ブログ・コラム
2026.10.23
子育てしやすい家とは?|家事・収納・間取りの悩みから考える、家族の時間を大切にする住まいづくり。
- カテゴリ:
- 家づくりと間取りの考え方
子育てが大変なのは、間取りにも理由があるのか?
家事・収納・家族の時間から考える、
子育てしやすい家づくり

※子育ての悩みを間取りや家事動線、
整理収納から考える打ち合わせの時間。
家族の成長と
日々の暮らしに寄り添う住まいづくりの提案。
「早く片付けなさい」
「何度言ったら分かるの?」
「どうして私ばかり忙しいの?」
本当は、そんなことを言いたいわけではないのに。
朝から何度も同じことを繰り返し、
気がつけば一日が終わっている。
仕事から帰れば、
夕食の準備、洗濯、片付け、
子どもの宿題や明日の準備。
家族とゆっくり過ごしたいと思っていても、
その時間をつくることさえ難しい。
子育て中のご家庭には、
そんな日もあるのではないでしょうか?
そして、ふと考えることがあります。
もう少し、毎日の暮らしが楽にならないだろうか。
私は建築家として、
住まいを設計するときに、
間取りやデザインだけでなく、
その家で繰り返される日常について考えます。
なぜなら、
家は単に生活するためのだけの場所ではなく、
家族が毎日を過ごし、
それぞれの関係を育んでいく場所だからです。
今回は、少し前に「お問合せ・ご相談」をいただいた
実際の内容も含み、
子育ての悩みを入り口に、
家事動線、整理収納、子どもとの距離感、
そして家族が心地よく暮らすための
住まいについて少し書いてみたいと思います。
子育ての悩みは、
親の頑張りだけで解決するものではないということ。
子育てには、
正解が一つあるわけではありません。
子どもの性格も、成長の速度も、
家族の働き方も、
それぞれ違います。
それでも、
子育ての悩みを聞いていると、
日々の生活の中で
繰り返される
困りごとがあることに気づきます。
例えば、
-
子どもがなかなか片付けてくれない。
-
朝の支度に時間がかかる。
-
家事をしていると子どもに目が届きにくい。
-
夫婦で家事や育児の負担が偏ってしまう。
-
家族が一緒に過ごす時間をつくれない。
-
自分一人になれる場所がない。
こうした悩みは、
必ずしも本人の努力不足から
生まれるものだけではありません。
働き方や家族の役割分担、
周囲の支援、
子どもの発達段階など、
さまざまな要因が重なっています。
そして、
その一部には、
住まいの「つくり」が関係していることもあります。
人の行動を変えようとする前に、
その行動が自然に生まれる
環境を考えてみる。
これは、
住宅設計においても
大切な視点だと思います。
片付けられないのではなく、
片付けにくい家なのかもしれない・・・・・。
子どもが遊んだおもちゃを片付けない。
学校から帰ると、
ランドセルがリビングに
置きっぱなしになる。
上着は椅子に掛けられ、
学用品はダイニングテーブルに
広がったまま。
毎日のように繰り返される光景です。
こうしたとき、
収納の量を増やせば
はたして解決するのでしょうか?
私は、必ずしもそうではないと
考えています。
例えば、
ランドセルを片付ける場所が
子ども部屋の奥にあれば、
帰宅してすぐに片付けるには、
そこまで歩かなければなりません。
一方、玄関からリビングへ向かう途中に、
ランドセルや
上着を置ける場所があればどうでしょう?
帰宅した流れの中で、
自然に片付けられる可能性が高まります。
大切なのは、
収納の量や収納スペースの
大きさだけではありません。
使う場所と、戻す場所を近づけること。
そして、家族の誰もが
迷わず使えることです。
小さな子どもが使う収納なら、
子どもの身長や手の届く範囲、
扉の開けやすさにも
配慮する必要があります。
ただし、医薬品や洗剤、刃物、
小さな電池など、
危険なものは別です。
子どもの手が届かず、
必要に応じて施錠できる場所に
保管することが重要です。
片付けを習慣にするために、
子どもと一緒に
収納場所を決めることもよい。
収納は、ものを隠すためだけの
スペースではありません。
家族が暮らしやすくなるための、
小さな仕組みなのです。
家事動線を考えることは、
家族の時間を考えること。
夫婦共働いているご家庭では、
朝と夕方に家事が集中しやすくなります。
朝食をつくりながら、洗濯機を回す。
子どもの準備を確認しながら、
自分も出勤の支度をする。
帰宅後には、
買い物した食材を片付け、
夕食をつくり、洗濯物を整理する。
こうした毎日の動きを、
間取りの段階でどこまで
考えられるでしょうか?
