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ブログ・コラム

2026.02.17

はじめてのカフェ開業に必要な設計と資金計画|長く続く個人経営店をつくる順序

カテゴリ:
体験を設計する店舗・空間デザイン

 

カフェを開く前に知っておきたい

「店舗づくりの順序」

 

奈良県で個人経営・脱サラ開業を想定したカフェ空間事例。木目の壁とダークトーンのインテリア、グレーのソファ席と木製テーブルを組み合わせた落ち着いた店内デザイン。小規模カフェでも回りやすい客席配置と厨房動線を意識した設計例で、長く続くカフェ経営を支える空間づくりを表現している。

※無理なく回る客席配置と滞在価値を高める空間提案。

長く続く個人経営カフェを支える設計の一例。

 

 

夢を現実に変える為の

資金・物件・設計・運営の全体像。

 

カフェを開きたい。

そう思いはじめた瞬間から、

物事は前へ進みます。

 

ただ同時に、

こんな不安も静かに顔を出します。

 

・いくら必要なんだろう?

・物件ってどう選ぶのか?

・内装って、どこまでやればいい?

・メニューは、何から決める?

・好きだけで続くのかどうか?

 

カフェは、家と少し似ています。

「好き」や「憧れ」だけで建てると、

住み始めてから暮らしが苦しくなる。

 

逆に、最初に暮らし(=日々の運用)から

逆算できると、

心地よさが長く続く。

 

店舗(お店)も同じです。

カフェは、空間の美しさと同じくらい、

日々の運営(オペレーション)と

数字(資金繰り)が店の寿命を決めます。

 

cafe開業のご相談やテナント、

土地探しなどのご相談もいただく事がありますので

今回は、cafe開業について

少しこのブログでも書いてみたいと思います。

 

個性派カフェのリアルな実例などにも

通底する要点を踏まえつつ、

やまぐち建築設計室として、

設計の意図/設計による効能まで含めて、

「開業→運営→継続」までの実務を、

できる限り具体的に

お伝えできればと思います。

 

■今回のブログ投稿内容でわかること

 

開業資金の考え方

必要額ではなく破綻しない構造

 

物件探しの順序

先に決めると詰む条件/後から取り返せない条件

 

メニューと設備の関係

理想のメニューが設備費を跳ね上げる理由

 

内装デザインより先に整えるべき「運営の設計」

 

一人運営・夫婦運営でも回る

動線と客席のつくり方

 

集客の前に整える「また来たくなる理由」の設計

 

長く続く店がやっている

「やらないこと」の決め方

 

カフェ開業の9割は「順序」で決まるという事。

まず最初に決めるべきは、

店名でも内装でもなく「型」です。

 

例えばですが、

脱サラでカフェを始める方ほど、

エネルギーが強い傾向があります。

だからこそ、

最初に「勢いで」決めてしまいやすい。

 

・とりあえず物件を押さえる

・とりあえず内装をおしゃれにする

・とりあえずSNSを頑張る

 

もちろん、それも大切です。

でも現実には、

順序が逆になるだけで、

毎月の固定費が重くなり、

「忙しいのに残らない」店に

なってしまうケースがあります。

 

カフェづくりには、

見えない設計図があります。

それは、図面ではなく、

事業としての設計図です。

 

本来はコンサルティングとして

型にはめたくはないのですが、

今回は、

先ずは基本をという事で

店の型は、次の3つで決まります

 

・どんな人に(誰のために)

・どんな時間を(どんな体験を)

・どのくらいの運営負荷で(自分が回せる範囲で)

 

ここが定まると、

物件・設備・席数・厨房サイズ

動線・内装の濃度までが連動して整います。

 

全体像

「お金物件設備設計運営」を

一本の線にする

 

最大のポイントは、

人気店の答えではなく、

継続している店の共通項です。

 

それは、

華やかなコンセプトではなく、

日々の現実を折り込んだ

意思決定があること。

 

ここからは、開業を「線」で

捉えるために、

順番に解像度を上げます。

 

開業資金の考え方

いくら必要か?

より「いつ尽きるか?」を先に見る

 

多くの人が最初に知りたいのは、

資金です。

ただ、ここで大事なのは、

単なる合計金額ではありません。

 

開業で本当に怖いのは

 

・工事が膨らむ

・設備が追加になる

・開業後、売上が安定するまでの

 数か月で資金が尽きる

 

つまり「初期費用」より、

運転資金(数か月~数年)が勝負です。

 

目安としての資金カテゴリ(考え方)

・物件取得費(保証金・礼金・仲介など)

・内装工事費(厨房含む/含まないで大きく変わる)

 又は新築・リンベーション費

・設備費(エスプレッソ、グラインダー、製氷、

     冷蔵冷凍、食洗・・・)

・備品(食器、消耗品、レジ、音、照明、清掃)

・立ち上げ費(ロゴ、写真、メニュー表、
                   WEBSNS導線)

・運転資金(家賃+人件費+仕入+光熱
                  返済+生活費)

 

そして、最重要なのがここです。

 

