ブログ・コラム
2025.11.01
奈良で建てる和モダン住宅 ― 建築家が語る「暮らしを設計する」という家づくりの本質
- カテゴリ:
- 過ごし方、暮らし方、生活環境と間取り
暮らしの設計という考え方
ただの間取りではなくて、
人生を設計するということ。

※暮らしの本質を描くための「見えない設計」提案。
「家を建てる」前に、
暮らしを描くという選択。
家を建てたいと思った瞬間、
まず「間取り」を考えます。
LDKはどのくらいの広さにしようか、
収納はどれくらい必要か、
どんなデザインが
自分たちらしいのか。
しかし、
本当に心地よい家というのは、
図面の上で完結するものではありません。
やまぐち建築設計室が大切にしているのは、
「暮らしを設計する」という視点。
それは、
ただ空間を形づくるのではなく、
どんな時間を、誰と、
どのように過ごしたいか?
という問いから
始める家づくりです。
間取りよりも「時間の流れ」を設計する
暮らしやすい家は、
動線がスムーズで、
家事が効率的で、
家族の距離感が心地よい。
でも、
それだけでは「よい家」とは
言えません。
そこに「気持ちの余白」がなければ、
人はすぐに息苦しさを
感じてしまうからです。
たとえば、朝の支度の時間。
家族がキッチンと
洗面室を行き来するわずかな数分。
そこに「すれ違いのストレス」がなく、
自然と会話が生まれるような
動線を設計できれば、
その家には小さな幸福の循環が
生まれます。
やまぐち建築設計室では、
間取りではなく「時間の動線」も
意識します。
動線図を描く前に、
それぞれに家庭にある
「朝」「昼」「夜」「休日」
それぞれの時間を丁寧に想像する。
その積み重ねが、
暮らしに寄り添う家を
生み出します。
奈良という土地で考える「和モダンの設計」
奈良の家づくりには、
独特の静けさと余韻があります。
四季の移ろい、風の流れ、
光と影の変化。
この地に根差した建築は、
自然の鼓動を感じながら
心地よく呼吸するような
佇まいであることで
暮らしの心地も上質に・・・・・。
やまぐち建築設計室では、
格子・土間・中庭・縁側といった
和の要素を、
現代の暮らしに調和させる
「和モダン」の意味を持つ
設計を得意としています。
和の静けさと、
モダンな機能美。
その境界線を曖昧に溶かすことで、
「古さ」ではなく
「時を重ねる美しさ」を
デザインしています。
- 光が刻む陰影を愉しむリビング
- 外と内をやわらかくつなぐ中庭
- 家族の声が響く土間空間
- 一日の終わりに心が静まる寝室
どの空間にも、
環境を取り入れつつも
奈良という土地の「呼吸」が
感じられるように。
土地と暮らしの調和を大切に。
見えない設計が、
日々の心地をつくるということ。
建築には、
図面には表れない「設計」があります。
それが、
やまぐち建築設計室が
最も大切にしている
「見えない設計」です。
動線の合理性、家具の差尺、
収納の余白、光の入り方、
風の抜け方。
これらはどれも
「数値化できない快適さ」を
形にする要素です。
そして、
暮らしが始まってからこそ
真価を発揮します。
たとえば、
収納を「増やす」ことが
正解ではなく、
しまいやすく、取り出しやすい
動作の流れを設計することが
心地よさに直結するように。
家具を選ぶ際も、
素材や寸法だけでなく、
使う人の生活リズムや「くせ」と
身体感覚に合わせた
差尺設計を行うことで、
空間全体のバランスが整います。
これらの細やかな工夫は、
暮らしの質を高めるという点で
存在意義を考えて
設計しています。
家は、完成してからがはじまり。
建築家の仕事は、
図面を描いて
終わるものではありません。
家は、竣工した瞬間が完成ではなく、
そこから暮らしの時間が
始まる場所です。
「季節ごとに光の入り方が変わるね」
「子どもが中庭で遊ぶようになった」
「年を重ねても暮らしやすいように」
そうした日常の変化に
寄り添うために、
やまぐち建築設計室では
暮しに寄り添う可変性のある設計を
大切にしています。
ある程度余裕を持った仕切りや、
柔らかいゾーニング、
将来的なリフォームを見据えた
構造設計など、
未来の暮らしに対応できる
柔軟性を持つこと。
それが、
長く愛される家をつくる基本です。
「設計相談」という名の「対話」。
やまぐち建築設計室では、
初めての相談の際や
打合せお際に
ご要望だけをお聞きして
図面を描くことはありません。
それよりもまず、
「暮らし方」についての
対話から始めます。
「どんな朝を迎えたいですか?」
「休日はどんな時間を過ごしますか?」
来客のとき、
どんなふうに人を迎えたいですか?
