ブログ・コラム
2026.10.25
家に帰ったら、自然体でいたいという想いを佇まいに。暮らしの情景を丁寧に考える、和モダン提案住宅の趣。
- カテゴリ:
- 住まいと暮らしの設計思想
自然とともに暮らす家とは?
自分らしく、心地よく過ごすための住まいの考え方。
家に帰ったときくらい、
自然体でいたいという想い。

※風景を眺め季節の移ろいを感じながら過ごす時間。
深い軒と中庭デッキ先の水盤が生み出す穏やかな陰影。
日常のなかに旅先のような安らぎを感じられる
和モダンの住まいをご提案した設計イメージCG事例。
仕事や家事、人との付き合い。
私たちは日々、
さまざまな役割を担いながら暮らしています。
仕事では責任を果たし、
周囲に気を配り、
人のために時間を使う。
充実した毎日であっても、
知らず知らずのうちに、
気持ちが張り詰めていることがあります。
だからこそ、家に帰ったときくらいは、
何かを頑張ろうとしなくてもいい。
好きな場所に腰を下ろし、
窓の外を眺めたり、お茶を飲んだり
お酒を楽しんだり・・・・・。
家族と話をする日もあれば、
言葉を交わさず、
それぞれの時間を楽しむ日があってもいい。
そんな何気ない時間を、
心地よく過ごせる住まいには、
どのような理由があるのでしょうか?
私は、その最適解のひとつが「自然」
という言葉にあるように感じています。
「自然」とは、おのずからそうなること。
「自然」という言葉を聞くと、
山や川、森や草木などを
思い浮かべる方が多いと思います。
けれども、
もともとの「自然」には、
もうひとつの意味があります。
それは「自ずから然り(おのずからしかり)」。
誰かが無理にそうさせるのではなく、
ものごとが、
それ自体のあり方に従ってそうなっていること。
木は木として育ち、
水は地形に従って流れ、
季節が巡れば草木は芽吹きます。
そこには、
それぞれの性質や
周囲の環境との関係があります。
人の暮らしも、
少し似ているのではないでしょうか?
朝の時間を大切にしたい人。
静かな場所で本を読むことが好きな人。
家族と食卓を囲む時間に幸せを感じる人。
庭の草木を眺めながら、
何もせず過ごす時間を好む人。
心地よさの感じ方は、人によって違います。
それなのに、住まいづくりでは、
いつの間にか誰かが決めた理想に、
自分たちの暮らしを
合わせようとしてしまうことがあります。
理想の家が、必ずしも心地よい家とは限らない。
SNSや住宅雑誌を見れば、
美しい住宅の写真が数多く紹介されています。
広々としたリビング。
大きな吹抜け。
開放的な窓。
ホテルのように整えられたインテリア。
どれも魅力的な空間です。
けれども、その美しさが、
自分たちにとっての
心地よさと一致するとは限りません。
例えば、大きな窓があれば
開放的な暮らしができると思っていても、
外からの視線が気になり、
カーテンを閉めたままになるかもしれません。
広いリビングをつくっても、
実際には少し囲まれた場所のほうが
落ち着くということもあります。
家族がいつも一緒に過ごせる間取りより、
それぞれが好きなことをしながら、
互いの気配を感じられる
距離感のほうが心地よい場合もあります。
大切なのは、
理想の住宅に暮らしを合わせることではなく、
自分たちの暮らしに合った住宅を考えること。
住まいの設計では、
この順序を間違えないことが
大切だと思っています。
自然を取り込むのではなく、
自然と折り合いをつける。
奈良県で住宅の設計をしていると、
南北方向に広さを持つため、
標高の差もあり
土地ごとに異なる表情に出会います。
山並みが見える敷地。
田園風景が広がる場所。
住宅が密集する街なかの土地。
古くからの集落に残る、落ち着いた街並み。
同じ広さの敷地でも、
光の入り方や風の通り道、
周囲の景色は異なります。
私は、建築を考えるとき、
その土地が持っている性質を
大切にしたいと考えています。
どこから光が入るのか。
季節によって、日差しはどのように変わるのか。
どの方向に心地よい景色があるのか。
どこからの視線を遮り、どこに開放感をつくるのか。
それらを読み取りながら、
建物の配置や窓の位置、
軒の深さ、
庭との関係を考えていきます。
自然を無理に支配しようとするのではなく、
その土地の環境と折り合いをつけながら、
暮らす人が心地よく過ごすことができる場所をつくる。
それも、建築家の役割のひとつだと思います。
もちろん、自然に任せるだけでは、
過ごしやすい住宅にはなりません。
夏の暑さや冬の寒さを和らげる断熱性能、
日射の調整、
風雨への備えも欠かせません。
自然の性質を理解し必要な技術を用いること。
その両方があってこそ、
季節の移ろいを楽しめる住まいが
生まれるのだと思います。
中庭のある家が、心を落ち着かせてくれる理由。
例えば、中庭のある家。
中庭は、単に建物の内側に
庭をつくることではありません。
〇関連blog・コラム
中庭のある家に惹かれるのは、なぜなのか。|その理由から考える住まいの設計と、奈良で叶える心地よい和モダン住宅
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail996.html?utm_source=chatgpt.com
外からの視線を抑えながら、
光や空、植栽を
身近に感じられる場所にもなります。
朝、障子を開けると、
柔らかな光が室内に差し込む。
雨の日には、
濡れた石や葉の色が、
いつもより深く見える。
夕暮れには、
室内の明かりと庭の陰影が重なり、
昼間とは違う表情が生まれる。
同じ場所にいながら、
季節や時間によって景色が変わっていきます。
その変化を眺めていると、
日々の忙しさから
少し離れられるような気がします。
和モダンの住宅や数寄屋の考え方にも、
こうした自然との関係を
大切にする工夫があります。
深い軒、障子、格子、縁側、
庭との間に設けられた余白。
それらは、
単に和風の意匠をつくるためだけの
ものではありません。
光を和らげ、視線を調整し、
室内と屋外の間に穏やかな関係をつくるための
知恵でもあります。
庭が広くなくても、
自然を感じられる住まいは考えられます。
大切なのは、
自然がどれほど多くあるかではなく、
日々の暮らしのなかで、
その存在をどのように
感じられるかではないでしょうか?
