ブログ・コラム
2025.12.10
実家が空き家になった時の「正しい向き合い方」。古民家の価値を見直し、未来につなぐ空き家対策を。
- カテゴリ:
- 土地活用・不動産
実家が空き家になった時に
「まず考えるべきこと」。
売却が難しい理由と、
後悔しない空き家対策の考え方について。

※築約95年の古家を、
貸し出し活用へ向けて現地調査を行った際の一枚です。
近年「実家が空き家になってしまった」
「古い家をどうするか迷っている」
といったご相談が、
やまぐち建築設計室にも
多く届くようになりました。
ニュースや行政のチラシで
「空き家問題」という
言葉を目にする機会も増えましたが、
実際に空き家を
抱えている方にとっては、
・どこから手をつけていいのかわからない
・売るべきか、残すべきか、判断できない
・家族の意見がまとまらない
といった、身近で、
とても重たいテーマです。
そして、
意外に感じられるかもしれませんが、
不動産は「買うとき」よりも
手放すとき・・・・・。
売るとき・処分するときのほうが、
ずっとエネルギーが
必要になります。
今回は、奈良で建築や、
まちづくりに関わる立場から、
空き家の特徴やリスク、
活用方法、
そして、こう考えると
少し楽になりますよ。
という視点まで、
できるだけわかりやすく
書いてみたいと思います。
空き家は「建物」そのものだけの
問題ではありません。
ひとことで「空き家」といっても、
その背景はさまざまです。
・親御さんが施設に入られて、
誰も住まなくなった実家
・相続したが、
遠方に住んでいて管理できない家
・使う予定がないが、
思い出があり手放しづらい家
・築年数が古くて、
売れるのかどうかも分からない建物
多くの方が、
「古いから価値がない」と
感じてしまいがちですが、
空き家の問題は、
建物の老朽化だけではなく、
「権利」と「気持ち」と
「暮らし」の問題が
絡み合っていることが
大きな特徴です。
権利関係の複雑さ・・・・・。
・相続人が多い
・共有名義のまま長年放置されている
・登記が古く、名義が亡くなった方のまま
・境界が曖昧で、隣地との関係もよくわからない
こうした状態では、
売却や活用をしようとしても、
スムーズに話を
進めることができません。
物理的な問題
・屋根や外壁の老朽化
・庭木の伸び放題による景観、
防犯上の問題
・大量の残置物
家財・日用品がそのまま
・給排水や電気の設備が古く
安全性が不安
見た目だけでは
分からない部分も多く、
どこまで手を入れる必要があるのか?
想像しづらいという声も
よく伺います。
「気持ちの整理」が追いつかない
そして何よりも大きいのが、
心の面です。
・思い出が詰まった実家を
簡単には壊したくない
・親から受け継いだ家を
自分の代で無くしていいのか悩む
・兄弟間で
気持ちの温度差がある
こうした感情の整理が
追いつかないまま
時間だけが過ぎ、
気が付けば「空き家期間」が
長期化してしまうケースは
少なくありません。
放置された空き家が抱える
リスクとは?
まだ大きな問題は起きていないから、
もう少し様子を見よう
そう思って
放置してしまう気持ちも、
とてもよく分かります。
しかし、
空き家を長期間
そのままにしておくことには、
いくつかのリスクがあります。
① 建物の劣化が加速する
風通しが悪く、
掃除もされない状態が続くと、
雨による室内環境の悪化
といった劣化が早く進みます。
結果的に、
本来なら活用できたはずの建物が、
活用困難な
状態になってしまうことも。
② 近隣トラブル・防犯面の不安
・庭木や雑草が道路まではみ出す
・郵便物が溜まり、
防犯上「空き家」とわかりやすくなる
・ガラスが割れたまま、
屋根材が飛びそうな状態
こうした見た目の荒れは、
周囲の不安感を高めます。
管理が行き届いていない空き家は、
不審者の出入りや
不法投棄のリスクも高まるため、
近隣から行政へ
相談が入るケースもあります。
③ 税金や管理コストだけが積み上がる
固定資産税や維持管理費用は、
活用していても
放置していても、
毎年発生します。
・遠方に住んでいるため、
見に行くだけで
時間と交通費がかかる
・庭の剪定や最低限の管理を
外注すると、
費用が継続的に発生する
結果として、
使っていないのに、
お金と時間だけが減っていく状態に
悩まれる方も少なくありません。
空き家にも「タイプ」がある。
特徴を知ることが第一歩
空き家と一口に言っても、
大きく分けると
いくつかのタイプがあります。
- 立地は良いが建物が古いタイプ
駅からの距離や
生活利便性は申し分ないものの、
築年数が古くて
「このままでは使いづらい」ケース。
→ リノベーションして
賃貸や店舗に
活用できる可能性があります。
- 建物はしっかりしているが
立地が不便なタイプ
しっかりした構造で
まだ十分使えるものの、
郊外や不便な場所にある空き家。
→ 趣味の拠点・二拠点生活の拠点
アトリエなどとして
価値が見いだせることもあります。
- 建物の老朽化が激しいタイプ
雨漏りや構造劣化が進み、
安全性が確保しづらい空き家。
→ 解体を含めて
土地活用を考える必要が
出てきますが、
場合によっては
「平屋建て替え」などの
選択肢も検討できます。
うちの実家は
どれに当てはまるのか?