例えば、玄関からパントリー、キッチンへの移動。
洗濯機から物干し、衣類収納までの距離。
洗面室と脱衣室の使い分け。
家族が同時に使っても混雑しにくい通路の幅。
一つひとつは小さなことかもしれません。
しかし、それらは毎日繰り返されます。
私は、家事動線を考えるとき、
単純に移動距離を
短くすることだけを目的にはしていません。
料理をしている人の後ろを、家族が何度も通る。
洗面室を誰かが使っていると、洗濯ができない。
収納場所が分かりにくく、
いつも同じ人に「あれはどこ?」と尋ねる。
そうした小さな不便や負担を、
できるだけ減らしたいと考えています。
そしてもう一つ、大切なことがあります。
それは、
家事を特定の誰かだけが
担わなくてもよい住まいにすること。
家族の誰もが、必要なものの場所を知っている。
洗濯物を片付けられる。
食事の準備や後片付けに参加できる。
そんな環境を整えることも、
家づくりや、間取の役割ではないでしょうか?
もちろん、
間取りだけで家事分担が
公平になるわけではありません。
家族で話し合い、
役割を見直すことも必要です。
住まいは、
その取り組みを支える基礎的な存在で
あるべきだと思います。
子どもの気配が感じられることと、
常に見張ることは違う。
子育てしやすい家として、
リビングから子どもの様子が見える間取りが
紹介されることがあります。
確かに、子どもが小さいうちは、
家事をしながら
様子を確認できることが
安心につながる場合があります。
しかし、私は、
家族の居場所をすべて一つの空間に
まとめればよいとは考えていません。
子どもには、
遊びに集中したい時間があります。
大人にも、
静かに過ごしたい時間があります。
そして、
子どもが成長すれば、
一人になれる場所やプライバシーも
必要になります。
ある程度柔軟なスペースが必要である理由。
大切なのは、
家族がいつも同じ場所にいることではなく、
一緒にいたいときには自然に集まり、
離れたいときにはそれぞれの時間を過ごせること。
例えば、リビングの一角に設けた小さな畳スペース。
ダイニングの近くにある、
読書や勉強ができる場所。
中庭を挟んで緩やかにつながる居室。
扉を閉めれば一人静かに過ごせるような、
小さな個室。
家族の気配を感じながらも、
それぞれが心地よい距離を選べる住まいです。
ただし、
乳幼児には年齢や発達に応じた
見守りが欠かせません。
視線が通る間取りであっても、
安全対策や大人の見守りの代わりにはなりません。
家族の距離感は、
いつも一定である必要はないのだと思います。
子ども部屋は、最初から完成させなくてもよい
家づくりの相談では、
子ども部屋を何帖にするか、
何部屋必要かという話題が出てきます。
もちろん、部屋の広さも大切です。
しかし、
それ以上に考えておきたいのが、
子どもの成長によって
暮らし方が変わるということです。
〇関連blog・コラム
子ども部屋は何畳必要?4.5畳でも大丈夫?後悔しない間取りと子どもの居場所の考え方|家族の距離感から考える家づくり
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail869.html?utm_source=chatgpt.com
幼い頃は、
家族と一緒に過ごす時間が中心かもしれません。
小学生になると、学用品が増え、
勉強する場所が必要になります。
中学生、高校生になれば、
友人との関係や
自分だけの時間も大切になってきます。
そして、いつか子どもが
独立する日が訪れるかもしれません。
そのとき、
子ども部屋はどう使うのでしょうか?
私は、住宅を設計するとき、
現在の家族構成だけでなく、
10年後、20年後の暮らしについても
リフォームやリノベーションの内容も視野に
ある程度までは「可変」を考えます。
将来、間仕切りを変更できるようにする。
家具の配置を変えやすい窓や扉の位置を考える。
子どもが独立した後には、
趣味の部屋や仕事の場所として使えるようにする。
まだ子供がいないご夫婦の場合は、
つくり込まない「家」をご提案するケースもあります。
ホームページ掲載の事例でも
それはご覧いただくことができます。
もちろん、
構造や設備の条件によって
変更できる範囲は異なります。
それでも、
最初から用途を限定しすぎないことで、
住まいの可能性は広がります。
子どもの成長に合わせて、家も使い方を変えていける。
そんな柔軟さが、
長く暮らす家には必要だと考えています。
子育てしやすい家は、
安全についても考えられている。
暮らしやすさを考えるとき、
忘れてはいけないのが安全性です。
例えば、窓際に置かれた家具。
階段や吹抜けの手すり。
キッチンの熱源。
浴室や洗面室。
収納の扉や家具の固定方法。
大人にとって何でもない場所が、
子どもにとって
危険な場所になることがあります。
こども家庭庁も、
子どもの発達段階に応じて
住環境を整えることの重要性を示しています。
中庭のある住宅であれば、
開放感や家族のつながりを考えるだけでなく、
屋外への出入り、
段差、水場、転落の危険なども
確認する必要があります。
美しいデザインと、安全な暮らし。
そのどちらかを選ぶのではなく、
両方を丁寧に考えることが大切です。
子育て中だからこそ、大人が心地よく過ごせる場所も必要
子どものために、
できるだけよい環境を整えたい。
そう考えるご夫婦は多いと思います。
しかし、家族の暮らしを考えるとき、
子どものことだけに
目を向けていてよいのでしょうか?