「生活費」と「店の資金」を混ぜない

 

開業直後、売上が読み切れない時期に、

生活費が店のキャッシュの消費を始めると、

判断が荒れます。

 

店の財布と暮らしの財布は分ける。

これは精神論ではなく、

事業継続の技術です。

 

物件選びの核心

立地より先に「運営の仕様」を決める

 

良い立地を取ることを多くの

大手コンサルタント会社は進める事が

多いようですが

個人経営のカフェの場合、

立地以上に効く条件があります。

 

それが、固定費と制約の少なさです。

 

物件で取り返せない条件

・家賃(固定費)

・排水・給排気・電気容量(設備の自由度)

・天井高さや梁(空間の気持ち良さ)

・日照と視認性(昼の居心地と夜の雰囲気)

・駐車条件(地方・郊外では集客動線になる)

 

奈良のように、

車移動が生活に馴染むエリアでは、

「駐車のしやすさ」や

「出入りのストレス」が意外と

来店頻度に直結します。

 

MEO(地図検索)で見つかっても、

知られる店になる前段階で

最後に決めるのは「行きやすさ」です。

 

メニューは「夢」ではなく「設備の仕様書」

何を出すかで、

必要な厨房が決まる(逆も同じ)ということ。

 

カフェのメニューは、

オーナーの夢や事業のコンセプト、

世界観そのものです。

 

でも同時に、

メニューは厨房の機械と工事費を決める

設計図でもあります。

 

例を挙げると・・・・・。

 

・焼き菓子中心

オーブン・作業台・保管・換気

 

・ランチ中心

加熱機器・排気・グリスト・提供スピード

 

・エスプレッソ主軸

マシン+電気容量+水質+動線

 

・自家焙煎

煙・臭い・近隣対策・消防・排気計画

 

「やりたい」が先でも構いません。

ただし「“必要な工事」と「対策」まで

セットで想像するのが

現実的なスタートです。

 

設計が生む効能

カフェは「気分を整える装置」

だからこそ「動線」が味になる

 

ここからが、

設計の領域です。

 

多くの方が

「内装をおしゃれにしたい」と考えます。

もちろん大切です。

しかし、繁盛店ほど「おしゃれ」より、

疲れない運営と

落ち着く居心地を優先しています。

 

カフェ設計で、効能が出るポイント

 

・1歩で届く配置(手数が減り、余裕が生まれる)

・視線がぶつからない客席(落ち着きが生まれる)

・音と光のグラデーション(滞在の質が上がる)

・入口から席までの間(気持ちが切り替わる)

・レジ位置の正解(回転率とクレーム率が変わる)

 

空間は、売上を直接生みません。

でも空間は、

間接的に世界観を生み出し、

居心地を生み出し、

来店頻度と滞在満足と口コミの質を変えます。

 

そしてこの3つは、

広告より強い集客になります。

 

小さな店ほど「厨房と客席の比率」が命

席数を増やすほど

逆効果で苦しくなる店があるという事。

 

個人経営・脱サラ開業でありがちな

落とし穴が「席数」です。

 

席数を増やすと売上が増える、

一見、正しいように見えます。

 

でも実際には、

 

・オペレーションが追いつかない

・提供が遅れ、満足度が下がる

・洗い物が溜まり、回転が落ちる

・疲れが溜まり、続かない

 

この連鎖が起きます。

 

目指すべきは「自分が回す事の出来る席数」

 

店は、オーナーの能力で回ります。

毎日がギリギリの運営だと、

表情が消えます。

すると、空間の魅力も、

接客の温度も落ちていく。

 

そんな店に、

あなたなら「入りたい」と思いますか?

カフェはある意味では「余白」が

価値になる商売です。

 

余白を生むのは、

設計と仕様です。

 

また来たくなる店の共通項

集客の前に、

再来店の理由を設計する

 

・SNSを頑張る。

・Googleの口コミを増やす。

 

もちろん大切です(MEOとしても効きます)。

 

ただ、開業初期ほど効くのは、

広告ではなく、

来店してくだったお客様が味わう

体験の一貫性です。

 

・ドアを開けた瞬間の匂い

・席に座った時の目線

・カップの口当たり

・心地よい雑音・ノイズ

・光の柔らかさ

・トイレの清潔感

・会計のスムーズさ

 

こうした「小さな印象」の積み重ねが、

お客様の価値観とあう事によって

「ここ、好きだな」という感情をつくる。

 

そして感情が、

再来店と紹介を生みます。

 

 

開業後の現実:

一番大事なのは「オペレーションの設計」

仕込み・提供・片付けを動線で短くする

 

開業で想像しにくいのが、

日々の実務です。

 

・仕込みに何時間かかるか?

・開店前の準備は何分か?

・提供のピーク時に、どこが詰まるか?

・洗い物の回収導線は?

・ゴミの仮置きは?

・ストックの置き場所は?

・清掃のルーティンは?

・着替えはどうする?

・アルバイトを入れた場合

   休憩はどうする?