それを客観的に整理するだけでも、
選べる道は変わってきます。
空き家の活用方法には
どんな選択肢がある?
空き家の活用方法は、
一つではありません。
代表的なものを、
建築士・建築家の視点から
整理してみます。
- 売却する
もっともシンプルな選択肢の一つです。
- 資金化できる
- 管理の手間から解放される
- 相続人同士の清算もしやすい
一方で、
建物の状態や立地によっては、
思ったような
価格にならないこともあります。
解体更地渡しにするのか、
古家付きで売るのかも、
判断が必要です。
- リフォーム
リノベーションして貸し出す
- 住宅としての賃貸
- 店舗・事務所としての賃貸
- シェアハウス・福祉施設・サロンなど
「貸す」という選択肢は、
資産として活かしながら、
家を残すことができる方法です。
ただし、
- リノベーション費用の回収見込み
- 想定賃料と需要
- 管理体制(自主管理か、管理会社に委託するか)
など、長期的な視点での
計画が欠かせません。
- 自分たちで住む
将来の住まいとして整える
- Uターン
Iターンの住まいとして整える
- 将来の二世帯同居を見越して
リノベーションする
「いつか戻るかもしれない」
という方にとっては、
耐震性・断熱性など、
性能面の向上とセットで
検討することが大切です。
- 解体して土地として活用する
建物の状態が厳しい場合や、
周囲の環境との関係から
建て替えの方が
合理的なケースもあります。
- 新築戸建て用地として
- 駐車場として
- 資材置き場など事業用として
「建物ありき」ではなく、
「土地」としての
ポテンシャルを見直すことで、
新しい活かし方が
見つかる場合もあります。
多くの方が抱えている
「空き家にまつわる本音の悩み」
やまぐち建築設計室に
寄せられる「問い合わせ」や
「InstagramのDM」の中で、
よく耳にするものを
少しご紹介します。
・姉妹で意見が割れていて、
話し合いが進まない
・親の荷物に手をつけることに、
なんとなく罪悪感がある
・不動産会社に相談したら
「解体して売るしかない」
と言われて迷っている
・リフォームすれば使えそうだが、
費用対効果が不安
・遠方に住んでいて、
そもそも現地に行くのが大変
どれも現実的で、
とても人間らしい悩みです。
空き家問題は、
単なる「モノの処分」ではなく、
「家族の歴史」と
「これからの暮らし」を
どうつなぐかという
テーマでもあります。
だからこそ、
「正解は一つではない」けれど、
「後悔しにくい進め方」はある。
やまぐち建築設計室では、
そう考えています。
やまぐち建築設計室が
大切にしている
「空き家との向き合い方」・・・。
やまぐち建築設計室は、
空き家の
ご相談を受ける際に、
次のような順番で
お話を整理していきます。
○現状を一緒に整理する
立地・建物の状態・権利関係
ご家族の状況などを
丁寧にヒアリングします。
○「何を大切にしたいか」を共有する
お金のことだけでなく、
「思い出」「将来の不安」
「家族との関係」など、
少し踏み込んだ部分も
お聞きしながら整理していきます。
○選択肢を「地図」のように
並べてみる
売却・活用・保有・解体など、
メリット・デメリットを可視化して、
頭と気持ちの両方を
整理していきます。
必要に応じて、
宅建士・弁護士・土地家屋調査士
不動産会社とも連携しながら、
一つひとつの不安を
ほどいていくイメージです。
ひとりで抱え込まず、
「状況を話す」ことから
始めませんか?
空き家や実家のことは、
どうしても
後回しにしてしまいがちな
テーマです。
- 忙しい
- 心の準備ができない
- 家族と話すのが怖い
そんなお気持ちも、
もちろん自然なことです。
だからこそ、
完璧な答えを出すことを
ゴールにするのではなく、
「状況を整理してみる」
という軽い一歩からで大丈夫だと、
考えています。
「このままでいいのかな?」
「本当はちゃんと向き合いたい」
そう感じておられるのであれば、
その感覚自体が、
すでに「動き出す準備」が
整っているサインかもしれません。
空き家や実家のことにお困りの方へ
・実家が空き家になっている
・古家付き土地を
相続してどうしていいか分からない
・売却・解体・活用の
どれがよいか迷っている
・奈良など近隣エリアで、
建物と暮らしの視点から
相談に乗ってほしい
そう考えている方は、
どうぞ一度ご相談ください。
やまぐち建築設計室は、
「建物の設計」だけでなく、
暮らし・家族・まちの未来まで含めた
空き家のこれからを
考えるパートナーです。
個別相談・お問い合わせはこちら
やまぐち建築設計室|公式ホームページ
https://www.y-kenchiku.jp
空き家でお困りの方の、
心配ごとや不安が
少しでも軽くなりますように。
そして、
その先に「この選択でよかった」
そう思える未来が開けますように。
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
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