私は、大人自身が心地よく過ごせることも
大切だと考えています。
例えば、子どもが眠った後に、
夫婦でゆっくりお酒を飲む時間。
好きな本を読む場所。
庭の緑を眺めながら、
一人で過ごすひととき。
家事の途中でも、
少し腰を下ろせる場所。
忙しい毎日の中で、
ほんの短い時間でも気持ちを
切り替えられること。
そのために、
大きな部屋が必要とは限りません。
窓の位置や外からの視線、
照明の明るさ、家具の配置。
そうした設計の工夫によって、
小さな居場所をつくることができます。
ただし、
住まいを整えるだけでは、
休む時間そのものは生まれません。
家事や育児を分担し、
必要なときには
周囲の支援を受けられることも大切です。
子どものために頑張るだけではなく、
大人も自分自身の時間を大切にできる。
そんな暮らしを考えるようにと思います。
子育ての悩みを、
家庭の中だけに閉じ込めない。
住まいづくりについて考える一方で、
忘れてはいけないことがあります。
それは、子育ての悩みを、
家族だけで解決しなければならない訳では
ないということです。
こども家庭庁では、
子育てに不安や負担を抱える家庭への訪問支援や、
保護者同士が悩みを共有できる
支援などが進められています。
子育ての悩みが深くなったとき、
必要なのは新しい収納や便利な間取りではなく、
誰かに話を聞いてもらうことかもしれません。
家事を手伝ってもらうことかもしれません。
あるいは、
専門家の支援が必要な場合もあるでしょう。
子供の定期的な健康診断の際に
親同士も仲良くなるケースもあります。
建築家が住まい造りで
できることには限界があります。
だからこそ、
住まいの状態や住まいの改善で解決できることと、
人の支援が必要なことを
分けて考える姿勢も大切にしたいと思います。
家族が孤立せず、
必要なときに助けを求められること。
それも、
豊かな暮らしを支える
大切な条件ではないでしょうか?
家づくりで最初に考えて0おくべき、5つのこと
これから奈良県で
注文住宅を建てようと考えているご夫婦に、
私は次のようなことを
考えていただきたいと思います。
1.毎日の暮らしで、
一番負担になっていることは何でしょうか。
家事、収納、朝の準備、
子どもの見守り。
今の暮らしで何に困っているのかを整理します。
2.家族が一緒に過ごしたいのは、どんな時間でしょうか。
食事の時間なのか、
休日の午後なのか、
寝る前のひとときなのか。
大切にしたい場面から居場所を考えます。
3.誰が、どの家事を、どのように担っていますか。
家族それぞれの動きを知ることで、
必要な収納や設備、動線が見えてきます。
4.子どもが成長したとき、暮らしはどう変わるでしょうか。
現在の便利さだけでなく、
将来の使いやすさも考えます。
5.ご夫婦自身は、どんな時間を大切にしたいですか。
子ども中心の暮らしの中でも、
自分たちらしく過ごせる場所を考えます。
こうした問いには、
決まった正解がありません。
だからこそ、
家族ごとに丁寧に考える意味があります。
家を整えることは、家族の暮らしを考えること
家づくりを考えるとき、
どうしても広さや設備、
デザインに目が向きます。
広いリビング。
大きな収納。
使いやすいキッチン。
開放的な中庭。
どれも魅力的です。
しかし、それらを備えたからといって、
必ずしも暮らしが豊かになるとは限りません。
その空間で、家族がどのように過ごすのか。
何に困り、何を楽しみ、
どんな時間を大切にしたいのか。
そこまで考えることで、
初めて間取りや収納の意味が
見えてくるのだと思います。
子育てしやすい家とは、
子どものためだけにつくられた家ではありません。
親も子どもも、
それぞれが自分らしく過ごせる家。
忙しい毎日の中でも、
家族の時間を大切にできる家。
そして、子どもが成長した後も、
心地よく暮らし続けられる家。
私は、そんな住まいを
丁寧に考えるべきだと思っています。
暮らしを家に合わせるのではなく、
家族が望む暮らしに合わせて家を考える。
住まいづくりの根底には、
いつもその考え方があります。
やまぐち建築設計室では、
奈良県橿原市を拠点に、
新築注文住宅、平屋、和モダン住宅、
中庭のある家、
リフォーム・リノベーションなどの
設計を行っています。
間取りを考える前に、
現在の暮らし方や家族の時間、
日々感じている不便や、
これから大切にしたいことを丁寧に伺います。
家事動線や整理収納、
子どもの成長に合わせた間取り、
夫婦それぞれの居場所など、
まだ具体的な形になっていない思いも、
住まいづくりの大切な手がかりです。
奈良市、生駒市、大和郡山市、橿原市、
香芝市、葛城市、桜井市、広陵町など、
奈良県内で住まいづくりをご検討の方は
完全予約制の個別相談をご利用ください。
家を建てることだけでなく、
その先にある家族の暮らしを、
丁寧に考えていきたいと思います。
住まいづくりの個別相談は、
公式ホームページの
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建築家 山口哲央
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