ブログ・コラム
2025.10.22
段差がもたらす上質な暮らしの心地良さ・スキップフロアで叶える開放感と静けさの共存。 奈良の環境を汲み取りながら建てる和モダンの意識を持った住宅のリビング設計、光・素材・動線が紡ぐ心地よい空間デザイン提案。
- カテゴリ:
- 過ごし方、暮らし方、生活環境と間取り
リビングにスキップフロアを
設けるという選択。
開放感と暮らしやすさを両立させる
設計の工夫。

※段差を控えめにデザインとして活かしたスキップフロアリビングの提案事例CG。
家づくりの打ち合わせで、
「スキップフロア」の
ご相談を受ける事もあります。
リビングの一部に床の高さをずらして
設けるこの空間は、
見た目のオシャレさだけでなく、
空間を立体的に活用できる点で
注目されています。
段差をデザインとして活かしながら、
開放感と素材感を両立させた
スキップフロアのあるリビング。
家族の気配を感じながらも
心地よい距離感を保つ空間の提案。
ただし、「かっこいいから」
という理由だけで導入すると、
後になって「冷暖房が効きにくい」
「掃除がしづらい」など、
想定していなかった課題に
直面することもあります。
建築家の視点から見た
スキップフロアの魅力と注意点を
今回は少し書いてみたいと思います。
開放感をもたらす段差のデザイン。
スキップフロアの一番の魅力は、
空間の奥行きと広がりを
演出できること。
壁で仕切らず、
床の高さで空間を分けることで
家族の気配を感じながらも、
程よい距離感が生まれます。
体格の距離が出来る為
奥行きも良い意味で
随分変化します。
天井を高く取り、
吹き抜けやハイサイドライト(高窓)を
組み合わせれば、
光が立体的に広がり、
時間帯によって異なる陰影を愉しめます。
限られた敷地でも、
平面的な広さを超えた
空間のゆとりを
生み出せる設計です。
収納を「隠す」から「活かす」へ。
段差の下のスペースを
有効活用できるのも、
スキップフロアの大きな利点です。
1.4m以下であれば
延床面積に算入されないため、
収納力を増やしながらコンパクトな
家を成立させることが可能です。
キャンプ道具や季節家電など、
使う頻度は低いけれど
置き場所に困るものを
まとめて収納できる。
すっきりとしたリビングを
維持するためにも、
こうした見えない工夫が、
暮らしやすさを支えます。
家族のつながりを感じる多層空間。
スキップフロアは、
単なる段差ではなく
暮らしのリズムをデザインする装置
にもなります。
例えば半階上を
子どもの学習スペースにすれば、
リビングでくつろぐ
親の目線と自然に交わり、
声を掛け合える距離感が生まれます。
また、趣味のコーナーや
ワークスペースにすることで、
ONとOFFの
切り替えがしやすくなります。
「つながりながら分かれる」
という空間の在り方は、
現代の住まいにおいて
非常に重要です。
一方で考慮すべきデメリットも。
スキップフロアのデザインは、
視覚的な軽やかさとは裏腹に、
構造と快適性の
バランス設計が欠かせません。
空間の拡張による弊害の想定
構造的な剛性確保の難しさ
小さな子どもや高齢者への配慮
これらの課題を解決するためには、
設計段階での想定力が重要です。
断熱性の高い外皮設計や、
空調・床暖房などを
併用することで、
年間を通じて快適な温熱環境を
保つことができるように。
また、耐震性においては「床のずれ」を
どう構造的に支えるかが鍵。
経験豊富な設計者と協働し、
デザインと安全性の両立を
図ることが大切です。
ライフステージの変化を見据える。
スキップフロアは、
若い世帯にとって
魅力的なデザインですが、
将来の暮らし方にも
目を向ける必要があります。
子どもが独立した後、
高齢期を迎えたとき、
段差が障害になるケースもあります。
だからこそ、
設計段階で手すりの取り付け位置や
傾斜の在り方等を
あらかじめ想定するように。
段差を最小限に抑えるプランも
併せて検討する
といった長期的視点での
設計が求められます。
いまだけでなく、
これからも心地よく過ごせる家。
大切にしている視点です。
暮らしに寄り添うスキップフロア設計。
リビングに段差を設けるということは、
単なる意匠ではなく、
暮らし方の提案そのものです。
動線・収納・光の入り方・空気の流れ、
そして家族の気配。
それらを一つずつ丁寧に紡ぐことで、
空間が「立体的な暮らし」へと
変わっていくものです。
理想は「デザイン×実用性」の融合
スキップフロアは、
開放感・収納力・デザイン性を
兼ね備えた魅力的なアイデア。
しかしその分、
構造計画や温熱環境への配慮、
ライフステージへの
柔軟性が欠かせません。
やまぐち建築設計室では、
かっこいいやオシャレだけで終わらない、
暮らしを支えるデザインを大切に、
空間の余白や段差の意味を
丁寧に考え抜いて
設計を行っています。
奈良での家づくりを検討されている方へ。
スキップフロアという選択肢を、
見せるデザインから
暮らしの設計へと
進化させてみませんか。
やまぐち建築設計室は
その家に暮らす家族の過ごし方を
デザインする設計事務所です。
‐‐----------------------------------------
■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
住まいの設計、デザインのご相談は
ホームページのお問合わせから
気軽にご連絡ください
------------‐-----------------------------