 

これらは、

根性でどうにもなりません、

最初の計画設計で決まります。

 

特に小さな店では、

置き場所がないことが、

疲労と散らかりの原因になります。

 

設計で効くのは、

見栄えだけではなく、

疲れにくさと乱れにくさです。

 

よくある失敗と、

その回避策(脱サラ開業向け)

 

・失敗は才能ではなく構造で起きる

 

失敗例1

工事が膨らみ、開業前に疲れる

 

原因:

メニューと設備が固まらないまま計画が進む

 

回避:

先に「出すもの」を3段階で決める

 

開業時:絶対やる

 

半年後:軌道に乗ったらやる

 

余裕が出たら:将来の拡張

 

失敗例2

おしゃれだけど、回らない

 

原因:

厨房が小さすぎる/動線が長い

 

回避:

オペレーション

シミュレーションを設計前に行う

立ち位置と手の届く範囲で厨房を決める

 

失敗例3

席数はあるのに、利益が残らない

 

原因:固定費が重い/原価構造が弱い

 

回避:

売上ではなく「粗利と固定費」を先に組む

 

例:ドリンク比率、セット構成、仕込み時間

 

失敗例4

口コミが伸びない

 

原因:

体験が一貫していない

 

回避:

光・音・香り・清潔感の基準を決める

建築で整える範囲を明確化する事で

運営の比率を調整する

 

設計者として、

個人カフェに強く効く提案

 

小さなcafe店のための設計思想

 

・入口に「間」をつくる

 

道路からいきなり客席に入ると、

気持ちが切り替わりません。

小さくても良いので、

一拍の間を挟む。

 

これだけで、

店は「非日常」になります。

 

・光を均一にしない

 

明るい席、少し落ち着く席。

光に差があると、

人は自分の居場所を選べます。

居場所を選べる店は、

滞在が心地よくなる。

 

・見せる収納/隠す収納を分ける

 

全部を見せると居心地が薄れる。

全部を隠すと手間が増える。

見せる道具と隠す在庫を分けると、

雰囲気も運営も整います。

 

ご相談時によくあるQ&A

 

Q:脱サラでカフェを始めるなら、
最初にやることは?

 

A:コンセプトより先に、

自分が回せる運営の型

(営業時間・席数・提供方法)を決めることです。

そこが決まると、

物件・設備・内装の「適量」が決まります。

 

Q:小さなカフェでも

設計にお金をかける価値はありますか?

 

A:多少はあります。

理由は、設計は「見た目」だけではなく、

疲れにくさ・回りやすさ

口コミ品質を変えるからです。

同じ売上でも、

続く店は設計で消耗を減らしています。

 

Q:物件探しで見落としがちなポイントは?

 

A:給排水・換気・電気容量などの

設備インフラです。

ここが弱いと、

やりたいメニューが実現できず、

追加工事で予算が崩れます。

 

特に、公共下水道の整備が

行き届いていない場所だと

土地値段や中古物件価格も安いのですが、

席数や、収容人数、

提供料理の種類によって

「雑排水・汚水の浄化設備」に驚くほどの

費用が必要になります。

 

奈良でカフェを開くなら・・・・・。

奈良は、観光地の顔もあり、

生活圏の顔もあります。

つまり、

「たまたま来る人」と

「何度も来る人」が混在する。

 

個人経営で強いのは、後者です。

リピートを生むのは、

派手さよりも生活に馴染む心地よさ。

 

・駐車のしやすさ

・入口のわかりやすさ

・店内の落ち着き

・会計のスムーズさ

・トイレの清潔感

 

Googleマップで選ばれる店は、

結局、体験が丁寧です。

 

そして体験は、

環境設計で整えられます。

 

カフェ開業は「空間」ではなく

「日々の質」を設計すること

 

カフェは、

様々な人が様々な時間を過ごす

夢の器です。

でも同時に、

日々の現実を受け止める

仕事場でもある。

 

だからこそ、

 

・お金の設計

・物件の設計

・設備の設計

・動線の設計

・体験の設計

 

この内容を整えるほど、

店舗経営は長く続きます。

 

やまぐち建築設計室は、

住宅だけでなく、

暮らしの質を整える設計を

大切にしています。

 

お店づくりも同じです。

「何を売るか」だけではなく、

「どんな時間が積み重なるか」を、

空間で支えるように。

 

もし今、

 

・物件を見ているが、判断軸が定まらない

・メニューは決まってきたが、

   必要設備と工事費が不安

・小さな店で、動線が回るか心配

・おしゃれと実務のバランスを取りたい

・続く店の設計にしたい

 

そう感じているなら、

開業の全体像、

お金・物件・設備・設計・運営を

見直してみてください。

 

「計画を現実化する前」の整理だけで、

無駄な工事や、無理な席数、

無理な固定費など

避けられることが多々あります。

 

今回のblogが、

少し立ち止まって見直したい、

そんな方の目に届けば幸いです。

 

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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
  建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/

住まいの設計、デザインのご相談は
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気軽にご連絡ください
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