ブログ・コラム
2026.01.19
暮らしが整うと、人生は静かに変わりはじめる —— 建築家が考える、余白と所作のある住まい
- カテゴリ:
- 物入・クローゼット・収納・納戸・整理整頓
暮らしが整うと、
人生の輪郭が見えてくるという事。
建築家が考える
「空間・思考・心」の関係性。
家づくりのご相談に来られる方の多くが、
最初に口にされるのは、
間取りやデザインの話ではありません。

※淡いグレーで統一した扉と壁が
視線のノイズを抑え、
吹き抜けのLDK階段と空間全体の余白を
際立たせる「考えなくていい」静けさを、
暮らしの中に組み込んだ住まい。
・忙しい毎日で、
家に帰っても休まらない
・片づけているはずなのに、
気持ちが落ち着かない
・いい家に住みたい。
でもいい家が何なのかわからない
この感覚は、
決して特別なものではありません。
むしろ、
仕事や家庭に真剣に向き合い、
一定の経験を重ねてきた人ほど、
自然と行き着く
感覚だと感じています。
暮らしの環境と、
心の状態が噛み合っていない違和感。
暮らしは「足す」ほど整うわけではない
現代の住まいは、
とても高性能になりました。
- 高断熱・高気密
- 便利な設備
- 洗練されたインテリア
- SNSで見かける美しい空間
それでもなお、
「なぜか落ち着かない」
「満たされない」と感じる人がいます。
理由は明確です。
暮らしの質は、
情報量の多さでは
決まらないからです。
空間も、人生も、
一定量を超えると
「豊かさ」ではなく「負荷」になります。
建築家として私たちが
大切にしているのは、
どれだけ盛り込むかではなく、
どこまで
削ぎ落とせるかという視点です。
環境心理学が示す「整った空間」の正体
人は、無意識のうちに
空間から影響を受けています。
- 視界に入るモノの数
- 色のコントラスト
- 動線の複雑さ
- 音や光の刺激
これらはすべて、
脳にとって「情報」として
処理されています。
情報が多い空間では、
私たちは常に判断を強いられます。
- どこに置くか
- どれを使うか
- 次に何をするか
この「小さな判断」の積み重ねが、
知らないうちに心を疲弊させていく。
だからこそ、
整った住まいとは「美しい家」ではありません。
考えなくていい時間が、
自然に生まれる家です。
「定位置」が整うと、思考が静かになる
収納計画の相談で、
必ずお聞きすることがあります。
- それは、どの場面で使いますか
- 使ったあとは、どんな動作になりますか
- 無意識でも戻せそうですか
この問いは、収納の話でありながら、
実は暮らし方そのものを
見つめ直す問いでもあります。
物の定位置が定まらない家では、
思考も落ち着きません。
逆に、
「考えなくても手が伸びる」配置が整うと、
暮らしの中から
小さなストレスが消えていきます。
それはやがて、
人生全体の在り方を
整えることにつながっていきます。
心地よさを生むのは、「余白」という設計
やまぐち建築設計室が
設計で大切にしているもの。
それは、余白です。
余白とは、
何もない空間のことではありません。
- 何もしなくていい時間
- 立ち止まっていい場所
- 気持ちを切り替えられる間
建築でいえば、
- 天井の高さに生まれる呼吸
- 視線が抜ける奥行き
- 光と影がつくる静けさ
- あえて用途を決めきらない場所
これらはすべて、
心を整えるための装置です。
和モダンやホテルライクな住まいが
多くの方に選ばれる理由も、
単なるデザイン性ではありません。
そこに、
「無理をしなくていい構造」が
あるからです。
正解を探す家づくりは、
迷いを増やすということ。
情報が溢れる今、
家づくりは「選べる」ようでいて、
実はとても迷いやすくなっています。
- この間取りで本当にいいのか
- 他の人の家のほうが正解ではないか
- 将来後悔しないだろうか
しかし、私はこう考えています。
家づくりに、
万人共通の正解はありません。
あるのは、
- その人の価値観
- その家族の在り方
- その人生のフェーズ
設計とは、
それらを丁寧に言葉にし、
空間へと翻訳する行為です。
家を考える前に、整えてほしいこと
もし今、
- 新築を検討している
- リフォームを考えている
- 住み替えを迷っている
そんなタイミングにいるなら、
図面を見る前に、
ぜひ考えてみてください。
どんな状態で、日々を過ごしたいのか。
- 朝、どんな気持ちで目覚めたいか
- 家に帰ったとき、どんな空気に包まれたいか
- 休日、どんな時間を過ごしたいか
この問いに向き合うことが、
結果として
「豊かな暮らしづくり」につながります。
住まいは、
人生を支える「環境」である・・・・・。
住まいは、
成功を誇示するための箱ではありません。
住まいは、
我慢を重ねる場所でもありません。
やまぐち建築設計室が考える住まいとは、
人生を静かに受け止め、
整え続けてくれる環境を指します。
忙しい日常のなかで、
- 思考を休め
- 感覚を取り戻し
- 自分たちらしい時間に戻れる場所
それが、
本当に豊かな住まいだと考えています。
「建物を売る」ための設計はしていません。
- 暮らしの価値観を整理し
- 人生の在り方を読み取り
- 空間として無理のない形に整える
そのプロセスこそが、
設計の本質だと考えています。
もし今、
何かを変えたいけれど、
何から始めればいいかわからない
そんな感覚があるなら。
まずは、暮らしを整えることから。
住まいの設計は、
その先に自然と続いていきます。
このブログが、
住まいと暮らしを見直す
小さなきっかけになれば幸いです。
○関連blog
回復できない家には、理由がある。 たった1㎡の居場所が、暮らしと人生を静かに立て直す設計思想
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail716.html
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https://www.y-kenchiku.jp/
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