ブログ・コラム
2026.02.03
ダイニングテーブルの置き方ひとつで、暮らしの質は変わる|和モダン住宅におけるLDK設計の考え方
- カテゴリ:
- 家具と暮らしとインテリアコーディネート
ダイニングテーブルの
置き方ひとつで、
暮らしの質は大きく変わるという事。

住まいづくりを考えるとき、
多くの方が最初に思い浮かべるのは、
「間取り」や「広さ」、
「設備」かもしれません。
けれど実際の暮らしが始まったあと、
日々の満足度を左右しているのは、
もっと静かで、
もっと身近な要素であることが
少なくありません。
その代表例が、
ダイニングテーブルのレイアウトです。
毎日、必ずと言っていいほど
家族が集まる場所。
食事をするだけでなく、
会話が生まれ、考え事をし、
ときには仕事や勉強、
趣味の時間にも使われる場所。
ダイニングは、
「ただの食事スペース」ではなく、
過ごし方が多様化する場だと、
考えています。
「家具の配置」が、
暮らしのストレスを決めている
家づくりのご相談を受けていると、
こんな言葉を耳にすることがあります。
今の家は、なぜか落ち着かない
家具が邪魔なんです
片付けても、生活感が消えないんです
家族がすぐにダイニングから離れるんです
これらの原因は、
必ずしも「広さ不足」や
「収納量」だけではありません。
多くの場合、
家具と空間の関係性が
整理されていないことが、
無意識のストレスを生んでいます。
特にダイニングテーブルは、
動線・視線・滞在時間のすべてに影響する、
住まいの中でも
非常に影響力の大きな家具です。
ダイニングテーブルに限らず家具は
「置く」のではなく「配置を設計する」
今回、冒頭に写真があった住まいでは、
ダイニングテーブルを
「あとから置く家具」としてではなく、
最初から空間設計の一部として
組み込むことを前提に考えました。
ポイントは、次の3つです。
・天井と床の「流れ」に沿わせる
・高さと距離感を揃える
・動線のストレスを数値で管理する
これらを丁寧に整理することで、
ダイニングは単なる食事の場から、
空間全体を整える
軸へと変わっていきます。
天井の木目ラインと、
床の流れを読む
この住まいの大きな特徴のひとつが、
木目の美しい天井と、
落ち着いた色味の床材です。
木目には「方向性」があります。
そして人の視線は、
無意識にその流れを
追う性質があります。
ダイニングテーブルを、
この天井の木目ラインと
床の流れに合わせて配置することで、
視線は自然と奥へと導かれ、
空間に伸びやかさが生まれます。
これは、
広く見せるための
テクニックではありません。
空間に無理な
引っ掛かりをつくらず、
人の感覚に素直な配置を
しているだけです。
小上がり・リビング階段との
「高さ」と「距離感」
ダイニングの隣には、
小上がりスペース。
そして、
視線の先にはリビング階段。
それぞれ役割の異なる場所ですが、
この住まいでは、
高さと距離感を丁寧に揃えることで、
ひとつの連続した空間
として成立させています。
・小上がりに座る家族
・階段を上り下りする家族
・ダイニングで食事をする家族
それぞれが違う行動をしていても、
「同じ空間を共有している」
という感覚が、
自然と生まれるように設計しています。
これは、
距離が近いから
生まれるものではありません。
適切な距離だからこそ、
心地よく伝わる気配なのです。
通路幅が生む、日常の快適さ
ダイニングテーブルまわりの
通路幅は、
壁際で約90cmを確保しています。
数字だけを見ると、
少し細かい話に
感じられるかもしれません。
けれどこの90cmは、
毎日の暮らしの中で、
確実に効いてきます。
・配膳するとき
・片付けるとき
・椅子を引くとき
・すれ違うとき
こうした何気ない動作が、
ぶつからず、急がず、無理なく行える。
それだけで、
暮らしの中の小さなストレスは、
驚くほど減っていきます。
壁掛けテレビと
間接照明が邪魔をしない理由
ダイニングから見える位置に
設置された壁掛けテレビ。
そして、空間をやさしく包む照明。
どちらも「主張しすぎない」
配置にしています。
食事の時間は、
テレビが主役になる必要はありません。
けれど、
視界に入ったときに違和感がないこと。
空間の一部として、
自然に存在していること。
それが、
暮らしに共通する
バランス感覚だと考えています。
違和感を感じやすい理由
これまで多くの
住まい手と向き合ってきて、
ある共通点を感じています。
それは、
暮らしへの感度が高い方ほど、
小さな違和感を
見逃さないということ。
・なんとなく落ち着かない
・無意識に疲れる
・片付けても整った気がしない
こうした感覚は、
決して贅沢な悩みではありません。
むしろ、
本質を見抜く感覚があるからこそ
生まれる違和感です。
ダイニングテーブルのレイアウトは、
その違和感が
最も表れやすい場所のひとつです。
家具選びよりも先に考えるべきこと
多くの方が、
ダイニングテーブルを
選ぶときに考えるのは、
・デザイン
・サイズ
・素材
・ブランド
もちろん、どれも大切です。
けれど私たちは、
その前に必ず考えるべきことが
あると思っています。
それは、
・どこを向いて食事をしたいのか
・どんな景色を日常にしたいのか
・誰の気配を、どの距離で感じたいのか
こうした問いが
整理されていないままでは、
どれほど美しいテーブルを選んでも、
暮らしは整いません。
ダイニングは「暮らし方」が最も表れる場所
ダイニングテーブルのレイアウトは、
単なる配置の話ではありません。
どんな暮らしを
大切にしたいかという意思表示。
・食事を丁寧に味わいたいのか
・会話を楽しみたいのか
・静かな時間を大切にしたいのか
そのすべてが、
テーブルの向き、位置、
距離感に表れます。
暮らしの質は、
派手さではなく「整い」で決まる
上質な暮らしは、
決して派手な演出から
生まれるものではありません。
むしろ、
・動きやすい
・目にうるさくない
・心が休まる
そうした静かな
整いの積み重ねによって、
じわじわと実感されていくものです。
ダイニングテーブルのレイアウトは、
その入口にすぎません。
けれど、
その入口が整っているかどうかで、
暮らし全体の質は大きく変わります。
ダイニングテーブルは
「暮らしを映す鏡」
ダイニングテーブルのレイアウトは、
暮らし方そのものを映します。
何を眺め、
誰と過ごし、
どんな時間を大切にしたいのか。
その問いに丁寧に向き合うことが、
結果として、
住まいの本質を整えていきます。
やまぐち建築設計室は、
図面や数値だけでなく、
その先にある暮らしの感覚まで含めて、
住まいの設計を行っています。
もし、
間取りは悪くないはずなのに、
どこか違和感がある
そんな感覚をお持ちでしたら、
家具を中心に、
暮らしを見直してみてください。
住まいは、
いつからでも、
整え直すことができます。
今回のblogが、
皆さん自身の暮らしや
住まいを見直す
きっかけになれば幸いです。
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
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