ブログ・コラム
2026.05.30
なぜ家族は同じ家に住んでいても、すれ違ってしまうのか。 家族の居場所と心地よい距離感から考える、注文住宅と人間関係の設計論
- カテゴリ:
- 過ごし方、暮らし方、生活環境と間取り
ひとりの時間と、つながる時間。
家族の距離感から考える、
心地よい住まいと暮らしの設計・・・・・。

※同じ空間にいながらも、
それぞれが自分らしく過ごせるフロア設計。
家族が集う時間も一人で静かに過ごす時間も
大切にしながら、
中庭を介して気配がやさしくつながる提案。
階段も腰を掛ける居場所となるように、
心地よい距離感が、
人間関係を無理なく育てていきます。
奈良で注文住宅や
住まいづくりのご相談をお受けしていると、
間取りや収納、
家事動線についての
ご要望を多くいただきます。
もちろん、
それらは暮らしやすい住まいを
実現するために欠かせない要素です。
しかし私は、
家づくりにおいてもっと大切なことがあると
考えています。
それは、
「どのような人生を送りたいのか」
ということです。
どのような時間を大切にしたいのか。
どのような家族関係を育みたいのか。
どのような暮らし方を実現したいのか。
住まいは単なる箱ではありません。
人生を受け止める器であり、
家族の時間を育てる環境そのものです。
だからこそ、
やまぐち建築設計室では
間取りを考える前に、
まず暮らしを考えることを大切にしています。
家族が集まる家が、
本当に良い家なのでしょうか?
家づくりのご相談で
よく耳にする言葉があります。
「家族が自然に集まる家にしたい」
それはとても素敵な願いだと思います。
家族が食卓を囲む。
リビングで会話をする。
休日を一緒に過ごす。
そんな時間は、
人生の中でもかけがえのないものです。
しかし私は、
長年住宅設計に携わる中で、
別の視点も
大切だと感じるようになりました。
それは、
家族が集まる場所だけではなく、
それぞれが安心して
離れられる場所も必要だということです。
夫婦であっても。
親子であっても。
家族であっても。
一人になりたい時があります。
静かに本を読みたい時があります。
考え事をしたい時があります。
誰にも気を遣わず、
ただぼんやりしたい時があります。
人は誰しも、
一人の人格を持った存在です。
だからこそ、
良い家族関係とは常に一緒にいる事ではなく
「心地よい距離感を保てること」
なのではないでしょうか?
〇関連blog
心が荒れにくい家には理由がある。光・陰影・言葉・空間心理から考える“人生を整える家づくり”という視点
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail854.html
家族の居場所を考える住まいづくり
やまぐち建築設計室では、
住まいの設計を考える際に、
家族それぞれの居場所を大切にしています。
居場所とは、
必ずしも個室のことではありません。
〇関連blog
「ありがとう」とい言葉が自然に届く家は、なぜか空気が美しい。|家族関係・間取り・心理学から考える“心が荒れにくい和モダン住宅”という設計思想
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail841.html
窓辺のベンチかもしれません。
階段の踊り場かもしれません。
中庭を眺める廊下かもしれません。
ダイニングの一角かもしれません。
私はこれを「1㎡からの居場所」と
呼んでいます。
ほんの小さな空間であっても、
人はそこに安心感を見出します。
このブログを読んでおられる方も
そうではありませんか?
誰にも邪魔されない時間。
自分自身と向き合う時間。
心を整える時間。
そうした時間があるからこそ、
人はまた家族と向き合うことができます。
personal & commonという考え方
私が住まいづくりの中で
大切にしている考え方があります。
それが「personal & common」
という考え方です。
personal。
個人の時間、個人の感情、
個人の居場所。
そしてcommon。
家族や友人と共有する時間。
語らう時間、笑い合う時間。
住まいには、
この両方が必要だと思うのです。
共有する場所だけでは、
人は疲れてしまいます。
個人の場所だけでは、
人は孤独になります。
だからこそ、
ひとりになれる安心感と、
つながれる安心感。
その両方を設計することが、
注文住宅においてとても重要なのです。
なぜ現代人は
居場所を求めるのでしょうか?
