お問合せフォーム

ブログ・コラム

2025.12.22

毎日暮らす住まいに、静かな非日常を。日常と非日常を重ねる、上質な住宅設計の視点。

カテゴリ:
和モダン思想

 

非日常を設計する視点。

毎日暮らす住まいの中に、

「日常」と「非日常」を

同居させるということ。

 

住まいとは、

人生の大半の時間を過ごす場所です。

 

床から天井までの大開口サッシ越しに、シダ・雑木・紅葉・黒竹を配した和モダンの中庭が広がる、モダンで上質なLDK空間。木目天井と間接照明が柔らかな陰影をつくり、グレージュのソファとスチール脚のガラスダイニングテーブルが軽やかな抜け感を演出している。黒い中庭塀が緑と光を際立たせ、室内外が一体となって“日常の中の静かな非日常”を感じられる設計。

※毎日の暮らしに静かな非日常を、

庭と一体になる和モダンLDK提案事例。

 

 

眠り、食べ、語らい、考え、

何気ない日々を積み重ねていく。

 

だからこそ本来、

住まいには人の心を整え、

感情をリセットし、

次の一日へ向かわせる力が

求められます。

 

多くの住宅は「日常」を

快適にすることを

目的に設計されています。

 

動線、収納、性能、利便性。

それらは確かに重要です。

 

しかし、

それだけでは人の心は

満たされきらない事もあります。

 

忙しさに追われ、

思考が散らかり、
知らず知らずのうちに

呼吸が浅くなる。

 

そんな日々を送る現代人にとって、
住まいの中に

静かな非日常があることは、
贅沢ではなく、

むしろ必要不可欠な要素だと

やまぐち建築設計室では

考えています。

 

やまぐち建築設計室が目指す

非日常とは、
旅先のような派手な

演出ではありません。

 

また、

特別な日にだけ味わう

空間でもありません。

 

毎日暮らす住まいの中で、
ふとした瞬間に

時間の質が切り替わること。

 

その積み重ねによって、
日常そのものが

穏やかに整っていく状態。

 

それが、

住まい手さんの個性や価値観と

ほどよく融合するように。

 

設計で生み出そうと考える

非日常のカタチ。

 

日常と非日常は、

対立するものでは

ないということ。

 

非日常という言葉は、

ともすれば
日常から切り離された

特別な体験と

捉えられがちです。

 

しかし、

住まいにおける非日常は、
日常と断絶して

存在するものではありません。

 

むしろ重要なのは、
日常と非日常が、

ゆるやかに連続していること。

 

朝、玄関を出る前の

静かな一瞬。

 

夕方、

光の角度が変わる時間帯。

 

夜、照明が落ち、

音が遠のく頃。

 

そうした境界の時間に、
空間が自然と感情を

切り替えてくれる。

 

そのような状態が、

暮らしの質を大きく左右します。

 

住まいづくりでも、
掲げるテーマというものがあります。

 

毎日暮らす住まいでありながら、
時間と感情が

切り替わる瞬間を、

無理なく内包すること。

 

住まい手さん、

ご家族の価値観、
日々の過ごし方、

心が落ち着く瞬間を丁寧に伺いながら、
設計として何を強調し、

何をあえて語らないか。

 

その選択を重ねることで、

空間の輪郭を定めていきました。

 

視界の解放|

感情が切り替わる

最初のきっかけをデザインする事。

 

非日常を感じる

最初のきっかけは、
人が最も無意識に影響を受ける

「視界」にあります。

 

毎日暮らす住まいだからこそ、
玄関を開けた瞬間の景色は

極めて重要です。

 

視界が壁で止まるのか、
奥へと抜け、

光や自然の気配を

感じられるのか。

 

その差は、

思っている以上に

心に作用します。

 

人は視界が開くと、
無意識に警戒がほどけ、

呼吸が深くなります。

 

それは、

身体が安心できる場所だと

判断する反応です。

 

リビングでは、

大開口を単なる広さとして

扱うのではなく、
目線の流れそのものを

設計すること。

 

窓の高さ、

フレームの納まり、
家具の高さや色の重心、

構造ラインの見え方。

 

それらが揃ったとき、
視線は自然と外へ抜け、
光と影が静かに

空間へ溶け込んでいきます。

 

「広い」よりも、
「抜ける」「ほどける」。

 

この感覚こそが、
毎日の暮らしに非日常を

忍ばせるための

第一歩です。

 

余白の美学|

何も足さないという選択

 

次に大切にすることは、
空間に呼吸を与える余白です。

 

非日常というと、
特別な素材や豪華な装飾を

想像される方も

多いかもしれません。

 

しかし、

やまぐち建築設計室が

大切にしているのは、

その逆です。

 

情報を減らすこと。
要素を絞ること。
そして、

語らない部分を残すこと。

 

余白とは、
単に何も置かない空間

ではありません。

 

人の心が自由に動けるための

余地というエリアです。

 

視線を休める場所。
音が吸い込まれる静けさ。
思考を置き去りにできる間。

 

余白があるからこそ、
光は際立ち、

素材は深みを増し、
空間は上質な緊張感を保ちます。

 

住まいに求められるのは、
分かりやすい豪華さではなく、
静かに伝わる格と品位。

 

余白は、

その本質を支える

設計要素だと考えています。

 

土地との調和|

非日常は、土地から生まれる。

 

どれほど完成度の高い

建築であっても、
土地の声を無視すれば、
その空間は長く人に

寄り添うことができません。

 

風の通り方。
湿度の気配。
光の入り方。
音が吸われる静けさ。

 

土地には、

それぞれ固有の

時間の流れが存在します。

 

皆さんもそのような「体験」が

あるかと思います。

 

過ごす場所による

感覚の違い・・・・・。

 

建築は、

それを支配するものではなく、
受け取り、

翻訳する存在であるべきだと

考えています。

 

外と内の関係性、
壁の色味、素材の反射率、

照明の陰影。

 

細部を積み重ねることで、
土地の気配が

自然と室内へと流れ込むよう

設計するということ。

 

住まいが土地と

呼吸を合わせたとき、
そこには無理のない非日常が

生まれます。

 

それは、
毎日帰るたびに

心が整う感覚として、
住まい手さんの暮らしに

静かに根づいていきます。

 

非日常は、

毎日の暮らしの中で

育っていくということ。

 

ここまでお伝えしてきた要素は、
どれも強い

演出ではありません。

 

静かで、控えめで、
しかし確実に

積み重なっていくものです。

 

人の心は、

刺激では癒されません。

 

ゆっくりとした時間、
深く呼吸できる空間の中で、
少しずつ

ほどけていくものです。

 

毎日暮らす住まいの中で、
日常と非日常が

無理なく溶け合い、
気づけば心が整っている。

 

それこそが、
やまぐち建築設計室が考える
本質的な非日常空間。

 

これから住まいの新築や

リノベーション、
住まいづくりを
お考えの方にとって、
この視点が、

ひとつの指針となれば幸いです。

 

‐‐----------------------------------------
■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
  建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/

住まいの設計、デザインのご相談は
ホームページのお問合わせから
気軽にご連絡ください
------------‐-----------------------------

 

BACK

ブログトップへもどる