ブログ・コラム
2026.05.26
図面では広く見えたのに、なぜ狭く感じるのか。家具サイズと生活動線から考える、本当に暮らしやすい間取りと家づくり| 建築家が考える、ヒューマンスケールから整える暮らしの環境設計
- カテゴリ:
- 家具と暮らしとインテリアコーディネート
図面では広く見えるのに、実際は狭い?
家具サイズが間取りを左右する理由と、
暮らしやすい住まいづくりの本質。

※光の入り方ひとつで家具の存在感も、
空間の持つ意味も変わっていく。
家族にとっての暮らしの価値観と
家具レイアウトの意味を整えた
住まいの提案。
家づくりの打ち合わせで、
多くの方が最初に心を躍らせるのが
「間取り図」だと思います。
広々としたLDK。
大きな窓。
回遊できる動線。
整った収納計画。
図面を見ながら、
「この家で暮らしたら気持ち良さそう」
そんな未来を想像する時間は、
家づくりの醍醐味のひとつです。
ですが実際には、
こうした声を耳にすることがあります。
「思ったよりリビングが狭く感じる」
「家具を置いたら通りにくい」
「ソファを置いたら圧迫感が出た」
「ダイニングの後ろが窮屈」
「図面ではもっと広く見えていたのに…」
実はこれは、
家づくりでは非常によく起こる“ズレ”です。
そしてその原因の多くは、
「家具のサイズ感」と「暮らし方」を、
間取り検討の初期段階で十分に「重ね合わせ」を
していないことにあります。
図面の中の“広さ”は実際の広さとは少し違う。
住宅の図面は、
1/100や1/50といった
縮尺で描かれています。
場合によっては「No-scale」といって
特定のサイズで書かないケースもあります。
建築に慣れている側からすると
当たり前の尺度でも、
普段の生活の中で、
人はその縮尺感覚で空間を認識していません。
つまり、
図面上では広く見えていても、
実際の体感とはズレが生じやすいのです。
さらに、
図面の中に描かれている家具。
ソファ。
ダイニングテーブル。
テレビボード。
ベッド。
これらは、
あくまで“イメージ”として
描かれている場合も少なくありません。
特に提案段階の図面では、
空間を広く美しく見せるために、
実際より少し小さめに
家具が描かれているケースもあります。
※分譲住宅のモデルハウスや、
マンションのモデルルームでも
よく行われる錯覚効果によるもの
もちろん、
悪意があるわけではありません。
ただ、住まい手さん側としては、
図面に描いてある=そのまま問題なく置ける
と思うのが自然です。
ですが現実には、
家具のサイズひとつで、
空間の心地よさは大きく変わります。
間取りだけを見ていると、
暮らしが置き去りになることがある
家づくりの打ち合わせは、
一般的に、
間取り
↓
設備
↓
内装
↓
照明
↓
家具・カーテン
という順番で進むことが多いものです。
そのため、
家具計画はどうしても
後回しになりがちです。
しかし本来、
家具は“後から置くもの”ではなく、
暮らしを成立させるための重要な要素。
むしろ、
家具の配置や選択によって
空間の使い方は大きく変わります。
どこに座るのか。
どこを歩くのか。
どこで会話するのか。
どこで休むのか。
暮らしの風景は、
家具によって輪郭を持ち始めます。
だからこそ、
間取りだけで住まいを考えてしまうと、
「暮らしの実感」が
抜け落ちてしまうことがあるのです。
家具サイズを誤ると起こる、
実際の暮らしの問題・・・・・。
家具は部屋に置くだけではなくて
実際に使う事を想定する必要がある
ということ。
ダイニング周辺が窮屈になる
ダイニングテーブルは、
置ければよいわけではありません。
椅子を引く。
後ろを通る。
配膳する。
そうした“動き”まで含めて、
空間は成立します。
例えば、
椅子を引いた瞬間に後ろが通れない。
これだけで、
日々の小さなストレスになります。
毎日の積み重ねは、
想像以上に暮らしに影響します。
ソファとテレビの距離が合わない
図面ではちょうど良さそうに見えても、
実際のソファサイズで考えると、
テレビとの距離が近すぎることがあります。
