ブログ・コラム
2025.05.24
ダイニングテーブルを置かないという選択が家族の距離を縮めることもある。リビングソファ中心のレイアウトで叶える自由で過ごしやすいリビングダイニング空間の設計の工夫と提案。
- カテゴリ:
- 家具と暮らしとインテリアコーディネート
テーブルなのか、ソファなのか──。
空間が暮らしを映し出すということ。
家具の選択が、
家族の時間をデザインする。
※ホテルライクなモノトーンインテリアが際立つLDK空間でご夫婦に向けた上質な暮らしの一例。
普段はキッチンのカウンターを利用してハイチェアに腰を掛け食事を。
家具レイアウトと間取りの工夫により広がりとくつろぎが共存するモダンデザインの住まい。
家具配置の選択が
暮らしの質を変えるということ・・・・・。
リビングとダイニング、
どうレイアウトするのが正解ですか?。
住まいづくりの打ち合わせをしていると、
そうご相談いただくことが
少なくありません。
暮らしの中心であるこの空間は、
食事をしたり、
家族と語らったり、
仕事をしたり、
あるいはひとりで静かな時間を過ごしたりと、
多様な場面が共存しています。
つまりリビングダイニングとは、
比較的家の中で最も生活の
層が重なる場所だという事です。
そんな空間の使い方に
僕からの問いがあります。
ダイニングテーブルは本当に必要でしょうか?。
また・・・リビングソファとテーブルは
必ず必要なのでしょうか?。
やまぐち建築設計室では、
空間をどのように使うのか、
どんな時間を大切にしたいのかを伺いながら、
実際の行動や生活習慣などを見直しながら
時に「ダイニングテーブルを置かない選択」
逆に「リビング家具」を置かないという
ご提案することがあります。
生活空間の考え方を整理したうえで
その中で心地よく暮らすために、
家具のあり方を柔軟に
再考するという視点から、
ダイニングテーブルをなくす暮らし方等の
魅力と注意点、
そしてそれがもたらす
意識の変化について
少し書いてみたいと思います。
ダイニングテーブルがないという選択肢。
スペースの限界が、
暮らしの本質に気づかせてくれる。
都市部やコンパクトな平屋での家づくり、
あるいは回遊動線を重視した
空間設計では、
ダイニングセットが占める床面積が
意外と大きな制約になります。
たとえば6人掛けのテーブルと
椅子を置く場合、
必要な有効スペースは少なくとも約7㎡(畳5枚分)。
椅子の出し引きや
通路の確保を考えると、
思った以上に動線を
圧迫していることもあるのです。
そんな中、
発想を変えて「ダイニングセットをなくしてみる」と、
リビングがぐっと自由になります。
代わりにソファとローテーブルを配置し、
床座を取り入れたリビング中心の生活へ。
この選択は、
空間を広く見せて掃除もしやすく、
生活動線をシンプルに整えるという意味で、
非常に合理的です。
特に子育て中のご家庭では、
床に近い生活の方が安心感があり、
子どもたちも伸び伸びと過ごせます。
暮らしの中心がソファになるということ。
会話が生まれる「くつろぎの場」の再定義。
ソファを中心にしたリビングの魅力は、
「くつろぎ方の自由さ」にあります。
たとえば、
週末に友人や親戚を招く場面。
ダイニングテーブルでの食事だと
座席数に限界がありますが、
リビングスタイルであれば、
クッションを並べて床に座ったり、
サイドテーブルを追加するなどして
柔軟に対応できます。
そして何より、横に並ぶという配置は
心理学的にも
人との距離感を近づけてくれるのです。
テーブル越しに向かい合うよりも、
ソファで隣り合って会話するほうが、
心理的には安心感や
親密さが生まれやすくなります。
リラックスした姿勢のまま
テレビを観たり、
お茶を飲んだり、
時には一人で静かに音楽を聴いたり。
暮らしの中の「余白」が生まれる、
それがソファ中心の間取りの魅力です。
高いテーブルが必要なときはどうする?。
ワークスペースは
「ダイニング」である必要はない。
とはいえ、
ダイニングテーブルをなくすと
不便なのでは?。
と感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
特に食事以外にもPC作業や
勉強などで高さのあるテーブルが欲しい
という声も少なくありません。
その場合、
キッチンにカウンターを
造作するという方法があります。
たとえばキッチン横の一角に高さ
90cmのカウンターを設け、
2脚のスツールを置くだけで、
立ち作業にも座り作業にも使える
多目的スペースが完成します。
これによって、
家事の合間にメールチェックや
レシピ検索ができたり、
子どもが宿題をしている間に
調理が進められたりするといった、
暮らしの連動性も生まれます。
また、
リモートワークが定着した現代では、
あえてリビングダイニングに
オープンな書斎機能を設けることで、
家族との距離感を大切にしながら
働けるという利点も見逃せません。
ダイニングテーブルの本来の意味を問い直す。
「椅子に座ることが日常」のご家庭には、
テーブルが安心・・・・。
もちろん、
すべての家庭に
この新しいスタイルが
当てはまるわけではありません。
たとえば、
ご高齢の方と同居している場合や、
膝に負担がある方には
ローテーブルでの食事や作業は不向きです。
また、
椅子に座って背筋を伸ばして
食事をすることを習慣としている方には、
ダイニングセットのある暮らしのほうが
安定感があります。
家具にはそれぞれの文化や
生活スタイルが染みついています。
だからこそ、
「ダイニングがないと困る」方がいて当然ですし、
その暮らしに最適な家具を
丁寧に選び取ることが大切です。
住まいの設計において
大事なのは「常識を疑うこと」ではなく、
暮らしを見つめることです。
暮らしの意識が空間を変えるという事。
「どんな部屋に何を置くか」ではなく、
「どんな時間を過ごしたいか」。
家具の配置は、
見た目や効率だけで
決めるものではありません。
それぞれの家具が、
そこに住まう人の「過ごし方」や「価値観」を
静かに反映しています。
たとえば、
ダイニングテーブルをやめてみることで、
子どもと過ごす時間が増えた。
あるいは、
キッチンカウンターで
夫婦が自然に顔を合わせるようになった。
空間の使い方が変わることで、
暮らしの「在り方」そのものが
変わっていくこともあります。
やまぐち建築設計室では、
こうした「生活の質の変化」を
大切に捉えながら、
設計に反映しています。
家具選びは暮らしの哲学。
ダイニングテーブルを置くかどうかは、
「単なる家具の選択」ではなく、
暮らしそのものの設計です。
面積(広さ)の問題だけでなく、
家族の関係性、時間の流れ、
そしてこれからの生き方まで、
家具一つで変わる空間の可能性を、
どうか見つめ直してみてください。
図面の中に家具の「配置」を描くのではなく、
その先にある「暮らしのシーン」を
描くことを大切にしています。
家づくりの際だけではなくて
家の模様替えや家具の新調、
賃貸マンションでの引っ越しなど
様々な暮らしを見直すキッカケがあります。
インテリアコーディネートでで悩まれたら、
ぜひ一度ご相談ください。
あなたの家族にとっての
最適な暮らし方を
一緒に見つけるお手伝いをいたします。
やまぐち建築設計室は
その家に暮らす家族の過ごし方を
デザインする設計事務所です。
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
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