そして「独自のアンケート」。
この問いかけが、
やがて空間の形を決めていきます。
家づくりは、
図面を通した「対話の連続」です。
だからこそ、
やまぐち建築設計室では
話を聴く設計、対話のある設計を
大切にしています。
そしてこの対話こそが、
家づくりの原点であり、
信頼の始まりです。
暮らしを支えるディテール・・・。
やまぐち建築設計室の設計では、
どんな家にも共通する
「ディテールへの思想」があります。
・光と影の計算
自然光を導く窓の配置と、
照明の補完バランス。
朝・昼・夜の表情を変える
時間の光をデザインします。
・素材の呼吸
床や壁、天井に使う素材は、
見た目の印象だけでなく、
触感・音・温度まで考慮します。
無垢の木、珪藻土、和紙、
左官仕上げなど。
素材が「呼吸」する空間は、
長く心地よく暮らせます。
・家具との統一感
造作家具と空間を一体化することで、
生活感を抑えつつ、
使いやすさを両立。
空間のバランスを整える
静寂の美を重視しています。
・見えない収納の計画
扉一枚の裏に、
暮らしのストレスを減らす工夫を。
収納は増やすではなく、
整えるという発想で設計します。
こうしたディテールの積み重ねが、
「美しい生活感」を
つくり出すものです。
奈良で建てるということ、
土地とその周辺の読み解き。
奈良という地は、
風土そのものが設計の素材です。
日射角度、風向き、湿度、
そして景観との調和。
この地域で家を設計する際には、
環境そのものを
読み解く力が求められます。
奈良の地で長い期間
建築を手掛けてきた経験から、
地域の特性や気候、
条例や特殊条件などを踏まえた
設計提案を行っています。
特に、南向きの採光設計や、
北側にひらく中庭の配置、
夏の湿気と冬の乾燥に対応した
換気計画など、
「奈良で暮らす」という
リアルに即した家づくりを行っています。
土地の条件は制約ではなく、
創造の起点です。
敷地が狭くても、
傾斜地でも、北向きでも、
その土地の最適解を導くことこそ、
建築家の考える
設計の入り口です。
暮らしを設計するという理念。
やまぐち建築設計室の
根底にある理念は、
家は人生を豊かにするための器である
という考え方です。
見た目のデザインだけでなく、
家族が笑い合い、
静けさに包まれ、
それぞれの心地をよりよく味わい、
未来を描くことが出来る空間。
その全てを包括して「設計」と呼びます。
流行に左右されることのない
普遍的な美しさを追求しながら、
時を経ても色褪せない家を
つくり続けています。
「家を建てる」ではなく、
「暮らしを育てる」ということ。
家は完成して終わるものではありません。
家族と共に成長し、
変化し続ける暮らしの舞台です。
やまぐち建築設計室では、
家づくりを通して
「生き方」や「暮らし方」を
見つめ直すきっかけを
ご提案できればと考えています。
日々の小さな心地よさを
積み重ねながら、
10年後、
20年後も「この家でよかった」と
感じられるように。
図面の先にあるのは、
人生の設計です。
〇関連blog
建築家、設計事務所が考える、気配・動線・距離感──感覚から整える間取り設計で、家族が無理なく心地よく暮らせる家を。
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail595.html
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
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