逆に、空間を広く見せようとして
家具を小さくすると、
今度は暮らしに対して
サイズが不足することもあります。
「家族でくつろげない」
「横になれない」
「来客時に座れない」
空間の寸法だけではなく、
“どう暮らしたいか”が重要なのです。
ベッドと通路の関係
寝室は、
意外と寸法の影響が大きい場所です。
ベッドをクイーンサイズにするのか。
キングサイズにするのか。
将来的にどう使うのか。
ベッドサイズが変わるだけで、
通路幅や照明位置、
コンセント位置まで変わってきます。
「コンセントが家具の裏に隠れた」
「照明が顔の真上に来る」
「窓が開けにくい」
こうしたことは、
家具寸法を先に考えておけば
避けられることも多いのです。
本当に大切なのは、“暮らしの想像力”
間取りを考える時に大切なのは、
単純な帖数ではありません。
そこに、どのような雰囲気と居心地、
時間が流れるのか?
それを想像することです。
朝、どこに光が入るのか。
夜、どこでくつろぐのか。
休日、家族はどこに集まるのか。
ソファで映画を見るのか。
ダイニングで仕事をするのか。
お客様を招くことが多いのか。
そうした生活の風景を思い描くことで、
必要な家具のサイズや、
本当に必要な空間の質が見えてきます。
間取りの前に、“暮らし方”を整える
やまぐち建築設計室では、
間取りだけを
先に決めるという考え方を、
あまり行っていません。
先に暮らしの情報と
価値観を整えつつ、
設備商品ショールームや
家具・インテリアショールームへの
ご案内を先行して行い、
家族間での暮らしのイメージを
共有していただき
ソファーのサイズ感や色彩や素材感を
整えた状態で
間取へと移行するような進め方です。
なぜなら、
家は「図面の完成」が目的ではなく、
“暮らしが整うこと”が目的だからです。
どんな家具を使いたいのか。
どんな時間を過ごしたいのか。
どんな気持ちで、
朝を迎えたいのか。
そこまで含めて考えることで、
初めて、
本当に心地よい住まいになっていきます。
〇関連blog
感性と機能を統合する注文住宅の設計思想|図面では見えない“心地よさ”を設計する─環境心理学と身体感覚で実現する、和モダン・ホテルライクな感性を持つ居心地良い住まいの提案
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail822.html
空間は、広さだけで
豊かになるわけではありません。
余白。
視線。
光。
動線。
家具との距離感。
それらが丁寧に重なった時、
住まいの“空気”は変わります。
家具を先に見ることは、
暮らしを先に考えること・・・・・。
これから家づくりを考える方は、
ぜひ一度、家具屋さんや
インテリアの効能をイメージして
空間の意味を意識してみてください。
ソファに実際に座ってみる。
ダイニングテーブルの大きさを体感する。
椅子を引いた時の距離感を知る。
その感覚は、
図面を見る目を大きく変えてくれます。
この家具を置いて大乗かな?
という視点が生まれるだけで、
間取りは“ただの図面”ではなく、
未来の暮らしの風景へと
変わり始めます。
家づくりは、
建物をつくることではなく、
暮らしをつくること。
だからこそ、
間取りだけではなく、
家具や動線、
そして日々の時間の流れまで含めて、
丁寧に想像してみてください。
その積み重ねが「なんだか落ち着く」
「帰るとほっとする」そんな、
本当に暮らしやすい住まいへと
繋がっていくのだと思います。
奈良で、暮らしの趣を丁寧に考えた
和モダン住宅・注文住宅・リノベーション
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やまぐち建築設計室まで。
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奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
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