ブログ・コラム
2026.01.21
光を飾るのではなく、整える。ステンドグラスが導く、和モダン住宅の静かな品格
- カテゴリ:
- 過ごし方、暮らし方、生活環境と間取り
光とともに暮らすという選択
ステンドグラスが
住まいと心に与える静かな作用。
住まいづくりにおいて
「何を足すか」よりも、
どのように光を迎え入れるかが、
暮らしの質を大きく左右します。
窓の大きさや配置、ガラスの種類。
それらは単なる仕様ではなく、
日々の感情や思考の流れにまで
影響を及ぼします。
ステンドグラスという存在。

※床の間の地窓にステンドグラスを採用した和室の設え。
外からの視線を遮りながら、
ガラスを通した自然光を室内に取り込み、
畳と木の空間にやわらかな陰影と奥行きを与えています。
和のしつらえと光の設計を丁寧に重ねた、
静かな心地よさを生む空間です。

※外壁に設えた円窓にステンドグラスを
組み込んだ外観の設え。
和を意識したガラスの構成が、
視線をやわらかく遮りながら穏やかな光を導きます。
昼と夜で表情を変え、
住まいに静かな存在感と余韻を与える外観設計です。
ステンドグラスは、
光を遮るためのものではありません。
光をやわらかくほどき、
色と陰影に変えながら、
住まいの感覚にそっと触れるための存在です。
ステンドグラスとは
「装飾」ではなく「光の設計」。
ステンドグラスは、
ガラスを鉛でつなぎ、
ひとつの画面として構成する工芸です。
ガラス自体に色を宿すため、
光が当たったとき、
色は表面ではなく
奥行きをもって立ち上がります。
この特性は
一般的な透明ガラスや型板ガラスとは異なり、
光を「そのまま通す」のではなく、
住まいにふさわしい質へと
変換する役割を果たします。
教会建築で培われてきたこの技法は、
現在では住宅という、
より私的な空間においても、
静かな表現と豊かさをもたらす
存在として評価されています。
時間を感じる窓が、
暮らしの在り方を整えるように。
ステンドグラスのある住まいでは、
朝と夕、晴れと曇りで、
室内の表情が大きく変化します。
朝の光は淡く、
夕方の光は深く。
その変化を無意識に感じ取ることで、
人は「今」という時間に意識を戻します。
時間を味わう感覚です。
光の移ろいを身体で感じることが、
暮らしの速度を自然と緩めてくれます。
忙しい日常の中で、
理由もなく落ち着く瞬間がある住まい。
その背景には、
こうした光の作用が潜んでいます。
和の住文化とステンドグラスの共通点。
障子、簾、格子、欄間。
日本の住まいは古くから、
光を直接取り込むのではなく、
一度やわらげてから
室内に迎え入れる文化を持っていました。
ステンドグラスも同様に、
光を分解し、拡散し、
陰影として室内に落とします。
考え方の整理は必要ですが、
和の要素を含んだ空間や、
素材感を大切にした住まいと、
自然に調和します。
玄関の正面ではなく、少し外した位置。
階段の踊り場や、
視線の先にふと現れる場所。
主張しすぎない配置こそが、
空間に奥行きと品格を生み出します。
視線を遮ることで、生まれる安心感。
ステンドグラスの
もうひとつの大きな特徴は、
外からの視線を遮りながら、
光だけを通すことです。
これは単なる
プライバシー対策ではありません。
「見られていない」という感覚は、
人の心を驚くほど自由にします。
カーテンを閉め切る必要がなく、
それでいて守られている感覚がある。
この曖昧な境界が、
住まいを「緊張のない場所」へと
変えていきます。
設計の工夫によっても
美しさと性能の両立が可能になります。
昼と夜、内と外で変わる表情
ステンドグラスは、
光のある側から見ることで、
色が最も美しく立ち上がります。
昼間は、室内でその変化を楽しみ、
夜は、外から眺めることで、
住まいそのものがやわらかく浮かび上がる。
基本的には粗点ドグラスの要素は
部屋内側からの三利欲なのですが
内と外、どちらの景色を
大切にしたいのか?。
その視点を持つことで、
設置場所の意味は大きく変わります。
設計とは、
「どこに置くか」ではなく、
「どの時間に、誰が、どう感じるか」を
想像する行為でもあります。
サイズや費用以上に大切なこと。
本物のステンドグラスは
手仕事による工芸であり、
大量生産ができるものではありません。
何か月待ちも当たり前のものです。
サイズや費用、
施工性といった制約は確かに存在します。
しかし、それ以上に重要なのは、
住まいの中で
どのような役割を担うのかという
視点です。
全面に使う必要はありません。
一枚の小さなガラスが、
空間全体の印象を変えることもあります。
本物の素材が持つ揺らぎや深みは、
時間とともに住まいに馴染み、
やがて家族の記憶の
一部になっていきます。
光が変わると、
感情の居場所が変わるということ。
通常の窓でも同じなのですが
ステンドグラスのある空間では、
特にその表情の変化に人は立ち止まり、
光を眺め、呼吸を整えます。
それは、住まいの空間が
「考えるための場所」ではなく、
感じるための場所として
機能している状態です。
上質な暮らしとは、
特別なことが起きる日ではなく、
何もない日が、
静かに心地よいこと。
ステンドグラスは、
その何気ない日常に、
そっと奥行きを与えてくれます。
暮らしの背景としてのステンドグラス
やまぐち建築設計室では、
ステンドグラスを
「見せる主役」としてではなく、
暮らしの背景を整える
要素として捉えています。
光、素材、陰影、動線。
それらが静かに重なり合うことで、
住まいは人の感情に
寄り添う場となります。
ステンドグラスは、
その器に流れ込む光を、
やさしく整えるための存在です。
派手さではなく、余韻を。
主張ではなく、調和を。
光とともに暮らす住まいは、
日々の心の輪郭を、
少しずつ、穏やかに整えていきます。
この投稿が、
住まいと暮らしを見直す
小さなきっかけになれば幸いです。
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奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
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