ブログ・コラム
2025.12.31
間取りに正解はない。 暮らしの最適解から考える、家族関係と暮らしの質を育てる住まい設計
- カテゴリ:
- 間取り・動線・家事・プラン
間取りに正解を
求めすぎていませんか?
暮らしの「最適解」から考える
家づくりの本質。

※間取りだけに正解を求めるのではなく、
家族の時間と動線から最適解を導く設計。
グレーとオークで整えた空間が、
自然なつながりを生み出します。
階段は単なる階段ではなく
多用途な役割を与えています。
家づくりを考え始めたとき、
多くの人が最初に悩むのが
「間取り」です。
何LDKが正しいのか。
個室はいくつ必要なのか。
この間取りで
後悔しないだろうか。
情報を集めれば集めるほど、
不安は減るどころか、
むしろ増えていく。
それはとても
自然な反応です。
なぜなら日本では、
長いあいだ
「間取りには正解がある」
という前提で、
住まいを選ぶ
文化の中にいたからです。
住宅産業の仕組みのなかで
そう仕向けられていた
からです。
しかし、
設計の現場で
数多くの家族と
真摯に向き合ってきた
立場から、
はっきり言えることが
あります。
間取りそのものが、
正解になることは
ありません。
あるのはいつも、
その家族にとっての
「暮らすための最適解」
だけです。
住まいは「図面」ではなく
「時間」でできている
間取り図は、
完成した瞬間が
もっとも美しく見えます。
整った線、
バランスの取れた配置、
分かりやすい部屋割り。
けれど、
暮らしは図面の中には
ありません。
朝、誰が一番に起きるのか。
子どもはどんな気分で
帰宅するのか。
忙しい平日の夜、
家族はどうすれ違うのか。
住まいの本当の価値は、
そこで過ごす時間の
積み重ねによって、
少しずつ
形づくられていきます。
つまり重要なのは、
どんな間取りかではなく、
その間取りが、
どんな暮らし方を
生み出すかという
視点です。
「無難な間取り」が、
違和感を生む理由・・・・・。
日本で長く
標準とされてきた
「n」LDKの間取りは、
採光やプライバシー、
面積効率といった点で
非常に合理的に
つくられています。
玄関から廊下を通り、
個室を経て、
奥にリビング・ダイニング
そしてキッチンがある。
多くの方が、
一度は目にしたことのある
構成です。
しかし、
この合理的な間取りが、
家族関係に
思わぬ影響を与えている
可能性が
ようやく今は指摘されています。
不登校や
引きこもりといった
問題の背景には、
親子のコミュニケーション不足、
家族が顔を合わせる
機会の減少、
住宅内動線による
無意識の分断が
関係しているケースが
少なくありません。
重要なのは、
これらの問題を
性格やしつけだけで
片付けていない点です。
間取りそのものが、
家族の関係性を
そうした方向へ
導いてしまっている
可能性がある、
という視点です。
間取りは、
暮らし方を「選ばせる装置」
多くの「n」LDK住宅では、
玄関から個室へ、
家族と顔を合わせずに
行くことができます。
話したいときは話す。
話したくないときは、
話さなくてもいい。
一見、自由で
快適なように思えます。
しかしそれは同時に、
家族が交わらなくても
成立してしまう
暮らしを許容する
構造でもあります。
これは、
冷たい家なのではありません。
そういう暮らし方を
選べてしまう家なのです。
「リビングを通る」という、
ささやかな仕掛け
これまでの住宅研究や
環境心理学の中で
示されている
リビングアクセス型の間取りは、
玄関からリビングを通り、
そこから各個室へ向かう
という動線を
基本としています。
この間取りの本質は、
家族を管理することでも、
会話を強制することでも
ありません。
意識しなくても、
声をかけなくても、
自然と気配が伝わる。
顔を合わせる可能性を、
間取りがそっと残す。
この控えめな仕掛けこそが、
家族関係を支える
下地になります。
個室を否定しない、
ただ、孤立させない・・・。
個室は、
成長にとって
欠かせない空間です。
一人になれる場所、
気持ちを整える場所、
誰にも邪魔されない安心感。
やまぐち建築設計室でも、
個室の必要性を
否定することはありません。
ただし、
重要なのは
その位置と動線です。
個室が、
逃げ込むための
最短距離になっていないか。
家族と交わる前に、
完結してしまっていないか。
個室か、リビングか、
という二択ではなく、
どんな順序で
空間を通過するのか。
そこに、
設計の本質があります。
「正解探し」から「最適解探し」へ
やまぐち建築設計室では、
家づくりの最初に
「何LDKにしますか」とは
聞きません。
家族は、
どんな距離感が心地いいか。
一日の終わり、
どんな空気で過ごしたいか。
忙しくなったとき、
関係はどう保たれて
いたいか。
こうした対話を重ねながら、
間取りを正解探しから
解放していきます。
最適解は、
家族ごとに違っていい。
むしろ、
違って当然です。
間取りは、
人生の器であるということ。
住まいは、
完成した瞬間が
ゴールではありません。
そこから先の人生を、
静かに・・・そして
確実に受け止め続ける
暮らしの器です。
だからこそ、
無難な正解よりも、
余白を残した最適解を。
やまぐち建築設計室では、
間取り・動線
家族関係を切り離さず、
暮らすための
設計を大切にしています。
まだ言葉になっていない
違和感でも構いません。
その感覚こそが、
あなたの家づくりの
本質かもしれません。
このブログが、
家づくりや模様替えを考える方の
小さなヒントになれば幸いです。
○関連blog
情報に振り回されない家づくり、間取りと暮らしの環境は、あなたの価値観から生まれます。
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail660.html
‐‐----------------------------------------
■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
住まいの設計、デザインのご相談は
ホームページのお問合わせから
気軽にご連絡ください
------------‐-----------------------------