現代社会はとても速くなりました。
SNS、動画、ニュース、
メッセージ、通知。
私たちは常に情報に囲まれています。
便利になった反面、
心が休まる時間は
減っているのかもしれません。
会社では役職があり、
家庭では役割があり、
地域でも責任があります。
人は気づかないうちに、
多くの役割を背負っています。
だからこそ必要なのは、
何者でもなくていい場所。
評価されなくてもいい場所。
頑張らなくてもいい場所。
つまり素の自分でいられる居場所です。
私はその役割を
住まいが担うべきだと思っています。
人間性は暮らしの環境によって
育まれるということ。
人間性とは何でしょうか?
私は最近、
このことをよく考えます。
人間性は、
生まれ持った性格だけで
決まるものではないと思うのです。
どのような環境で暮らしているか。
どのような言葉に囲まれているか。
どのような景色を見ているか。
どのような空間で呼吸しているか。
どのような関係性で暮らしているのか。
どのような人に囲まれているのか。
人間はその環境の平均値になると
言われています。
それらが少しずつ積み重なり、
人をつくっていく。
〇関連blog
なぜか「家にいるのに疲れる」|間取りだけでは整わない“心と住まい”の関係。建築家が考える「心を整える住まい」と環境心理学からの視点
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail837.html
慌ただしい環境にいれば心も急ぎます。
競争ばかりの環境にいれば
余裕を失います。
反対に、
光が入り、風が抜け、季節を感じ、
好きな場所があり、
家族とのちょうど良い距離感が
ある住まいでは、
人は自然と穏やかになります。
私は、住まいづくりとは
建物をつくることではなく、
人間性が育つ環境を整えることだと
考えています。
和モダン住宅にも通じる距離感の設計。
私が奈良で設計している
和モダン住宅や数寄屋の住まいでも、
この考え方を大切にしています。
例えばですが、
深い軒、中庭、縁側、格子、陰影。
これらは単なるカタチだけを真似る
デザインではありません。
人と人との距離を
柔らかく調整する仕組みでもあります。
視線を遮りながら気配を感じる。
一人でいながら孤独ではない。
家族とつながりながら干渉されすぎない。
日本の住まいには、
古くからその知恵が息づいていました。
私は現代の注文住宅にも、
その価値を活かしたいと考えています。
建築とは、
人間関係を設計すること。
住宅設計というと、
間取りを考える仕事だと
思われるかもしれません。
もちろん、
それも大切な仕事です。
しかし私が本当に設計しているのは、
夫婦の距離感。
親子の距離感。
家族の気配。
友人との関係。
そして、住まい手自身による
自分自身との向き合い方です。
図面には描けないものがあります。
数字では測れないものがあります。
けれど、
そうした目に見えない価値こそが、
住まいの心地よさを
決めているのだと思います。
暮らしを整えることは、
人生を整えること・・・・・。
家づくりは、
建物を手に入れることだけでは
ありません。
人生を見つめ直す機会です。
どのように生きたいのか。
どのような時間を大切にしたいのか。
どのような家族でありたいのか。
その答えを探す旅でもあります。
ひとりで静かに過ごす時間も。
家族や友人と語らう時間も。
どちらも大切にできる暮らし。
それぞれが自然に自分の居場所を
見つけることができる住まい。
そんな環境が、
人を穏やかにし、家族の関係を育み、
人生を豊かにしてくれるのでは
ないでしょうか?
やまぐち建築設計室では、
間取りの前に暮らしを考えます。
家の前に、人生を考えます。
そして、
そのご家族らしい「ちょうどよい距離感」を
丁寧に探しながら、
一邸一邸の住まいを設計しています。
奈良で注文住宅や
和モダン住宅を検討されている方が
いらっしゃいましたら、
一度「どんな家に住みたいか」ではなく、
「どんな暮らしを送りたいか」
を考えてみてください。
その問いの中に、
本当に心地よい住まいづくりの
ヒントがあるはずです。
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
住まいの設計、デザインのご相談は
ホームページのお問合わせから
ご連絡ください
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