしになります。
ここで重要になるのが、
変化に対応できる住まいという
考え方です。
用途を固定しすぎない部屋。
家族構成の変化に合わせて
使い方を変えられる空間。
暮らしの変化を受け止める余白。
将来後悔しない住まいには、
こうした柔軟性があります。
夫婦の距離感は空間が育てる
設計の打ち合わせでは、
ご夫婦それぞれの価値観をお聞きします。
すると、
同じ家に住んでいても、
求めているものが違うことがあります。
読書が好きな人。
映画鑑賞が好きな人。
庭時間を楽しみたい人。
趣味に没頭したい人。
家族が仲良いことと、
常に同じ場所にいることは違います。
実は夫婦関係や家族関係は、
空間の影響を大きく受けています。
近すぎると疲れる。
遠すぎると孤独になる。
だから私は、
気配は感じるけれど
干渉しない距離感を大切にしています。
この絶妙な距離感が、
長く心地よく暮らせる
住まいをつくります。
「余白」が暮らしを豊かにする
効率だけを追求すると、
住まいは窮屈になります。
動線を短く。
収納を増やす。
無駄をなくす。
もちろん大切です。
しかし人の暮らしは、
効率だけでは豊かになりません。
窓辺で空を眺める時間。
中庭を見ながらお茶を飲む時間。
本を読む時間。
家族と何気ない会話をする時間。
こうした一見すると無駄に見える時間が、
実は暮らしの豊かさを育てています。
建築には昔から、
「余白」という考え方があります。
私はこの余白こそ、
住まいの価値を高める
重要な要素だと考えています。
間取りを考える前に、
本当に考えるべきこと
家づくりで後悔する人は、
間取りを考えていたようで、
実は暮らしを考えていませんでした。
反対に満足している人は、
暮らしを考えた結果として
間取りが決まっています。
だから私は、
間取りの前に次のことを
考えていただきたいと思っています。
家族はどんな時間を大切にしたいのか
休日をどのように過ごしたいのか
子どもが成長した後の暮らしはどうなるのか
夫婦二人になった時、
どんな家で暮らしたいのか
自分たちにとって本当の豊かさとは何か
その問いの中身が見えてきた時、
初めて間取りに意味が生まれます。
〇関連blog
なぜ“間取りから考える家づくり”は失敗するのか|住まいは人生観の表出である―建築家が紐解く暮らしの質を高める設計という考え方
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail830.html
奈良で家づくりを考えている方へ
やまぐち建築設計室では、
図面を描く前に、
ご家族の価値観や生活習慣、
将来のライフスタイルの変化まで
丁寧にお聞きします。
住まいを設計するのではなく、
暮らしを設計する。
その積み重ねの先に、
家に帰るのが楽しみになる住まいが
生まれると考えています。
家づくりとは、
建物をつくることだけではありません。
これから先の人生を、
どのように暮らしたいのかを
考える時間です。
そして間取りとは、
その問いが「カタチ」になったものなのです。
奈良でこれから家づくりを考える方にとって、
少しでも参考になれば幸いです。
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
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