ブログ・コラム
2026.02.06
売場ではなく、体験を設計する。上質な店舗、ブランドが大切にしている「選ぶ時間」という価値
- カテゴリ:
- 体験を設計する店舗・空間デザイン
選ぶ時間を、価値に変える
― Jewelry Loungeという店舗のかたち ―
店舗にも、住まいと同じように
「物語」が必要だと考えています。

※選ぶ時間そのものを、価値に変える
売場ではなく、体験を設計する店舗。
どれほど高価な商品であっても、
どれほど洗練された内装であっても、
そこに「どんな時間が流れているか」が
設計されていなければ、
空間は単なる売場に留まってしまいます。
今回ご紹介するのは、
高級貴金属を扱う店舗を
「売場ではなく、ラウンジとして設える」
という思想から生まれた空間です。
Jewelry Lounge
選ぶ時間そのものが、
上質なリラクゼーションになる場所
高級貴金属は、
単なる「商品」ではありません。
人生の節目に寄り添い、
価値観や記憶と共に、
長く時間を共有していく
静かなパートナーのような存在です。
だからこそ、
この店舗を「売るための場所」ではなく、
自分自身と向き合い、価値を選ぶためのラウンジ
として設計しました。
視線と動線を緩める、ラウンジ型レイアウト
店舗奥へと一直線に伸びる構成は活かしながら、
什器・天井・床の切り替えによって
空間に緩やかなリズムを与えています。
直進動線は、
来店者に安心感と格調をもたらします。
その途中に設けた着座ゾーンは、
自然と歩みを止め、
「滞在する理由」をつくる余白。
さらに奥には大きな開口を設け、
視線が抜けることで
心理的な閉塞感を和らげています。
「急がせない」
「選ばせない」
時間を預けられる配置こそが、
ふさわしい体験を生み出します。
サロン性を高める、着座接客という選択
中央のカウンターと、
ゆったりとしたチェアの構成は、
宝飾店というよりも
ラグジュアリーホテルの
ラウンジを思わせる佇まいに。
視線が自然に下がることで、
人は無意識に緊張を解きます。
横並びの距離感は、
対話を生み、
信頼関係を育てます。
ここでは、
「選んでいただく接客」ではなく、
「語りあう接客」が主役になります。
高級貴金属に本当に必要なのは、
スペックの説明ではなく、
物語を共有する時間なのです。
天井がつくる、格と静けさ
天井は、
空間の印象を決定づける
極めて重要な要素です。
中央に設えた格子天井は、
和の濃淡と陰影を生み、
空間全体に落ち着きを与えます。
周囲のダウンライトは、
視線を商品と手元に集中させ、
ペンダント照明は、
宝石の輝きを邪魔しない
柔らかな光を添えます。
眩しさではなく、
深さのある明るさ。
それが、
貴金属の品格を引き立てます。
素材が語る、静かな高級感
素材は、
主張しすぎてはいけません。
この空間では、
触感と余韻で語る構成を採用しています。
グレートーンの床は、
重厚感と安定感を。
石・左官・木を組み合わせることで、
冷たさと温もりが共存する
奥行きのある表情を生み出します。
差し色として添えた深い赤は、
宝飾の世界観を象徴する
静かなアクセント。
派手ではない。
けれど、確実に上質な空間、
販売商品とのバランスがよい
最も安心できるトーンです。
価値を照らすための照明計画
照明は、この考え方からは
空間を照らすためにあるのではありません。
価値を照らすために存在します。
全体照明は抑制的に。
商品照明は、
色温度と配光を精密に制御。
影を設計することで、
輝きが引き立ちます。
その結果、
商品は「光る」のではなく、
静かに惹きつける存在になります。
店舗が提供する、本当の価値
この空間が提供するのは、
貴金属そのもの以上に、
自分と向き合う時間。
価値を選ぶ余白。
心がほどける安心感。
リラクゼーションサロンのように、
静かに心が整い、
気づけば「これだ」と感じている。
それは、
偶然ではありません、
設計された体験時間です。
店舗にも、必ず物語が必要です・・・・・・。
店舗は、
商品を並べる箱ではありません。
ブランドの思想を語り、
時間の質を伝え、
記憶に残る体験を育てる場所。
やまぐち建築設計室は、
空間だけでなく、
その場所で生まれる時間や対話まで含めて
設計の工夫を施しています。
店舗設計・リニューアル、
サロンやショールーム、
ハイエンド商材を扱う空間づくり。
「売れる店」ではなく、
「選ばれる店」をお考えの方は、
ぜひ一度ご相談ください。
設計には、
必ず物語が必要です。
そして、その物語は、
空間から静かに語られるものだと、
考えています。
選ぶ時間を、価値に変える
― Jewelry Loungeという店舗のかたち ―
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選ばれる理由は、
空間の中にあります。
売場ではなく、
体験を設計する店舗づくり。
店舗設計・リニューアル
接客動線を含めた空間コンサルまで。
■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
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ハイブランド商材を扱う空間のご相談は
HPよりお問い合わせください。
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