ブログ・コラム
2025.07.18
奈良・郊外の家(仮称)土間回廊と豊かな陰影と中間領域のある和モダンの家新築、建築現場で進む素材選定と設計思想が暮らしの質をよりよく上質に、深い軒と小上がりがつくる陰影と余白の生まれる建築家の暮らし提案。
光と素材が交差する現場から。
奈良県北葛城郡で新築工事中の
和モダン住宅に息づく設計・・・・・。
※姿を現しはじめた和モダンの家
つし2階をイメージした外観。
現場から立ち上がる佇まいの美しさ
(仮称)土間回廊と豊かな陰影と中間領域のある和モダンの家。
今、家づくりは
どこまで進んでいますか?。
という問いに答えるために
家づくりを検討中の方にとって、
いちばんリアルな情報は
「現場の今」の姿・・・・・。
※現場で進む素材選定。
空間の質感を決める住まい手さんとの時間
やまぐち建築設計室が現在手がけている、
奈良県北葛城郡の
木造二階建て和モダン住宅では、
現在造作工事と
仕上げ材の最終確認が
同時並行で進んでいます。
※空間の骨格を支える工程で
天井下地と構造の整合性確認なども
構造が組み上がり、
軒ができ、
光が空間に入り始めるこの段階は、
「空気の質」が
かたちになるタイミング。
今回のblogでは、
実際の現場写真とともに、
住まい手さんの立場に
思考を置きながら
建築家の視点から
この和モダン住宅のことを、
住まい手や設計者がどんなことを考え、
何を決めているのか──、
その「思考と選択のプロセス」も
含めて書いてみたいと思います。
木の軸組が
空間の骨格を語り始める・・・・・。
構造が組み上がり、
天井下地が組まれるこの段階は、
空間の輪郭が
明瞭に感じられるフェーズ。
木の梁や柱が並ぶ様子は
まるで建築の骨格が露出したようで、
これから内装が施されていく
「基盤の正確さ」が
空間の美しさを決めていきます。
電気配線も同時に行われ、
照明計画・スイッチ位置の整合性も
ここで微調整。
前回、前々回の現場打合せでは
そういった部分も・・・・・。
〇関連blog
新築工事中の注文住宅・現場打合せ、図面では見えない“暮らしの実感”を体感する時間
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail576.html
僕自身は建築家として
単に機能を満たすのではなく
使いやすく、美しく、
意図のある配置のリアルを
設計と紐づけて
再度現場での確認を行います。
素材の選定は
「視覚」も大事にして
その周辺に生まれる「質感」から始める。
※内装材の最終調整。質感・陰影・触感を建築家とも共有する
現場打ち合わせでは、
仕上材のサンプルを用いた
検討打ち合わせを、
実際の自然光の中で進めています。
- クロスの凹凸
- フローリングの艶と色味
- タイルの照り返し
- 天井材の木目の流れ
紙上のパースやCGでは
決して伝わらない「実物の説得力」。
だからこそ、
現場での体感と検討が
家づくりには不可欠です。
家づくりを進めている方は、
「素材選び=ショールーム」だけと
思われがちですが、
実際に施工される
空間の周辺で光や影、
視線の流れを見ながら決めることが、
空間の完成度を何倍にも高めます。
※段差を活かした暮らしの提案
小上がり和室の下地工事が進行中
和モダンを象徴する小上がりの設え。
軒天(軒の裏側の天井部分)は、
外から建物を見た時の
「表情」をつくる重要な意匠面です。
内部では和室の小上がり床が
組まれています。
床下は収納を確保しつつ、
段差を活かした
座の文化に一工夫ををカタチに。
段差を活用した
引き出し収納を備え
和モダンにおける「現代の畳スペース」は、
単なる懐古ではなく、
暮らしの動線や家族の関係性を
立体的に描く装置として
今回の住まいの間取りには
機能しています。
※和の軒を現代にフェイク材ですが
天井木目の納まりがもたらす陰影の雰囲気
軒天(軒の裏側の天井部分)は、
外から建物を見た時の
「表情」をつくる重要な意匠面です。
こちらの住宅では、
軒天に縦木目の板材を採用。