「何もしない時間」にも、価値がある。
家づくりのご相談では、
どのような部屋が必要なのか、
どれくらいの広さが欲しいのか、
といったお話を伺います。
もちろん、それらも大切です。
けれども私は、
もう少し違うことも知りたいと思っています。
休日の朝は、どのように過ごしたいのか。
一日の終わりに、
どんな時間があれば心が満たされるのか。
家族と一緒にいる時間と、
一人で過ごす時間を、
どのように大切にしたいのか。
こうしたお話のなかに、
住まいづくりのヒントが隠れていることがあります。
特別な設備がなくても、
窓辺にお気に入りの椅子がひとつあるだけで、
暮らしが豊かになることもあります。
庭を眺めるための小さな居場所。
夫婦でゆっくりお酒を楽しめる場所。
家族の気配を感じながら、
一人で本を読める場所。
何かをするためだけでなく、
何もしなくても心地よくいられる場所。
そんな余白が、
日常の豊かさにつながるように感じています。
建築は、人の暮らしを決めるものではない。
古くからの東洋思想には、
自然の道理に逆らわないことや、
ものごとを自分の思いどおりにしようとする
執着を見つめ直す考え方があります。
老荘思想と仏教は、
それぞれ異なる思想ですが、
私たちの生き方やものの見方を考えるうえで、
学ぶことの多いものだと思います。
それを住まいづくりに重ねてみると、
ひとつの問いが浮かびます。
家は、人を理想の暮らしに
当てはめるためのものなのでしょうか?
それとも、その人らしい暮らしを
受け止めるためのものなのでしょうか?
私は、後者でありたいと考えています。
建築家は、建物の形や空間を考える仕事です。
けれども、建築家が
暮らしのすべてを決めるわけではありません。
住まい手の価値観があり、
家族の関係があり、
土地の環境があり、
季節の移ろいがあります。
それらを丁寧に読み取り、
形にしていくことが設計なのだと思います。
建築家がつくるのは、
暮らしの完成形ではなく、
これからの暮らしを育んでいくための場所。
年月を重ね、家族の過ごし方が変わっても、
その変化を受け止めることができる
住まいであってほしいと願っています。
自分らしく暮らせる家を、奈良で考える。
住まいに求めるものは、
年齢や家族構成によっても変わっていきます。
子育てを中心に考える時期。
仕事と家庭の両立を大切にする時期。
子どもが独立し、夫婦二人の時間を楽しむ時期。
その時々に、心地よい暮らしの形があります。
だからこそ、家づくりでは、
流行や見た目の美しさだけではなく、
自分たちが何を大切にして
暮らしたいのかを考える時間が必要です。
自然を感じる平屋も、
中庭のある和モダンの家も、
古民家を再生した住まいも。
建築の形は違っていても、
目指すところは同じです。
家に帰れば、肩の力が抜ける。
ほどよく好きなものに囲まれ、
家族との時間を楽しめる。
季節の変化を感じながら、
無理をせず、
自分たちらしく暮らせる。
そんな住まいを、
私は大切にしたいと思っています。
住まいは、自分たちらしく生きるための場所。
自然とともに暮らすことは、
特別な場所に住むことではなく、
日々の暮らしのなかにある
小さな豊かさに気づくことなのかもしれません。
やまぐち建築設計室では、
奈良県を中心に、
和モダン住宅、平屋、中庭のある家、
新築注文住宅、
リノベーション、古民家再生などの
設計を行っています。
住まいの形を考える前に、
まずは、どのような毎日を過ごしたいのか?
そんなお話から、丁寧な家づくりを
考えてみませんか?
住まいづくりの個別相談は、
完全予約制で承っています。
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
住まいの設計、デザインのご相談は
ホームページのお問合わせから
ご連絡ください
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