空間が垂直に伸び、
屋根の厚みを感じさせない
納まりで
「軽やかさと端正さ」を
両立しています。
建物の重心が下がり、
“日本らしい佇まい”を支える
大切なディテールです。
素材の効能、
質感と色で空間の温度が変わる。
現在様々な構成要素の
色味と質感の最終確認が進行中。
※色味一つで空間の温度が変わる
テラスに計画している格子サンプルを自然光で検証する
検討中なのはリビング(LDK)と
外部の中間に位置する
テラスの目隠しと
陰翳のグラデーションにもなる
格子の仕上げ。
候補に上がっているのは:
・キャラメルチーク(柔らかく落ち着いた中間色)
・ハニーチェリー(明るく軽やか)
・ショコラウォールナット(重厚で陰影のある印象)
軒裏・屋外天井の面積が
広いので、
空間全体の雰囲気が
その表情でも
決定づけられます。
そういった範疇とテラスの仕上げも加味して
建築家としては、
「空間の広がり」
「家具との調和」
「明るさと日照のトーン」
までを見据えて、
単なる好みではなく、
暮らしの空気感を支える選択を
導いていきます。
内装材は「色の相関」ではなく、
「空気の関係性」で選ぶ・・・・・。
住宅の内部仕上げにおいて、
クロスやタイル、
アクセント材を選ぶとき
に重要なのは、
単なる色合わせではなく
「素材感・陰影・触感」の
連続性をどうつくるかです。
たとえば、
同じ「白」でも
以下のような違いがあります。
・マットで織物調の白 → 柔らかく温かい
・ツヤのある白タイル → 冷ややかでシャープ
・粗い表情のある白 → 奥行きと陰影を生む
つまり、白=調和ではない。
どんな光が、
どんな角度で入るのか・・・・・。
そしてそれを受け止める
壁の素材感が、
空間に静けさを生むのか、
緊張感を生むのかが
変わってくる。
今回の住まい造り現場でも、
その「空気の設計」を
微調整している真っ最中です。
現場は「正確な情報の集積」で進化する。
建築現場では、
日々さまざまな職種が入り、
施工が進みます。
その中で設計者の役割は、
プランや図面に描ききれない
判断の意図を現場に伝えること。
どこまで見せるのか、
どこを納めとして隠すのか。
下地の組み方や、
見切り材の微調整・・・・・。
これらの小さな積み重ねが、
最終的に「丁寧な建築」を
つくり出す核心となります。
「家づくりの途中経過」にこそ、
空間の本質が宿る。
今まさに工事中の
この和モダン住宅は、
外観のボリューム感、
軒のバランス、
外壁材の風合い、
そして内部の空間構成が
すこしずつ
つながりはじめています。
完成した住宅の状態だけでは
決して伝わらない、
建築が形になる過程こそが、
住まいの質を決めていく。
家づくりを検討中の方へ・・・・・。
住まい手さんにとって
現場で得られる気づきと学び。
家づくりは、
机上の計画と設計とだけでは
完結しません。
完成見学会よりも、
むしろ建築途中の現場にこそ、
「空間の骨格」や
「考え方の哲学」が現れます。
・なぜこの高さなのか
・なぜこの幅なのか
・なぜこの素材なのか
その一つひとつに理由があり、
それを知り、体感することで、
家づくりに対する「目」と「感度」が
育っていきます。
机上での
プラン打ち合わせと同じように。
暮らしを導く設計とは?。
工事進行中の
この和モダン住宅は、
住まい手さんの価値観を
丁寧にひも解きながら、
設計・施工が連動して進む
真っ只中にあります。
もし今、
あなたが「家を建てよう」と
考えているなら、
完成写真や住宅展示場では見えない、
「現場の途中」にこそ
目を向けてみてください。
あなたの暮らしに、
本当に寄り添う住まいとは何か。
丁寧に暮らしの事から見直しつつ
ゼロから考えてみませんか。
やまぐち建築設計室は
その家に暮らす家族の過ごし方を
デザインする設計事務所です。
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
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